コラムーひとりごと7 知らなかった!「特定秘密保護法施行」
コラムーひとりごと7
知らなかった!「特定秘密保護法施行」
{「特定秘密保護法」が施行}
本年12月10日、「特定秘密の保護に関する法律」(特定秘密保護法)が施行された。
正直に言って、この法律の内容や推移等について、あまりよく知らなかった。先般、「NEWS23」で同法施行を知って慌てて関係書を読んだ次第で少々、反省している。
その関係書を読んで、同法の相当の問題性・危険性が今更に判った。既に施行後ではあるが、その問題性・危険性は、簡単にでも整理し認識しておいた方がよい。
{「特定秘密保護法」の問題性と危険性}
同法の一番の問題点は、「特定秘密保護法」ではなく不特定秘密保護法」であるということである。すなはち、具体的にどんな情報を特定秘密にするかは、実際は官僚が判断することになり、国民からみれば何が秘密かもわからず、指定の判断が正しいかもチェックできない。そして第二の問題点は、秘密にしておく有効期間は最長「60年」と長く、しかも例外も多くあって、その気になればいつまでも秘密のままにしておける。
さらに洩らした公務員は最長10年の懲役刑、洩らすよう働きかけた民間人らも最長5年の懲役刑と結構、重い。
一方で、秘密を扱う公務員や民間人に対して「適性評価」という厳しい検査を受けることも定められた。具体的には、秘密を洩らす人でないことを確かめるため、「お酒を飲み過ぎないか」「多額の借金はないか」「妻や夫の国籍」等まで調べる。一応、本人の同意が必要だが、断ること自体が疑念を持たれ、結果的にプライバシーは犯される。
{今、なぜ「特定秘密保護法」か?}
安倍首相は、米国を見習って国家安全保障会議(日本版NSC)を12月4日に発足させた。政府は、特定秘密保護法は、この日本版NSCとセットだと説明する。米国のNSCとの間で重要な秘密情報を相互交換できるようにし、政府全体で秘密を共有できるようにするためには、新しい法律によって日本側で情報が洩れない仕組みをつくる必要がある、と訴えてきた。
しかし本当に必要なのかという疑問の声は多い。例えば公務員には地方公務員法・国家公務員法で守秘義務が課せられており、その他、自衛隊法等、各々の個別法で必要な秘密が守られるよう定められている。それを更に二重に大きな網をかけ、具体的歯止めなく一方的に特定秘密を定め、秘密の理由も秘密になるような法的仕組みは、憲法で認められた「国民の知る権利」を、より一層、奪うだけでなく、特定秘密を知ろうとすること自体が処罰の対象となるのだから、「報道の自由」も相当に制限され、まさに「平成の治安維持法」と言われる所以である。
{今からどうする「特定秘密保護法」}
こんな悪法でも「もう施行後だから、どうしようもないのではないか」と思われるかもしれないが、逆にあまりにも政府の自由裁量の幅が広いだけに、いきなり自由勝手に運用できるか、国民世論を気にしながら慎重にとなるかは、国民の監視の目次第というところもある。現に同法成立前のパブリックコメントでは、圧倒的に反対の声が大きく、政府にしてみれば、「国民の反応を見ながら」ということになるのではないか。
また同法廃止の請願や政府の運用を抑制する法律の制定を求めることも考えられる。
更に対抗手段として「特定秘密」に指定された事項でも、情報公開請求を乱発するのも世論喚起の効果も含めて考えられる、でも最終的手段としては、具体的な係争事件を通じて「同法は憲法違反」という判決を勝ち取ることだろう。
それだけに今、やるべき事は、あきらめない事、同法の問題性・危険性を再整理して日常的にも認識しておくことだろう。
*参考文献-「これでわかった!〔超訳〕特定秘密保護法」
(著作-明日の自由を守る若手弁護士の会;岩波書店;定価1400円)
(民守 正義)
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