コラムーひとりごと3 大阪府「ゆるキャラ」の隠れたリストラ背景

コラムーひとりごと3

  大阪府「ゆるキャラ」の隠れたリストラ背景

 少し古い話題だが、大阪府「ゆるキャラ」がモッピーをはじめ、45体もあって、今後、広報統一感をもたらすためにリストラ見直しを行うとのこと。このこと自体は良いことだと思うが、何故こんなことになるのか。私なりの独自の背景理由を考えてみた。
 私は公務員になる前、少しだけ民間企業(レストラン業界)に勤めたことがある。その時に上司に散々、言われたのが、他社にはない差別化、区別化の商品開発だ。
 ところが公務員になってイベント(セミナー等)・啓発企画等を任され、アイデアを出すと、大体の上司は「前例があるのか?他府県の事例はあるのか?」と問われ、私が「ない。大阪府が初の企画だ」と言うと、不安そうな顔をして、できれば他の成功事例を参考に考え直して欲しいように言う。そこで激論が始まるのだが、とうとう、退職するまで公務員の前例・他事例主義には馴染めなかった。
 話は変わるが、大阪府主査級昇任考査制度が、平成22年度に大幅に見直されているが、それまで行われていた同考査制度は、主査としての能力を考査するものではなく、殆どが暗記力を試すような問題で、よくも43年間(回)も続いたものだと思う。同考査制度の主な試験内容は、①重箱の隅を探すような50問択一と、具体的テーマが設定された小論文を書く②法葎[Ⅰ類(34歳まで-行政法):35歳以上-地方自治法]]③府政・一般的見識④人事管理だったと思う。この「具体的テーマを設定して小論文を書く」が曲者で、問題は「貴方の考えを書け」と出しているが、実際には模範解答例があって、それに沿った小論文を書かないと、なかなか通らない。実際には間違いでなくても自分なりの独創性のある小論文は、かえって「余計な事を書くんじゃない」とばかりに減点の対象となる可能性が高い。従って「このテーマ(例;24時間社会、少子高齢社会、等)が出たときは、これを書く」という解答の処方箋を、どれだけ暗記して限られた時間で書けるかが合格の秘訣になる。
 従ってⅠ類の早期合格者には、本当は自分の考えが多少、違っても試験テクニックと割り切って模範解答例を書く者と、単純に丸暗記で書く者とに別れる。でも大体の受験者は、Ⅱ類受験者も含めて重箱の隅のような知識と模範解答例を、ひたすら暗記するのだ。そうした洗脳勉強の結果、自分で自分の考えを構築する力も失なっていく。
 因みに今の府幹部は、前の考査制度の合格者だ。
 何故、今更に前の考査制度を持ち出したかと言うと、自分の考えを自分で構築する力が然程、求められない「前の考査制度の負の遺産」と「日常の仕事」が、安易に「他の部局でもやっているのだから」とマネをした「ゆるキャラ45体」に繋がっているのではないかと思うからである。
 人事当局は、自分の意見を反抗的でも、しっかり言う職員と、何でも言われたとおり従う職員と、どちらがお好みですか?(民守 正義)