リベラル勢力総結集・安倍政権打倒!(70)

《Ken Sway Kenと管理者の【緊急事態条項等、憲法改悪阻止】》
《【被選挙権の自由】供託金問題から考える「誰もが立候補できる権利」》

政治に民意を反映する仕組みとして選挙制度がある。しかし現在の選挙制度では民意を反映することは難しいのではないだろうか。「選挙市民審議会」が今年1月、「選挙・政治制度改革に関する答申」を発表した。6月28日に衆院議員会館で行なわれた院内学習会から、供託金を中心に選挙制度改革について考える。
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<普選と抱き合わせだった供託金制度>

 院内学習会では、先ず初めに石川公彌子さん(大学講師)が歴史を紐解きながら供託金制度のあり方について話した。石川さんによると供託金制度は、1925年(大正14年)に男子普通選挙制度の実施と抱き合わせで始まった。制度導入の理由は、「売名行為と泡沫候補の立候補を妨げ、選挙の混乱を少なくし、併せて選挙が誠実厳正に行なわれる」ことだった。
 供託金額は、衆議院で2000円(当時の官僚制度で中堅をなす奏任官の初任給が900円)と高額であり「無産政党の議会への進出を抑制することが目的だった」と指摘する。
 供託金制度に対する批判は、当時から噴出していたそうだ。「普通選挙法を施行して財産資格による制限を撤廃しながらも、供託金制度を作り出して被選挙権を制限するということは、普通選挙制度精神の内部矛盾」である、あるいは「多額の保障金を必要とする制度も其自身、財産標準を積極要件の一としたのと同様であるから、いわば被選挙権における制限選挙制度の復活に他ならない」などの声があったという。
 38年(昭和13年)には、第1次近衛内閣の議会制度審議会で、供託金を1000円に減額する答申が出され、40年(昭和15年)には、大政翼賛会の選挙制度改革に関する基本資料作成時に、供託金廃止が検討されている。しかし廃止には至らず、戦後も供託金制度は残り、むしろ制度変更等により供託金額は引き上げられていった。

<年収相当のハードル強いる国政選挙>

 そもそも供託金は選挙制度に必要なものなのか。立候補するにあたり必要な供託金は選挙によって違う。最小規模の自治体選挙では30万円、国政選挙は300万円だ。
 国政選挙では、衆院議員比例代表であれば600万円も必要となる。
 2017年度の平均年収が420万円だったことを考えると、国政への挑戦となると年収の殆どを供託金に注ぎ込まなくては選挙に出る事ができないことになる。供託金が必要な理由として挙げられるのは、戦前と同じく「売名行為による立候補と泡沫候補の乱立を妨げるため」というものだ。だとすれば供託金制度の目的は戦前と同じく無産階級の政治参加を阻止する事だと考えられると、選挙市民審議会の「答申」は指摘する。16年5月には、供託金違憲訴訟が起こされた。供託金を支払えず14年総選挙に立候補できなかった男性が、供託金制度は憲法44条「人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によって差別してはならない」に違反するとして東京地裁に提訴したのだ。裁判は継続中だ。

<政治にアマは不要という思想が裏に>

 東京慈恵会医科大学の小澤隆一教授(憲法学)は、「選挙制度全体のデザインの中の選挙供託金」について話した。小澤さんは先ず、供託金制度を支える思想として、泡沫候補や売名行為による立候補を防止するという考えはあくまでも建前であり、高額供託金制度を支える“裏の思想”があるのではないかと指摘する。「議会に素人が出てくるな、政治にはアマチュアは必要ない」という考え方だ。また「仲間をつくれないものは政治に参入するな」という“数集めの思想”もあるのではという。小澤さんは、「民主主義、国民主権、皆の政治を実現するためにも、誰もが参加できる政治にするべきだ」として「議会政治においてプロやアマとは何なのか?行政官僚はプロであってほしい。
 しかし議員はアマである国民の代表であり、アマである国民の声を吸い上げるのが役割であって、行政官僚とは違う」と語る。“数集めの思想”に対しても「たった一人でも政治・社会を変える可能性もある。その可能性の芽を摘むな」と、供託金制度を批判した。

<韓国とアイルランドでは見直し進む>

 諸外国の供託金制度事情はどのようになっているのだろうか。供託金制度が候補者乱立の防止を目的としているのは殆ど同じだが、その額は日本ほど高額ではない。
 またドイツ、米国、イタリア、フランスには供託金は存在しない。他国の事情について、前出の供託金違憲訴訟弁護団事務局長の鴨田譲弁護士から、韓国とアイルランドの供託金違憲訴訟を中心に報告があった。韓国の判決では、「供託金によって、売名目的の候補や泡沫候補等は一定程度、防げるが、お金があれば立候補する事ができる。
 一方で真摯な気持ちで出たい人の立候補を供託金制度が妨げるのは行き過ぎである。
 低所得者層や20~30代の若い層にとって供託金は高額であり、中産層でも300万円の負担は容易ではない。財力の面で立候補を断念せざるを得ないということは権利制約に当たる」という考えが示され、その後、供託金の引き下げが行われた。
 アイルランドの供託金違憲訴訟では、国側は供託金が必要である理由を幾つも挙げた。
 しかし裁判所は、それらの理由は「仮説であって法的根拠はない」とした。
 鴨田さんは、このことから供託金を必要とする首長の根拠が薄弱だと言うことができると語った。こうして各国で供託金に対する違憲判決が出される中、日本では09年に供託金を300万円から200万円に、供託金没収の基準を2分の1に各々、引き下げる法案が自民党から提出され公明党、社民党等が賛成したが、民主党の反対で廃案となっている。

<選挙でなく議会こそが意思決定の場>

 小澤さんはまた、政治における意思決定の問題点についても言及した。「一体、議会制度の中での決定の場とはどこなのか」という問題提起だ。「選挙での勝ち負けで決まるのか、それとも議会という場での合意によって決まるものなのか」ということだ。
 小澤さんは「決定の場は選挙ではない」と繰り返した。最終的には多数決で決められるのだから多数を取った方がいいという考え方ではなく、政治に多様な意見を反映させられるようにするという考えに立った制度がいいと指摘した。国民の意思を、どこに位置付けるかによって選挙制度の選択が決まる。小澤さんの問題意識は、多数派づくりに傾いている昨今の選挙のあり方に向けられている。民主主義の根幹である選挙制度は、全ての人が利用できるものでなければならない。安倍政権の閣僚は6割が世襲である。このまま一定の特権階級だけが享受できるような選挙制度にしたままでは益々、格差が拡がっていくだろう。政治分野における男女共同参画の推進に関する法律が成立し、選挙制度の変革が求められる。選挙制度の有り様は、その国の民主主義の成熟を表すのではないだろうか。(基本文献-社会新報)


《【パワハラ争議】上司がLINEで「死ね」「バカ」「カス」「まだ利益を出せないAへ」とパワハラ!訴えられた会社の「二重パワハラ攻撃」》

 本件は、ブラック企業の被害事案であると共に、被害を受けた労働者が代理人弁護士を依頼して企業を提訴し、記者会見をしたところ、今度は代理人弁護士に対する攻撃がなされたという少し珍しい事件である。Aさんは2014年5月、当時、急成長しつつあった不動産仲介会社X社に新卒で入社した。就職説明会で配付されたパンフレットには、大きく「基本給30万円」と、新卒としては、かなり高い給与が記載され、その他「完全週休2日制」等の魅力的な条件が掲載されていた。また同社社長が「日本で一番、人を大切にする会社を創る」等と謳っていたため、Aさんは安心して長期に働ける企業だと思い、大事な新卒カードを行使して、X社への就職を決めた。Aさんは入社後、同社の都内支店に配属され、ホームページ上の物件入力作業、店舗内での物件紹介や店舗外での物件案内に従事した。ところが入社後まもなく、以下のような問題が判明した。

① 求人票とは異なる給与体系

 入社後、初めて受け取った給与明細には、基本給15万円「固定割増手当(いわゆる固定残業代)」15万円と記載されていた。採用及び入社の際はもちろん、退職するまで同社はAさんに対し、固定残業代制度をとっていることや、その内訳について何ら説明をしたことはなかった。【基本的労働条件-明示義務違反(労基法15条1項)。及び同条件-書面提示・交付違反(同条2項、3項)等】

②当初の説明とかけ離れた長時間労働と残業代不払い

 Aさんの配属された支店においては、朝8時に出社し、終電間際まで働く長時間労働が常態化していた。朝8時の「朝礼」に必ず出席することを求められ、大量の業務を与えられ、連日終電で帰宅するしかない状態だったのである。休憩時間は1日20、30分程度、休日は月2日程度しかとることができなかった。【休憩時間付与義務違反(6時間を超える場合45分8時間を超える場合60分;労基法34条1項)/法定休日付与義務違反(使用者は毎週少なくとも1回の休日、または4週間を通じて4日の休日を与えなければならない(労基法労働基準法第32、35条)】このような労働環境の下、Aさんの残業時間は、5月は約150時間、6月は約200時間に及んだ。いわゆる「過労死ライン」月80時間を大幅に超える労働時間である。
 また例え固定残業代制度の下でも、一定時間以上残業をした場合には追加して残業代を支払う必要があるが、同社は追加の残業代を一切支払っていなかった。どれだけ残業をしても、実質的には固定給30万円しか支払われない違法な状態だったのである。【不払い残業違反(労基法37条1項)/深夜労働-割増賃金不払い違反(労基法第37条第4項)等】

③パワーハラスメント

 更に配属支店では店長からの社員らに対する暴言が常態化しており、原告自身、口頭やLINEグループ(業務等の連絡がLINEグループで行われていた。)で「死ね」「バカ」「カス」「ブタ、承知しましたじゃねーよ。謝れ」等の暴言を受けた。心身共に疲労が蓄積したAさんは、不眠症状が現れ、昼間でも意識が朦朧としたり、論理的な会話が成り立たなくなる等した。こうしてAさんは、入社から2カ月程度で退職に追い込まれた。【安全配慮義務(職場環境配慮義務)違反(憲法13条:労働契約法第5条)】
 退職の意思を告げた際も、Aさんは、配属支店の店長らから不当な対応を受けた。
 配属支店店長は「まだ利益を出せないAへ」と、暗に新卒社員であるAさんが営業成績を上げられていない事を非難しながら、残務整理を済ませてから退職するよう告げた。
 また同店主任は以前、Aさんが社用車を運転中、後方から衝突され、加害者に逃げられたトラブルを挙げ「このままだと会社は、お前の両親に車の修理代を請求させてもらうことになる。」等と脅した。【脅迫罪(刑法第222条1項)】このように、Aさんは多大な精神的・肉体的苦痛を受け、キャリアを傷つけられた。Aさんは、同社や不動産業界全体の労働環境改善に繋がればと思い、未払残業代及び慰謝料の支払いを求める裁判を起こした。
 前述の「死ね」「バカ」「カス」「ブタ、承知しましたじゃねーよ。謝れ」等の暴言はLINEにしっかりと残っており、また終業についてもLINEで逐一店長に報告していたため、これを証拠として添付し、提訴したのである。【刑法上の名誉毀損罪(刑法230条)侮辱罪(刑法231条)該当の虞】

<労働者に提訴された会社が、労働者の弁護士を“返り討ち”攻撃!>

 Aさんの代理人弁護士に就任し、X社を被告として未払残業代等請求訴訟を東京地方裁判所に提起し同日、提訴報告の記者会見を行った。記者会見には、事前に「プレスリリース」を作成し、記者に配布して説明を行った。「プレスリリース」には、ここまで述べてきたような本件事案の概要を記載し「ブラック企業の被害事案」であるので提訴し、併せて記者会見をする、旨を書いていた。本件は数社のマスコミによって報道がされ、それなりに世論の反響を呼んだ。なお記者会見後、同弁護士は、自己の個人ブログに、上記記者会見のプレスリリースと同内容の記事を掲載した。するとX社は、同弁護士筆者に対し、当該ブログ記事の削除を求める仮処分を東京地方裁判所に申し立ててきたのである。
 マスコミの記事が既に大々的に広まっているのに、さして閲覧数もない同弁護士の個人ブログの記事を削除してもあまり意味はないと思われるが、とにかくX社は、そのような手段に出てきたのである。直ちにブラック企業被害対策弁護団で協議をし、弁護団所属の弁護士を中心とする74名の弁護士が同弁護士の代理人に就任し、本件記事に何ら違法性はないため削除は断固拒否する態度を貫いたところ、数回の裁判期日を経て、X社は仮処分の申立てを取下げた。未払残業代及び慰謝料請求事件についても、ほぼ同時期にAさんの言い分を、ほぼ認める内容での和解により終結した。X社が、このような仮処分を起こしてきた真の狙いは、代理人の弁護士を攻撃する事によって、Aさんの未払残業代等請求事件を事実上、早期幕引きの目論見があったと考えざるを得ない。これはブラック企業被害撲滅のための活動に取り組む弁護士及び各種団体にとって、看過できない問題である。
 なおAさんは、すぐに優良な職場環境の別業種に転職することができ、やりがいをもって働かれているようである。(参考文献-リテラ/文責:民守 正義)
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《全国大学人権教育交流会【第51回企画:ご案内】》

◎テーマ:~どう考え、どう取り組むか『特別の教科-道徳』と人権教育(パートⅡ)~
◎開催日:2018年8月25日(土)13時~17時(受付12時30分~)
◎場 所:大阪人権博物館(リバティおおさか)大阪市浪速区浪速西3-6-36
 ●電話:06-6561-5891/FAX:06-6561-5995/HP【http://WWW.liberty.or.jp】
◎参加費:1000円(学生-無料)


《【南京の記憶をつなぐ】結成のつどい》

◎記念公演:南京大虐殺 その時、大阪では?-ちまたでは提灯行列や博覧会-
 ●講師:塚崎 雅之さん(元府立高校社会科教員)
  *その他、企画講演・映画上映・合唱団出演、有り。
◎日時:9月29日(土)13時30分(開場13時)
◎場所:国労大阪会館大会議室(JR天満駅西へ徒歩-数百ⅿ)
◎参加費:500円
◎主催:【南京の記憶をつなぐ】実行委員会
 ●連絡・問合せ-銘心会南京(090-8125-1757)


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(民守 正義)