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《Ken Sway Kenと管理者の【緊急事態条項等、憲法改悪阻止】》

《警官による制圧死と「警察24時」:当事者の鹿児島県警に押収された取材映像にダンマリを決め込むTBSテレビ/宮下正昭(鹿児島大学法文学部准教授)》

 鹿児島県鹿児島市の繁華街で酔っ払った男性を警官らが取り押さえ、死亡させた。
 その様子はTBSテレビの番組「警察24時」が偶然、撮影していた。しかし映像は警察に押収される。制圧死事件を起こした当事者である警察に貴重な映像が渡った事に問題はないのか。大手メディアはその事を報じず、当のTBSテレビもダンマリを続けている。
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 事件が起こったのは2013年11月24日未明。鹿児島市の繁華街・天文館で酔っ払っていた会社員男性(当時42歳)が運転代行の運転手とケンカになっていると通報があり、近くの地蔵角交番から警察官十数人が駆け付ける。男性は路上で4、5人の警官にうつ伏せに押さえ込まれ、まもなく死亡。死因は胸腹部圧迫による低酸素脳症と認定された。
 男性はエレベーターメーカーの社員。この日は土曜(休日)で、テニスの試合の打ち上げで2次会まで終え、かなり酔っていたようだ。自転車に乗っていたところ運転代行の車と接触したことから、ケンカになったらしい。

<2人の警官に罰金各30万円>

 我が子の突然の死の知らせを受けた両親(千葉県船橋市)は特別公務員暴行陵虐致死罪で告訴する。捜査は時間がかかった。1年後の14年12月、鹿児島県警は37歳の男性巡査長と34歳の男性巡査を業務上過失致死の疑いで書類送検する。制圧行為は正当な職務行為だったが、男性の容態変化を確認しないなど業務上の過失があったとの判断だった。
 告訴状では「警察官が首を締めるなど暴行」があったとしていたが、県警は目撃情報や「防犯カメラの映像から」そうした暴行はなかったと結論付けた。しかし映像は「防犯カメラ」ではなく、テレビ局が撮影したものだったことが、その後わかる。送検を受けた鹿児島地検の桑田裕将検事(当時)が起訴する前に男性の両親を地検に呼び、検察側の判断を説明する際に明かしたのだった。「いわゆる警察24時の取材で某テレビ局が撮影した」として、両親と代理人の弁護士2人にその映像を「内々で」見せる。約20分間の映像。
 警官らにうつ伏せにされた男性は「痛い」「助けて」「死ぬ」等と叫んでいたが、最後の4分間ほどは1人の警官が男性の腰に、別の警官が肩に各々、片膝を付き、更に足や手を2人の警官が押さえ付けていた。男性は「ウオーッ」と何度か呻いた後、動かなくなる。
 警官らはその様子に注意を払わず、男性の身柄をどうするか本署と連絡をとり合っていた他の警官に気を取られていたらしい。桑田検事の説明を聴きながら映像をじっと見つめていた両親は「公務執行妨害の現行犯で逮捕してくれれば制圧しないで済んだのでは」と尋ねる。
 桑田検事は「気持ちはよくわかります」と答える。が逮捕の執行という手続きは重大だと説明したようだ。それから間もない15年4月、鹿児島地検は略式で起訴する。
 警官による制圧死事件は全国で、まま発生しているが、起訴される事は殆どない。
 今回の場合、テレビの取材を受けていたことも影響したかもしれない。その意味では略式でも注目されていい。しかし略式だと裁判は開かれずに罰金刑が下されるだけ。

 検事の親切な対応から本訴を期待していた両親は失望し、公判を求めて裁判所に上申する。鹿児島地裁は訴えに応えて正式な裁判を開くが、初公判で求刑まで進み、同年7月、2回目の公判が判決。求刑通り2人の警官に各々、業務上過失致死罪で罰金30万円を言い渡した。
 判決は量刑理由で「制圧行為が同時に行われることによる危険性について相互に確認し、連携することなく、漫然と制圧行為を継続した」と指弾。ただ制圧行為そのものは、酔って興奮していた男性が既に怪我をしていた運転代行の男性に「更に暴行を加える気勢を示した上、警官にも膝蹴りをする等したため」と理解を示した。結果は略式と変わらなかったが、公判が開かれたことで男性の父親は息子を亡くした無念さ、怒りを訴えることができた。
 マスコミの対応も変わった。書類送検、略式起訴までは警官2人の名前は匿名だったが、公判となったことで実名に切り替える。新聞各紙は、罰金刑に悔しさを滲ませ、映像が証拠として提出されなかったことに憤る父親の様子を伝えた。ただ映像が警察に押収されたことを問題視する論調は皆無だった。

<高裁と最高裁は映像証拠を認めず>

 父親は同年10月、鹿児島県を相手に国家賠償請求を起こす。裁判の中で映像を観てもらい、事件の真相に迫りたい思いだった。鹿児島地裁(川﨑聡子裁判長)は16年12月、「客観的な証拠として高い価値を有する」と判断し、映像の提出を地検に求める決定を下した。
 審理の中で検察側は「撮影したテレビ局か制作会社から入手すればいい」と主張したらしいが、テレビ局か制作会社を特定することは難しいと裁判所は判断。更に「証拠となれば報道・取材の自由が侵害される」という主張には「映像は県警の許可と協力によって撮影されたものであり、既に県警に押収されていることを考慮すれば、裁判で開示されることで報道の自由が侵害される弊害が大きいとは言えない」映像の提出拒否は「裁量権を逸脱し、濫用するもの」と断じた。この決定を言い換えれば、映像が警察に押収された段階で報道・取材の自由をテレビ局側が捨てているではないかということになるのかもしれない。
 報道・取材の自由に対する司直介入の是非の観点から注目に値する決定だった。
 しかし記者達の関心は薄かった。地元紙はベタで報じているが、全国紙は報じた形跡はない。地裁の映像証拠採用に対し、地検は即時抗告する。17年3月、福岡高裁宮崎支部(根本渉裁判長)は全く反対の決定を下す。映像を証拠採用すると「報道・取材の自由が侵害される恐れがある」と判断。更に「テレビ局と捜査機関との協力・信頼関係を損ない将来、同種事件の捜査に支障が生じる恐れがある」とも言及した。遺族側は最高裁に特別抗告するが、同年7月、最高裁第3小法廷(山崎敏充裁判長)は訴えを退ける。
 高裁段階の決定では新聞各紙の報道は西部(九州・山口)版だけだったようだが、最高裁の決定は全国版で報じられた。中でも『読売新聞』(同7月28日付)は、「『報道の自由侵害恐れ』支持」との見出しで書き込んだ。裁判でテレビ映像が証拠として使われることは「博多駅事件」の最高裁判例(1969年)で報道の自由の観点から慎重に扱われるようになり、今回の高裁、最高裁もそれを踏襲したものとして肯定的に報じた。

<映像押収した警察は当事者>

 しかし映像が放送もされないまま捜査当局に押収されたことはどうなのか。
 押収した警察自身が今回は刑事事件の被疑者・被告であり、民事事件でも一方の当事者である。そう考えれば映像押収の問題は一層、重い。それなのに、そもそもどこのテレビ局が撮ったものなのかわかっていなかった。『読売』は興味深い各テレビ局のコメントも掲載していた。フジテレビは「報道の客観性が損なわれる恐れがあるため、捜査機関から映像の提出を要求された時でも断っている」。テレビ朝日も「本社や系列局が撮影したものではない。
 取材映像は原則として報道目的のみ使用している」とコメント。TBSは「放送目的で撮影されたものは放送以外の目的で使用されるべきではなく、最高裁の決定は適切」と、一般論的な回答をしていた。また2人の識者の声として「捜査機関は、報道の自由を脅かしかねない押収を自制すべき」「取材した映像が放送されず、目的外に使用されれば、報道機関に対する社会の信頼が失われる」といった意見も紹介していた。いったい、どこのテレビ局の映像だったのか。福岡地検に異動していた桑田検事に電話で尋ねると「守秘義務があります」。

 県警の向原昭仁広報官(当時)は、「関係書類は1年保管の対象で既に廃棄しており、わからない」。事件当時、テレビ局と事前打ち合わせをした広報官は既に退職していたが、「覚えていない」とかわされた。更に訊いて回った結果「TBSです」という証言を得た。実際に取材した制作会社も特定できた。東京都渋谷区広尾の「SOLIS produce」という会社だった。
 早速、同社に電話すると、杉村和彦社長は当初、戸惑っていた様子だったが、撮影を認めた。映像は「差し押さえられて出しました」という。その経緯等を訊くために取材を求めると「TBSに話をされました?同席の方が話は早い」と弁護士も交えた三者で面談に応じると約束してくれた。TBSテレビ社長室広報部にも確認の電話を入れた。こちらはとても硬い対応で「ファックスで要件を」。返ってきたのは「既に報道機関に答えたものが全てです」。
 それは『読売』に載っていたコメントの事だった。その後、2回ファックスでやり取りしたが、返事は同じだった。「SOLIS produce」 に再び電話した。今度は担当プロデューさーが出て、「対応はTBSに一元化」したとのこと。その後、上京した際、TBSテレビの受付から広報部長を呼んでもらうと、電話で「これまで申し上げた通りです」。面談すらしてくれなかった。何故、こんなに頑ななのか。何か公にできない事情があるのだろうか。鹿児島県警との間で何があったのか。県警の向原広報官(当時)によると「警察24時」の取材依頼は警察庁を通じてくるらしい。取材に応じるのは「警察行政を知ってもらう機会」となるからだ。
 そして放送前に「映像は見せてもらい、プライバシーや捜査上の問題等をチェックする」という。今回の撮影に際してもこの条件は了解していたのだろう。で、土曜(休日)の夜の繁華街にある交番の奮闘ぶりを撮影し、酔っ払いのけんかで出動した警官らを追いかけて撮影していたところ、想定外の事が起こってしまった。その映像を県警が、どの時点で押収を決め、どのような態様で実行したかはわからない。「SOLIS produce」の杉村社長は「差し押さえられて」と語り、桑田検事は遺族に「裁判所の許可をもらった上で」と話していた。

 映像の証拠採用を認めなかった高裁宮崎支部の決定文には「例え(差し押さえが)司法審査を経たものであっても」と微妙な表現をしている。これまでの国賠訴訟の中で遺族側は差し押さえ令状の有無、是非については追及していない。裁判所が映像差し押さえの令状を出していたとしたら、報道・取材の自由との関連はどう判断したのか。
 遺族の父親は「警察の押収を裁判所が認めたのなら、裁判で証拠となるのを認めないのはおかしい」と憤る。先の高裁宮崎支部は「(差し押さえ令状が出ていたとしても)裁判官が捜査以外に用いられることを前提とした審査をしたとは考えられない」と差し押さえと証拠採用は別という判断を示していた。令状によるものか、任意か。警察から映像の提出を働きかけられた撮影スタッフらが安易に応じてしまい、その後、形式的に差し押さえ手続きをとったのかもしれない。TBSテレビが取材に応じないため真相は解らない。
 TBSはかつて1990年にバラエティー番組「ギミア・ぶれいく」で暴力団の非合法活動に密着した映像を放送した。警視庁がその暴力団を摘発する際、ビデオテープの任意提供を求める。しかしTBSテレビは応じず、令状による差し押さえにも異議を申し立て、最高裁まで闘って負けた経験を持つ。今やそのような意地は、なくなったのだろう。

<全国で相次ぐ警官による制圧死>

 警官による制圧死はどれくらい発生しているのか。法務省司法法制課統計室に訊いたが、罪名から辿る事は難しく、わからなかった。『朝日新聞』のデータベースをみると、少なくとも2011年に3件(東京、山口、福岡)、12年3件(宮城、神奈川、大阪)、13年が鹿児島を含めて4件(鹿児島以外に北海道、山形、愛媛)起こっている。14年は東京で1件、15年はなく、16年には群馬で1件の記事が出てきた。制圧のきっかけは様々だが、暴れていたケースが多い。これらの内、刑事事件として立件されたのは1件しか掲載されていない。
 桑田検事は遺族への説明で、検察庁の情報を集めた制圧事件の数を紹介している。
 03年から説明当時の15年3月までの12年間に12件あり、そのいずれも刑事事件としては不起訴になっていると話したようだ。国賠訴訟で映像の証拠採用は認められなかったが、桑田検事から映像を見せてもらった際、遺族の父親はジャケットに忍ばせたICレコーダーで録音していた。鹿児島地裁は、その音源の証拠採用を決め、訴訟を続けている。

 映像ほどの訴求力はないが、警官らと男性とのやり取り、その後、押さえ込まれた男性の叫び声や呻き声など書面以上の証拠価値はあると思われる。放送目的で撮影した画像が捜査当局の資料や裁判での証拠になることには大きな問題があるが、それでも本来の放送は行なってよかったはずだ。しかしTBSが放送した形跡はない。事件から5カ月後の14年4月、TBSは「激撮!密着警察24時!」で東京・渋谷の交番、北海道警のパトカーなどに密着した映像を放送している。「SOLIS produce」との共同制作だ。鹿児島の交番もこの番組の中で使うつもりだったのかもしれない。警官が市民を押さえ込んで死亡させてしまった様子を撮影した映像はとても貴重だ。社会に警鐘を鳴らす価値があるだろう。
 警察にとって教訓にもなりうる。しかしTBSが事件に正面から向き合っていない現状では、将来、今回の映像を報道番組等で活用することもないだろう。押収された映像がマスターテープなのかどうか分からないが、杉村社長は「映像は処分した」と語った。
 映像は既に返還されたということなのか。もしまだ映像がテレビ局側にあるなら、TBSは報道できる機会を窺ってほしい。そのためにも今回の一連の経緯を明らかにすることが先決だと思う。今回、久しぶりに東京・赤坂のTBSテレビにお邪魔した。
 40年前、学生時代にTBS報道でアルバイトをした。その頃は放送センターがあるだけだった記憶が、今では周辺に賑やかな関連の商標施設が立ち並ぶ。
 TBSホールディングスの収益の多くを不動産関連が占める現状。「報道のTBS」と言われた昔日の放送局の矜持は、もう望めない。(基本文献-週刊金曜日/管理者:部分編集)


《【民族差別】朝鮮高級学校-修学旅行おみやげ取り上げ事件》

<事件>

 神戸朝鮮高級学校(神戸市)の生徒62人が6月28日、「祖国訪問」を終えて関西空港に到着した際、約半数の生徒が、税関職員に北朝鮮の国旗等が描かれた化粧品や薬等の土産品を、経済制裁で持ち込みが禁止された輸入品だとして押収された。押収品には親族や友人からの贈り物も含まれていた。これに対して在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)は29日、日本政府に抗議する会見を開いた。徐忠彦・国際統一局長は「日本政府が対話を望むならば、非人間的な措置をやめるべきだ」と主張した。
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 <「朝鮮人としての尊厳」に傷をつけた担当官:当局への朝鮮高校生の怒りと涙/寺島栄宏(ジャーナリスト)>

 6.14~28にかけ朝鮮高校生の修学旅行に引率として朝鮮に行ってきました。
 米朝共同宣言の平和と繁栄の流れの中で行く修学旅行は、また格別な思いがありました。
 何よりも楽しく、何よりも感動的な15日間が…、最後は最悪な修学旅行に。
 お土産、没収の嵐。泣きわめく女子生徒、悔しくて、悔しくて怒りの抗議をする男子生徒。地獄絵図でした。関西空港税関の対応は「上の指示で輸入が禁止されているから」のみ。若干18歳の高校生に「任意放棄書」なるものを「強制的に」書かせる当局の方々には人の心がないのでしょうか。あまりの悔しさに、せめてクッション等のお土産の紙だけでもと一枚一枚回収する男子生徒。ゲートを出た瞬間に泣き崩れていました。しかも飛行機の遅れもありゲートを出たのは0:00過ぎていました。悔しさに今も眠れません。
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 ××す。もちろん、お土産を奪われたショックも大きいです。これからはそんな事が無いように、どうにか無事に持ってくる手段も考えないといけないとは思います。
 でも生徒達が何に泣き、何に怒ったか。自分達の「朝鮮人としての尊厳」に傷をつけた担当官、当局への涙、怒りであり、「モノ」への執着ではなかったのでしょう。
 結果はわかっていても、怒りに震え、私の手を何度も振り払いながら抗議する生徒達を見ながら、心の底からそう思いました。(記事紹介:社会学者- 伊田 広行)
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