リベラル勢力総結集・安倍政権打倒!(36)

《Ken Sway Kenと管理者の【緊急事態条項等、憲法改悪阻止】》

《【対談】ようやく「呪い」が解けてきた-女性を呪縛してきたものの正体/弁護士-太田啓子さん⇔作家-雨宮処凛さん》

 性被害の問題、性表現の人権侵害について、日本では何故、理解が得られにくいのか。
 セクシュアルハラスメント被害を告発した女性記者に名乗り出るよう求めた財務省に対し、調査方法を撤回するよう署名を提出した弁護士の1人、太田啓子さんと、女性の生きづらさを見つめてきた作家の雨宮処凛さんが語り合った。
***********************************
太田:5月に『「女子」という呪い』を出版されましたよね。
 ジェンダー問題を真正面から扱ったのは初めてだそうですね。
雨宮:そうです、貧困問題と違って、女性の権利とかに触れるとバッシングが凄く寄せられるのです。だから自分の中でハードルが高くなっていました。でも、ある連載で女の生き辛さを語っていたら、どうしてもジェンダーやフェミニズムと関わってきてしまう。書き続けていたら止まらなくなって、自分の中に、これほどの怒りがあったと再確認しました。
太田:ジェンダー本を書くまで時間がかかったのは、当然だと思いますよ。
雨宮:オッサンから「女は余計なこと言わずに黙って笑っていればいい」って言われ続けてきましたよね。それは男社会にとって都合のいい言葉であって女性は、その「呪い」の言葉に縛られてきた。私のトラウマは、小さい頃からテレビで見続けてきた、田嶋陽子さんが吊るし上げられてる姿です。
太田:ジェンダーを語ると、ああいう目に遭うという見せしめですよね。本当に罪深い。
雨宮:この女を貶めることで、磐石な男社会が続くのだ、みたいな。
太田:それが男同士の絆を深めるのでしょう。共通の敵がいると結束しますよね。
 だから何を言っても「矮小化された田嶋陽子」にされて、男はそれを攻撃しろという同調圧力!だから、そもそも彼らに話を聞く気はなく、正確に理解しようと思ってない。
雨宮:そうですね、そういう時の男性の結束は凄い。

<二次被害の罪深さとは>

太田:福田淳一前財務事務次官の件は、もちろんセクシュアルハラスメント自体も酷いけど、その後の公人によるセカンドハラスメントが許しがたい。被害者への二次被害だけでなく、今後の被害者の声も封じかねない。被害を告発すると、こういう目にあう社会だと無意識に学ばせてしまうから。
雨宮:麻生太郎氏(財務相)なんかを見ていると、理解させるのは無理な感じがしますね。
太田:あの人にハラスメント研修をやっても理解はできないと思う。だから私達にできることは、彼を責任あるポジションから追い出すことのみだと思いますね。
雨宮:なるほど、そうですね。
太田:ああいう人を評価しない社会にしないといけない。だってハラスメント訴訟で負けても、麻生さんみたいな人は反省せず、逆恨みしますよ。しかも裁判官ではなく、訴えた女性を恨む。
雨宮:絶対、女を恨みますよね。

太田:おかしいよね。判決を下したのは裁判官なのに。その人の頭の中では訴えた女性が裁判所も騙したという理解になっている。
雨宮:そういう現状に、多くの男性達が気づいて変わってきているとは思えないですよ。
太田:女性がまともな男性を選ぶようになれば、その効果で変わる気はします。
 でも経済力がないと選択肢が限られる。「ろくでもない夫だけど経済力がないから離婚できない」という人は沢山います。女性の人権を尊重しないような男は女性から選ばれない社会にしないと、このハラスメント社会は変わらないと思うから、そのためにも女性が経済力をもたないと。
雨宮:そうですね。10~20年前の方が、女性が働くことに希望があった気がします。
 貧困の取材をしていると、今、専業主婦に憧れる中高生が多いです。女性で働いても派遣しかなくて貧困なら、モテるように頑張って、いい物件ゲットした方がいいという発想になってしまう。だから女性誌は「愛されメイク」とかやるのですね。
太田:気持ちはわかるけど辛い。外見だけであなたを選ぶ男性は、平気で浮気して、捨てるって思うから。そういうことも含めて、性差別的な価値観って、若くして形成されるような気がしています。

<「表現の自由戦士」>

雨宮:例えば教育とかですかね。
太田:小学生の息子が、私は「男の子なのだから」と言ったことないのに、どこからか…。
雨宮:仕入れてくる(笑)。
太田:そう。社会からいろんなメッセージを子供なりに受け入れる。だから漫画やアニメに敏感になります。女の子が嫌がっているように見えても本当は喜んでいるって、セクハラをセクハラでないように描くものが、かなりある。『ドラえもん』も結構気になります。
雨宮:あれはやばいですね。
太田:でしょう。しずかちゃんのお風呂シーンとか、物語に必要ないのに使われるのはおかしい。「きゃー、エッチ」を笑えるネタとして娯楽にしていいというメッセージになっていて、性的な被害を大した事ないと思わせてしまうし、傷ついた女の子が、自ら言葉を封じ込めちゃう効果もあると思う。
雨宮:うんうん、そうですね。
太田:セクハラ加害者が「これはセクハラじゃない」と思うのは、そう思わされて育ったことも一因だと思います。だからセクハラに鈍感な感受性を創りそうな表現等はとても気になります。以前、ツイッターで『少年ジャンプ』の事を書いたら炎上しましたよ。
 漫画に出てくるキャラクターの人気投票結果で、どの女性も、ほぼ全裸で、涙目で恥ずかしがっている表情だったりしたのです。脱がされている事を嫌がっているような描写でした。嫌がっている相手に性的に欲情する事を、子供も読む漫画に肯定的に掲載するのは問題があるという趣旨をツイートしたら反発が凄くて、事務所にまで抗議電話がきました。

雨宮:えー。
太田:私、憲法カフェとかで、安倍政権や公権力の批判するけど、そっちより反発が凄い。
雨宮:政権批判よりも、一番の地雷は「フェミ」ですよね。
太田:絡まれ方の質が違う。執拗で粘着的で攻撃的で。
雨宮:俺らの何かが荒らされた、みたいな思いがあるのですかね。
太田:性的な何かを奪われる恐怖感があるのか、自分にも攻撃が向くと思って過剰に防衛するのか。
雨宮:あー、それはありますね。
太田:一緒に憲法カフェやっている弁護士一部からも「太田は表現の自由が解ってない」とか言われる。
雨宮:表現の自由を取り締まろうとしているみたいな言われ方をされちゃうのですね。
太田:「不快な表現にも自由を認めるのが、表現の自由だろ」って。人権問題や性差別への抗議を快不快の問題にすり替える。彼らはネット上で「表現の自由戦士」とか言われていますけど、脱ぐ自由とか触らせる自由とか、そういう自己決定権ばかり主張している。
雨宮:そう、売春する自由とか。

太田:一方で脱がない自由とか、触られない自己決定権の侵害とかには全く怒らないという欺瞞。そういう男性弁護士に、レイシズムとかではいいこと言うのに、性差別や性暴力では、びっくりするようなことを言う人がいるの。
雨宮:わかる、わかる。
太田:女性専用車両にわざと乗り込む男達がいるでしょう。ある弁護士は、女性専用車両を「男性差別」だって言って、それに乗り込む男達を公民権運動のローザ・パークスに例えていて、のけぞりました。ローザ・パークスに失礼すぎるだろって。
雨宮:反ヘイトなのに女性差別。
太田:許さんって思うけど、女性にモテないことで被害意識を持ち、それをこじらせて、女性憎悪に向いたのかなと思うと哀れで。
雨宮:モテないことは女性嫌悪の言い訳にはならないですけどね。
太田:そう。私、モテないからって男性攻撃しようと思わないけどね。
 彼らの本音は「なぜ俺を選ばないのか」とかなのかな。

<中年男のファンタジー>

雨宮:女性問題で辞任した新潟の米山隆一知事、どう思いました?
太田:なんかもう哀れだった。
雨宮:好きになってもらおうと思って金銭授受をした、という感覚が有り得ないですよ。
太田 ある意味、モテない意識を、こじらせたと思いました。
雨宮:頭よくて金あって、知事にもなったけど、どこかで“非モテマインド”があった-。
太田:その関係を隠さずに平気で話していたのにも驚きました。自分では恋愛だと思っていたのでしょうね。勘違いをする男性もいますが、若い女性が親世代の人に恋愛感情を抱くというのは、滅多にないファンタジーですよ。女子高生が冴えない中年男に恋するドラマとかあるけど、ファンタジーを撒き散らさないでと思う。何より若い女性が夢中になるほど自分が魅力的か思慮してみてほしい。
雨宮:セクハラって「自分はちょっとイケてる」と思っているような人がしがちですよね。
太田:そう。相手が嫌がるとは本当に思ってなくて、普通のセックスをしたつもりの人もいます。

雨宮:恋愛だと思っているから。
太田:ファンタジーと現実を混同しているから、セクハラと言われると「恋愛だったのに、こじれて恨まれてはめられた!」という反応になってしまうのではと思う。
雨宮:でも私、20代の男性がぐいぐいきたら、何か罠なんじゃないかと疑いますが(笑)。
太田:マルチ商法かなとかね(笑)。やっぱり人間関係観に問題があると思う。
雨宮:男性は、若い女への執着を遺伝子とかのせいにするじゃないですか。男は、そういうものだから仕方ないとか。痴漢やセクハラにしても「性欲のせいで、俺は乗っ取られている」みたいに被害者ぶる。性欲に乗っ取られて加害する人は、牢屋に閉じ込めるべきで、野に放しちゃいけない(笑)。堂々と“自白”している場合じゃない。
太田:そういう男性は、女性との対等な関係性を求めてないですよ。そうなるように仕向けるものが社会にあるのですかね。

<男性へのサービスは世界一>

雨宮:やっぱり日本って異常に性の商品化が激しいですよ。風俗も多様ですけど、おっぱいパブとか、水商売でもかなり際どいサービスをする店もある。男性の欲望を刺激するサービスに対して、物凄く企業努力がなされていて、あらゆる欲求に応えるようなサービスが“世界一”だと思います。どこか感覚が麻痺していくくらい。
太田:麻痺しない方がおかしい。これだけ風俗情報が溢れていると、1回くらい行ってみるかって思うかもしれない。社会が男性の性に寛容なメッセージを出していると思いますね。
 だから性産業に従事する女性について、きちんと語るのは難しいですね。
雨宮:本人が選んだこと、職業選択の自由があると言われますし。
太田:その感覚が蔓延している。「慰安婦」問題が理解されない事とも絶対関係があります。
雨宮:凄く根深い問題ですね。
太田:酷い人権侵害があっても「彼女の自由意志だからいいのだ」と人権侵害性が見えなくされる。社会構造的に性産業の仕事を「自ら選ぶ」ように仕向けられているところがあるのに、人権侵害まで本当に「自由意思」で正当化していいのか、という問いの意味もなかなか伝わらない。
雨宮:1990年代、私が20歳位のとき、援助交際に肯定的なリベラルっぽい人が結構いて『売る、売らないはワタシが決める-売春肯定宣言』とかが出版されて、それがフェミっぽい文脈で語られていた。表現の自由とか、自己決定権というリベラル好み文脈の中で売春肯定のような空気がありました。

<右翼しかフェミじゃない!?>

雨宮:一方で当時、右翼の集会に行ったら、みんな援助交際を怒っていて、私にとって初めてフェミ的なこと言っている人が右翼だった(笑)。別の右翼の集会に行ったら、アジア人女性を買春する日本人男性を怒っていて。
太田:いい奴じゃん(笑)。
雨宮:それで右翼に入ったところもあります。援交肯定のリベラルと援交否定の右翼。
 あの時代、なんかいろいろ捻れていましたね。
太田:右翼の人達にフェミ的な考えという自覚はあったのかな。
雨宮:自己中で利己的で自分の欲望しか考えないほど日本人が堕落したのは押し付け憲法が悪いという文脈ですから、フェミ的な文脈では全くなかったけど、ブルセラブームの日本の中で私は初めてマトモな大人に会った気がした。90年代は、フェミを巡る構図が捻れていましたね。
太田:その時代はフェミに、とっても何かの分岐点だったかもしれません。
 風俗で働く女性からの話を聞いて、フェミニスト達も、自分達の言葉が傷つけてきたのかなと反省したり検証したり。でも今、性の搾取はやはりおかしいな-と思います。

雨宮:ようやく女性が声を上げる事が少し定着してきましたからね。「何故♯MeTooは盛り上がらなかったのか」って過去形で語られたりするけど、福田前財務事務次官の辞任とかで事態は動くって気づいて、まだ始まったばかり。運動の成功体験ってあまりないけど、それをまさにリアルタイムでやっていて、女性が「呪い」から解放される過程だと思います。
太田:この流れは逆戻りしないと思います。ゆっくりかもしれないけど、絶対に進むと思いますね。
《profile》
 【雨宮 処凛】あまみや かりん-作家、活動家。週刊金曜日編集委員。
 【太田 啓子】おおた けいこ-弁護士。明日の自由を守る若手弁護士の会メンバー。
*本対談内容は、管理者として全面的に肯定しているものではなく、「崇高な基本的人権理念」の観点から疑問を感じる部分もあるが、全体として読者の思考・議論には十分な内容があると評価し、読者の議論の素材として提供したものである。
**********************************

<緊急―読者からの拡散要請>

【最新情報。ワールドカップ試合に合わせTPPを強行採決、TPP成立。絶望的なTPP成立後、どうやって日本を救えるか。3つの方法を語る。】
[http://macrobiotic-daisuki.jp/tpp-7-128760.html]


《【とめよう改憲!おおさかネットワーク】⑪回年次総会&公開講演会》

◎メイン公開講演「武力で平和はつくれない-安倍9条改憲を食い止める市民力を-」
  ●講師:青井 美帆さん(学習院大学教授-憲法学)
  ●日時:7月15日(日)午後1時半開場/午後2時開演
  ●場所:エル・おおさか:南館5階ホール(大阪市中央区北浜東3-14*Osaka Metro
   (旧市営地下鉄)谷町線-天満橋または京阪天満橋2番出口より徒歩約700m)
  ●資料代:1千円(学生以下-半額/介護者-半額)


《ブログ「リベラル広場」では次の事業も行っています。》

職場(仕事)における労働・人権相談(ハラスメント・メンタルヘルス等、含む)
*大阪府労働相談経験10年以上。*産業カウンセラー資格、有り。
*但しメンタルヘルスの場合、もし心療内科等に受診されている場合、または、その受診の方が望ましい場合は、当該医師の指導を優先し、カウンセリングを断る事もありますので予めご了承ください。【費用:交通費等、実費+α(委細相談)】
②「企業内人権研修」等の講師派遣も行います。【但し有料(2万円程度-委細相談)】
③採用コンサルタント。
*出版実績:『公正採用と採用選考・応募と人権のハーモニー』絶賛発売中!
                     (就職活動中の方には必見!)
◎なお寄せていただく相談意見等は、とりあえず全てEメールで送信してください。
<送信先Eメールアドレス>yutan0571@yahoo.co.jp(なおツイッターでの投稿は①匿名性が高いこと、②ウイルス対策上等、業者助言により一切、開封・受付いたしません。)

(民守 正義)