リベラル勢力総結集・奴隷労働法制等阻止!(94)

《Ken Sway Kenと管理者の【緊急事態条項等、憲法改悪阻止】》

《今こそ情報を開示してイラク戦争を検証せよ!航空自衛隊の日報問題の本質/ 川口 創(弁護士)》

 イラクに派兵された自衛隊の日報が次々に「発見」されているが、問題は違法なイラク戦争に加担した自衛隊の現地の実態に関する検証だ。
 今こそ情報を前面開示させた上で、検証を加えねばならない。
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 小野寺五典防衛大臣は、このほど航空自衛隊のイラク派兵時の日報が「新たに見つかった」と発表しました。奇しくも丁度10年前の4月17日、名古屋高等裁判所は、イラクの空自の輸送活動は憲法9条1項に反するとした画期的な違憲判決を下しています。
 今年でイラク戦争の開戦から15年経ちますが、米国がウソの名目で始め、大変な犠牲者を出した、この悲惨で違法な戦争を日本は支持し、自衛隊を派兵して支えました。
 私達は、明らかに「殺す側に立ってしまった」という加害者としての責任が問われているのです。そして名古屋高裁の判決では「航空自衛隊の空輸活動は、多国籍軍との密接な連携の下で、多国籍軍と武装勢力との間で戦闘行為がなされている地域と地理的に近接した場所において、対武装勢力の戦闘要員を含むと推認される多国籍軍の武装兵員を定期的かつ確実に輸送して」おり「多国籍軍の戦闘行為にとって必要不可欠な軍事上の後方支援を行っている」として、少なくとも多国籍軍の武装兵員をバグダッドへ空輸するものについては「『他国による武力行使と一体化』した行動であり、自らも武力行使を行ったと評価を受けざるを得ない」と認定し、9条1項違反の違憲判断を下しています。
 裁判で原告側は、航空自衛隊が輸送した内容について、行政文書である「週間空輸実績」の開示を請求しましたが、殆どが黒塗りでした。しかし旧民主党政権が2009年に成立直後、情報が全面開示されました。そこでは空自が「人道復興支援」というウソの名目で、2万人以上の武装した米兵を輸送していた事実が明らかになりました。そして判決の事実認定が、全く正しかった事も証明されたのです。しかも陸上自衛隊がサマーワから撤退後、米軍は2006年8月頃からバグダッドに米兵を増派し、同年末から反米勢力に対する掃討作戦を強化しますが、だからこそ米軍は空自に兵員輸送を要請したのでした。

 米軍のバグダッド兵員輸送増加と空自の輸送活動が重なっているのは、そのためです。
 このバグダッドへの輸送活動については、それを担った英国空軍機が撃墜されたケースがあり、空自のC –130H輸送機も、何度か地対空ミサイルを回避するためのフレアという熱を発する火炎弾を空中に発射しています。それだけバグダッドが危険であったという事で、これは「非戦闘地域」だから自衛隊を派兵したという名目とは裏腹に、輸送活動が「戦闘地域」そのものでの活動であり、自衛隊が米軍や多国籍軍と一緒になって戦争を行ったという事実を示しています。違憲と後に判断されることになる、空自のバグダッドへの輸送活動が開始された時期に、第1次安倍政権が成立しています。
 当時、イラクでの活動を「人道復興支援」とか「戦闘地域でない非戦闘地域で行なっている」と述べていましたが、これが事実ではない、ということが国会で明らかになれば、速やかにイラクから自衛隊を撤退せざるを得なかったはずです。そのため情報を最初から開示しないつもりであったのは疑いありません。今回、小野寺大臣は、空自の日報については、「見つかった」のは2003~09年の派遣期間の一部と発表していますが、重要な資料ですから、絶対に全ての日報が保管されているはずで、まとめて出すべきです。
 まだ公表されていない日報には、そうした輸送活動に関する詳しい情報が必ず記載されているのは間違いありません。安倍首相は現在「憲法改正」を主張していますが、憲法を変えれば、自衛隊の海外派遣に対する歯止めがなくなりかねません。憲法を変える事で、自衛隊の活動がどう拡大されていくのか、その結果、どんな危険が生じ得るのか等、イラクへの自衛隊の派遣の実態の検証を通して、真摯な議論が求められているはずです。
 今の時期に、日報が出てきたタイミングを逸してはなりません。
 違法な戦争に加担し、自衛隊が憲法に反する行為に手を染めた誤りを二度と繰り返さないためにも、イラクにおける自衛隊の活動がどのようなものであったかを検証するため陸自、空自全ての日報を全面開示させ、それを徹底的に検証すべきです。(週刊金曜日)


《【読者寄稿:Koichi Okadaさん】「有給休暇を取った」河合塾講師の年収が激減した話:「予備校講師の権利を守るため、裁判を決意した」/世界史講師の岡田浩一さん》

<有給休暇、とれていますか?>

 大手予備校の河合塾で講師をしていた岡田浩一さん(58)は今年3月、「2017年度から授業を減らす」と宣告された。受け入れなければ、契約は終わりだ、という。
 岡田さんは2016年、90分授業を週6コマ、150分授業を週2コマ持っていた。
 この内90分授業を週2コマ減らす——これは年収でいうと90万円近い減額になる。
 1994年に採用された後、ずっと河合塾で世界史講師の仕事を続けてきた。
 今回、2コマ減らされた表向きの理由は、「授業のアンケート結果」と「塾内で許可なく文書を配ったことの懲戒処分」だった。だが岡田さんには、他に思い当たる節があった。
 岡田さんはこのところ、河合塾の講師の「働かされ方」に疑問を持ち、あれこれと会社側に注文をつけていたからだ。例えば岡田さんは2016年に25回、有給休暇を取った。
 岡田さんは河合塾と1年更新の「雇用契約」を結んでいた。そこでは「有給休暇:有り」と明記されている。だが岡田さんによると「有給休暇は、体調不良や冠婚葬祭以外に、事実上取得できない状況」だという。

<塾講師が休むというのは、どれほど難しいことなのか?>

 10年以上前の話だというが、岡田さんは妻が乳癌になり、手術に立ち会う事になった。
 手術の日程そのものは授業と、被ってはいなかったが、もし不測の事態になれば、授業を休むことになるかもしれない。そこで予め授業を休講にしてほしいと要望したが、「休講は許可できない」と拒否された経験がある。また、ある講師からは、妻の出産に立ち会いたいと要望しようとしたところ、校舎長から「評価が下がる」「言わない方が良い」と言われて断念したというエピソードも聞いたという。(管理者:そもそも労働基準法上で定められている「有給休暇制度」は、その取得事由等を一切、使用者に述べる必要もなく、また、その取得日も原則、労働者の自由である。使用者に認められるのは「当該取得希望日が、客観的・合理的に著しく業務遂行に支障をきたす場合に限り『時季変更権』と言って、他の日に取得日の変更を命じる事ができる」に限られる。なお有給休暇を取得した事により、当該労働者に「解雇、その他の不利益を一切、講じさせてはならない」となっており、よく言われる「社風に合わない」だとか「業務評価に影響する」等々を仄めかすこと自体から違法である。しかし管理者の行う労働相談でも、殆どの事業場で、有給休暇取得願いを出すこと自体「決死の覚悟」が求められる事も、現実の労働実態である)
 この2件のエピソードの当時は、契約形態が「業務委託」だったため「有給休暇」は付与されていなかった。(管理者:名目上「業務委託」であっても実態的に「労働契約」である場合は、当該「業務委託」は無効【偽装委託】になり、当然に「労働契約」としての労働基準法、社会保険等の「労働者としての権利」を有することになる)
 だが、後に「労働契約」に変更されても「休みにくさという意味では、変わっていない」と岡田さんは言う。そもそも塾講師の場合、有給休暇を取れば、イコール「授業を休む」ことになる。生徒にも迷惑がかかり、講師から積極的には取得しにくいものだ。
 だが会社側から積極的・計画的に有休を消化しろといった指導を受けた覚えはない。
(管理者:本件「塾講師等」実態的に自由な有給休暇取得が困難な場合、使用者は「円滑な有給休暇取得促進」のため、労働基準法上、「年次有給休暇の計画的付与制度」の措置等を講じる事が求められている)

<これでは「絵に描いた餅」だ。>

 岡田さんはそう考えて、折々に有給を取りやすくすることを要望し、改善提案等をしてきたが、聞き入れられなかった。そのため敢えて「問題提起」として、実際に有休を取るという行動に出た。25回の取得は、前もって河合塾側に相談して許可を得た上での取得だった。
 生徒側に迷惑をかけないように配慮し、毎週木曜日の授業を休むという形にして、代替の講師を用意してもらったという。こうした行動に出たのは「おそらく、私が初めてだと思います」と岡田さんは話す。「世間でも話題になっていますが、いわゆるオフィスワーカーと違う形で働く労働者が、どのような形で有給休暇を取得するのかを、もっと考える必要があるのではないでしょうか」

<目をつけられた?>

 岡田さんは他にも、生徒を「お客様」とは呼ばない方が良いのではないかと提案したり、講師向けの飲料自販機が有料になったことに抗議したりと、あれこれと異議を唱えたりしていた。許可なく文書を配ったというのも、実は「自分の名刺の裏面」に「河合塾に労使協議会をつくりましょう! 河合弘登理事長は愛知県労働委員会の命令を実行して法令を遵守してください!」等と書いていた、という話だった。

<雇い止めと同じ?>

 岡田さんは「元の条件で契約すべきだ」と訴えて、2コマ減での契約は結ばず、7月14日、東京地裁に裁判を起こした。「予備校講師の権利を守るため、裁判を決意した」と岡田さんは言う。有期雇用の契約を、雇う側が一方的に更新しない事を「雇い止め」という。
 契約を更新するかどうかは、通常であれば、お互いの考え次第ということになっている。
 但し有期雇用契約が反復継続されてきた場合には、雇い止めをするために「客観的に合理的な理由」が必要で、更にそれが「社会通念上相当」でなくてはならない。
 条件をクリアしない雇い止めは無効となり、従前の条件で契約が結ばれたものと見做す。
 こういうルールが労働契約法19条で定められている。
 岡田さんの代理人、指宿昭一弁護士は「今回のケースはまさにこれだ」と主張する。
 一方、河合塾の広報担当者はBuzzFeed Newsの取材に対し、「訴状が届いていませんので、現時点ではコメントを差し控えさせていただきます」としていた。
 有給休暇は労働者の権利だが、厚労省の平成28年就労条件総合調査によると、取得率は48.7%しかない。有休取得率の向上は社会的な課題になっている。

【管理者:最後に】

 読者-岡田さんの問題は、①日本労働者権利の最低基準である労働基準法が、実態的に「最高基準」になってしまっていること。②2013年の労働契約法改訂によって、新たに設けられた「有期雇用社員の無期雇用への転換ルール」が、逆に使用者のリスクヘッジとして「緊急対応としての雇止め(2018年度問題)」が横行し、2017年時点で2,036万人にまで「大量雇止めによる非正規雇用労働者」が増加している事、等々により、今後「非正規雇用の更なる増大」と「総体的に労働者の労働条件の切り下げの常態化」が十分、予想される中での「ハチの一刺し抵抗運動」と言える。今後「リベラル広場」としても、岡田さんの要請に基づき、「岡田さんの問題は、広く日本労働者の問題」として、支援・共闘の輪を広げる決意である。(管理者記述部分-文責:民守 正義)
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(民守 正義)