リベラル勢力総結集・奴隷労働法制等阻止!(84)

《Ken Sway Kenと管理者の【緊急事態条項等、憲法改悪阻止】》

《大阪「君が代」裁判:橋下・松井知事がつくった条例は「思想差別」》

 3月、大阪府立学校の教師ら7人が卒・入学式での「君が代」斉唱の際に不起立だったことに対しての処分取り消しを求めた裁判で不当判決があった。
 大阪では「君が代」へ敬意を払わない教師らに東京以上の苛烈な処分が行われている。
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 3月26日、午後2時、大阪地方裁判所の内藤裕之裁判長が入廷した。傍聴者は誰も起立しない。裁判長は、大阪府立学校の現職元職の教師7人が2012~14年の卒・入学式の「君が代」斉唱の際に起立せず、大阪府教育委員会から受けた戒告処分の取り消しを求めた裁判の判決を告げた。「主文、原告らの請求をいずれも棄却する…」内藤裁判長は一度も傍聴席を見る事無く、判決だけ読むと逃げるように去った。この間約20秒。「おそまつ」「何やこれ、しょうもな」傍聴席から、裁判長の背中に吐きかけるように野次が飛んだ。
 不起立で減給処分を受けた元教師が取り消しを求めた別の「君が代」裁判で、内藤裁判長は16年7月に原告に敗訴を言い渡している。その判決には、その時点で原告が申し立てた事案は人事委員会で審理が続いていたにも関わらず、「裁決が行われた」とする事実誤認があった。この日の判決も原告の1人について「起立斉唱せよ」と校長の職務命令が実際には出されていなかったのに、「発したと認められる」とし、事実を捻じ曲げていた。
 だが、それ以上に判決で原告が問題視するのは次の下りだ。「自己の教育上の信念等を優先させて、敢えて式典の秩序に違反する特異な行動に及んだもので、厳しい非難に値する」まるで不起立がエゴイズムの表れであるかのようだ。これは被告の大阪府すら主張していない。原告の梅原聰さんは、元々「日の丸・君が代」に対する強い拘りはなかった。
 だが人権教育の担当になり「日の丸・君が代」の下、日本のアジア侵略の歴史を生徒と学ぶ中で、在日コリアンの生徒らに苦痛を与える「日の丸・君が代」を卒業式に持ち込むべきではないと考えるようになった。これはエゴなのか。「私達が守ろうとしているものが、内藤裁判長には見えていません」と梅原さんは言う。11年、当時の橋下徹府知事が主導して教職員に「君が代」の起立斉唱を義務付けた全国初の国旗国歌条例を成立させ、翌12年には後継の松井一郎府知事が職務命令違反の累積5回、同一内容の違反は3回で免職とする職員基本条例を成立させた。後者は、俗に「スリーアウト制」と呼ばれ、労働判例上、違法性のある規定で、起立しない教師の排除が狙いであることは明らかだ。

 橋下前府知事は、「府教育委員会が国歌は立って歌うと決めている以上、公務員に個人の自由はない。従わない教員は大阪府にはいらない」等と述べている。(11年5月17日付『読売新聞』夕刊)。故・西原博史早稲田大学教授(憲法)はこの発言を原告側が大阪地裁に提出した鑑定意見書で引用し、「明確な思想差別」で「橋下知事が自らを、憲法を超越した権力的な高みに立つと誤認した結果」だと指弾している。12年から17年までに延べ62人の教師が不起立で戒告、減給などの処分を受けたが、免職はまだない。
 東京都教育委員会は不起立3回以上でも停職に留め、免職にはしていない。
 大阪は東京より苛烈だ。このような強制は、生徒への強制にもなる。そこで梅原さんは、12年の卒業式で起立しなかった。それを目撃した来賓の西田薫府議(大阪維新の会)が、挨拶の際に「おめでとう」の言葉はなく「ルールを守れない教員がいる事を御詫びします。本当にごめんなさい」と発言した。その後、西田府議は式の顚末を「残念な卒業式」と題してブログで報告。支持する意見もあったが、卒業生や保護者から「子供達の恩師を公の場で辱めていいのか」など抗議のメールが殺到、西田府議は謝罪に追い込まれた。
 それでも「不起立教員には、卒業生を思う気持ちが全くないということが今回、改めて深くわかりました」「ルールはルールです。早く。こういった教員は辞めてもらうしかない」(同年3月26日)と続けて書いている。梅原さんは240人の全卒業生に不起立の理由を説明する手紙を送った。「おかしい事には声を上げるべき」等の返信があった。
 だが西田府議、橋下前府知事らを支持する人が世間には多い。「かつて国策としての戦争遂行に協力し、『立派に闘ってこい』と言って送り出した戦中の世間の人々の意識が、そのまま残っているように感じます」と梅原さん。原告の志水博子さんは、「内藤裁判長は、憲法ではなく、世間に則って判決を書いているだけです」と言った。14年の卒業式でも、梅原さんは起立しなかった。原告の奥野泰孝さんは、キリスト教の信仰を持つ。
 だから「教師がルールを守らないのはおかしい」という世間で、よく言われる批判に対しては、イエスが「律法は律法のためにあるのではなく、人のためにある」と述べたことをあげ反論している。内藤判決は、起立斉唱は「儀礼的所作で宗教的意味合いを持つ行為ではない」とする。そして起立斉唱を命じる国旗国歌条例に基づく職務命令は憲法20条の信教の自由の間接的制約になるとは言うが、その「制約を許容し得る程度の必要性及び合理性が認められる」ので20条違反ではないと判示した。これは、同様の裁判の最高裁判決(11年)の枠組み通りだ。しかし我が国最高法規である憲法「信教の自由」や「思想・信条の自由」は、絶対的に厳守されるべき「基本的人権規定」であり、裁判所が勝手に「制約を許容し得る程度の必要性及び合理性が認められる」と運用解釈を行った判決それ自体が「違憲判決」と言わざるを得ないし、こんなのは「憲法学のイロハ」だ。

 奥野さんは、特別支援学校に勤務していた12年の卒業式の不起立で戒告処分を受けた。
「障害で起立できない生徒が多い特別支援学校にまで一律に起立斉唱を強制するのは無理です」と極めて合理的理由を主張した。だが内藤判決は「厳粛性の確保のため、一定の手順に則った行動(起立斉唱)を求めることは相当で、これは支援学校であっても変わらない」と「障害者への配慮」をも否定する「障害者差別判決」を下した。
「信仰を持ったり、特別支援学校にいると、『日の丸・君が代』強制の問題点が、よく解ります」と奥野さんは話す。内藤判決は国旗国歌条例についても「起立斉唱は儀礼的所作」とし「一方的観念を子供に植えつける」という原告の主張を退けた。
 7人の原告の裁判を支援する「『日の丸・君が代』強制反対・不起立処分を撤回させる大阪ネットワーク」(大阪ネット)の黒田伊彦代表は、「同調圧力で天皇のカリスマ性を身体化し、無意識に国家に従うのが正しいと一方的に思わせるのが卒業式、入学式の本質です」と指摘する。そこには儀礼を超えた宗教的要素がある。原告は控訴するが「起立斉唱が儀礼的所作ではなく、宗教的行為だという立証の強化が必要です」と黒田代表は話した。
 また黒田代表は東京との違いとして、大阪は国旗国歌条例で教職員を起立斉唱させることによって「府民、とりわけ次代を担う子供が伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛する意識の高揚に資する…」と子供の意識(内面)まで統制しようとしていることをあげる。この文言について、原告の増田俊道さんは「大阪には外国にルーツのある生徒も多いのに『我が国を愛せ』とは同化を迫るものです」と批判する。
 増田さんは、祝日に「日の丸」を自宅で掲揚する「右翼少年」だった。だが父親が広島で被爆した2世でもあり、大学時代に韓国の被爆者と交流したりする中で社会問題に若者が向かい合う教育が大切だと考え、人権教育が充実していた大阪府で教員になった。

 今年3月の卒業式でも増田さんは起立しなかった。式後のクラスで、自分が何故、起立しなかったかを生徒に説明した。生徒は、あまりピンときていないようだった。
 だが13年の卒業式での最初の不起立の際には、増田さんの不起立の理由をクラス通信で読み、感銘を受けた女生徒が、増田さんが処分の不当性を訴えた大阪府人事委員会の口頭審理で「治安維持法があった頃のような現在の体制は早くなくしてほしい」と陳述した。
 増田さんの不起立は2回目で「スリーアウト制」では後1回で免職。今回の裁判は、その違法性を問う初めての裁判だった。増田さんら原告は、1回の不起立は実質的に「3分の1免職」だと主張したが、内藤判決は本件では、まだ免職規定が適用されていない等を理由に裁量権の逸脱・濫用を認めず、橋下前知事の「遺産」にお墨付きを与えた。
 しかし、さすがに労働契約法第 16 条「解雇濫用の法理」では「免職(解雇)」は、「法を上回る『解雇濫用規定』」として憲法・法理上「違法性が高い」と言うのが、労働法学会の多数説だ。因みに内藤裁判長は1997年からと06年からの各3年間、国の利害を代弁する検事を務めている。このため宮崎地裁勤務だった14年に「不公平な裁判」を懸念して、裁判官忌避を申し立てられている(忌避は却下)。裁判は原告にとって厳しい判決が続いている。
 他方、大阪府教委が13年に出した「君が代斉唱を目視により確認し報告せよ」という「口元チェック」通知は、大阪ネット等が8千筆以上の署名を集めて事実上廃止させた。
 また教師は60歳の定年後65歳まで再任用されてきた。だが「国歌斉唱時の起立斉唱を含む上司の職務命令に従いますか」という口頭での意向確認に「はい」「いいえ」で答えるよう求められ、前出の梅原さんは「思想信条に関わる」と拒否。再任用されなかった(その後、国歌賠償を求め提訴)。だが梅原さんらが大阪府商工労働部に就職差別に当たると訴えた結果、同部は府教委に改善要請をし、今年の意向確認で前出の奥野さんは「職務命令に従わないのですね」とだけ聞かれたので、「いいえ、上司の職務命令には従います」と答え、再任用された。今年3月の大阪府立学校の卒業式では、増田さんを含め少なくとも3人の教師が不起立だった。抵抗は続く。今回の判決は「100%の全面敗訴」だったが、判決後の報告集会は決して暗くならなかった。原告の山口広さんは、こう訴えた。「明後日、大阪地裁前で、内藤裁判長批判のビラまきをします。その見出しを考えてきましたが、こんなんでいかがでしょうか。『またもや内藤裁判長不当判決。憲法の基本的人権一顧だにせず。権力迎合の反憲法的人格露呈』」会場は笑いに包まれた。(基本文献-週刊金曜日/総合編集:民守 正義)


《【教育:国家介入】前川前次官:岐阜市で講演-文科省の対応、強烈批判》

 前川喜平・前文部科学事務次官が9日、岐阜市で講演した。自身が名古屋市の市立中学校で行った授業内容を、文科省が同市教育委員会に報告するよう求めた問題について「個別の学校、授業で、あそこまで威圧的な質問状を送りつけるのは(教育現場の自主性への)不当な支配と疑われても仕方がない。やってはいけない事だ」と文科省の対応を厳しく批判した。岐阜県市町村教育委員会連合会の定期総会に招かれた前川氏は「地方教育行政への期待と課題」と題し、県内の教育関係者約100人を前に記念講演した。
 前川氏は、文科省からの授業の音声や画像の提出要請を拒む等した市教委の対応を「立派だった」と評価。一方で一連の文科省の動きについて「やりすぎだ。文科省が自らやったとは到底思えず、一部政治家の圧力によるものだろう」と暗に「文科省官僚で有名なチンピラ自民党文教議員(ウルトラ右翼2名)を想定しながら指摘した。
 その上で前川氏は政治と教育の関係について言及。「政治家が教育に関心を持つのは大事だが、個別の教育現場に土足で介入する事はあってはならない。それに対して教育委員会が抵抗しなければいけない」と語った。(参考文献-毎日新聞/文責:民守 正義)

《【奴隷的労働法制】「奴隷的労働法制(働き方)」対案を提出=立憲と国民、別々に》

 立憲民主党と国民民主党は8日午前、「奴隷的労働法制(働き方改革)」関連法案への対案を衆院に各々、提出した。高収入の専門職を残業上限規制から外す「高度プロフェッショナル制度」を導入しない点は一致。立憲の長妻昭代表代行は記者会見で「理念は同じ」と述べたが、時間外労働の上限規制等で折り合えず、一本化できなかった。
 時間外労働の上限規制について、立憲案は月80時間と設定したのに対し、国民案は政府案と同じ月100時間とした。100時間の上限について、長妻議員は「過労死ライン」と指摘し、国民党の岡本充功衆院議員は「労使の合意ができているラインとして尊重する」と労使癒着を是認した理由を詭弁説明した。(参考文献-時事通信社/文責:民守 正義)
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(民守 正義)