リベラル勢力総結集・奴隷労働法制等阻止!(68)

《Ken Sway Kenと管理者の【緊急事態条項等、憲法改悪阻止】》
《裁量労働制とは-クリエーティブで自由?大半は低賃金/今野晴貴》

 裁量とは、自分の考えで判断し、処理すること。「裁量労働」は、政権が対象の拡大を目指したが、データの杜撰さが露呈し先送りになった。働く人の裁量は、どこまであるのか。
 裁量労働の基本給は、幾ら位なのか。明記が義務づけられている求人票で、表示されている低い方の額を調べてみました。求人の9割は月給25万円未満で、7割は20万円未満でした。これまで裁量労働は比較的高給、かつクリエーティブな職種が対象で、好きな時間に働けるようになるとされてきました。ところが現実には低賃金が大半なのです。
 何故でしょう。裁量労働は、働いた時間と賃金の関係を切り離すものです。
 曖昧な法律で、どの職種があてはまるのかもわからない。ブラック企業に悪用されて、想定とは違い、残業代を削るために使われてきたのです。私達のNPOが受けた相談で、「裁量労働でよかった」という人はいます。過大なノルマさえなければ、実際に働く時間を選べますから。しかし、ある日いきなりノルマがふってきて断れず、耐えられなくなって相談にくる。仕事量には歯止めも裁量もないので、労働環境が悪くなるのは簡単です。
 法律や制度の想定と、実際の運用がずれることはあります。現実を見ず、イメージだけで話を進めるのは、もう止めるべきです。仕事を増やしても賃金は同じなのだから、雇う側からすれば、定額で働かせ放題になるだけです。「効率的な働き方になる」というのも、イメージにすぎません。以前、裁量権がないのに残業代が払われない「偽装管理職」が、コンビニや外食産業の店長で問題になりました。客がいなくても店長1人で深夜まで営業させた。
 これ以上働いたところで成果はないかもしれないけど、定額だからやらせてみよう、と経営側は考え、効率は無視されるのです。働くことへの評価が成果主義に変わるという受け留めもあるようですが、これも違います。残業代を出す、出さないと、どう評価するかは別の話です。働いた時間での評価が中心だったから、長時間労働が蔓延してきた面はあるのかもしれません。問題というなら、いまでも評価の権限を持つ経営側が、短時間で成果を上げた人を昇進、昇給させればいいだけのことです。裁量労働の対象拡大は、今回は先送りされましたが、同じような話は繰り返し出てくるでしょう。私達は、ブラック企業や非正規で働く人達の声を受け止め、権利を守っていく運動を、地道に続けていきたいと思っています。
 就職ではなく「就社」文化の日本では、自分の会社や、自身の働き方を疑うことは難しいでしょう。我慢すれば報われるという、高度成長期の成功の記憶も残っているように感じます。現実に厳しい環境で働く人達が立ち上がって声をあげられる社会にならないと、何も変わりません。

◇今野晴貴:1983年生まれ。年間2千件以上、若者の労働相談に関わっている。
著書に「ブラック企業」など。
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<美辞麗句で「ぼったくり」/平川克美さん:文筆家・立教大学客員教授>

 「働き方改革」は安倍政権の目玉の一つですが、誰が言い出したかが重要です。
 経営側から出てきたとすれば、経営者に都合がいい働かせ方をめざす、「働かせ方改革」にすぎません。裁量労働も、本来の意味で労働者に裁量があるわけではなく、残業代を払わないという「ボッタクリ」です。何か良い事がありそうな美辞麗句でごまかす。
 積極的平和主義等もそうですが、第2次安倍内閣の発足以来、口あたりのいい言葉でオブラートに包み、ごまかす事が続いてきました。この詐術を、もう終わりにしなければ、この国の倫理やモラルはずたずたになります。美しい言葉の裏に何が隠されているのか、暴いていくメディアの責任は重大です。残業代を払わない裁量労働は悪辣だし、働く環境が壊れてしまえば、最終的には経営者達の首を絞める事にもなるはずですが、気持ちは分からないでもありません。私は現役の経営者でもあります。1985年の労働者派遣法の成立の頃は、人件費を固定費ではなく変動費にできるかが、私にとっても重要な問題でした。
 景気や経営状態の変化に柔軟に対応する必要があったからです。一方で、労働者が団結して経営側と拮抗していくという形が、なし崩しになっています。一人一人が孤立し、「公共バスの運転手の給料が高すぎる」という主張のように、労働者の敵は労働者という状況すら、創られています。最も裁量がある労働といえば、自分で会社を創る事でしょう。
 でも私は、自由を求める言葉がいろいろと使われますが、自由を本当に求めているのかと疑っています。自由であるためには自分の頭で考えなければならず、周囲と摩擦も起こします。日本社会には権威主義が色濃く残っており、権威に身を任せた方が安全と思っているのかもしれませんが、多くの人が自由から逃げ始めているとすれば、とても危険なことです。
 もう一つ重要なことは、経済成長が難しくなったことをどう考えるか、です。
 「先ずは富めるものを富まそう」という政策の下、大企業は空前の利益をあげ、内部留保を貯め込む。少しでも利益を得るため、労働者から「ボッタクリ」までしようとする。
 「成長を諦めろ」とは言いません。できるなら成長した方がいい。
 多くの問題を解決してくれ、競争の原理も有効に働きます。でも右肩下がりの時代に競争を強いれば犠牲しか出ません。借金も返せないような中小零細は見捨てられつつあり、守ろうという勢力すら、殆ど存在しません。成長が難しいとき、どういう社会をつくるのか。
 政治には、そのシナリオも描く責任があるはずです。
◇平川克美:1950年生まれ。隣町珈琲店主。著書に「21世紀の楕円幻想論」等。

<男女分業ありきの「選択」/山根純佳さん-実践女子大学准教授>

 これまで、職場の求めに応じて働く時間を提供してきたのは、男性でした。
 このような男性の働き方にあわせるために、家庭で必要とされる役割を担ってきたのは、女性でした。女性は家事や育児、介護と仕事を両立させるため、パートや短時間勤務を「選んでいる」とされてきました。そして自分で選択したのだから、低賃金でも仕方ない、と考えられてきました。しかし、これは「選択」とは言えません。夫の勤務が長時間であるほど、短時間勤務を望む女性が多いというデータもあります。家庭での役割が多いから、低賃金で福利厚生も乏しい、あるいは出世が難しくなるといったペナルティーのつく働き方を受け入れざるをえないのです。裁量労働も、仕事の量を決めるのが職場である限り、「選択」を装いながら不利な労働条件を押しつける意味で同じです。やはり男性は長く働くことになり、女性が時間を調節するという分業はかわりません。男性側が長時間働くという前提の下で、短時間勤務など女性側の選択肢を増やしても「女性活躍」にはつながらないでしょう。
 今後、「時間や空間に縛られない働き方」になり、仕事と介護や子育てとの両立が実現するように語られますが、実際そうなるでしょうか。
 厚生労働省は、将来のあり方として「何をやるか」まで自分で決める働き方を示しています。会社のような組織ではなく、プロジェクトごとにやりたい人が集まり、終わったら解散、というものです。このような働き方で、育児や介護の休業は誰が保証するのか。
 失敗したとき、参加した人の生活を支える責任は誰がとるのか。自分で選んだのだから、結果の不利益も全て受け入れろ、となれば行き辛い筈です。時間や場所に縛られるサービス業は女性の労働に支えられています。働く時間や場所の裁量を与えるなら、例えばスーパーで早朝や夜間の営業を止める等、仕事の形そのものを変える必要もあります。

 ドイツのような営業時間の規制にまで、政府は踏みこめるでしょうか。
 私は介護施設で働く人の調査を続けています。AIやロボットを活用しても、「夜はお年寄りだけで寝てください」とはならないでしょう。時間と場所を拘束される労働はどうしても残るのです。シフト勤務で、多くの人がどこかの時間を集中して選べば、誰かが超長時間労働で穴埋めする事になる。防ぐにはスタッフの配置や報酬等、今の仕組みを大きく変える必要があります。こうした職場を具体的にどのように変えていくのか。
 この社会が本気で考えているとは、とても思えません。
◇山根純佳:1976年生まれ。専門は社会学、女性労働。著書に「なぜ女性はケア労働をするのか」等。


《【セクハラ世相】TOKIOメンバー、財務事務次官-執拗な「被害者叩き」》

 TOKIOメンバーの強制猥褻事件で、家を訪ねた女子高校生が悪いと主張する有名タレントが現れ、被害者が更に傷つく2次被害が懸念されている。事務次官のセクハラ発言では麻生太郎財務相が「嵌められたとの意見もある」等と語り、テレビ朝日の女性社員を貶める「ハニートラップ(色仕掛け)」の可能性に言及した。性暴力やセクハラで「被害者叩き」は何故、かくも執拗に繰り返されるのか。TOKIOの山口達也メンバーは女子高校生2人を自宅マンションに呼び、1人に無理やりキスした疑いがもたれているが、デヴィ夫人はブログで被害者を非難。中条きよし氏もワイドショーで加害者を擁護し、ネット上では2人への批判の一方で被害者叩きが起きている。学校等で人権教育に取り組む「CAPセンター・JAPAN」の重松和枝事務局次長は「40代の成熟した大人と女子高生の間に明らかな力の不均衡があった。子供に責任を押しつけるのは、まさに2次被害。バッシングで罪悪感を抱き、被害を話せなくなれば回復が遅れる」と心配する。大人が#MeToo(私も被害者)を訴える中、重松さんは「性暴力を受けた子供達も『こんな体験をした』『一人じゃない』と発信して繋がる事ができればよいが、大人によるバッシングが子供を分断している感じがする」と話す。
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 「被害者叩き」で必ずと言っていいほど登場するのが、卑劣な「ハニトラ(ハニートラップ)説」だ。前次官のセクハラ問題で安倍政権ナンバー2の麻生氏が示唆し、今回の事件でも「金ほしさ」「TOKIO潰し」等の説がネット上に垂れ流されている。
 大正大の田中俊之准教授(社会学)は「ハニトラ説は男性優位社会で『女が男の足を引っ張っている』と女性を貶め、男性の利益を守る理屈」と分析。「日本は、性暴力や2次被害の深刻さを性教育で教えず、被害者の保護や加害者の責任の取り方など本質的な議論ができない未熟な社会だ」と話す。日本女子大の大沢真知子教授(労働経済学)は「男女間の問題では女性が我慢や自己防衛をするのが当然、という暗黙の合意形成があった。
 でもバッシングを受けても声を上げる女性が次々現れ、時代は変わりつつある」と話す。
実際、連休初日の28日、大勢の若者達が東京・新宿駅前で「私は黙らない」等のプラカードを掲げ、前次官のセクハラ問題に抗議した。(毎日新聞)
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《【学校・社会に人権の風を!】「君が代」裁判と卒・入学式から考える》

○開催日:2018年5月18日(金)18時30分~21時
○場 所:エルおおさか研修室2:大阪府大阪市中央区北浜東3番14号
●利用可能駅:天満橋駅(徒歩約500m)/北浜駅(徒歩約800m)
〇主催:「日の丸・君が代」強制反対・不起立処分を撤回させる大阪ネットワーク
〇資料代500円:FAX06-6942-2444:HP有り


全国大学人権教育交流会/第50回企画《研究会のご案内》

テーマ:「『在日』をめぐる状況は変化したか」
○開催日:2018年5月20日(日)13時~17時(受付は12時30分~)
○場 所:大阪人権博物館(リバティーおおさか)大阪市浪速区浪速西3-6-36
        Tel:06(6561)5891/FAX:06(6561)5995/http://www.liberty.or.jp
司会:金 洪仙さん(大阪国際大学講師)
報告1「ヘイトスピーチと闘う」呉 光現さん(聖公会生野センター総主事)
報告2「在日コリアンの権利獲得運動と私」飛田 雄一さん(神戸学生青年C館長)
*なお管理者は、本交流会の事務局を担っています。


《ブログ「リベラル広場」では次の事業も行っています。》

職場(仕事)における労働・人権相談(ハラスメント・メンタルヘルス等、含む)
*大阪府労働相談経験10年以上。*産業カウンセラー資格、有り。
*但しメンタルヘルスの場合、もし心療内科等に受診されている場合、または、その受診の方が望ましい場合は、当該医師の指導を優先し、カウンセリングを断る事もありますので予めご了承ください。【費用:交通費等、実費+α(委細相談)】
②「企業内人権研修」等の講師派遣も行います。【但し有料(2万円程度-委細相談)】
③採用コンサルタント。
*出版実績:『公正採用と採用選考・応募と人権のハーモニー』絶賛発売中!
◎なお寄せていただく相談意見等は、とりあえず全てEメールで送信してください。
<送信先Eメールアドレス>yutan0571@yahoo.co.jp

(民守 正義)