リベラル勢力総結集・奴隷労働法制等阻止!(35)

《Ken Sway Kenと管理者の【緊急事態条項等、憲法改悪阻止】》

《評価すべき文大統領の「『慰安婦』合意」見直し/中野 敏男(東京外国語大学名誉教授)》

 日本軍「慰安婦」問題で、またもや日本は誤りを犯した。「被害者を無視していた」と日韓合意の見直しを宣言した韓国に対するメディアの攻撃は、加害国としての立場を忘れている。問われているのは、被害者に真摯に向き合おうとしないこの国の姿勢なのだ。
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 昨年12月27日、韓国政府は日本軍「慰安婦」問題の日韓「合意」に関する検証報告を発表しました。以降、日本のメディアは韓国政府や文在寅大統領に対するバッシングを繰り広げています。文大統領が同月28日、日韓「合意」について「重大な欠陥があった」とし、「この合意では『慰安婦』問題は解決されない」と表明したのに対し、『朝日』や『毎日』『読売』の3紙は揃って社説で「済んだ事を蒸し返すな」「合意した事は守れ」といった趣旨の批判を繰り返しました。こうした大手メディアも含め、中には「嫌韓」を露骨に見せて、ヘイトスピーチと見紛う記事も珍しくありません。しかし「慰安婦」問題については、日本は加害国です。それなのに、この加害国が「最終的な解決」を押しつけるとはどういうことか。
 明らかに倒錯しており、問題のすり替えがあると思います。
 今回の韓国政府の「合意」見直しを考える場合、以下の三点について先ず確認する必要があります。一つは、そもそも、この「合意」では文書が交わされた訳ではなく、共同声明の形を取った訳でもないことです。単に、両国の外務大臣がそれぞれの国の発表を共同で行なっただけにすぎません。国際法上、合意は条約として文書を取り交わすのが基本で、そうでなければ法的な義務は生じませんし、政権が交代し、前政権の外交的立場を変更するのは珍しいことではありません。トランプ米大統領は当選後、米国も含めて大筋合意したTPP(環太平洋戦略経済連携協定)からの離脱を表明しましたが、トランプ大統領には強く言えず文大統領ばかりバッシングするのは、明らかに米国従属・アジア大国主義のダブルスタンダードでしょう。第二に文大統領の声明は、国民の民主主義による運動を背景にしていたということ。朴槿恵前大統領は腐敗や権力濫用で国民の怒りを呼び、「ろうそく革命」で倒されましたが、日韓「合意」についても「国民的合意が得られていない」という批判があったのです。その文大統領が「合意」の見直しに動いたのは、当然の成り行きでした。 朴槿恵政権を倒した民主主義の前進が「慰安婦」問題に対する態度の変更を導いた訳です。

<被害者無視の加害国>

 第三に「慰安婦」問題とは性奴隷制度という歴史上稀に見る人権侵害である以上、国家間の外交交渉で処理できる問題ではないことです。ここでは何よりも、被害者を中心にしたアプローチが問題解決のために採用される必要がある。だからこそ文大統領が、日本との協議のプロセスを検証し「被害当事者の意見を聞かなかったという事が分った。
 問題の処理が、そもそも間違っていた。この合意で慰安婦問題は解決されえない」と語ったのです。他方で、日本側はどうでしょうか。そうした誤った内容を検証する事も無く「合意で問題は解決されない」と判断した韓国側を非難するだけですが、ではどこまで加害国として「慰安婦」にされた被害女性達と向き合おうとしているのでしょうか。
 そもそも、この「合意」は、協議に元「慰安婦」の被害者を一切、関らせなかったという点で、彼女達を消去しているに等しいものでした。しかも日本は10億円を拠出するだけで、実質的に「全ての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復、心の傷の癒しのための事業」を韓国側に押し付け、自国の加害責任を曖昧にしています。これでは「慰安婦」問題について「歴史の真実を回避することなく、むしろこれを歴史の教訓として直視していきたい。
 我々は、歴史研究、歴史教育を通じて、このような問題を永く記憶に留め、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する」とした河野談話(1993年)よりも後退しており「永く記憶に留め」るどころか、単に「終わらせるための合意」にすぎません。
 そもそも加害国が当の被害者を無視して勝手に「慰安婦」問題が「最終的かつ不可逆的に解決」等と言う資格があるのか。仮に韓国政府との間で外交上「終わらせる」ことを宣言したとしても、日本は加害国として被害女性に対して真摯な謝罪と補償をする義務を免れることはできません。それなのに日本が不誠実な対応を続けるのであれば、被害者女性に対して安倍首相が「心から御詫びと反省の気持ちを表明」したという「合意」にすら反している訳です。

<「追加要求」などない>

 実際、杉山晋輔外務審議官(当時)は16年2月に国連のジュネーブ本部で、「強制連行の証拠はなかった」とか、性奴隷という表現は「事実に反する」等と発言し、被害者達を怒らせています。日本政府は「カネを出したから、もう問題は消滅した」とでも言いたいのでしょうか。それに日本軍により被害を受けた女性がいるのは韓国だけではありません。
 朝鮮民主人民共和国(以下「北朝鮮」)や中国、東南アジアにも多くの被害者がおり、「合意」から零れ落ちた、それら大勢の被害者達にとっては、それで「最終的かつ不可逆的に解決される」はずがないでしょう。いったい安倍政権は、こうした被害者をどうするつもりなのか。その存在をすら無視しているのは、あまりに不誠実です。
 それなのに『読売新聞』1月15日付によると、日韓「合意」について、韓国政府からの「追加要求」に応じないという安倍政権の姿勢を「支持する」と回答した人々は実に83%にも達しています。支配的なメディアによって、こうした「世論」が形成されている訳ですが、韓国政府は実は日本に追加要求をしていないし、合意の破棄を求めてもいないのです。
 韓国政府としては、現在の安倍政権では「合意」について再交渉したところで良い結果は得られないという見通しがあって、それよりは国際社会に「終わっていない」と宣言して実際に行動し、自国の被害者に対して具体的な措置を提供した方が効果的と思っているのではないでしょうか。韓国政府がこのような態度を維持すれば、幾ら日本が「終わった」と言い募っても意味を持たないわけで、こうした判断は賢明だと思います。
 ですから本当に問われているのは「合意」を見直した韓国ではなく日本です。
 人間の尊厳回復を求めた元「慰安婦」達の運動は、1991年8月14日、初めて「慰安婦」被害者として名乗りをあげた金学順(キムハクスン)さんの告発から始まりました。
 それから四半世紀以上経ち、声を上げられないまま亡くなった被害者達の数は膨大です。
 こうした人々の存在を、生きている私たちはどう受け止め、向かい合うのか。
 問題は終わっていないし、未来へ責任は続きます。(週刊金曜日)


《【労働者虐待】定年後の再雇用、賃金75%減は違法:高裁判決が確定》

 北九州市の食品会社が定年を迎える社員に、再雇用(継続雇用)の条件として賃金を25%相当に減らす提案をしたのは不法行為にあたるとして、会社に慰謝料100万円の支払いを命じた福岡高裁の判決が確定した。佐藤明裁判長は再雇用について「定年前後の労働条件の継続性・連続性が一定程度、確保されることが原則」との判断を示した。
 判決は昨年9月7日付。原告、会社双方が上告したが、最高裁が3月1日にいずれも不受理の決定をして確定した。原告代理人の安元隆治弁護士らによると、再雇用後の賃金引き下げを不法行為とした判決が確定したのは初。再雇用を巡る企業の実務に影響しそうだ。
 判決によると、原告は食品の加工・販売を手がける九州惣菜(北九州市門司区)に2015年まで40年余り正社員として勤めた。定年時は経理を担当し、月給は約33万円だった。
 同社は、再雇用後は時給制のパート勤務とし、月給換算で定年前の25%相当まで給与を減額する条件を示したが、原告は拒んだ。高裁判決は、65歳までの雇用の確保を企業に義務づけた高年齢者雇用安定法の趣旨に沿えば、定年前と再雇用後の労働条件に「不合理な相違が生じることは許されない」と指摘。同社が示した再雇用の労働条件は「生活を維持できないほどで高年法の趣旨に反し、違法」と認めた。一方で原告と会社が再雇用の合意に至らなかったことから、定年後の従業員としての地位確認や、逸失利益の賠償請求は退けた。
 一審・福岡地裁小倉支部は原告の請求をいずれも退け、原告が控訴していた。


《【都民弾圧】「うろつき」の判断基準は?都の改悪迷惑防止条例》

 「みだりにうろつくこと」を規制対象に新たに加える等した東京都の改悪迷惑防止条例が29日、都議会本会議で共産等を除く賛成多数で可決、成立した。
 規制対象と認定する基準が曖昧として、市民運動や報道機関の取材活動への悪影響を及ぼす可能性大!施行は7月1日。同様の規定は17道府県の条例に盛り込まれている。
 知人同士のトラブルで、男が相手の自宅周辺をうろつく―。改悪条例案を提出した警視庁は、こうした事案に対応できるようになると説明する。警視庁によると、実際こうしたトラブルが過去にあったが取り締まりの対象にならなかった。うろついていた男は後日、被害者を蹴る等して5日間のケガを負わせたとして、傷害容疑等で逮捕されたと、共謀罪と類似の「改悪理由」を釈明する。改悪条例は「つきまとい」「粗野・乱暴な言動」「連続電話」「汚物の送付」の4類型だった規制対象に「監視していると告げること」「名誉を害する事項を告げること」「性的羞恥心を害する事項を告げること」の3類型を追加。
 「つきまとい」の定義に、住宅周辺での待ち伏せや見張り等に加えて「みだりにうろつくこと」を新たに盛り込んだ。また電話やファクスを想定していた「連続電話」に電子メールやSNS等への連続送信を追加。7類型のいずれも「反復して行ってはならない」としている。(とは言え「警察の主観的判断」)元々、恋愛感情に基づくものは、既に8類型に分けられてストーカー規制法で禁じられている。改悪条例は盗撮行為を規制できる場所も拡大した。電車や銭湯など公共の場所に加え、住居内やホテルの居室等の私的空間や、学校、会社の事務室といった不特定または多数の人の出入りがある場所にも広げた。
 なお弁護士団体や市民団体には、国会前等でのデモや、労働組合の企業前でのビラ配布、報道機関の取材等が「みだりなうろつき」「名誉を害する事項の告知」等に当たるとして規制されかねないと改悪の反対意見が根強い。29日の都議会本会議にも多くの傍聴人が駆けつけ、改悪条例が成立すると、傍聴席は一時騒然とした。

 共産党都議会議員団によると、29日までに約9千の反対を訴える要請書や署名が届けられたという。都の条例には、アリバイ的に「都民の権利を不当に侵害しないよう留意し、本来の目的を逸脱して乱用してはならない」との条文が盛り込まれている。
 しかし、その運用は、あくまでも警察だ! 甲南大法科大学院の園田寿教授(刑法)は「条例違反は比較的軽微な犯罪だが、軽微な犯罪ほど現場の裁量は大きい。具体的にどのような行為が検挙の対象となるのか、注視していくべきだ」と指摘。改悪について「市民活動の萎縮につながりかねず、政治や経済、文化の中心である東京でこのような条例ができることの悪影響は大きい」と話している。(参考文献-朝日新聞デジタル/文責:民守 正義)
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全国大学人権教育交流会/第50回企画《研究会のご案内》

テーマ:「『在日』をめぐる状況は変化したか」
○開催日:2018年5月20日(日)13時~17時(受付は12時30分~)
○場 所:大阪人権博物館(リバティーおおさか)大阪市浪速区浪速西3-6-36
        Tel:06(6561)5891/FAX:06(6561)5995/http://www.liberty.or.jp
司会:金 洪仙さん(大阪国際大学講師)
報告1「ヘイトスピーチと闘う」呉 光現さん(聖公会生野センター総主事)
報告2「在日コリアンの権利獲得運動と私」飛田 雄一さん(神戸学生青年C館長)
*なお管理者は、本交流会の事務局を担っています。


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*大阪府労働相談経験10年以上。*産業カウンセラー資格、有り。
*但しメンタルヘルスの場合、もし心療内科等に受診されている場合、または、その受診の方が望ましい場合は、当該医師の指導を優先し、カウンセリングを断る事もありますので予めご了承ください。
②採用コンサルタント。
*出版実績:『公正採用と採用選考・応募と人権のハーモニー』絶賛発売中!
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(民守 正義)