リベラル国民の拡大・結集で憲法改悪阻止!(61)
《Ken Sway Kenと管理者の【緊急事態条項等、憲法改悪阻止】》
《櫻井よしこ様の頭の中─保守が憂う「保守論壇」の劣化
/哲学者・文藝評論家-山崎行太郎氏》
何故、極端に感情的な用語を使うだけで中身のない櫻井が、もてはやされるのか。
それは、何よりも読者のレベルが落ちているからだ。蔓延する反知性主義は、同時に真の保守の不在と、左翼の知的権威の失墜と無縁ではない。
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櫻井よしこは現在「保守論壇のマドンナ(?)」として人気を博しています。
保守化した定年退職高齢者達や「ネット右翼」の若者達が、櫻井の言動を支持しているようです。しかも政界では自民党総裁の安倍晋三でさえ、彼女の言論活動を絶賛しています。
その最も大きな要因は、明らかに読者のレベルそのものが下がっているからでしょう。
今の時代、会社員も学生もきちんと本を読まないし、読んでも結論が最初にあって、軽いエッセイみたいな本を好む。学者やジャーナリストでさえ、古典や、深く考えさせるような本は敬遠します。また面倒臭い事は書いても売れませんから、読者層と書き手のレベルが釣り合っていると言ってよい。櫻井は発言の極端さが取り柄で、内容的に殆どが他人からの借り物です。オリジナリティが乏しい。私は、櫻井がもてはやされる現象を、近著『ネット右翼亡国論』で「ネット右翼化現象」と呼び批判しました。例えば彼女の出世作で、大宅壮一ノンフィクション賞まで取った『エイズ犯罪:血友病患者の悲劇』という本がありました。
彼女は薬害エイズ報道をきっかけに脚光を浴び、特に薬害エイズ事件の主犯とされた安部英医師をテレビでも執拗に攻撃して注目されましたが、そうした活動の集大成である本を、何故か絶版にしている。理由として考えられるのは、起訴された安部医師の裁判が進む中で多くの事実が明らかになり、この本の重要なポイントに様々な誤りがある事が隠せなくなったからでしょう。例えば、この本では「安部氏は製薬会社と組んで大儲けするため、危険性を知りながら非加熱製剤を売り込んだ」というような趣旨の事が書いてありますが、裁判の過程で時期的に見て、そうした事実はなかったと証明されています。
「安部医師=犯人」という結論が先にあり、事実に迫ろうという姿勢が欠けていますが、そうした傾向がデビュー作から今も変わらないのです。また櫻井の著作に『憲法とはなにか』がありますが、そこには、現行憲法には「家庭を大切にしようとか、親を大事にしようとか、そうした日本の美徳である道徳的・倫理的なことが盛られていない」という趣旨のことが書かれてある。しかも「権利ばかり書いてある憲法を改正し、義務を書き加えましょう」とも主張していますが、立憲主義の立場から言えば、明らかにおかしい。
そうしたものを一々、書かないのが憲法なのですから。ところが、彼女は単純な世間の道徳論を憲法に盛り込めと主張しているのです。
<保守かどうか以前の存在>
「保守論壇」のテーマには、今や①南京虐殺②日本軍「慰安婦」③沖縄戦「集団自決」という「三点セット」みたいなのがあって、いずれも否定論に辿り着くのですが、櫻井の場合、これらについて度々、強気の発言をしていますが、俗受けはするけれど、誰かの言っている事をつまみ食いしているだけ。例えば南京事件では、櫻井は立命館大学名誉教授の北村稔氏の『「南京事件」の探求』に無批判に依拠・依存しています。その北村氏の南京事件研究は、資料的レベルで間違っています。だから思想的、学問的バックグラウンドを一つ一つ追及していくと、ドンドン壊れていく。つまみ食いしている論者に全面依存しているだけなので、そういう論者が別の方面から追及されてもピンとこない。私は保守を自認し、櫻井も世間では保守と目されていますけれど、彼女は保守かどうかという以前の問題です。あれはオジさんの居酒屋談義とオバさんの井戸端会議を寄せ集めたようなレベルの漫談にすぎません。
私が保守というのは、小林秀雄や江藤淳、三島由紀夫、福田恆存、あるいは田中美知太郎といった人々を指します。(管理者:私も真正右翼のロゴスには賛同できないが、真の保守を信条とするパトスには共感する。FB等で「保守」を標榜するネトウヨ等は「左翼嫌い=保守」と思い込んでいるだけで、何の「保守世界のビジョン」も語らず、せいぜい明治回帰路線程度だ。「新しい保守」も、ちっとも中身なし)彼らは、いずれも評論や小説、あるいは研究といった自身の実績(作品)で勝負しました。たまたま政治的な問題について語る場合、保守の立場になるというだけで、(「安倍」のように)自身を「保守だ」等と規定もしません。無論、今の「保守論壇」で大流行の中国や韓国の悪口等とは無縁でした。
そうした保守は、戦後初期には少数派でしたが、光り輝く存在だったと思います。
ところが保守をイデオロギーにしてしまったのが、左翼から保守のオピニオンリーダーになった西部邁(元「全共闘」)でした。彼は英国のエドマンド・バークの理論を使って保守を体系化し、誰にでも解りやすいようにイデオロギー化したのです。ルソー、ヘーゲル、マルクスと続く左翼思想や革命思想は、合理主義的な設計主義で、文化や伝統を破壊するものだ。フランス革命やロシア革命、あるいは革命思想は暴力革命を引き起こし、テロや弾圧をもたらすからダメ。それに対して保守主義は現状維持、現状肯定を存在価値とし、文化を大事にするもの。だから保守思想の方が正しい─というわけです。西部らがエドマンド・バーク等を参考に、そういう「分かりやすい保守理論」を作り上げた。後に続く人は、こういった「理論」を持っていれば、保守になれるかのようになってしまいました。そして保守陣営は大衆化し、劣化しておかしくなった。その結果、今やクリエイティヴな業績や作品等なくとも、中国が嫌いで韓国が嫌い、日本が好き、「沖縄」の悪口を、ええ加減な資料で罵り、靖国神社には「これが保守の証明」と言わんばかりに行く、「天皇陛下万歳」-という陳腐な存在が、保守の主流になったのだ。
<反知性主義への反撃を>
しかし好きとか嫌いは感情です。理論ではない。そして櫻井がやっているのは、中国や韓国に対する大衆的な憎悪の煽動です。感情は、理性と異なって遥かに人間の心の奥に食い込む。特にインターネットの時代になって、その傾向が強くなります。ステレオタイプ化し、単純化し、通俗化した櫻井が幾ら怪しくても、幾らエエ加減でも、彼女が発信するような薄っぺらな情報に、批判的思考力を喪失している現代日本の大衆は擦り寄せられていく。
日本は、朝鮮を経由して入ってきた中国文明に圧倒的な影響を受けてきました。
しかも朝鮮の朱子学は、幕末期には日本の知識階層にとって絶大な権威であったのです。
明治維新も、朝鮮朱子学なしにはあり得なかったと思います。また「慰安婦」の問題で日本に対し、韓国から否定的な言動が出るのは面白くないかもしれませんが、朝鮮が日本によって植民地にされたことに対して、彼らが怒りや恨みの念を持つのは当然でしょう。
そうした歴史を遡って考えるような知性があれば、感情にブレーキがかかるはずです。
何故、こうした反知性主義が大衆の中に蔓延してしまったのか。先ずジャーナリズムや学問が、軽蔑するだけでまともに批判もしないし反論しない。もう一つは、やはり左翼の知的権威が失墜してしまった点が大きいと思います。かつての丸山眞男のような学問の世界でのカリスマ的知識人が不在で、大塚久雄や羽仁五郎、日高六郎といった人々が担った「岩波文化」「朝日文化」も影響力を失いました。戦後の一時までは、大衆には丸山のような啓蒙してくれる存在がいたのですが、それに匹敵する左派系知識人はもういません。
それが反知性主義の広がりに対する抵抗を失う結果になっています。
「保守論壇」にしても、劣化の一途です。このままだと中身は、薄っぺらでも激しい言葉で大衆の劣情を煽る櫻井のようなネット右翼的言論人の影響力が更に広がりかねません。
こうした反知性主義的な時代の流れに対し、どうやって歯止めをかけるか。
その課題が、左翼に限らず保守にも問われているように思います。(週刊金曜日)
《【虚偽公約】公的年金受給開始、70歳超も選択肢-政府検討》
政府は、公的年金を受け取り始める年齢について、受給者の選択で70歳以降に先送りできる検討に入った。高齢者の就労を更に促す政策も実施し、財政負担が増加しないよう設計する。2020年中にも関連法改悪案の国会提出を目指す。政府が近く、まとめる高齢化社会への指針を示す大綱に盛り込む。政府が公的年金の受給開始年齢の見直しで指針を示すのは初めて。現在の公的年金制度では、受け取り開始年齢は65歳を基準にしている。
受給者の希望に応じて、原則として60~70歳までの間で選択することになっている。
受け取り開始を65歳より後にすれば毎月の受給額が増え、前倒しすれば減る仕組みだ。
現行制度では、受給開始を65歳より後にずらすと、1カ月遅らせるごとに0.7%ずつ毎月の受給額が増える。例えば66歳で受け取り始めると、65歳に受け取り始めるよりも毎月8.4%上乗せされる。今の上限の70歳まで遅らせた場合は、受給額は42%増える。
70歳を超えてから受け取り始める制度にする場合、70歳超の部分は65~70歳で受け取り始める場合の上乗せ(今は0.7%)よりも高い上乗せ率にする事により、実質、年金受給年齢を引き上げる誘導策だ。厚生労働省は受給開始年齢の上限を今の70歳から75~80歳程度まで引き上げることを目論んでいる。関連して上限を定めた国民年金法と厚生年金保険法を改正する方針。制度が発足した当初、厚生年金の受給開始年齢は55歳(国民年金は65歳)だった。
その後、改悪が暫時、進められ、遂に今回の改悪方針に至った。
今回の改悪に当たっては、お得意の安倍(欺瞞)首相をトップとする「高齢社会対策会議での決定を経て、月内にも閣議決定」という手続きで改悪初動する。(参考文献-日本経済新聞/文責:民守 正義)
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《ブログ「リベラル広場」では次の事業も行っています。》
①職場(仕事)における労働・人権相談(ハラスメント・メンタルヘルス等、含む)
*大阪府労働相談経験10年以上。*産業カウンセラー資格、有り。
*但しメンタルヘルスの場合、もし心療内科等に受診されている場合、または、その受診の方が望ましい場合は、当該医師の指導を優先し、カウンセリングを断る事もありますので予めご了承ください。
②採用コンサルタント。
*出版実績:『公正採用と採用選考・応募と人権のハーモニー』絶賛発売中!
◎なお寄せていただく相談意見等は、とりあえず全てEメールで送信してください。
<送信先Eメールアドレス>yutan0571@yahoo.co.jp
●費用:交通費等、実費+α(若干-協議)
(民守 正義)
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