「叛-共謀罪」とリベラル勢力の統一へ(63)
《Ken Sway Kenと管理者:民守の【叛-共謀罪】キャンペーン》
<「共謀罪」、4月6日審議入りを=自民>
自民党の竹下亘国対委員長は28日の記者会見で、「共謀罪」の構成要件を改め「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案について、4月6日の審議入りを目指す考えを示した。同日の衆院本会議で趣旨説明と質疑を行いたい意向で、竹下氏は公明党の大口善徳国対委員長らとの会談でもこうした意向を伝えた。ただ、公明党は性犯罪を厳罰化する刑法改正案の審議を優先すべきだとの立場。自公両党は引き続き協議することを確認した。(時事ドットコム)
<戦争に反対する勢力弾圧の隠れた狙い:盗聴を拡大した警察が共謀罪を狙っている/山下幸夫(週刊金曜日より)>
共謀罪の最大のターゲットは、戦争に反対する市民団体や労組だ。そして警察は、大幅に対象が拡大された「盗聴」という武器を使い、国民の監視・弾圧のために共謀罪を濫発する可能性が強い。今や戦後の民主主義と平和は、空前の危機に直面している。
2016年5月に、刑事訴訟法等改悪法案が成立した。そこでは盗聴法(通信傍受法)の改悪が盛り込まれていた。そして政府が提出を狙い「組織犯罪処罰法改正案」の中で創設が検討されている今回の「共謀罪」(テロ等準備罪)は、この盗聴法の改悪と密接な関係を有している。1999年に成立した盗聴法は、対象犯罪を①薬物犯罪②銃器犯罪③集団密航④組織的殺人─の4種類に限定していた。ところが、これに加え①財産犯である窃盗・強盗、詐欺・恐喝②殺人、障害、傷害致死③現住建造物等への放火④爆発物使用等の殺傷⑤逮捕・監禁、略取・誘拐⑥児童ポルノの提供─等が加えられたのだ。その結果、それ自体組織犯罪ではない一般犯罪まで含まれ、対象犯罪が広範囲に拡大した。しかもこれまでは盗聴にあたり、捜査官が東京にある通信事業者の施設1ヶ所に出向き、のみならず事業者など第三者の立会人を準備しなくてはならなかった。これは捜査機関の盗聴の濫用、通信の自由の侵害に対する抑制効果を狙った規定だったが、改悪によって立会人は必要でなくなり、全国の都道府県警察本部で盗聴を実施できるようになったのだ。
既に16年12月1日から改悪された盗聴法は施行されているが、この結果、これまで年間十数件とされた捜査当局の盗聴活動は、飛躍的に拡大することが予想される。
のみならず警察は現在、組織・個人の自宅や事務所の室内に、秘密裏に盗聴器を設置する「室内盗聴」(会話傍受)も実現しようと狙っている。専門業者を使えばドアにどのようなカギがかかっていても解錠が可能なので、捜査員は令状を得れば秘密裡に室内に盗聴器を設置することができるのだ。今警察が「室内盗聴」の合法化も要求してくるのは間違いない。
そして現在「室内盗聴」に加えて最も懸念すべきなのは、盗聴の対象犯罪に、共謀罪を加えるという可能性だ。政府が提出予定の法案では共謀罪の対象犯罪は277あるが、これらの全てが盗聴の対象犯罪とするよう、警察が盗聴法の更なる改悪に動く事が予想される。そもそも共謀罪の「共謀」(法案では計画)は、2人以上の人間が、対象犯罪の実行を合意することが処罰される。犯罪を実行する前の段階で、何らの法益侵害が発生しなくとも「共謀」しただけで罪となる。しかも、「共謀」といっても、言葉を交わさなくともいい。互いに「めくばせ」しただけでも「暗黙の意思表示」で「共謀」したことになり、極端に言えば、何もしなくともいいのである。何故なら「共謀」したと判断するのは警察なのであって、警察は逮捕者が否定しようが、「共謀した」と判断して立件すればいいからだ。「共謀」とは、一般に他者から見えにくい場所で行なわれる。そのため実際には共謀罪で逮捕するのは難しく、共犯者の自首や自白が決め手となる。
更に共謀罪で検挙するためには、従来からの尾行・監視に加え、捜査官が特定組織の中に身分を隠してスパイとして潜入する「潜入捜査」という方法も考えられるが、話し合いの内容を把握する操作方法として最も有力なものが、盗聴、そして「室内盗聴」にほかならない。そのため、もし共謀罪が成立したら、その次には必ず盗聴法をさらに改悪する動きが出る可能性はきわめて高い。そもそも、安倍晋三首相は「共謀罪がなければ(テロ対策上)東京オリンピックが開催できない」等と発言しているが、ウソである。
共謀罪が最初に国会に提出されたのは03年で、周知のように政府が与党に示した組織犯罪処罰法改悪案の原案には当初、「テロ」という文言は皆無だった。
では何のための共謀罪なのか。共謀罪とは、戦争に反対する市民運動や労組運動を萎縮させ、弾圧するための武器を警察や検察に与えるのが真の目的であると考えられる。
安倍首相は一昨年9月、国会で戦争法を強行可決させた。今後、日本を「戦争ができる国、する国家」にし、集団的自衛権を行使して自衛隊を海外派兵し、戦闘行為に参加させようとしている。当然、自衛隊員に死者が出る事態も起きかねない。これに対しては戦争法に対してと同様に、国民の間で広範な反対運動が起きるだろう。そのため、こうした運動を弾圧する手段、武器が必要となり、それがまさに共謀罪なのだ。一方で政府は、「共謀罪の適用は組織的犯罪集団に限定されるので、普通の市民団体や労組には適用されない」という趣旨の発言をしている。しかし、これも全く信用できない。
〔ターゲットは反戦運動〕
06年に自公与党が衆議院法務委員会に、「組織的犯罪集団」と「準備行為」を要件に加えた参考試案を提出した際の審議で、法務省の大林宏刑事局長(当時)は、「共謀したとされる時点での組織の実態を見て判断する」と答弁し、「組織的犯罪集団」の共同目的が変質することもありうると認めている。また今年の通常国会の予算委員会の審議の中でも、法務省はそれを認める統一見解を公表している。つまり市民団体や労組でも、警察の判断で「組織的犯罪集団」と見なされ、ターゲットにされる可能性が十分、考えらる。例えば沖縄平和運動センターの山城博治議長は昨年10月、米軍北部訓練場のオスプレイ訓練用ヘリパッド建設に対する抗議行動中、軽微な容疑で逮捕され、ようやく釈放された。逮捕容疑の一つが、辺野古の新基地建設事業に対する「威力業務妨害罪」だが、共謀罪の対象犯罪の一つに「組織的な威力業務妨害罪」がある。すると共謀罪ができれば、山城議長が「威力業務妨害」を行なう前に、警察が「それを誰かと共謀した」という容疑で逮捕できる。しかも沖縄等の反基地運動団体が警察によって「組織的犯罪集団」と見なされ、その活動が尾行や監視はもとより、盗聴法が更に改悪されれば日常的な盗聴の対象にもなりかねない。監視国家化が、更に進むことになる。このように、警察はいくらでもやりたいようにやれるため、以前から共謀罪をノドから手が出るように欲していた。実際、内閣官房で共謀罪を推進しているのは、特定秘密保護法制定で中心的な役割を果たした公安警察出身の北村滋内閣情報官と考えられる。しかも警察は以前から、本来逮捕など必要ないような微罪を理由に市民団体のメンバーを逮捕・家宅捜索し、パソコンやスマートフォンを押収して情報収集に使うというやり方を濫発している。にも関わらず、裁判所は殆どの令状を警察の言われた通りに出しており、警察に対する司法のチェックは、残念ながら全くと言って良いほど殆どなされていない。
そうした司法の現状において、市民の運動を弾圧しようとする体質を持っている警察が、改悪された盗聴法に次いで今度は共謀罪まで手に入れたら、どうなるのか。考えただけでも恐ろしいことだ。反対運動の一層の強化や広範な展開が求められている。
《【森友・加計学園疑獄事件】シリーズ》
<加計キャンパス建設:元外務副大臣の親族会社が受注>
建設現場の看板には「建築主:加計学園理事長・加計晃太郎(最上段)」「工事施工者:アイサワ工業(最下段)」とある。設計者のSID創研は加計学園のグループ企業だ。
今治市から土地の無償譲渡と建設費の援助を受ける加計学園・岡山理科大学獣医学部。
キャンパスの建設を請け負っているのが、逢沢一郎・元外務副大臣(衆院・岡山1区)の従兄が経営するアイサワ工業(本社・岡山市)であることが分かった。
加計学園の加計晃太郎・理事長は安倍(汚職)首相のお友達中のお友達だ。
逢沢元副外相は加計理事長のおひざ元が選挙区である。首相と元副外相は愛媛とは縁もゆかりもない「岡山つながり」なのだ。今治市が誘致を進めていた獣医学部については、異例のスピードで国家戦略特区の認可が下りた。国家戦略特区の議長である安倍(汚職)首相の関与が国会でも追及されている。アイサワ工業が工事を受注したのは、今治市いこいの丘に広がる獣医学部キャンパス4ヵ所のうち2ヵ所。「グラウンド・体育館」と「駐車場」だ。
重機が唸りをあげて動き、キャンパスの建設工事は着々と進んでいた。
残る2カ所は同じく岡山に本社を置く大本組だ。アイサワ工業と大本組は加計学園建設の常連である。アイサワ工業、大本組ともに、地元愛媛県の建設業者に下請けさせるかどうかは未定という。今治市は加計学園に36億7千万円の市有地を無償譲渡した。
更に愛媛県と今治市で上物(校舎)の建設費192億円の内、半分を援助する。
原資は今治市民と愛媛県民の血税である。加計学園には至れり尽くせりだが、地元は潤いそうにない。愛媛県内の建設業者からは怨嗟の声があがりつつある。安倍(汚職)首相のお友達から むしり取られる 愛媛県民と今治市民から不正追及の声が上がっている。(基本文献- BLOGOS/管理者:部分集編集)
<籠池氏「検察庁-告発受理」を巡る“二つの重大な謎”/郷原信郎弁護士>
3月23日の衆参両院予算委員会の証人喚問での証言が社会的注目を集め「時の人」となっている籠池泰典氏を巡って、3月29日から30日にかけて、二つの「告発を巡る動き」があった。一昨年秋に公刊した【告発の正義】等で、告発を巡る最近の環境変化の問題について専門的立場から調査研究してきた私にとって、いずれも不可解極まりないもので、凡そ理解できないものだ。このような告発を巡る不可解な動きが行われる背景に、一体何があるのだろうか。一つは3月28日に「籠池氏偽証告発」に向けての調査結果が公表されたことだ。
同日夜、自民党の西村康稔総裁特別補佐が、西田昌司参議院議員、葉梨康弘衆議院議員と共に、党本部で緊急の記者会見を行い、衆参両院で証人喚問を受けた森友学園の籠池泰典氏による複数の発言に虚偽の疑いが濃厚だとして「国政調査権の発動も必要だ。精査を進めたい」と述べ、その上で議院証言法に基づく偽証罪での告発について「偽証が確定すれば考えたい」等と述べた。そしてもう一つは、翌日29日の夕刻になって大阪地検が、籠池氏に対する補助金適正化法違反での告発を受理したことだ。NHKは、次のように報じている。
「大阪の学校法人「森友学園」が小学校の建設をめぐって金額が異なる契約書を提出し、国から補助金を受けていた問題で、大阪地検特捜部は29日、籠池理事長に対する告発状を受理し、今後、補助金の受給が適正だったかどうか捜査を進める。」
〔今回の告発受理公表の特異性〕
先ず二つ目の「補助金適正化法違反の告発受理」であるが、刑事訴訟法上、告発というのは、何人も行うことができる。告発人の一方的なアクションである。告発が行われたからと言って、その事件が起訴されるか、ましてや告発事実が真実なのか、犯罪に当たるのか全く不明なので、告発やその受理が、当局の側から積極的に公表される事は殆どない。
告発人が、自らのリスクで公表し、マスコミがそれを報じることがあるだけだ。
ところが今回の「籠池氏告発受理」の報道は、明らかに検察サイドの情報によって行われている。マスコミ各社の報道の多くは、告発人が誰かということすら報じていない。
「告発状を受理し」と書かれているだけだ。そもそも、この補助金適正化法違反が刑事事件として立件されるのは容易ではないと考えられた。しかも3月28日に森友学園は、問題となっていた国土交通省からの補助金全額を返還したとされている。通常であれば、起訴の可能性は殆どなくなったので、告発状を引き取ってもらうことになるはずだ。
それにも関わらず「告発受理」が報じられるというのは誠に不可解だ。
この二つの不可解な「籠池氏告発」を巡る動きが、相次いで起きたことの背景には、この森友学園問題を巡って大混乱に陥っている首相官邸の意向があるように思える。
〔補助金適正化法違反による起訴の可能性はゼロに等しい〕
先ず大阪地検による「籠池氏告発受理」の“謎”について考えてみたい。
森友学園が設置をめざしていた小学校の建設工事に関しては、金額の異なる3つの請負契約書が作成され、その内、最も高い約23億円の契約書が提出された国から5000万円余の補助金が学園に支払われた事実がある。この契約書が、国から補助金を受けるための虚偽の契約書だったとすれば「偽りその他不正の手段」によって補助金の交付を受けた「補助金適正化法違反」が成立する可能性がある。しかし請負契約書が虚偽だったとしても、国の側で審査した結果、適正な補助金を交付したのであれば「偽りその他不正」は行われたが、それによって補助金が不正に交付されたのではない-ということになる。
詐欺罪であれば未遂罪が成立するが、補助金適正化法違反では未遂は処罰の対象とされていないので、犯罪は不成立となる。(補助金適正化法が適用される国の補助金の不正受給については、詐欺罪・同未遂罪は成立しない。)この点について「専門家を交えた検討の結果、補助対象の設計費と工事費はおよそ15億2000万円と算定され、6194万円を助成することになり、先月までに5644万円余りが支払われている。」との報道があった。
森友学園が受給していた国土交通省の「サスティナブル建築物先導事業に対する補助金」というのは「先導的な設計・施工技術が導入される大規模な建築物の木造化・木質化を実現する事業計画の提案を公募し、その内、上記の目的に適う優れた提案に対し、予算の範囲内において、国が当該事業の実施に要する費用の一部を補助」するもので、木造化・木質化が審査され、それに応じて建設代金の一部について補助金が交付されるものである。
森友学園の件については、虚偽の請負契約書が提出されていても、森友学園が交付を受けていた補助金の内、国交省の審査で「適正」とされた部分を控除した「不正」受給金額は、少額になる可能性がある。また審査の結果、認定された金額によっては、適正な金額が認定されており、不正受給がないという可能性もある。しかも森友学園は既に補助金を全額返還したというのである。過去の事例を見ても、よほど多額の補助金不正受給でなければ、全額返還済みの事案で起訴されることはない。このように考えると、少なくとも今回の籠池氏の補助金適正化法違反の事実については、起訴の可能性は殆どないと考えざるを得ない。
そのような事件で、告発の受理の話が、告発人側とは異なる方向から表に出て、大々的に報道されるというのは、全く不可解であり、何か特別の意図が働いているように思える。
大阪地検が、この事件を起訴する方向で捜査していく方針であれば「告発受理」を公表する事等あり得ない。告発は捜査着手の要件でも、起訴の要件でもない。
本気で行う捜査であれば密行性が重要であり「告発受理」をマスコミに報道させる等という事は有り得ない。実は私自身も、この補助金適正化法違反の告発に関しては、3月中旬に、マスコミ関係者を通じて事前に相談を受け、告発状案にも目を通していた。
単に既にマスコミが報道しているような事実を、補助金適正化法違反で構成して告発状を提出しただけであって、捜査を行っていく上で特別の情報を含んでいる訳ではない。
今回の告発受理の件については、3月29日午前、大阪地検から告発人に突然連絡があり、その後、告発人に大阪の記者が確認してきたとの事だが、その記者が「大阪地検告発受理」の情報を得たのは、東京の記者からだという。つまり東京サイド(最高検ないし法務省)が「告発受理」の情報源だと考えられる。いずれにしても大阪地検の現場の動きではなく、何らかの意図があって、東京側主導で「籠池氏の告発受理」が大々的に報道されることになったようだ。
〔自民党調査での籠池氏偽証告発はありえない〕
次に「偽証告発」を巡る動きであるが、籠池氏の証人喚問での証言を偽証告発するというのは元々、無理筋だった。自民党が籠池氏の「安倍首相からの100万円寄付」の発言の直後に、拙速に証人喚問に打って出たこと自体が「拙劣極まりない危機対応」だったのであり、予想どおり証人喚問は「籠池氏の独演会」に終わり、しかも、籠池氏が証人喚問で明らかにした昭恵夫人付職員からのファックスで、昭恵夫人が国有地の売却に関わっていた疑いが生じる等、自民党、首相官邸は益々、窮地に追い込まれることになった。
偽証の疑いがあるとして、告発をめざす調査の対象とされている事項は①籠池氏は「学園の職員が払込取扱票の振込人欄に“安倍晋三”と書き、郵便局に持参した」等と証言したが、「安倍晋三」の筆跡が籠池氏の妻が書いたとされる字に似ていることから、郵便局に行ったのは、職員ではなく籠池夫人ではないか。②寄付依頼書に「安倍晋三小学校」の記載がある払込取扱票を同封して使用した期間について、籠池氏は「(安倍首相が)衆院議員時代、つまり総理就任、24年12月以前」であり「使用してきたのは、ほんの一瞬」と午前の参議院予算員会で証言し、衆議院では「5カ月余り」と訂正したが、平成26年3月にも配っている。
27年9月7日の100万円の振込に使われた払込取扱票にも「安倍晋三小学校」が記載されていることから、もっと長期に亙って使用していたのではないか。-の2点のようだ。しかし、これらの事項に関して、国会議員が独自に調査した結果に基づいて籠池氏を偽証で告発する事は極めて困難であり、現実的には、その可能性は殆ど考えられない。先ず①で問題にされている籠池氏の発言は、参議院予算委員会での自民党の西田昌司議員の質問に対して答えたものだが、その前に、山本一太委員長の質問に対して、「その日は土曜日でございましたので、中身を確認し100万円であることを確認し金庫の中に入れました。そして月曜、すぐ近くの新北の郵便局の方へまいったということでございます。その後、私は金庫に入れましたところあたりからは伝聞でございますので、私は直接いたしておりません。」と証言し、昭恵夫人から受け取った100万円を職員室の金庫に納めるところまでは自分がやったが、その後の事は「伝聞だ」と証言している。従って、その後の西田議員の質問に対する籠池氏の証言は、自分が直接経験したことではなく「伝聞」である事が前提になっている。
「伝聞」であれば、聞いた話が間違っていれば、本人の認識も間違うのは当然のことだ。
森友学園側で、100万円の振込の手続について、籠池氏の妻や学園職員からその時のことを聞いたのであろうが、当初の話が違っていたことが解れば、それに応じて籠池氏の認識も変わることになる。
証人喚問の時点では籠池氏は「学園職員が郵便局に行って手続をした」と聞き、そのように思っていたが、その後、郵便局に行ったのが実は籠池氏の妻だったことが判明したということであれば、籠池氏の「認識が間違っていた」だけで「記憶に反して意図的に虚偽の証言をした」事にはならない。籠池氏が、妻が郵便局に行った事を知っていて、それを隠すために意図的に虚偽の供述をする理由があれば別だが、郵便局に行ったのが職員なのか妻なのかは、籠池氏にとってはどちらでも良い話であり、嘘をつく理由も考えられない。
すなわち①の点について籠池氏に偽証罪が成立する可能性は限りなくゼロに等しい。
このような問題で、籠池氏を偽証告発するために、払込取扱票の振込人欄の筆跡鑑定を行うというのは、全く馬鹿げていると言わざるを得ない。次に②の点については、籠池氏は「安倍首相が総理大臣に就任する前」と証言し、その期間も「5ヶ月余り」と証言しているが、どの程度の期間使っていたのかという点についての籠池氏の証言が、客観的事実に反している可能性があることは確かである。しかし「安倍晋三小学校」の記載がある払込取扱票が、どの程度の期間使われていたのかというようなことが、国政調査権によって明らかにすべき「国政上重要な事項」なのであろうか。国会での証人喚問は、憲法62条に基づく「国政調査権」の手段として、国政上の重要事項に関して、偽証の制裁を科して証言を求め、真実を究明するために行われるものである。そこで仮に、事実に反する証言が「故意に」行われたとしても、全てが「偽証告発」の対象となるものではない。
「偽証に対する制裁として刑事罰を科すこと」が、国政調査権の目的を達するために不可欠と判断された場合に、偽証告発が行われる。当然、国政にとっての重要事項を証人喚問によって明らかにしようとしたところ偽証が行われた、という事が証拠上明らかとなった場合に、偽証告発が行われる事になるのである。過去に偽証告発が行われた事例の殆どが、その問題が検察等の捜査の対象となり、捜査の結果、偽証が明らかになった場合だけだ。
典型的なのは閣僚、政府高官、国会議員等に関して何らかの疑惑が持ち上がり、それに関して国会として真相解明のために、当事者の証人喚問が行われ、そこで疑惑を否定する証言が行われたが後日、検察等の捜査で偽証であったことが明らかになった場合である。
そのような形で偽証告発に至った2000年以降の事例として、鈴木宗男議員、守屋武昌防衛事務次官のケースがある。この場合、疑惑は、その後刑事事件に発展する可能性があるのであるから、証人喚問において「刑事訴追を受ける可能性がある」ということで証言拒否する事は可能である。しかし証人喚問されたのが国会議員、政府高官の場合、もし証言を拒絶すれば疑惑が一層高まることになるので「自らのリスク」で疑惑を否定する証言をする事もあり得る。その証言が、その後の捜査で否定され、なおかつ意図的な偽証である事が明らかになれば、その事実について偽証告発が行われることになるのである。
実際のところ「国政上の重要事項」は、刑事事件に関連するものである場合が多い。
「刑事訴追を受ける可能性がある」と証言拒絶されてしまえばそれまでなのだが、政府高官、国会議員は、証言拒否によって疑惑が深まるから拒否することもできない、ということで、証人喚問することに意味があるのである。籠池氏が、証人喚問の後の外国人特派員協会での記者会見で「いきなり民間人が証人喚問されるというのは、あり得ないこと」と怒りを露わにしていたが、民間人であれば、犯罪事実に関することを聞いても、当然、証言拒否をすることになるので、証人喚問をすることの意味がないのである。
今回の証人喚問で籠池氏が述べた100万円の寄付自体は、違法な寄付ではない。
それがあろうとなかろうと「国政上重要な事項」ではない。その寄付の事実に関して、仮に意図的な虚偽の証言があったとしても、国政調査権の目的が達せられない等とは言えないので、偽証告発の対象に等ならない。ましてや「安倍晋三小学校と記載された払込用紙をどの程度の期間使って寄付を募っていたのか」という点も、国政調査で明らかにすべき事項とは考えられない。証拠面でも偽証告発というのは著しく困難だ。
籠池氏は証人喚問で「総裁になられて、(「安倍晋三小学校」を)お断りになられた後に、振込用紙が残っていて、少しの期間使われたことがあった」と証言し、その後、振込用紙がどのように使われているのかは判らなかったというのが籠池氏の弁解のようだ。
証言内容が、仮に客観的事実と異なっていたとしても、意図的に虚偽の証言をしたのでなければ、偽証とは言えない。籠池氏の証言については①②いずれについても、意図的な偽証を明らかにできる証拠が収集されるとは思えないし、そもそも偽証の起訴価値もないので、偽証告発などあり得ないのである。
〔「二つの謎」の背景に何があるのか〕
大阪地検特捜部の不祥事で批判非難を受けた事で、それまでの「ストーリー通りの調書をとるための不当な取調べ」を中心としてきた特捜捜査の手法が使えなくなり、検察捜査は著しく弱体化した。「絵に描いたようなあっせん利得」の甘利元大臣の事件の捜査でも、為すすべなく敗北、東芝の歴代社長の告発をめざす証券取引等監視委員会に対しても告発を断念させることに懸命になっている。そのような今の検察にできることは、起訴の可能性の殆どない補助金適正化法違反を「告発受理」するという「単なる手続」を行って、それを「籠池事件捜査着手」とマスコミにぶち上げて大々的に報道させる事位なのだろうか。
一方で自民党議員による調査は殆ど無駄であり、偽証告発が可能になるとは思えないにも関わらず首相官邸側は、調査を肯定する異例のコメントをしている。
自民党本部で偽証告発をめざす調査の記者会見が行われた28日午前の参議院決算委員会で菅義偉官房長官は、齋藤議員の「虚偽証言で告発をすると、こういうことでしょうか。」との質問に答えて「事実と違ったら、そのようになるという風に思っています。ですから客観的な内容について、今私ども精査しています。」と答弁し、記者会見でも証人喚問での籠池理事長の証言を巡り、自民党が偽証罪での告発も検討していることについて、「真相究明の動きだ」等と評価する発言をした。政府側のスポークスマンである官房長官が、国会での国政調査権に関して、偽証告発を肯定するような発言をするというのはあり得ないことだが、それに加え既に述べたような全くの「無理筋」である籠池氏偽証告発に向けての調査まで肯定する発言を敢えて行っているのである。
今後、東京地検特捜部は、何らかの「無理筋」の事件を無理やり仕立て挙げて捜査を行い、偽証告発に向けての動きをアシストするというような事もあり得るのであろうか。
そして検察庁を所管する法務省は、これからテロ等準備罪と称する「共謀罪」の国会審議が本格化する中で、与党サイドの全面協力を得る必要がある。
このような状況において、籠池氏の「告発」を巡って起きた「2つの不可解な動き」には、何やら不気味なものを感じる。(管理者:部分編集)
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(ハラスメント・メンタルヘルス等、含む)
*大阪府労働相談経験10年以上。*産業カウンセラー資格、有り。
*但しメンタルヘルスの場合、もし心療内科等に受診されている場合、または、その受診の方が望ましい場合は、当該医師の指導を優先し、カウンセリングを断る事もありますので予めご了承ください。
②採用コンサルタント。
*著作[「公正採用」と「能力発見!」採用選考のコツ]
【本ブログ:http://blog.zaq.ne.jp/yutan0619/article/27/】
*著作「採用面接」労働条件確認
【本ブログ: http://blog.zaq.ne.jp/sp/yutan0619/article/29/】
◎なお寄せていただく相談意見等は、とりあえず全てEメールで送信してください。
<送信先Eメールアドレス>yutan0571@yahoo.co.jp
●費用:交通費等、実費+α(若干-協議)
(民守 正義)
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