「叛-共謀罪」とリベラル勢力の統一へ(16)
《Ken Kenと管理者:民守の【叛-共謀罪】キャンペーン》
<「共謀罪」論議で浮き彫りになった矛盾と「法務大臣の謝罪」>
衆議院予算委員会、参議院予算委員会を舞台に「共謀罪」(政府呼称は「テロ等準備罪」)に関する集中した質疑が行なわれている。この国会での「重要法案」と言われながらも、金田勝年法務大臣が答弁に窮する事も多く、時に安倍(独裁)首相が援護・弁明にまわる場面が見られる等、「共謀罪はなぜ過去3回廃案になったのか」を踏まえて準備を重ねてきたようにはまるで見えません。「当時の経緯を承知していません」と法務大臣が予算委員会で答弁することに驚いたが、金田大臣が組織的犯罪防止条約(TOC条約)と共謀罪との関わりや、過去の立法過程と国会審議上の問題点を問われて、何一つ的確に答えられない事情を正直に告白した場面だった。法案の国会提出前から浮き彫りになってきた議論に苛立ったのか、法務省は報道各社に異例の文書を配布した。国会論戦の歴史の中でも、確かに「前代未聞」の出来事です。今回の予算委員会での論戦は、法案は未提出とはいえ「過去3回も廃案となった法案」を「手直し」をして、組織的犯罪防止条約批准をめざした国内法として整備するという「政府の理屈」だ。「影も形ない」どころか、既に過去の国会審議によって、重要な論点は十二分に確認されている。政府が重要法案と位置づけておきながら、いまだに「与党協議未了・法案作成中」であるからこそ、懸念の解明も含めた大きな議論になっているのです。
それを「法案について成案を得て国会に提出した後、所管の法務委員会において、しっかりと議論を重ねていくべきものと考える」(法務省)と記述した文書を報道各社に配布することで、暗に予算委員会の議論に注文をつけるという行為は、カジノ法案等のスピード審議に慣れきった政権下での「緩み」と「おごり」を示している。
この「勘違い文書」だけではなくて、予算委員会の法務省の準備は、極めて稚拙で合理性を欠いていると指摘しておきたい。その典型例が、共謀罪を巡る国会での議論で政府側が裁判例としてあげた昭和42年6月5日の「東京高裁判決」についてだ。
山尾志桜里議員に対して、安倍(独裁)首相は「今までの判例であれば、例えば、もう実際に武器等を持って、いよいよ現場に行こうとしている段階でなければ捕まえられない訳です」(1月26日衆議院予算委員会)と答弁している。「航空機をハイジャックするために10人の内の1人が航空券を購入する行為」を巡る議論は、現行法の「航空機の強取等に処罰に関する法律」の予備罪の適用の可否について、参議院予算委員会に引き継がれた。「裁判例では『予備罪の予備とは、構成要件実現のための客観的な危険性という観点から見て、実質的に重要な意義を持ち、客観的に相当の危険性が認められる程度の準備が整えられたことを要する』とされていて、空港に向かって出発する行為や、あるいは航空券を航空機強奪の目的で購入する行為が、そのようなものに当たると認められない限り予備とは認められないものと承知しています」(福山哲郎議員に対する安倍(独裁)総理の答弁・1月30日参議院予算委員会)福山議員は刑法のコメンタール(逐条解説書)3冊を引用して、「航空機の強取等の処罰に関する法律」で「航空券購入で予備罪を適用できる」と明記していると断言している。
「先ほど申し上げた『42年の東京高裁判決』を、その後もそれを使いながら解釈をしている側面がありまして、空港に向かって出発する行為や航空券を航空機奪取の目的で購入する行為がこのようなものにあたると認められない限り、予備とは認められないものと承知をしております。(同 金田法務大臣の答弁)昭和42年6月5日の東京高裁判決とは、「三無事件」と呼ばれるクーデター計画の共謀事件で、破壊活動防止法(政治目的殺人陰謀罪)が初めて適用され、一審で有罪判決が下された事件だ。ここで言う「陰謀罪」は「共謀罪」と、ほぼ同一で「陰謀あるいは、共謀というのは、ある犯罪を計画して実行しようとして具体的に相談すること」(2015年10月8日法務委員会大林宏刑事局長)と、かつての国会答弁でも示されている。「単なる予備罪では適用のハードルが高いから共謀罪が必要だ」と力説するために、過去の事件から予備罪適用が認められなかった裁判例をわざわざ探してきたのが、この昭和42年東京高裁「三無事件」判決だ。しかし事件内容を見ると「共謀罪創設の必要性」を証明するものではありません。この事件では、60年安保後の1961年12月から翌年2月にかけ、警視庁公安部による摘発で22人が逮捕され、18人が起訴されて、8人が有罪となっている。
具体的にはヘルメット、防毒マスク、ライフル2丁、車両等を用意して「クーデター計画」を謀議していた事で、破壊活動防止法が初適用されて「一網打尽」になり、陰謀罪で有罪となったのだ。つまり包括的な共謀罪は存在しなくても「一網打尽」に逮捕・拘束した後に、破防法の陰謀罪(=共謀罪)で有罪としているのだ。検察は予備罪も成立すると主張したが、東京高裁は、実行行為着手前の行為が予備罪として処罰されるためには、「当該基本的構成要件に属する犯罪類型の種類、規模等に照らし、当該構成要件実現(実行の着手も含めて)のための客観的な危険性という観点からみて、実質的に重要な意義を持ち、客観的に相当の危険性の認められる程度の準備が整えられた場合たることを要する」と判示し、これを退けている。昭和42年東京高裁判決を読むと、クーデター計画の謀議は存在した事を認めたものの、内容は綿密性を欠いて現実的ではなく計画実行が行なえるものではなく、「実質的に重要な準備がなされたとは言い難い」として、重大犯罪とまでは認められないという判断でした。従って判決では、予備行為は「犯罪の具体的決意もしくは犯人2人以上の場合における犯罪の具体的合意の程度を超え、実行着手に至るまでの間における実践的準備行為をいうものである事は異論を見ない」としている。「犯人2人以上の場合における犯罪の具体的合意」とは共謀の事なので、高裁の判示は共謀より進んだ行為に関するものなのである。
また、この判決は保護法益にも言及している。「予備行為の可罰性が認められるのは重大犯罪に限定されるべきだ」として、予備罪の成立にあたっては政府側が繰り返し引用した「実質的に重要な意義を持ち、客観的に相当の危険性の認められる程度の準備が整えられた場合たることを要する」という判断の枠組みを示しています。
更に同判決は「殺人用の毒物を購入すれば予備罪は成立するが、毒物と一緒に混ぜる砂糖を先ず用意したからといって、予備罪は成立しない」という例示をしているが、これは解り易く、ハイジャック犯が航空券を購入すれば準備行為であることは明らかであり、航空機強取等の処罰に関する法律(ハイジャック防止法)の予備罪で処罰することは可能なのだ。
因みに「航空機強取等の処罰に関する法律」(昭和45年5月18日)は「よど号ハイジャック事件」を機につくられた特別立法であり、「三無事件」の東京高裁判決(昭和42年6月5日)の時には存在していない。事件の摘発は1961年で、時系列から考えても首を傾げざるを得ない。
法務大臣のみならず、安倍(独裁)首相にも再三答弁させた「昭和42年東京高裁の裁判例」を持ち出した法務省側の準備不足と稚拙さは、目を覆うばかり。刑事法制を根幹から転換しようとする立法を手がけるには、あまりに杜撰ではないか。迷走は極まり、2月7日午前の衆議院予算委員会で法務大臣が前日の「共謀罪を巡る文書」を撤回し、謝罪に追い込まれている。金田勝年法相は7日の衆院予算委員会で、「共謀罪」の構成要件を改めて「テロ等準備罪」を創設する組織犯罪処罰法改正案を巡り、「提出後に法務委員会で議論すべきだ」とした文書を撤回すると表明した。同文書に対し、野党は「予算委員会での質問封じだ」と反発していた。法相は答弁で、自ら文書の作成を指示したことを認めた。その上で「不適切であり、撤回し、お詫びする」と述べた。これに先立ち法務省は衆院予算委理事会で、文書を撤回する方針を伝えた。私達が経験した、共謀罪を巡る10年以上前の議論は、きちんと野党側の論者に共有されて、論点は既に浮き彫りにされ、論破しつくしている。
今後は、むしろ国会-法案上程後、「論戦に負けても数で勝つ」で「強行採決-警戒警報発令中」の緊張感も持たざるを得ない。(参考著-保坂展人/文責:民守 正義)
◎【ご案内】映画『共謀罪、その後』第1話
https://www.youtube.com/watch?v=wp1rz9dOovE
《【沖縄-反基地】[辺野古から-博治さんへ]「沖縄は絶対諦めない」》
[沖縄タイムスプラス:社説から]
山城博治さん、貴方が辺野古・高江の反対運動に絡む三つの罪で逮捕・起訴され、名護署の留置場や那覇拘置所に長期勾留されてから、6日で113日が経ちました。
病を抱える身でありながら弁護士以外、家族さえ接見できないというあまりにも異常な状態が続いています。私達は貴方から直接話を聞く事ができず、貴方は身柄を拘束され辺野古に行く事ができません。ならばと、こういう手紙形式の社説を思いつきました。
博治さん。政府は6日朝、名護市辺野古の新基地建設に向け、海上での工事に着手しました。最大で約14トンもある大型コンクリート製ブロックをクレーンで台船から作業船に積み替える作業です。翁長雄志知事や稲嶺進名護市長らが建設計画の撤回を求めて訪米した直後に、県と協議もせずに、一方的に作業に踏み切ったのです。
自民党の二階俊博幹事長でさえ「沖縄の理解を十分に得られていない状況」だということを認めざるを得ませんでした。ブロックは汚濁防止膜が強風等で流されないように固定するためのもので7日以降、228個のブロックが海底に投下される事になっています。想像するだけで胸がえぐられる思いがします。沖縄の切実な声よりも米軍の都合と軍事上の要求が優先され、辺野古への「高機能基地」の建設が目的化してしまっているのです。
あの美しい海は、埋め立てればもう元に戻りません。
■ ■
新基地建設に反対する市民らは、工事車両が基地に入るのを阻止しようと、キャンプ・シュワブのゲート前に座り込み、精一杯の抵抗を試みました。博治さんの不在の穴を皆で埋め合わせているような、決意と危機感の入り交じった空気と言えばいいのでしょうか。
反対側の歩道で折りたたみ式の簡易イスに座って様子を見守っていたのは島袋文子さん(87)でした。「動悸がしてドクターストップがかかっている」というのに、居ても立ってもいられず、現場に駆け付けたのだそうです。機動隊員が一人一人を3、4人がかりでごぼう抜きし始めたため、現場は悲鳴と怒号が飛び交い、騒然とした雰囲気になりました。
「暴力はやめろ」「海を壊すな」「沖縄は絶対諦めない」驚いたのは文子さんの行動でした。イスから立ち上がって道を渡り、付き添いの女性に両脇を抱えられながら、ひるむことなく機動隊の前に進み出て、抗議の声を上げたのです。「戦争の中から逃げるのはこんなもんじゃないよ」と文子さんは言います。沖縄の戦中・戦後の歴史体験に触れることなしに、新基地建設反対運動を深く理解することはできない。翁長知事が政府との協議の中で何度も強調してきた事ですが、正面から受け止める事がありません。
作家の中野重治は、日中戦争前の1928年に発表された「春さきの風」という小説の最後で、こんな言葉を書き付けています。「私らは侮辱の中に生きています」。この言葉は今の沖縄にこそ当てはまると言うべきでしょう。
■ ■
問題は、強権的な基地建設だけではありません。国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルは、博治さんの釈放を求める緊急行動を始めました。国連の「被拘禁者人権原則」は、「家族や弁護士との間のコミュニケーションは、数日間以上拒否されてはならない」と謳っています。かつて悪性リンパ腫の治療を受け、今も体調が万全でないにも関わらず、3カ月余も勾留が続き、家族も接見できない状態になっているのです。政治的意図に基づく長期勾留であるのは明らかであり、人権侵害だと言わなければなりません。博治さん。拘置所の狭い空間の中では一人ですが、外の世界では決して一人ではありません。県内や国内だけでなく海外からも、多くの励ましの声が届いている事をお伝えしたいと思います。
《社会学者イダ ヒロユキ・本ブログ管理者・民守 正義:共同呼びかけ「ヘイト右翼番組つくるDHCは買うのは止めよう!」》
《関西マスコミ文化情報労組会議(関西MIC)主催学習会》
「共謀罪~警察が私たちの心に踏み込んでくる」
日時:2017年2月25日(土)午後1時半~5時頃
会場:エルおおさか(大阪府立労働センター)
(京阪・大阪市営地下鉄谷町線の天満橋から徒歩約5分)
参加費:一般800円(MIC参加組合の組合員は無料)
定員:50名
◯弁護士による解説:「共謀罪・何が問題か~安倍政権の狙い」
◯レクチャー:「警察捜査の正体と共謀罪」
講師・原田宏二さん(元北海道警幹部)
◯質疑・討論:<権力が私達の心の中に踏み込んでくる>
<申込み・問い合わせ>関西マスコミ文化情報労組会議(関西MIC)事務局
TEL:06-6316-7490 FAX:06-6314-3660
メール:shimbun-kinki@nifty.com
《ブログ「リベラル広場」では次の事業も行っています。》
①職場(仕事)における労働・人権相談
(ハラスメント・メンタルヘルス等、含む)
*大阪府労働相談経験10年以上。*産業カウンセラー資格、有り。
*但しメンタルヘルスの場合、もし心療内科等に受診されている場合、または、その受診の方が望ましい場合は、当該医師の指導を優先し、カウンセリングを断る事もありますので予めご了承ください。
②採用コンサルタント。
*著作[「公正採用」と「能力発見!」採用選考のコツ]
【本ブログ:http://blog.zaq.ne.jp/yutan0619/article/27/】
*著作「採用面接」労働条件確認
【本ブログ: http://blog.zaq.ne.jp/sp/yutan0619/article/29/】
◎なお寄せていただく相談等は、とりあえず全てEメールで送信してください。
<送信先Eメールアドレス>yutan0571@yahoo.co.jp
●費用:交通費等、実費+α(若干-協議)
(民守 正義)
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