劣化する安倍ファシズム政権と「リベラル野党共闘」の行程(96)
劣化する安倍ファシズム政権と「リベラル野党共闘」の行程(96)
*2月1日より「リベラル広場」-Ameba Ownd【https://riberaruhiroba.theblog.me/】に移行します。御面倒ですが、再登録をお願いします。
《【反-共謀罪】共謀罪は何故、過去3回廃案になったのか》
今年の通常国会に提出される法案の内、過去3回廃案となった「共謀罪」に注目が集まっている。
政府は「テロ等準備罪」と名称変更して看板をかけかえたが、骨格も内容も以前と大きな変更はない。対象犯罪を676とした上で提出すると豪語したが、最近になって「対象犯罪が広すぎるので、300程度に絞り込む」となってきている。私は、2005年から2006年にかけて、衆議院法務委員会で野党の一員として「共謀罪」を巡る国会論戦を担った。
2005年は小泉純一郎内閣が突然の郵政解散で圧勝した後で、自民・公明の連立与党は圧倒的多数の議席だった。「数の力」からすれば、3回も廃案となるという結果を予想したメディア関係者は皆無に近かった状況だった。ところが国会で議論をすればするほどに、政府・法務省提出の共謀罪への疑問は膨らみ、自民・公明の与党側からも度々、修正案が国会に提出される異例の事態となった。
「数の力」では勝敗は明らかでしたが、あまりに筋が悪い法案だったことと、今回の「カジノ法」等のような形式的な特急審議ではなく、国会論戦に相応しい議論を許容する「品格」が、当時の与党側にも存在していたからこそ、深く掘り下げた議論ができたのだ。
日々の仕事の傍らで、当時の経験を下に、再度国会に上程される「共謀罪」(テロ等準備罪)について言えることも加えて、お伝えしたい。
1年半前の2015年11月20日、朝日新聞の「天声人語」に、「共謀罪」を巡る国会論戦が取り上げられた。
〔また共謀罪なのか 2015年11月20日 朝日新聞(天声人語)〕
目くばせと瞬きの違いを述べよ。2006年5月、国会でこう質問したのは当時の保坂展人衆院議員だ。法務省の局長は直接には答えず、保坂氏が代わって説明した。「目くばせは意思の伝達行為でありサイン。瞬きは生理現象だ」
▼珍問答に見えるが、真面目な論戦である。
「共謀罪」の新設が焦点だった。犯罪を実行しなくても、相談して合意するだけで罪に問える法案だ。会話による相談がなくても「誰かが誰かに目くばせするだけでも共謀は成立しうる」というのが法務省の見解だった。
▼先の局長は更に、瞬きでも成立すると答えたため、保坂議員に追及される事になった。生理現象が共謀罪になるなら、人類は皆、共謀罪ではないかという訳だ。人権侵害の危険性をよく表す攻防だった。
▼そもそも日本では、犯罪は「既遂」での処罰が基本で「未遂」は例外、着手前の「予備」はもっと例外だ。更に、その前段階の共謀で罪を問うのは、この原則に反するとの批判があった。
政府はこれまで3回法案を出し、いずれも廃案になっている。
▼パリのテロ事件を受け、自民党首脳が再び共謀罪に言及し始めた。
過去の法案並みに、万引き等も含む幅広い処罰を考えるつもりか、テロ組織対策に限るのか。現段階ではわからない。いずれにせよ、性急に進めていい話ではない
▼公明党の山口那津男代表は会見で慎重な検討を求めた。
ここは自民党に目配せをし、自制を促してほしいところだ。
この「共謀罪は一定の条件が整えば『目配せ』でも成立する」と答弁したのは、大林宏法務省刑事局長(当時)。大林はその後、札幌高検検事長、東京高検検事長を歴任して、2010年には検察トップである検事総長に就任した。「目配せでも共謀罪が成立する」という大林刑事局長の答弁は、驚きと共に大きな反響を呼んだ。それまで共謀罪における共謀は「犯罪を綿密に計画し、具体的に実行できるまで練られたもの」と説明されていた。会話を交わさなくても「犯罪の計画実行についての内容を犯罪組織が共有されている状況」であれば「目配せ」(=サイン)でも共謀罪が成立するとした答弁は、従前の理解を塗り替えたものであった。言わずもがな、刑法によって、犯罪は実行された「既遂」の段階で処罰されるのが通常で、例外的に「未遂」について処罰され、特定の重大な犯罪についてのみ例外中の例外として「予備」で処罰される。この手前の、犯罪を話し合ったり計画する「共謀」の段階で処罰しようという「異次元の法体系」を導入しようとしたのが、過去3回廃案となった最大理由だ。報道では「テロ等準備罪」と名称を変えたにも関わらず、なお共謀罪の「対象犯罪が広すぎる」という議論が指摘されている。この対象範囲の絞り込みについて、その具体例示として「業務上過失致死罪」が削除対象として、政府は示しているが、元々「業務上過失致死罪」に「共謀罪」が成立するような事は物理的にありえない!つまり当初の676対象犯罪自体、吹っ掛けているのだ!今国会では、更に「300程度の絞り込み」が出てきている。対象犯罪の多さに懸念を示している公明党に配慮した形で、今後の与党内協議の行方が注目される。300程度になると、文字通り「半減」ということにはなる。過去に遡ると、3度目の廃案の後で、2007年に自民党法務部会「条約刑法検討に関する小委員会(笹川尭委員長)」で、更に「123から155」まで削減するという修正案が了承されていた。
「共謀罪」を新設する組織犯罪処罰法等の改悪案の修正作業で、自民党法務部会の「条約刑法検討に関する小委員会」(笹川尭委員長)は27日、共謀罪を「テロ等謀議罪」と変更し、対象犯罪を政府案の600以上から123-155と4、5分の1程度に絞り込んだ「修正案要綱骨子」を了承した。小委員会の早川忠孝事務局長は、修正案を近々ににも民主党側に示し、実務者レベルでの協議を進める考えを示している。
小委員会では共謀罪の名称を「テロ・組織犯罪謀議罪」と改名する事で大筋了承していたが、更に短縮する模様。一方、対象犯罪について、修正原案では116-146だったが、そこへ傷害や窃盗等を加えた。しかし、そもそも676もの対象犯罪を列挙しながら、国会提出前に「50を減らす」「300まで半減」と「バナナの叩き売り」のように、問題の本質を逸らす事自体「不届き千万」と重大問題指摘せざるを得ない。今現在でも共謀罪、陰謀罪の類は既に限定的に存在している。共謀罪は爆発物取締罰則第4条、特定秘密保護法第25条第1項(特定秘密の取扱業務従事者による同秘密の漏洩等) 第2項(特定秘密を業務により知得した者による同秘密の漏洩)等にあり、ほぼ同一の陰謀罪については、刑法第78条(内乱) 、第88条(外患誘致又は外患援助)、第93条(私戦)、破壊活動防止法第39条(政治目的のための放火)、第40条(政治目的のための騒乱等) 等がある。また何らかの準備行為を伴う予備罪については、組織的な犯罪及び犯罪収益の規制等に関する法律第6条(組織的な殺人) 第10条3項(犯罪収受等隠匿)、銃砲刀剣類所持等取締法第31条2(けん銃・小銃・機関銃又は砲の輸入)、航空機の強奪等に関する法律第3条(航空機強奪等)、化学物質の禁止及び特定物質の規制等に関する法律第40条(化学兵器の使用等)、41条(化学兵器の製造)、サリン等による人身被害の防止に関する法律第5条第3項(サリン等の発散)、41条(サリン等の製造等)、放射線を発散させて人の生命等に危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律第3条第3項(放射性物質の発散等)、第6条第3項(特定核燃料物質の輸出入等)...、等々、ほぼ完備されている。
ところが法務省によるとまだ「穴」があるという。「例えば人身売買、詐欺(刑法)、航空機の危険を生じさせる罪(航空の危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律、人質による強要等の罪(人質による強要行為等の処罰に関する法律)、営利目的の覚醒譲渡(覚醒剤取締法)には、予備罪、共謀剤等が設けられていない」と指摘している。
百歩譲って、そういったテロに関連して現存する共謀罪・陰謀罪・予備罪に穴があると言うなら、その穴のみを塞ぐ立法措置をすれば済む事。テロ等の組織犯罪を計画した段階で処罰の対象となる「共謀罪」。その構成要件を厳しくした「テロ等準備罪」を新設する法案について、金田法務大臣は「一般の人が対象になることはあり得ない」と詭弁した。しかし、その「一般の人」の定義が曖昧で、裏返せば「誰れでも一般の人以外だ」と「恣意的運用も自由自在」を自ら自白したようなものだ。政府は「小さく生んで、大きく育てる」という意味で「更に対象者・罪状も限定」する事も内々に検討しているようだ。政府は、こうした工夫を凝らして「ああテロ対策を厳重にする法案で、一般の人とは無縁のものだ」という印象を広げようとしている。「いやいや問題がある法案」だと疑問を投げかけると、「テロ対策に反対するのは非国民!」という声も出かねない。しかし実は「テロ等準備罪」という名称の本質は「テロ」ではなく「等」に込められているのではないだろうか。「テロ対策」であれば、何故「テロ準備罪」とすっきりと呼べないのでしょうか。「テロ」の後に「等」をつけることで、「テロ対策」以外の「等準備罪」と呼ぶ広い範囲で共謀罪を成立させておきたいという意図が見え見え!
かつての国会論戦を思い起こすと、そもそも日本には「共謀罪」を必要とするような社会状況(立法事実)はないというのが法務省の説明。それでは何故、共謀罪を創設するのかと問えば「国際組織犯罪条約を批准するためには共謀罪が必要だから」が真っ赤なウソツキ説明だが、この反論については、既に【劣化する安倍ファシズム政権と「リベラル野党共闘」の行程(92)《【反-共謀罪】壮大なペテン「共謀罪はテロ対策」という真っ赤なウソ》http://blog.zaq.ne.jp/yutan0619/daily/201701/22】で記載済みなので、ここでは省略する。ただ外務省自信が「政府としては納得のいく精査をしたものしか出せない。自信を持って説明できる国は限られている」と述べる等、同条約のために新たに「共謀罪」なる立法措置を行った国は極少に過ぎない事は付言しておく。(ノルウエー、ブルガリア)
我が国においては、組織犯罪集団の関与する犯罪行為については、合意により成立する犯罪を未遂前の段階で取り締まることのできる処罰規定が規定され、整備されているのであり、新たな立法を要することなく、組織犯罪の抑止が十分可能な法制度は既に確立されている。3回廃案になった経緯について、相応の理由があるということをご理解頂けただろうか。「小さく生んで大きく育てる」それは戦前も、その詭弁で「治安維持法」が大手をふった事を忘れてはならない。(参考文献-保坂展人:著/文責:民守 正義: 読者Ken Ken)
《阪神大震災:市に訴えられた被災者-復興住宅期限20年に苦悩》
阪神大震災の発生から17日で丸22年を迎える今も、兵庫県と神戸市等6市の借り上げ復興住宅には約2800世帯が住んでいる。だが同住宅は入居から20年で原則、家主に返還される制度だ。昨年5月12日の神戸地裁203号法廷。明け渡すよう神戸市から訴えられた男性が証言台に立った。「この家で終身、生活できると信じてきた。被災した時、まさか21年後に神戸市に訴えられるとは夢にも思っていませんでした」この男性は神戸市兵庫区の借り上げ復興住宅「キャナルタウンウエスト」に住む元調理師Yさん。自宅が全壊し、仮設住宅を経て1999年12月に移った。周囲の環境に慣れ、落ち着いた日々を過ごしていた。20年で返還される制度と知ったのは6年前。「入居時には書面でも口頭でも説明はなかった」と訴える。その後85歳以上や重度の身体障害者等の継続入居は認められたが、Yさんは対象外だった。
退去を拒むと昨年2月11日、訴状が届いた。訴状が届いてから睡眠導入剤が欠かせなくなった。一からやり直す自分を想像する。「何か悪い事をしたのか」。何度も自問するが、答えは出ない。
兵庫県宝塚、伊丹両市は計71世帯について無条件の継続入居を決断したが、それ以外は年齢等の条件を満たさなければ2022年までに次々と入居期限が訪れ、転居を迫られる。西宮市と大阪府豊中市は猶予期間を設けて原則転居を求めており、入居先によって格差が生じている。全壊だけでも18万世帯から住居を奪った阪神大震災。「一刻も早く住まいを」と懸命だった行政に「仮設の次の住まいの20年後」を想像する余裕はなかった。
*************
《社会学者イダ ヒロユキ・本ブログ管理者・民守 正義:共同呼びかけ「ヘイト右翼番組つくるDHCは買うのは止めよう!」》
《読者Ken Kenさんと管理者:民守正義との共同「安倍政権の欺瞞性暴露と共謀罪反対キャンペーン第一弾&第二弾」》
◎Ken Kenさんのタイムライン「父さん 共謀罪ってなぁに?」の写真で賛同・共感して頂く方は「いいね」を宜しくお願い致します。
◎【ご案内】映画『共謀罪、その後』第1話
https://www.youtube.com/watch?v=wp1rz9dOovE
《『戦争する国」はゴメンだ!今、教育に問われるもの」2・11集会』》
■日時 2017年2月11日(土・休)開会13:15(会場12:45)
■場所 大阪市立港区民センター
(JR環状線・地下鉄中央線「弁天町」駅、西江徒歩10分)
■講演 高嶋伸欣さん
「オリンピック・愛国心教育と『戦争する国』」(仮題)
■浪速の歌う巨人 パギやん・ミニライブ
■ティーチイン「教育に問われるもの」
■資料代700円
■主催『日の丸君が代』強制反対・不起立処分を撤回させる大阪ネット
《ブログ「リベラル広場」では次の事業も行っています。》
①職場(仕事)における労働・人権相談
(ハラスメント・メンタルヘルス等、含む)
*大阪府労働相談経験10年以上。*産業カウンセラー資格、有り。
*但しメンタルヘルスの場合、もし心療内科等に受診されている場合、または、その受診の方が望ましい場合は、当該医師の指導を優先し、カウンセリングを断る事もありますので予めご了承ください。
②採用コンサルタント。
*著作[「公正採用」と「能力発見!」採用選考のコツ]
【本ブログ:http://blog.zaq.ne.jp/yutan0619/article/27/】
*著作「採用面接」労働条件確認
【本ブログ: http://blog.zaq.ne.jp/sp/yutan0619/article/29/】
◎なお寄せていただく相談等は、とりあえず全てEメールで送信してください。
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2005年は小泉純一郎内閣が突然の郵政解散で圧勝した後で、自民・公明の連立与党は圧倒的多数の議席だった。「数の力」からすれば、3回も廃案となるという結果を予想したメディア関係者は皆無に近かった状況だった。ところが国会で議論をすればするほどに、政府・法務省提出の共謀罪への疑問は膨らみ、自民・公明の与党側からも度々、修正案が国会に提出される異例の事態となった。
「数の力」では勝敗は明らかでしたが、あまりに筋が悪い法案だったことと、今回の「カジノ法」等のような形式的な特急審議ではなく、国会論戦に相応しい議論を許容する「品格」が、当時の与党側にも存在していたからこそ、深く掘り下げた議論ができたのだ。
日々の仕事の傍らで、当時の経験を下に、再度国会に上程される「共謀罪」(テロ等準備罪)について言えることも加えて、お伝えしたい。
1年半前の2015年11月20日、朝日新聞の「天声人語」に、「共謀罪」を巡る国会論戦が取り上げられた。
〔また共謀罪なのか 2015年11月20日 朝日新聞(天声人語)〕
目くばせと瞬きの違いを述べよ。2006年5月、国会でこう質問したのは当時の保坂展人衆院議員だ。法務省の局長は直接には答えず、保坂氏が代わって説明した。「目くばせは意思の伝達行為でありサイン。瞬きは生理現象だ」
▼珍問答に見えるが、真面目な論戦である。
「共謀罪」の新設が焦点だった。犯罪を実行しなくても、相談して合意するだけで罪に問える法案だ。会話による相談がなくても「誰かが誰かに目くばせするだけでも共謀は成立しうる」というのが法務省の見解だった。
▼先の局長は更に、瞬きでも成立すると答えたため、保坂議員に追及される事になった。生理現象が共謀罪になるなら、人類は皆、共謀罪ではないかという訳だ。人権侵害の危険性をよく表す攻防だった。
▼そもそも日本では、犯罪は「既遂」での処罰が基本で「未遂」は例外、着手前の「予備」はもっと例外だ。更に、その前段階の共謀で罪を問うのは、この原則に反するとの批判があった。
政府はこれまで3回法案を出し、いずれも廃案になっている。
▼パリのテロ事件を受け、自民党首脳が再び共謀罪に言及し始めた。
過去の法案並みに、万引き等も含む幅広い処罰を考えるつもりか、テロ組織対策に限るのか。現段階ではわからない。いずれにせよ、性急に進めていい話ではない
▼公明党の山口那津男代表は会見で慎重な検討を求めた。
ここは自民党に目配せをし、自制を促してほしいところだ。
この「共謀罪は一定の条件が整えば『目配せ』でも成立する」と答弁したのは、大林宏法務省刑事局長(当時)。大林はその後、札幌高検検事長、東京高検検事長を歴任して、2010年には検察トップである検事総長に就任した。「目配せでも共謀罪が成立する」という大林刑事局長の答弁は、驚きと共に大きな反響を呼んだ。それまで共謀罪における共謀は「犯罪を綿密に計画し、具体的に実行できるまで練られたもの」と説明されていた。会話を交わさなくても「犯罪の計画実行についての内容を犯罪組織が共有されている状況」であれば「目配せ」(=サイン)でも共謀罪が成立するとした答弁は、従前の理解を塗り替えたものであった。言わずもがな、刑法によって、犯罪は実行された「既遂」の段階で処罰されるのが通常で、例外的に「未遂」について処罰され、特定の重大な犯罪についてのみ例外中の例外として「予備」で処罰される。この手前の、犯罪を話し合ったり計画する「共謀」の段階で処罰しようという「異次元の法体系」を導入しようとしたのが、過去3回廃案となった最大理由だ。報道では「テロ等準備罪」と名称を変えたにも関わらず、なお共謀罪の「対象犯罪が広すぎる」という議論が指摘されている。この対象範囲の絞り込みについて、その具体例示として「業務上過失致死罪」が削除対象として、政府は示しているが、元々「業務上過失致死罪」に「共謀罪」が成立するような事は物理的にありえない!つまり当初の676対象犯罪自体、吹っ掛けているのだ!今国会では、更に「300程度の絞り込み」が出てきている。対象犯罪の多さに懸念を示している公明党に配慮した形で、今後の与党内協議の行方が注目される。300程度になると、文字通り「半減」ということにはなる。過去に遡ると、3度目の廃案の後で、2007年に自民党法務部会「条約刑法検討に関する小委員会(笹川尭委員長)」で、更に「123から155」まで削減するという修正案が了承されていた。
「共謀罪」を新設する組織犯罪処罰法等の改悪案の修正作業で、自民党法務部会の「条約刑法検討に関する小委員会」(笹川尭委員長)は27日、共謀罪を「テロ等謀議罪」と変更し、対象犯罪を政府案の600以上から123-155と4、5分の1程度に絞り込んだ「修正案要綱骨子」を了承した。小委員会の早川忠孝事務局長は、修正案を近々ににも民主党側に示し、実務者レベルでの協議を進める考えを示している。
小委員会では共謀罪の名称を「テロ・組織犯罪謀議罪」と改名する事で大筋了承していたが、更に短縮する模様。一方、対象犯罪について、修正原案では116-146だったが、そこへ傷害や窃盗等を加えた。しかし、そもそも676もの対象犯罪を列挙しながら、国会提出前に「50を減らす」「300まで半減」と「バナナの叩き売り」のように、問題の本質を逸らす事自体「不届き千万」と重大問題指摘せざるを得ない。今現在でも共謀罪、陰謀罪の類は既に限定的に存在している。共謀罪は爆発物取締罰則第4条、特定秘密保護法第25条第1項(特定秘密の取扱業務従事者による同秘密の漏洩等) 第2項(特定秘密を業務により知得した者による同秘密の漏洩)等にあり、ほぼ同一の陰謀罪については、刑法第78条(内乱) 、第88条(外患誘致又は外患援助)、第93条(私戦)、破壊活動防止法第39条(政治目的のための放火)、第40条(政治目的のための騒乱等) 等がある。また何らかの準備行為を伴う予備罪については、組織的な犯罪及び犯罪収益の規制等に関する法律第6条(組織的な殺人) 第10条3項(犯罪収受等隠匿)、銃砲刀剣類所持等取締法第31条2(けん銃・小銃・機関銃又は砲の輸入)、航空機の強奪等に関する法律第3条(航空機強奪等)、化学物質の禁止及び特定物質の規制等に関する法律第40条(化学兵器の使用等)、41条(化学兵器の製造)、サリン等による人身被害の防止に関する法律第5条第3項(サリン等の発散)、41条(サリン等の製造等)、放射線を発散させて人の生命等に危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律第3条第3項(放射性物質の発散等)、第6条第3項(特定核燃料物質の輸出入等)...、等々、ほぼ完備されている。
ところが法務省によるとまだ「穴」があるという。「例えば人身売買、詐欺(刑法)、航空機の危険を生じさせる罪(航空の危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律、人質による強要等の罪(人質による強要行為等の処罰に関する法律)、営利目的の覚醒譲渡(覚醒剤取締法)には、予備罪、共謀剤等が設けられていない」と指摘している。
百歩譲って、そういったテロに関連して現存する共謀罪・陰謀罪・予備罪に穴があると言うなら、その穴のみを塞ぐ立法措置をすれば済む事。テロ等の組織犯罪を計画した段階で処罰の対象となる「共謀罪」。その構成要件を厳しくした「テロ等準備罪」を新設する法案について、金田法務大臣は「一般の人が対象になることはあり得ない」と詭弁した。しかし、その「一般の人」の定義が曖昧で、裏返せば「誰れでも一般の人以外だ」と「恣意的運用も自由自在」を自ら自白したようなものだ。政府は「小さく生んで、大きく育てる」という意味で「更に対象者・罪状も限定」する事も内々に検討しているようだ。政府は、こうした工夫を凝らして「ああテロ対策を厳重にする法案で、一般の人とは無縁のものだ」という印象を広げようとしている。「いやいや問題がある法案」だと疑問を投げかけると、「テロ対策に反対するのは非国民!」という声も出かねない。しかし実は「テロ等準備罪」という名称の本質は「テロ」ではなく「等」に込められているのではないだろうか。「テロ対策」であれば、何故「テロ準備罪」とすっきりと呼べないのでしょうか。「テロ」の後に「等」をつけることで、「テロ対策」以外の「等準備罪」と呼ぶ広い範囲で共謀罪を成立させておきたいという意図が見え見え!
かつての国会論戦を思い起こすと、そもそも日本には「共謀罪」を必要とするような社会状況(立法事実)はないというのが法務省の説明。それでは何故、共謀罪を創設するのかと問えば「国際組織犯罪条約を批准するためには共謀罪が必要だから」が真っ赤なウソツキ説明だが、この反論については、既に【劣化する安倍ファシズム政権と「リベラル野党共闘」の行程(92)《【反-共謀罪】壮大なペテン「共謀罪はテロ対策」という真っ赤なウソ》http://blog.zaq.ne.jp/yutan0619/daily/201701/22】で記載済みなので、ここでは省略する。ただ外務省自信が「政府としては納得のいく精査をしたものしか出せない。自信を持って説明できる国は限られている」と述べる等、同条約のために新たに「共謀罪」なる立法措置を行った国は極少に過ぎない事は付言しておく。(ノルウエー、ブルガリア)
我が国においては、組織犯罪集団の関与する犯罪行為については、合意により成立する犯罪を未遂前の段階で取り締まることのできる処罰規定が規定され、整備されているのであり、新たな立法を要することなく、組織犯罪の抑止が十分可能な法制度は既に確立されている。3回廃案になった経緯について、相応の理由があるということをご理解頂けただろうか。「小さく生んで大きく育てる」それは戦前も、その詭弁で「治安維持法」が大手をふった事を忘れてはならない。(参考文献-保坂展人:著/文責:民守 正義: 読者Ken Ken)
《阪神大震災:市に訴えられた被災者-復興住宅期限20年に苦悩》
阪神大震災の発生から17日で丸22年を迎える今も、兵庫県と神戸市等6市の借り上げ復興住宅には約2800世帯が住んでいる。だが同住宅は入居から20年で原則、家主に返還される制度だ。昨年5月12日の神戸地裁203号法廷。明け渡すよう神戸市から訴えられた男性が証言台に立った。「この家で終身、生活できると信じてきた。被災した時、まさか21年後に神戸市に訴えられるとは夢にも思っていませんでした」この男性は神戸市兵庫区の借り上げ復興住宅「キャナルタウンウエスト」に住む元調理師Yさん。自宅が全壊し、仮設住宅を経て1999年12月に移った。周囲の環境に慣れ、落ち着いた日々を過ごしていた。20年で返還される制度と知ったのは6年前。「入居時には書面でも口頭でも説明はなかった」と訴える。その後85歳以上や重度の身体障害者等の継続入居は認められたが、Yさんは対象外だった。
退去を拒むと昨年2月11日、訴状が届いた。訴状が届いてから睡眠導入剤が欠かせなくなった。一からやり直す自分を想像する。「何か悪い事をしたのか」。何度も自問するが、答えは出ない。
兵庫県宝塚、伊丹両市は計71世帯について無条件の継続入居を決断したが、それ以外は年齢等の条件を満たさなければ2022年までに次々と入居期限が訪れ、転居を迫られる。西宮市と大阪府豊中市は猶予期間を設けて原則転居を求めており、入居先によって格差が生じている。全壊だけでも18万世帯から住居を奪った阪神大震災。「一刻も早く住まいを」と懸命だった行政に「仮設の次の住まいの20年後」を想像する余裕はなかった。
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《社会学者イダ ヒロユキ・本ブログ管理者・民守 正義:共同呼びかけ「ヘイト右翼番組つくるDHCは買うのは止めよう!」》
《読者Ken Kenさんと管理者:民守正義との共同「安倍政権の欺瞞性暴露と共謀罪反対キャンペーン第一弾&第二弾」》
◎Ken Kenさんのタイムライン「父さん 共謀罪ってなぁに?」の写真で賛同・共感して頂く方は「いいね」を宜しくお願い致します。
◎【ご案内】映画『共謀罪、その後』第1話
https://www.youtube.com/watch?v=wp1rz9dOovE
《『戦争する国」はゴメンだ!今、教育に問われるもの」2・11集会』》
■日時 2017年2月11日(土・休)開会13:15(会場12:45)
■場所 大阪市立港区民センター
(JR環状線・地下鉄中央線「弁天町」駅、西江徒歩10分)
■講演 高嶋伸欣さん
「オリンピック・愛国心教育と『戦争する国』」(仮題)
■浪速の歌う巨人 パギやん・ミニライブ
■ティーチイン「教育に問われるもの」
■資料代700円
■主催『日の丸君が代』強制反対・不起立処分を撤回させる大阪ネット
《ブログ「リベラル広場」では次の事業も行っています。》
①職場(仕事)における労働・人権相談
(ハラスメント・メンタルヘルス等、含む)
*大阪府労働相談経験10年以上。*産業カウンセラー資格、有り。
*但しメンタルヘルスの場合、もし心療内科等に受診されている場合、または、その受診の方が望ましい場合は、当該医師の指導を優先し、カウンセリングを断る事もありますので予めご了承ください。
②採用コンサルタント。
*著作[「公正採用」と「能力発見!」採用選考のコツ]
【本ブログ:http://blog.zaq.ne.jp/yutan0619/article/27/】
*著作「採用面接」労働条件確認
【本ブログ: http://blog.zaq.ne.jp/sp/yutan0619/article/29/】
◎なお寄せていただく相談等は、とりあえず全てEメールで送信してください。
<送信先Eメールアドレス>yutan0571@yahoo.co.jp
●費用:交通費等、実費+α(若干-協議)
(民守 正義)
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