劣化する安倍ファシズム政権と「リベラル野党共闘」の行程(93)

劣化する安倍ファシズム政権と「リベラル野党共闘」の行程(93)





《【現代労働実態-あれこれ】シリーズ》

<「育児休業制度」啓発・指導等行政の実態>


 今「パタハラ」が止まない。

 「パタハラ」とは、パタニティー・ハラスメントの略。

 パタニティー(Paternity)は英語で“父性”を意味し、男性が育児参加を通じて自らの父性を発揮する権利や機会を、職場の上司や同僚等が侵害する言動に及ぶ事を、パタニティー・ハラスメントと呼ぶ。(女性の場合「マタハラ」)ただ管理者は、こうした差別表現用語を「セクハラ」等と同様、英語略語する事が、内容の本質問題より流行語のように「言葉の一人歩き」する恐れもあり、あまり良い傾向と思わないし、率直に言って反対である。しかし、とは言っても管理者も時流には勝てず、必然性や自然な流れの範囲で自らも使用を許容している。

 ところで本論に入るが、男女とも育児休業が労働者の申し出により、労働者にとっては権利・事業主にとっては義務として取得できるようになったのは2009年育児・介護休業法改正からで、法改正から10年近くなる。また育児・介護制度の普及啓発と指導監督等は実質、厚生労働省各都道府県労働局雇用均等室が所轄している。

 そこで育児休業取得率の実態だが、女性の育児休業取得率が81.5%に対して、男性の同取得率は2.65%で、男女格差は歴然とある上に男性の同取得率の伸びは「低位漸増傾向」と言わざるを得ない。その主たる要因として、管理者の労働相談の経験から言っても「男性が育児休業取得」に対する抵抗感は、本人も強く、周囲の理解等が極めて低い上に事業主の「承諾義務意識」も、殆ど普及していないのが実態である。加えて育児・介護休業法による罰則規定も、事業主の虚偽報告には20万円の過料が定められているが、実際に発動される事は、殆どない。また「育児休業取得申請」を認めなかったり、降格・減給・解雇等の「不利益処分」を与えた場合等の対応については、助言、指導、勧告をする事になっており、それにも従わないときは公表する事になっているが、これもまた「育児・介護休業法に基づく紛争解決援助制度」による「話し合い解決」に誘導し、公表に至るケースは殆どない(労働相談等関係機関連絡会議資料による)。実際にあった事例で、相当前であるが、「育児休業明け解雇」事案で、大阪労働局雇用均等室が大阪府労働事務所に「『大阪府労使紛争調整制度』による話し合い解決に移送したい」と、丸投げされた事もあった。更に根拠法令は「次世代育成支援対策推進法」(同じく雇用均等室所管)であるが、あの悪名名高い「電通」が「子育てサポート企業:認定マーク『くるみんちゃん』」を過去3回も認定されていた事にも解るように、せっかくの指導権力も及び腰で、「大企業へのインセンティブ(ドッコイショ持ち上げ)型普及啓発事業」が中心で、労働局各部も含む労働行政事情通では、「法的権力を最も使わず、そのくせ、プライドだけお高い」との揶揄は、よく聞く。要は、前述の「助言、指導、勧告」または「公表」に至る措置を積極的に取らない「雇用均等行政」もまた企業に舐められ、「低い男性育児休業取得率に反映している」と言っても言い過ぎではない。

〔具体事例1:男性部長職、育休とったら干された:転勤迫られ…退職〕

 ようやくの育休明け出勤。最初に言われたのは「席はここね。またやること決まったら言うから」。

 東京のエンターテインメント会社に勤めていた男性(41)は2013年春、育休から復帰して職場に行くと、上司にこう告げられた。

「担当が決まってないのか」と思ったが、その後、二度と仕事が回ってくることはなかった。その4カ月前までは、大勢の部下を束ねていた。

 土日も朝晩も関係なく忙しかったが、仕事が面白くて全く苦ではなかった。部長職に昇進したばかりで、もっと大きな仕事ができると思っていた矢先。積み上げてきたものを育休で全て失った。「怒りは今も続いている。この先もずっと残ると思います」男性が育休を取ったのは息子が1歳の頃。保育園の入園が決まるまでのやむを得ずの選択だった。比較的保育園に入り易い0歳の4月に入れず、妻は復職。

 男性の母を東北から呼び寄せてその年は凌いだが、それも限界だった。育休を取る前から嫌な予感はしていた。「うちの会社に育休なんてねーよ、バーカ」。(管理者:会社の大小等に関わらず育児・介護休業法により事業主は育児休業付与義務がある)

 育休を匂わせただけで上司に一蹴された。女性の方が多い会社だが「産んだら辞めれば」と冷たい目で見られる雰囲気はあった。

「嫌がらせや嫌みは会社員としてある程度覚悟していた。

 逆の立場だったら、気持ちが解らなくもないので」。

 何とか申請は通り、部長職で復帰という話で休みに入った。

 でも復帰後の仕事は雑用しかなかった。「何やればいいですか」「決まったら言うよ」の繰り返し。現場で人手が足りなくても、オフィスから出る事は許されない。徐々に雑用すらなくなった。「やる事がないって結構、辛い。『何やってんの?』と聞かれるのも辛い。前が忙しかったから余計にです」育休を取ると干される―。周りはざわついたが助けてはくれなかった。午前10時から午後6時まで、ひたすら机に向かって座っているだけの日々が半年ほど続いた。そして秋。人事担当に呼ばれると突然、北海道への転勤を告げられた。グループ会社はあるが、本社から行った人は1人もいない。現実的な話ではなかった。「なぜ俺なんですか。育休取ったから辞めて欲しいんですか。育休取ったから仕事を与えずに干し続けたし、全て育休ですよね!」。

 詰め寄ると、相手はあっさりと認めた。「北海道行くか辞めるか。行かないならクビだから」。悔しくてその場で泣いた。

 育休を取っただけでこうなるなんて、納得がいかなかった。

 嫌な予感がした日から、育休関係の話は全て録音していた。

「パタハラ(パタニティー・ハラスメント)という言葉は知らなかったけど、育休での不利益は違法と知っていた。証拠は残しておこうと思って」。会社を辞め、自分は悪くないと証明したくて労働審判を申し立てた。決着が付かず、裁判を起こした。

 2年争い、会社が損害賠償金を支払うことで和解した。

 今は転職したが、前職とは全然違う単純作業だ。定時で働き、保育園の送迎や寝かしつけまで1人でこなす。妻が帰宅する頃には子供と寝ている。保育園の先生も保護者も男性の境遇は知らない。

 保護者会で、父親同士で仕事の話になるとついて行けない。

 時間を気にせず、自分の好きな仕事をできている多くの父親達。

「子供との幸せもある」と言い聞かせるが、バリバリ仕事をしている周りの男性達がやっぱり羨ましい。

〔追い詰められ「育休とらなきゃよかった…」〕

 スポーツ関係の会社に勤める男性は昨年春、約1年の育休から復帰すると、子会社への出向を命じられた。

 業務内容は赴任日直前まで明かされず、行ってみたら、倉庫での肉体労働が待っていた。仕事は、重たい製品が入った段ボールをトラックから降ろす作業だった。正社員として入社5年目。マーケティングや総務の仕事をしてきた。育休前から上司とそりは合わず、育休の相談をすると「奥さんが働かないといけないの?」と嫌みを言われた。

 出向先は契約社員やアルバイトばかり。「左遷だ」と感じた。

「育休をとらなきゃよかった。子供がいなきゃよかった」。

 そんな事を考えるほど、精神的にも追い詰められた。行政機関に相談しても状況は変わらなかったが、弁護士を介し約3カ月で親会社には戻れた。だが以前の仕事はなく、今は1日パソコンを眺めているだけだ。

 給料は出ているが、ただただ虚しい。「会社は『辞めます』の一言を待っている。飼い殺しだ」(文責:民守 正義)



 <労働環境整備のILO189条約「日本批准わずか49」OECD平均以下>

 世界各国の労働者の待遇改善を目指す国際労働機関(ILO)が、労働環境整備の国際的なルールとして定めた条約(ILO条約)の内、日本は1/4しか批准していない事が分かった。

 批准した条約は国内で拘束力を持ち、国内法の整備を求められる。

 批准が進まないことで、先進国で定着している国際標準の労働法制の整備が遅れ、長時間労働がはびこる要因になっている。ILO条約は189(撤回され効力を失った5条約を含む)あり、経済協力開発機構(OECD)加盟国平均の批准数74に比べ日本は49に留まる。

 ILOが重要と位置付ける8条約は加盟187カ国中、欧州連合(EU)加盟国を含む140カ国が批准しているが、日本は「雇用および職業についての差別待遇の禁止」と「強制労働の廃止」を求める二つの条約が未批准のままだ。政府は、この未批准理由を「国内法整備が、まだ不十分だから」と「共謀罪」必要理由の逆類似をあげつらっているが、この二つの条約は「国内法整備に努力する」事を求めているのであって、「国内法整備の完成」を求めていない。現に「雇用・職業の差別待遇」や「強制労働」等で有名な南アフリカ共和国も既に批准している。そうか!政府は「日本は『雇用・職業の差別待遇』は南アフリカ共和国よりも酷くて、とても恥ずかしくて批准できない」と言うのか!「労働時間」に関する条約は現在18が有効だが、日本は一つも批准していない。18条約には、工業労働者の労働時間を一日8時間、週48時間と定めたり、労働時間を週40時間に短縮する事を掲げる等、労働時間規制の国際的な基本ルールとされてきたものが含まれる。

 日本の労働基準法は、労働時間を原則で一日8時間、週40時間までと規定するが、EU加盟国が週48時間の上限を厳格に定めているのに対し、規制を事実上外すことができる三六条の労使協定(サブロク協定)があり、EU加盟国に比して、事実上のザル法といわれており、これが日本の過労死-長時間労働の温床と批判されている。条約の未批准の真の理由は、このザル法「抜け穴」の温存にあると見られている。(参考文献-東京新聞/文責:民守 正義)



 <上位8人資産、下位50%と同額:貧富の格差拡大でNGO警告>

 国際非政府組織(NGO)オックスファムは16日、世界で最も裕福な8人と、世界人口の内、経済的に恵まれていない半分に当たる36億7500万人の資産額が、ほぼ同じだとする報告書を発表した。貧富の格差拡大は社会の分断を招き、貧困撲滅の取り組みを後退させると警告。政府や大企業に「人道的な経済」の確立を求めた。

 報告書は、8人の資産が計4260億ドル(約48兆7千億円)に上り、世界人口73億5千万人の半分の合計額に相当すると指摘。1988年から2011年にかけ、下位10%の収入は年平均3ドルも増えていないのに対し、上位1%は182倍になったとしている。



  <最低賃金:無知につけ込む安バイト/高校生アンケート>

 高校生の皆さん、給与が最低賃金を下回った場合は労働者が使用者に差額を請求できる事を知っていますか-。

 毎日新聞が全国の19高校の生徒にアンケートしたところ、約6割が知らないと答え、最低賃金が毎年秋に改定される事も7割以上が知らなかった。厚生労働省調査(2015~16年)でアルバイト経験のある高校生は46%に上るが、最低賃金制度の知識がないまま働く若者が多い実態が浮かんだ。昨年9~11月、今年度のNIE(教育に新聞を)実践指定校から定時制を含む19校を選んで調査した。所在地は北海道▽岩手▽栃木▽埼玉▽千葉▽東京▽神奈川▽新潟▽愛知▽三重▽滋賀▽京都▽大阪▽兵庫▽広島▽愛媛▽福岡▽熊本。1~4年生1268人(男561人、女707人)から回答を得た。この内472人にバイト経験があった。最低賃金制度の認識を問うと、79%が「知っている」と回答。金額が都道府県毎に決められている事を知っているのは59%だった。バイト経験者に限ると、各々92%と77%に高まった。ところが制度の詳細を問うと認知度は低下。

 給与が最低賃金を下回った場合に差額を請求できることは64%、金額が毎年秋に改定されている事は76%が「知らない」と答えた。

 バイト経験者でも各々55%と57%が知らなかった。バイト経験者で給与と最低賃金の額を比べた事がある人は44%に留まり、勤務地の最低賃金額を2割が知らなかった。またバイト経験者の3%は「最低賃金未満の給与で働いた事がある」と答えた。研修中や見習い期間を理由に正規の時給より低くされたという回答もあったが、最低賃金法は、こうした減額も原則的に禁じている。岩手の女子生徒(3年)は「最低賃金が695円なのに時給は615円だった」、京都の女子生徒(2年)は「時給700円と言われて安いと思ったが、初めてのバイトだったので納得していた」と回答した。

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《社会学者イダ ヒロユキ・本ブログ管理者・民守 正義:共同呼びかけ「ヘイト右翼番組つくるDHCは買うのは止めよう!」》



《読者Ken Kenさんと管理者:民守正義との共同「安倍政権の欺瞞性暴露と共謀罪反対キャンペーン第一弾&第二弾」》

◎Ken Kenさんのタイムライン「父さん 共謀罪ってなぁに?」の写真で賛同・共感して頂く方は「いいね」を宜しくお願い致します。

◎【ご案内】映画『共謀罪、その後』第1話

https://www.youtube.com/watch?v=wp1rz9dOovE



  《ブログ「リベラル広場」では次の事業も行っています。》

職場(仕事)における労働・人権相談

(ハラスメント・メンタルヘルス等、含む)

*大阪府労働相談経験10年以上。*産業カウンセラー資格、有り。

*但しメンタルヘルスの場合、もし心療内科等に受診されている場合、または、その受診の方が望ましい場合は、当該医師の指導を優先し、カウンセリングを断る事もありますので予めご了承ください。

②採用コンサルタント。

*著作[「公正採用」と「能力発見!」採用選考のコツ]

【本ブログ:http://blog.zaq.ne.jp/yutan0619/article/27/】

*著作「採用面接」労働条件確認

【本ブログ: http://blog.zaq.ne.jp/sp/yutan0619/article/29/】

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(民守 正義)