劣化する安倍ファシズム政権と「リベラル野党共闘」の行程(65)
劣化する安倍ファシズム政権と「リベラル野党共闘」の行程(65)
《「労働問題」関連集:解説・コメント付き》
<最低賃金:2年未満退職に「罰」研修費を違法請求>
〔最低賃金下回る雇用後…都内企業〕
最低賃金を下回る給与で働かされている中小企業労働者の比率(未満率)が、東京、大阪で5%を超えた。政府は大企業を中心に賃上げが続いている事を強調するが、非正規労働者を中心に置き去りにされた労働者も少なくない。
〔「10日以内にお支払いが無いときは、法的手続きを取らせて頂く場合もあります」〕
埼玉県在住の女性の自宅に昨年11月、内容証明郵便が届いた。
送り主は、前月まで勤めていた都内のヨガ教室経営会社。
上司のパワーハラスメントに悩んだ女性が退社の意向を伝えると、会社は社内研修の受講料の支払いを求めてきた。
1時間3500円で計14万円。短期間で退職した事へのペナルティーだった。無視すると約3週間後に簡裁から督促文書が届いた。
その会社には昨年10月、アルバイトで入った。
当時は専門学校生で、就職活動で苦戦する中、ようやく得た職場だった。研修が終われば正社員への道が開ける。
「やっと拾ってもらった」。頑張ろうと決心した。
都内の店舗に配属され、時給は870円。
都の最低賃金(当時907円)未満だった事は後で知った。
受付等の仕事をしながら、ヨガインストラクターになるための社内研修を受けた。頑張ろうと決意したのも束の間、店長の高圧的な態度に悩む。部下を1時間怒鳴り続ける男性社員もいた。働くのが怖い。
同時期に採用された3人が相次いで辞め、自身も10月末に退社の意向を伝えた。会社が本性を現したのはそれからだ。
直後に電話があり、研修の受講料を請求された。
入社時、2年以上勤めなければ受講料を支払うとの書類にサインさせられていた。拒んだが請求はやまない。会社の電話番号を着信拒否にしても、別の番号で掛けてきた。部長を名乗る人物は「内容証明が届きますのでよろしく」と告げ、一方的に切った。連合非正規労働センターの石田輝正局長は、こうした請求が、労働契約の不履行について違約金を定める事を禁じた労働基準法に違反すると指摘する。
「退職の自由を奪う行為で許されない」女性は個人加盟労組に助けを求めた。会社は「急に辞めた女性が悪い」と主張していたが、労組が違法性を追及すると、平謝りに転じた。受講料請求を取り下げ、最低賃金に満たない不足分の給与も支払った。女性は今、女性向けのマッサージ店で働いている。「法律を守らない会社はとことん守らない。会社を疑わない人ほど、損をさせられている」
【本件に関する法的問題点・コメント】
①内容証明で驚くな!
管理者は労働相談事業も行っているが、請求行為を「内容証明で送り付けられた」との相談が、たまにあるが、「内容証明」とは「差出人,受取人,郵便局が各々が受領・保管する事によって、いかなる内容の郵便物を出したかが証明される」だけの事であって、請求内容に法的正当性を証明する者でなければ、内容証明郵便を無視した事が、直ちに支払い義務を生じるものではない。いわば請求行為がグレードアップしたものと思っても差し支えない。ただ主に「内容証明郵便」送付は、請求訴訟手続きの前段措置として行われる事が多い事は知っておいた方が良い。
②研修費・技術料等の使用者請求は支払わなければならないか?
先ず「入社時、2年以上勤めなければ受講料を支払う」との契約は「労働基準法第16条:労働契約の不履行について違約金を定め、または損害賠償額を予定する契約をしてはならない」との規定により、本件契約行為自体が違法で無効。当然、支払う必要ない。
そこで前記「違法契約」は無く、早期退職を理由に「研修費・技術料等」を請求された場合は、どうかであるが、新入社員教育のように、業務命令や拘束性が強い場合は支払う必要はない。但し、労働者の自由意思・裁量によるもので業務の必要性・関連性等も低い場合は「消費貸借契約」と見做され返還義務が生じる。この種の「違法契約or違法請求」の労働相談は、世間知らずに付け込んだ若者に多い相談である。
③支払い督促について
先ず、正式な支払い督促は「『特別送達』という書留のように受取人(本人や同居の方)のサインを求める郵便で管轄簡易裁判所の名前入りの封筒で送付される」。これ以外の「標題だけ『支払い督促』と記した『支払い督促なる書類』は使用者が勝手に偽造した『架空請求』の可能性が強く、無視または警察への被害届を出した方が良い。
もし「本物-支払い督促」の場合は、同封の「支払督促異議申立書」により異議申立てすべきである。もし無視すると「自動的に裁判に敗訴-強制執行されてしまう」。なお「支払督促異議申立書」による異議申立てに合わせて被請求者から「債務不存在確認訴訟」を提訴する事も可能で、一般的に、この段階になると最低、弁護士相談(法テラス・弁護士会)を行った方がいい。
④上司のパワハラ・常軌を逸した叱責等について
一般通説として、具体的に労働契約書等に明記されてなくても「使用者は善良な職場環境の管理の義務がある」と解されている。
従って「上司のパワハラ・常軌を逸した叱責等により精神的苦痛を被った」として「損害賠償請求訴訟」を提起する事は可能である。
余談であるが「法的明文規定が無くとも、法の趣旨に鑑みて~と解するのが適当である」という法理は、よく使われており、安倍政権の「核兵器の保有も明文規定が無いから可能」は、憲法9条の趣旨解釈から言って、明らかに幼稚な間違いである。
〔時給違反の看板も〕
「最低賃金」への認識は薄い。東京都豊島区の巣鴨地蔵通り商店街。
料理店に「急募!時給900円」の張り紙があった。男性店長は「仕事ができるようになるまでは850円です」。都の最低賃金が932円と知っているか聞くと「細かいところは…」と言葉を濁した。額は他店を参考にしたという。「最低賃金は800円台と思っていた。皆も知らないのでは」東京労働局の担当者は「問題のある業者は重点的に調査、指導したい」と話す。 ただ日弁連貧困問題対策本部の小川英郎弁護士は「最低賃金は国が罰則をもって強制しており、下回る雇用は犯罪だ。ところが申告がないと労働基準監督署は違反を把握できず、事業者は『どうせ調べに来ない』と高を括っている」と指摘する。ただ管理者も大阪労働局とも知人が多いが、「最賃違反の摘発は結構、厳しい」事は知っておくべきだ。(文責:民守 正義)
<宿直者の仮眠も「労働時間」労基署が兵庫・西宮市に是正勧告>
兵庫県西宮市は12月15日、市役所や支所で宿直する衛士の仮眠時間を労働時間に含めていなかったとして、西宮労働基準監督署から是正勧告を受けたと発表した。同様の勤務体系だった養護老人ホームも含め、計22人の非常勤嘱託職員らに差額分の1170万円分を支払う。同市によると、勧告は8月5日付。市は市役所等で閉庁時間に宿直勤務している衛士の労働時間について、午後10時〜翌朝午前6時の仮眠時間は休憩時間としていたが、労基署は「いつ起こされ、就労の必要が生じるか分からない待機時間」と判断。仮眠時間も労働時間とみなし「1時間当たりの報酬額が兵庫県の最低賃金(819円)を下回り、最低賃金法違反に当たる」とした。市は賃金請求権がある過去2年間分に遡って、衛士らに報酬の差額を支払うという。
【本件に関する法的問題点・コメント】
◎一般的に仮眠時間や手待ち時間であっても、いつでも業務に対応すべき拘束性のある場合は、労働時間と見做され当然に、これに伴う残業代や深夜手当等が発生する場合は、使用者は、その支払い義務を負う。
但し深夜労働等で、「休息時間として与えられた仮眠時間(拘束性無し)」の場合は、賃金支払い義務は発生しない。コメントとして「賃金発生の根本理由」は「人(使用者)が人(労働者)を拘束し、業務命令に服させる代償措置」としてあるもので、「残業代ボッタクリ法案」は、その人権の視点を根本から覆す「人権蹂躙・非道法案」と評さざるを得ない。また役所が「労基法違反」は結構、多く、地方公務員は「原則-労基法適用:一部例外規定有り」を知らず「公務員だから労基法は関係ない」と思い込んでいる役所当局も多い。
恥ずかしい話、大阪府も何度か労基署の行政指導を受けているが、特に雇用推進室という労働行政の中心セクションが「非常勤職員の有給休暇」で行政指導を受けたという大失態をして隠密にしている事がある。(参考文献-神戸新聞/文責:民守 正義)
<〔ブラック企業訴訟〕3年闘った女性「勇気出し声上げて」>
違法な長時間労働を強制された等として、20代の元従業員の男女6人が、仙台市青葉区のマッサージ師派遣会社「REジャパン」=昨年3月に破産=の会社役員らに約3600万円の損害賠償を求めた訴訟は11月9日、仙台地裁で和解が成立した。
3年間に及ぶ裁判を闘った原告の女性は「一人で思い悩まずに勇気を出して声を上げてほしい」と訴えた。女性は2010年4月に入社。
宮城県内のホテル等でマッサージやエステの施術師として働いた。
しかし間もなくして、入社前の会社側の説明と勤務実態が違う事に気が付いた。求人によると勤務時間は午後4〜11時となっていたが、実際は午後1時からの朝礼への参加や不払い残業を強いられた。
そして確定申告をした際に源泉徴収票を見て、自分が正社員ではなく、個人事業主として扱われる「外交員」だったことに気がついた。
社会保険にも加入していなかった。上司からの激しいパワハラ被害にも苦しんだ。月約50万円のノルマを課せられ、それに見合う1日の売り上げを達成できなかった場合、朝礼で接客マニュアルを全従業員の前で暗唱させられた。社長室に呼び出され、複数の上司に「売り上げが悪い理由を考えろ」と責められたこともあった。女性は13年5月頃、「会社を辞めたい」と申し出たが、社長は取り合わなかった。
「社長は『人は宝だ』と言っていたが、大事にされたと感じた事は一度もなかった」。他人との会話を苦痛に感じるようになり、全身の倦怠感に苦しんだ。13年7月に退職した。その後、労働問題に取り組むNPO法人POSSE(ポッセ)等の支援を受け、元同僚と一緒に同11月に提訴。
会社側への怒りから始めた裁判だったが、次第に「同じ思いをしている仲間の励みになれたら」との思いが強くなっていった。
そして提訴から約3年後の先月、会社側からの解決金と文書による謝罪を勝ち取った。大手広告代理店・電通の新入社員が過労自殺した事等を受け、ブラック企業の問題に注目が集まる。女性は言う。
「ブラック企業で苦しんでいる人達に『一人じゃないよ』と伝えたい。勇気を出して相談すれば、必ず誰かが助けてくれる。絶対に命を無駄にしないでほしい」
【本件に関する法的問題点・コメント】
①労働契約内容の確定について
先ず労働条件等の実際の労働契約締結内容は、採用面接等で、求職者・求人者双方が具体的に確認し合ったものが「確定した労働契約内容」であって、求人票や求人広告等に記載されている労働条件等は「目安の労働条件の例示」であって、その「目安の労働条件の例示」が、そのまま「確定した労働契約内容」にはならない。なお使用者は労働者に対して、主要な労働条件内容を明示した書面(雇入れ通知書)を交付しなければならないことになっている。(労基法15条)
ところが本規定は、まだまだ周知徹底されていないのが実情である。
また採用面接の際に求職者が「賃金や休暇等について、とやかく聞くのは心証を悪くしないだろうか」と曖昧にしたまま労働契約を締結してしまう場合もあるが、逆に、そうした重要労働条件等を曖昧にして、後で「思っていたのと違う」と不満をもっても、それを是正するには本件事案のように、相当のエネルギー・心労を要する。逆に主要な労働条件等を尋ねられて、求人者が「不愉快・鬱陶しい」表情を露わにするようでは、そもそも「労働関係法令遵守の意識が低い」と逆に評価して、むしろ求職者から、そうした求人企業はトラブル防衛のためにも避けた方がよい。
②採用面接等で確認した労働条件内容と実際の労働条件等と著しく異なる場合は、二つの対抗策がある。
一つは「即時解除権(労基法第15条2項)」と言って直ちに退職する方法である。通常、労働者側から退職意思表示する場合は2週間前に使用者に退職通告する事で、2週間後に労働契約は消滅する(民法第627条1項)。もし2週間も待たずして退職した事に起因して、使用者に明確な損害を与えた場合は、その損害賠償の責を負う。しかし「労働条件が著しく異なる」事による「即時解除権」行使の場合は、その損害賠償責任も負わない。もう一つは民事訴訟・労働審判等による法的手段または一人でも入れる労働組合=合同労組に加入し、団体交渉により是正を求める方法がある。
③労働者か、個人事業主か?
あたかも「労働者募集」を装いながら、実は「個人事業主」であって社会保険・雇用保険未加入であったとの労働相談は、宅配業や保険外交員・訪問販売等で多い。個人事業主か、労働者かの判断は「使用従属性の有無」で判断され、「使用従属性有り」であれば労働者という事になり、それは「業務委託契約書」の様な標題が記されていても、実態で判断されるのが一般的である。「使用従属性」の具体的要素は以下の通り。
•仕事の依頼・業務従事の指示等に対する諾否の自由がない
•業務遂行上の指揮監督の程度が強い
•勤務場所・勤務時間が拘束されている
•報酬の労務対償性がある
※報酬が、仕事の成果ではなく働いたことそのものに対するものである場合や、報酬が時間給や日給によって定められているような場合を指す。
•機械・器具が会社負担によって用意されている
•報酬の額が一般従業員と同一である
•専属性がある
※「その会社の仕事しかしない」というような場合を指す。
逆に個人事業主と判断される場合は、おおよそ上記「使用従属性」がない場合であるが、いずれにしても上記「使用従属性」の要素を総合的に考慮して判断される。なお上記「労働者定義」は、労働基準法上の「労働者」であって、個人事業主であっても請負元との関係で「専属的で、実質的に業務命令も専属的に行われている場合」「報酬が成果への報酬よりも労働の対価としての要素が強い事」「企業等の組織の組み入れがされている場合」等がある場合は、労働組合法上の「労働者」と見做され「労働組合を結成し、団体交渉権、争議権等の労働組合法上の権利」を有する。(文責:民守 正義)
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《読者:佐藤 眞一さん提供「アベ政治ノー・取手集会(2016年12月17日)」》
www.facebook.com/100000203255545/videos/1587821511234609/
【ご案内】
《政府と米軍、オスプレイに蹂躙される高江…「オスプレイ墜落事故後、飛行強行」》
オスプレイ墜落事故から僅か6日後、沖縄県民、国民の反対を押しきり、米軍と米軍追随の安倍政権はオスプレイの飛行を強行した。北部訓練場一部の "返還" と引き換えに米軍が要求したオスプレイ訓練場、政府は地元住民の反対を機動隊の暴力で弾圧し、東村高江に整備した。高江の民家上空数十メートルを、騒音を轟かせて超低空飛行する太い図体のオスプレイ。まさに "一触墜落" 大惨事の状況にある。これは東村高江地区でのオスプレイの飛行訓練の実態と地元住民の運動の記録である。(クローズアップ現代から)
https://www.facebook.com/kitamuratetsurou/videos/712297165595199/
《ブログ「リベラル広場」では次の事業も行っています。》
①職場(仕事)における労働・人権相談
(ハラスメント・メンタルヘルス等、含む)
*大阪府労働相談経験10年以上。*産業カウンセラー資格、有り。
*但しメンタルヘルスの場合、もし心療内科等に受診されている場合、または、その受診の方が望ましい場合は、当該医師の指導を優先し、カウンセリングを断る事もありますので予めご了承ください。
②採用コンサルタント。
*著作[「公正採用」と「能力発見!」採用選考のコツ]
【本ブログ:http://blog.zaq.ne.jp/yutan0619/article/27/】
*著作「採用面接」労働条件確認
【本ブログ: http://blog.zaq.ne.jp/sp/yutan0619/article/29/】
◎なお寄せていただく相談等は、とりあえず全てEメールで送信してください。
<送信先Eメールアドレス>yutan0571@yahoo.co.jp
●費用:交通費等、実費+α(若干-協議)
《在日女性監督朴壽南(パク・スナム、81歳)の最新作ドキュメンタリー『沈黙』完成と全国上映に向けてご支援下さい!》
2016ソウル国際女性映画祭出品、監督朴壽南(パク・スナム、81歳)の最新作『沈黙』。
「慰安婦」被害者15名の密着記録と現在をつなぐドキュメンタリー全国上映に向け完成・配給宣伝費用にお力を貸して下さい!
◎2016年9月30日 映画『沈黙』は、韓国DMZ国際ドキュメンタリー映画祭にて<特別賞>を受賞しました!しかし資金不足のため、音楽やサウンド編集を完成させる事が出来ず、ソウル映画祭では<限定版>として上映、日本公開のためには日本語字幕・サウンド編集の製作費、配給宣伝費用が必要です。ぜひ皆様のお力をお貸し下さい!
*詳しくはHP「在日女性監督朴壽南(パク・スナム、81歳)の最新作ドキュメンタリー『沈黙』完成と全国上映に向けてご支援下さい!」
【https://motion-gallery.net/projects/silence】をご参照ください。
《「労働問題」関連集:解説・コメント付き》
<最低賃金:2年未満退職に「罰」研修費を違法請求>
〔最低賃金下回る雇用後…都内企業〕
最低賃金を下回る給与で働かされている中小企業労働者の比率(未満率)が、東京、大阪で5%を超えた。政府は大企業を中心に賃上げが続いている事を強調するが、非正規労働者を中心に置き去りにされた労働者も少なくない。
〔「10日以内にお支払いが無いときは、法的手続きを取らせて頂く場合もあります」〕
埼玉県在住の女性の自宅に昨年11月、内容証明郵便が届いた。
送り主は、前月まで勤めていた都内のヨガ教室経営会社。
上司のパワーハラスメントに悩んだ女性が退社の意向を伝えると、会社は社内研修の受講料の支払いを求めてきた。
1時間3500円で計14万円。短期間で退職した事へのペナルティーだった。無視すると約3週間後に簡裁から督促文書が届いた。
その会社には昨年10月、アルバイトで入った。
当時は専門学校生で、就職活動で苦戦する中、ようやく得た職場だった。研修が終われば正社員への道が開ける。
「やっと拾ってもらった」。頑張ろうと決心した。
都内の店舗に配属され、時給は870円。
都の最低賃金(当時907円)未満だった事は後で知った。
受付等の仕事をしながら、ヨガインストラクターになるための社内研修を受けた。頑張ろうと決意したのも束の間、店長の高圧的な態度に悩む。部下を1時間怒鳴り続ける男性社員もいた。働くのが怖い。
同時期に採用された3人が相次いで辞め、自身も10月末に退社の意向を伝えた。会社が本性を現したのはそれからだ。
直後に電話があり、研修の受講料を請求された。
入社時、2年以上勤めなければ受講料を支払うとの書類にサインさせられていた。拒んだが請求はやまない。会社の電話番号を着信拒否にしても、別の番号で掛けてきた。部長を名乗る人物は「内容証明が届きますのでよろしく」と告げ、一方的に切った。連合非正規労働センターの石田輝正局長は、こうした請求が、労働契約の不履行について違約金を定める事を禁じた労働基準法に違反すると指摘する。
「退職の自由を奪う行為で許されない」女性は個人加盟労組に助けを求めた。会社は「急に辞めた女性が悪い」と主張していたが、労組が違法性を追及すると、平謝りに転じた。受講料請求を取り下げ、最低賃金に満たない不足分の給与も支払った。女性は今、女性向けのマッサージ店で働いている。「法律を守らない会社はとことん守らない。会社を疑わない人ほど、損をさせられている」
【本件に関する法的問題点・コメント】
①内容証明で驚くな!
管理者は労働相談事業も行っているが、請求行為を「内容証明で送り付けられた」との相談が、たまにあるが、「内容証明」とは「差出人,受取人,郵便局が各々が受領・保管する事によって、いかなる内容の郵便物を出したかが証明される」だけの事であって、請求内容に法的正当性を証明する者でなければ、内容証明郵便を無視した事が、直ちに支払い義務を生じるものではない。いわば請求行為がグレードアップしたものと思っても差し支えない。ただ主に「内容証明郵便」送付は、請求訴訟手続きの前段措置として行われる事が多い事は知っておいた方が良い。
②研修費・技術料等の使用者請求は支払わなければならないか?
先ず「入社時、2年以上勤めなければ受講料を支払う」との契約は「労働基準法第16条:労働契約の不履行について違約金を定め、または損害賠償額を予定する契約をしてはならない」との規定により、本件契約行為自体が違法で無効。当然、支払う必要ない。
そこで前記「違法契約」は無く、早期退職を理由に「研修費・技術料等」を請求された場合は、どうかであるが、新入社員教育のように、業務命令や拘束性が強い場合は支払う必要はない。但し、労働者の自由意思・裁量によるもので業務の必要性・関連性等も低い場合は「消費貸借契約」と見做され返還義務が生じる。この種の「違法契約or違法請求」の労働相談は、世間知らずに付け込んだ若者に多い相談である。
③支払い督促について
先ず、正式な支払い督促は「『特別送達』という書留のように受取人(本人や同居の方)のサインを求める郵便で管轄簡易裁判所の名前入りの封筒で送付される」。これ以外の「標題だけ『支払い督促』と記した『支払い督促なる書類』は使用者が勝手に偽造した『架空請求』の可能性が強く、無視または警察への被害届を出した方が良い。
もし「本物-支払い督促」の場合は、同封の「支払督促異議申立書」により異議申立てすべきである。もし無視すると「自動的に裁判に敗訴-強制執行されてしまう」。なお「支払督促異議申立書」による異議申立てに合わせて被請求者から「債務不存在確認訴訟」を提訴する事も可能で、一般的に、この段階になると最低、弁護士相談(法テラス・弁護士会)を行った方がいい。
④上司のパワハラ・常軌を逸した叱責等について
一般通説として、具体的に労働契約書等に明記されてなくても「使用者は善良な職場環境の管理の義務がある」と解されている。
従って「上司のパワハラ・常軌を逸した叱責等により精神的苦痛を被った」として「損害賠償請求訴訟」を提起する事は可能である。
余談であるが「法的明文規定が無くとも、法の趣旨に鑑みて~と解するのが適当である」という法理は、よく使われており、安倍政権の「核兵器の保有も明文規定が無いから可能」は、憲法9条の趣旨解釈から言って、明らかに幼稚な間違いである。
〔時給違反の看板も〕
「最低賃金」への認識は薄い。東京都豊島区の巣鴨地蔵通り商店街。
料理店に「急募!時給900円」の張り紙があった。男性店長は「仕事ができるようになるまでは850円です」。都の最低賃金が932円と知っているか聞くと「細かいところは…」と言葉を濁した。額は他店を参考にしたという。「最低賃金は800円台と思っていた。皆も知らないのでは」東京労働局の担当者は「問題のある業者は重点的に調査、指導したい」と話す。 ただ日弁連貧困問題対策本部の小川英郎弁護士は「最低賃金は国が罰則をもって強制しており、下回る雇用は犯罪だ。ところが申告がないと労働基準監督署は違反を把握できず、事業者は『どうせ調べに来ない』と高を括っている」と指摘する。ただ管理者も大阪労働局とも知人が多いが、「最賃違反の摘発は結構、厳しい」事は知っておくべきだ。(文責:民守 正義)
<宿直者の仮眠も「労働時間」労基署が兵庫・西宮市に是正勧告>
兵庫県西宮市は12月15日、市役所や支所で宿直する衛士の仮眠時間を労働時間に含めていなかったとして、西宮労働基準監督署から是正勧告を受けたと発表した。同様の勤務体系だった養護老人ホームも含め、計22人の非常勤嘱託職員らに差額分の1170万円分を支払う。同市によると、勧告は8月5日付。市は市役所等で閉庁時間に宿直勤務している衛士の労働時間について、午後10時〜翌朝午前6時の仮眠時間は休憩時間としていたが、労基署は「いつ起こされ、就労の必要が生じるか分からない待機時間」と判断。仮眠時間も労働時間とみなし「1時間当たりの報酬額が兵庫県の最低賃金(819円)を下回り、最低賃金法違反に当たる」とした。市は賃金請求権がある過去2年間分に遡って、衛士らに報酬の差額を支払うという。
【本件に関する法的問題点・コメント】
◎一般的に仮眠時間や手待ち時間であっても、いつでも業務に対応すべき拘束性のある場合は、労働時間と見做され当然に、これに伴う残業代や深夜手当等が発生する場合は、使用者は、その支払い義務を負う。
但し深夜労働等で、「休息時間として与えられた仮眠時間(拘束性無し)」の場合は、賃金支払い義務は発生しない。コメントとして「賃金発生の根本理由」は「人(使用者)が人(労働者)を拘束し、業務命令に服させる代償措置」としてあるもので、「残業代ボッタクリ法案」は、その人権の視点を根本から覆す「人権蹂躙・非道法案」と評さざるを得ない。また役所が「労基法違反」は結構、多く、地方公務員は「原則-労基法適用:一部例外規定有り」を知らず「公務員だから労基法は関係ない」と思い込んでいる役所当局も多い。
恥ずかしい話、大阪府も何度か労基署の行政指導を受けているが、特に雇用推進室という労働行政の中心セクションが「非常勤職員の有給休暇」で行政指導を受けたという大失態をして隠密にしている事がある。(参考文献-神戸新聞/文責:民守 正義)
<〔ブラック企業訴訟〕3年闘った女性「勇気出し声上げて」>
違法な長時間労働を強制された等として、20代の元従業員の男女6人が、仙台市青葉区のマッサージ師派遣会社「REジャパン」=昨年3月に破産=の会社役員らに約3600万円の損害賠償を求めた訴訟は11月9日、仙台地裁で和解が成立した。
3年間に及ぶ裁判を闘った原告の女性は「一人で思い悩まずに勇気を出して声を上げてほしい」と訴えた。女性は2010年4月に入社。
宮城県内のホテル等でマッサージやエステの施術師として働いた。
しかし間もなくして、入社前の会社側の説明と勤務実態が違う事に気が付いた。求人によると勤務時間は午後4〜11時となっていたが、実際は午後1時からの朝礼への参加や不払い残業を強いられた。
そして確定申告をした際に源泉徴収票を見て、自分が正社員ではなく、個人事業主として扱われる「外交員」だったことに気がついた。
社会保険にも加入していなかった。上司からの激しいパワハラ被害にも苦しんだ。月約50万円のノルマを課せられ、それに見合う1日の売り上げを達成できなかった場合、朝礼で接客マニュアルを全従業員の前で暗唱させられた。社長室に呼び出され、複数の上司に「売り上げが悪い理由を考えろ」と責められたこともあった。女性は13年5月頃、「会社を辞めたい」と申し出たが、社長は取り合わなかった。
「社長は『人は宝だ』と言っていたが、大事にされたと感じた事は一度もなかった」。他人との会話を苦痛に感じるようになり、全身の倦怠感に苦しんだ。13年7月に退職した。その後、労働問題に取り組むNPO法人POSSE(ポッセ)等の支援を受け、元同僚と一緒に同11月に提訴。
会社側への怒りから始めた裁判だったが、次第に「同じ思いをしている仲間の励みになれたら」との思いが強くなっていった。
そして提訴から約3年後の先月、会社側からの解決金と文書による謝罪を勝ち取った。大手広告代理店・電通の新入社員が過労自殺した事等を受け、ブラック企業の問題に注目が集まる。女性は言う。
「ブラック企業で苦しんでいる人達に『一人じゃないよ』と伝えたい。勇気を出して相談すれば、必ず誰かが助けてくれる。絶対に命を無駄にしないでほしい」
【本件に関する法的問題点・コメント】
①労働契約内容の確定について
先ず労働条件等の実際の労働契約締結内容は、採用面接等で、求職者・求人者双方が具体的に確認し合ったものが「確定した労働契約内容」であって、求人票や求人広告等に記載されている労働条件等は「目安の労働条件の例示」であって、その「目安の労働条件の例示」が、そのまま「確定した労働契約内容」にはならない。なお使用者は労働者に対して、主要な労働条件内容を明示した書面(雇入れ通知書)を交付しなければならないことになっている。(労基法15条)
ところが本規定は、まだまだ周知徹底されていないのが実情である。
また採用面接の際に求職者が「賃金や休暇等について、とやかく聞くのは心証を悪くしないだろうか」と曖昧にしたまま労働契約を締結してしまう場合もあるが、逆に、そうした重要労働条件等を曖昧にして、後で「思っていたのと違う」と不満をもっても、それを是正するには本件事案のように、相当のエネルギー・心労を要する。逆に主要な労働条件等を尋ねられて、求人者が「不愉快・鬱陶しい」表情を露わにするようでは、そもそも「労働関係法令遵守の意識が低い」と逆に評価して、むしろ求職者から、そうした求人企業はトラブル防衛のためにも避けた方がよい。
②採用面接等で確認した労働条件内容と実際の労働条件等と著しく異なる場合は、二つの対抗策がある。
一つは「即時解除権(労基法第15条2項)」と言って直ちに退職する方法である。通常、労働者側から退職意思表示する場合は2週間前に使用者に退職通告する事で、2週間後に労働契約は消滅する(民法第627条1項)。もし2週間も待たずして退職した事に起因して、使用者に明確な損害を与えた場合は、その損害賠償の責を負う。しかし「労働条件が著しく異なる」事による「即時解除権」行使の場合は、その損害賠償責任も負わない。もう一つは民事訴訟・労働審判等による法的手段または一人でも入れる労働組合=合同労組に加入し、団体交渉により是正を求める方法がある。
③労働者か、個人事業主か?
あたかも「労働者募集」を装いながら、実は「個人事業主」であって社会保険・雇用保険未加入であったとの労働相談は、宅配業や保険外交員・訪問販売等で多い。個人事業主か、労働者かの判断は「使用従属性の有無」で判断され、「使用従属性有り」であれば労働者という事になり、それは「業務委託契約書」の様な標題が記されていても、実態で判断されるのが一般的である。「使用従属性」の具体的要素は以下の通り。
•仕事の依頼・業務従事の指示等に対する諾否の自由がない
•業務遂行上の指揮監督の程度が強い
•勤務場所・勤務時間が拘束されている
•報酬の労務対償性がある
※報酬が、仕事の成果ではなく働いたことそのものに対するものである場合や、報酬が時間給や日給によって定められているような場合を指す。
•機械・器具が会社負担によって用意されている
•報酬の額が一般従業員と同一である
•専属性がある
※「その会社の仕事しかしない」というような場合を指す。
逆に個人事業主と判断される場合は、おおよそ上記「使用従属性」がない場合であるが、いずれにしても上記「使用従属性」の要素を総合的に考慮して判断される。なお上記「労働者定義」は、労働基準法上の「労働者」であって、個人事業主であっても請負元との関係で「専属的で、実質的に業務命令も専属的に行われている場合」「報酬が成果への報酬よりも労働の対価としての要素が強い事」「企業等の組織の組み入れがされている場合」等がある場合は、労働組合法上の「労働者」と見做され「労働組合を結成し、団体交渉権、争議権等の労働組合法上の権利」を有する。(文責:民守 正義)
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《読者:佐藤 眞一さん提供「アベ政治ノー・取手集会(2016年12月17日)」》
www.facebook.com/100000203255545/videos/1587821511234609/
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《政府と米軍、オスプレイに蹂躙される高江…「オスプレイ墜落事故後、飛行強行」》
オスプレイ墜落事故から僅か6日後、沖縄県民、国民の反対を押しきり、米軍と米軍追随の安倍政権はオスプレイの飛行を強行した。北部訓練場一部の "返還" と引き換えに米軍が要求したオスプレイ訓練場、政府は地元住民の反対を機動隊の暴力で弾圧し、東村高江に整備した。高江の民家上空数十メートルを、騒音を轟かせて超低空飛行する太い図体のオスプレイ。まさに "一触墜落" 大惨事の状況にある。これは東村高江地区でのオスプレイの飛行訓練の実態と地元住民の運動の記録である。(クローズアップ現代から)
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◎2016年9月30日 映画『沈黙』は、韓国DMZ国際ドキュメンタリー映画祭にて<特別賞>を受賞しました!しかし資金不足のため、音楽やサウンド編集を完成させる事が出来ず、ソウル映画祭では<限定版>として上映、日本公開のためには日本語字幕・サウンド編集の製作費、配給宣伝費用が必要です。ぜひ皆様のお力をお貸し下さい!
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【https://motion-gallery.net/projects/silence】をご参照ください。
(民守 正義)
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