劣化する安倍ファシズム政権と「リベラル野党共闘」の行程(63)

劣化する安倍ファシズム政権と「リベラル野党共闘」の行程(63)





《【PKO派遣】シリーズ》

<元自衛官の怒り―南スーダン駆けつけ警護 「負傷したら治療されずに死ぬ」>

 南スーダンPKO活動派遣-自衛隊に課せられた「駆けつけ警護」任務。自衛隊史上初、海外で戦闘行為を行うかもしれない危険な任務だが、一方で派遣される自衛隊の医療体制はあまりにお粗末だ。

 イラク自衛隊派遣で負傷し、後遺症が残った元自衛官のIさんは「南スーダンに派遣された自衛隊員達が僕と同じような目に遭うことを心配しています」と言う。

〇手術できる医務官はなし、自衛隊員は痛み止めすら持たされない

 危険な紛争地で、戦闘を行えば、必ず負傷者は出る。

 しかし、安倍政権は医療面での支えを無しに、他国のPKO隊員が死亡しているなど危険な南スーダンに自衛隊を送った。

 現在、PKOに派遣される部隊であっても、自衛隊員が持たされる救急キットは恐ろしくお粗末なものだ。止血帯とガーゼ、包帯くらいしかなく、驚くことに痛み止めすらない。

 手足がちぎれる等、戦場で負うような大怪我をした場合、痛みだけでショック死する可能性だってある。オスプレイなど高額な米国産の兵器をいろいろ買い込んでいる安倍政権だが、基本的な自衛隊員へのサポートが全くなっていないのだ。

 南スーダンに派遣された自衛官は、一発でも銃弾が当たった場合、それが急所ではなくても、命を落とすかもしれない。

 戦場で使われるような、アサルトライフルで撃たれた場合、弾が身体を突き抜けた側に大穴が開く。包帯で何とかできる状況ではないのだが、呆れたことに、南スーダンに派遣される自衛隊の医務官で、まともに手術ができる者は一人もいない事が、国会答弁でも明らかになっている。辻元清美衆議院議員「南スーダンの状況の中に、それも一番危ないのは、他国軍への駆けつけ警護と言われる、他国軍が危ないから助けてと言われたときに行く。そして医官は三名、手術できない(中略)現実を見て、ファクトを見なさいとよく総理は仰いますが、そのファクトから見て非常に難しいと思うんです。総理、いかがですか」安倍内閣総理大臣「適切に判断していきたいと思います」(平成28年9月30日衆院予算委員会)

〇元イラク派遣自衛官「過ち繰り返すな」

 こうした安倍政権のやり方に「ふざけないでほしい」と憤っているのが、元自衛官のⅠ・Yさんだ。I・Yさんは航空自衛隊の第9期イラク派遣部隊として2006年、イラク隣国クウェートへ派遣された。

 そのクウェートでI・Yさんは米軍関係車両にはねられるという事故にあったが、まともな治療を受けることができなかったという。

「自衛隊宿舎の医務室は、学校の保健室みたいなものでした。ただ薬が置いてあるだけで、手術はおろか輸血すらできません。それどころか『米軍にひかれたのだから、米軍に治療してもらえ!』と言われる始末でした」(I・Yさん)。I・Yさんは派遣先では、まともな治療が受けられないとして、帰国を上官に求めたが曖昧にされ、2カ月弱程の間、帰国する事ができず、顎や首等の上半身に後遺症が残った。

 I・Yさんは「事故を隠蔽しようとして、治療もしないまま帰国を遅れさせられたことで、後遺症を抱える事になった」と国を訴え、現在も係争中だ。南スーダンへの自衛隊の派遣部隊がお粗末な医療体制にある事について、I・Yさんは「僕の事故の教訓がまるで活かされていません。悔しいです」と言う。「このままでは、南スーダンへの派遣部隊の自衛隊員の中から第二の僕のような犠牲者が出てしまいます」(I・Yさん)。

〇あまりに無責任な安倍政権

 何故、自衛隊の医療体制は、ここまでお粗末なのか。

「基本的に日本国内での活動が前提になっている事が大きい」と、元自衛隊レンジャー部隊のI・Tさんは指摘する。

「自衛官が負傷したら、病院に連れて行けばいいという発想なのです。しかし応急処置を迅速にできるかが、その後の生存率や後遺症の有無に関わります。まして危険な紛争地へ派遣される自衛官に、まともな医療キットも持たせない等、本当に酷い。許せないことだと思います」(I・Tさん)。自衛隊の派遣される南スーダンは、日本より医療環境が悪く、そもそも南スーダン政府が負傷した自衛官を自国の病院で治療させるか、という問題もある。南スーダン政府軍自体が、現地で人権侵害を行っており、場合によっては「駆けつけ警護」での自衛隊の戦闘の相手は南スーダン政府軍という事も有り得る。

 既に国連職員の車が南スーダン軍の検問で通行を妨害される等の事例も報告されている。ろくな応急処置もできず、また病院に行くまでに時間がかかれば、負傷した自衛官を助けられない、という事も起こり得るのだ。前出のI・Yさんは、こう憤る。「自衛官は、命令されたら、どこでも行くし、どんな危険な任務であっても命令に従います。少なくとも嫌とは言えません。だからこそ命令する側、安倍政権の責任はとても大きいと思います」。まるで死んでこいとばかりに、医療体制も整えず、派遣のみを先行させる安倍政権。あまりに無責任だと言えるだろう。(基本文献-志葉玲/管理者:部分編集)



 <南スーダン:犯罪多発、緊張のジュバ「駆け付け警護」の実態>

 南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣されている陸上自衛隊部隊への新任務「駆け付け警護」と「宿営地の共同防護」。その実態は、政府と反政府勢力による事実上の内戦が続いてきた南スーダン首都ジュバ(陸自部隊活動場所)は「比較的平穏」とされるが、不穏な動きを警戒する当局の監視は厳しさを増し、経済悪化で犯罪も多発。市民は出口の見えない緊張状態を強いられている。

 7月の戦闘以降の首都ジュバでは、政府軍が、政権支配が確立し「不測の事態」発生のリスクは下がったとされる。だが市内は張り詰めた空気が漂う。気温40度近い炎天下、路上では迷彩服姿の兵士を乗せたトラックがしきりに行き交い、治安当局者が目を光らせる。

 上空を飛ぶ軍用ヘリの鈍いプロペラ音が響く。「反政府派の活動を警戒している」(軍報道官)という。取材制限も厳しくなった。

 屋外でカメラを構えれば兵士や警官が撮影させまいと飛んで来る。

 報道関係者の拘束も相次ぎ、AP通信の米国人記者が最近、国外退去になった。前回ジュバ入りした6月下旬には、市場で比較的自由に取材ができた。だが今は「よそ者」への刺すような視線を感じる。

「不用意に話しかけると危険だ」。案内役に何度もクギを刺された。

 7月の戦闘時、この市場でも兵士らの略奪が起きた。2013年末に始まった内戦で石油頼みの政府財政は破綻した。インフレ率は年800%を超え、兵士や警官の給料も払えない。市民にもカラシニコフ自動小銃が出回り、殺人や強盗等が急増した。「人々は苛立っている。政治の混乱、絶え間ない暴力への怯え、物価の高騰…。全てうんざりだ」。

 大学生のロジャーさんが市民の思いを代弁した。最大民族ディンカ人の利益を優先するキール政権への反発から各地で高まる民族間の緊張は、ジュバでも感じられる。郊外では民族を理由にした襲撃も起きた。

「何かの拍子に火が付けば瞬く間に燃え広がる」緊張した状態は続く。(文責:民守 正義)



 <混迷が続く南スーダン、ケニアは何故PKOから撤退したのか>

 国連南スーダン派遣団 (UNMISS)軍司令官のジョンソン・モゴア・キマニ・オンディエキ中将の解任は、国連平和維持活動(PKO)の構造的な限界を浮き彫りにした。ケニアにとって更に気がかりなのは、スーダンの平和と安定に並々ならぬ貢献をしてきたケニアの実績が、この解任により事実上、骨抜きにされてしまうことだ。

 解任の理由とされているのは、7月にジュバで起きた戦闘で、司令官が民間人の保護に失敗したということだ。司令官は2016年7月10日にジュバに到着し、7月17日に正式に就任した。ジュバで戦闘が発生したのは7月8日から7月12日だった。テレイン・ホテルへの悲惨な攻撃が起きたのは7月11日だった。僅か3週間前に任地に到着した人物に一方的な決定がなされた。彼に落ち度があったのか。真摯な問題解決を目的としたものではなく、明らかに責任転嫁の決定だった。

 ケニアは40か国以上で平和活動に参加しており、延べ3万人以上の兵士を送り出している。だがケニアがスーダンの和平に貢献したのは、軍事的関与だけではない。大飢饉、そしてスーダン政府とスーダン人民解放軍の内戦が発生後、ケニアは1989年のスーダン生命線活動 (OLS)に多大な後方支援と活動拠点を提供した。ケニアは内戦中、国内追放者と戦争被災者に最初の人道支援プログラムを提供した。これにより何百万人もの命が救われた。これは過去最大の人道支援プログラムだった。

 またケニアは2005年、スーダン人民解放運動と政府が内戦終結のために署名した包括和平合意 (CPA) でも、主要な役割を果たした。

 この合意では、スーダン南部の独立を問う国民投票の計画が設定された。合意形成を導いたのはケニアのラザロ・スンベイウォ将軍だった。

 この2つのプロセスは、交戦下の活動や交渉の常として、非常に長期にわたり、また多くの失望を伴うものだった。ケニアはこの難題に正面から取り組んだ。平和活動の構造的欠陥を実質的にケニアの軍司令官に負わせた今回の決定にケニア政府が反発するのは、それが理由だ。

 ケニア政府はオンディエキ司令官の解任について、事前に公式な相談がなかったことに抗議し、ケニアが南スーダンで果たしてきた重要な役割を軽視する現れだとしている。更に、この解任に一貫性のなさを指摘する人もいる。昨年8月、中央アフリカ共和国内の平和維持軍に対し、性的虐待の申し立てが複数あった際に解任されたのは、ババカ・ガイ国連平和維持活動特使だった。不可解なことに南スーダンの場合は、解任されたのは新たに着任した軍司令官だった。

 国際社会が既に南スーダンの状況に懸念を示していることを考えれば、ケニアの怒りは当然のものだ。ジュバでの戦闘のほんの数ヶ月前、国連安全保障理事会は兵力の増強と、市民保護のための武器使用を認めていた。当時、現地にいた我々は何かが間違っていると感じていた。

 UNMISSの能力は不十分であり、任務を達成するには緊急の配慮が必要だった。南スーダンの近隣国の殆どが防護軍への参加を申し出たのは、まさにそれが理由だ。また南スーダンの統治機構に正義を根付かせるためには、南スーダンの平和プロセスを継続的に促し、問題が生じた場合は直ちに対処することも不可欠だった。南スーダンに必要なのは、実際には軍の存在ではなく、むしろ長期的な政治的交渉と支援だということが、極めて明確になった。最近の国連内部監査局の報告では、軍事的、政治的制約が国連の法的権限や活動権限と相容れず、幾つかのミッションは数が多すぎ、拡大されているため「軍事部隊の使用は書類上だけの選択肢になってしまっている」と認めている。

 多くの紛争地域と同様、政治的交渉の努力に見合わない軍事行動は、効果を限られたものにしてしまう。PKOがどれだけの確率で成功するのかを問うだけでなく、現場のニーズへの反応が鈍かったり遅すぎたりする場合、どうやって本部と交渉するかについても検証しなくてはならない。おそらく我々はボスニア・ヘルツェゴビナ、ルワンダ、コンゴ民主共和国から教訓を得ていないのだ。安保理は、ミッション成功のために必要な「実現させる人」や「資源を増やす人」を地上部隊に与え、より積極的に地域支援をサポートするべきだ。十分な資源と注目を与えられた任務は、大抵は成功すると、歴史が示している。

 国際社会が最初からやり直さないかぎり、ケニア等へ部隊を派遣して貢献した国々の善意の取り組みは正しく評価されず、南スーダンの市民は必要のない血を流し続けるだろう。最初から失敗を運命づけられたミッションに、加盟国は参加したいと思わないだろう。

 国連平和維持活動のシステム上の欠陥のために我が国の将軍を解任し、しかも事前の相談もなかった事は、失礼であるだけでなく、ケニアが南スーダンに果たしてきた貢献という名誉を傷つけるものだ。(ハイフォンポスト)

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《読者:佐藤 眞一さん提供「アベ政治ノー・取手集会(2016年12月17日)」》

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【https://motion-gallery.net/projects/silence】をご参照ください。

(民守 正義)