劣化する安倍ファシズム政権と「リベラル野党共闘」の行程(57)
劣化する安倍ファシズム政権と「リベラル野党共闘」の行程(57)
《【「反基地」「反軍拡」「反原発」「司法反動化阻止」闘争】シリーズ》
<辺野古訴訟の県敗訴は最高裁と政府の癒着!司法内幕を元裁判官が暴露>
沖縄の辺野古沖埋め立て承認取り消しを巡り、国が翁長雄志知事を訴えていた上告審で12日、最高裁判所は高裁判決の結論を変更する際に必要な弁論を開かず、判決期日を指定した。
つまり今月20日の最高裁判決を前に、沖縄県の敗訴が決定したという事だ。これまで辺野古移転反対、米軍基地反対を訴え続けてきた沖縄県の民意が、最高裁によって踏みにじられる─。これで普天間飛行場の移転先となる辺野古埋め立てはもちろん、更に米軍キャンプ・シュワブでの陸上工事や高江ヘリパット工事の動きも一層、加速する事は間違いない。だが今回の最高裁の態度は、ある意味、予想どおりと言うべきだろう。これまでも公害等の行政訴訟において、多くの場合、最高裁判所は政府、行政寄りの判決を下してきた。それは現在、全国各地で起こされている原発再稼働訴訟に関しても同様だ。高浜、大飯、美浜、玄海、浜岡、川内、大間、伊方、泊など全国各地で運転差し止めや、建築差し止め、廃炉、操業停止等を求める住民らによる訴訟が継続中だが、これらも決して楽観視できない状況だ。こうした訴訟の裏では原発ムラや政府と癒着した裁判所の巻き返し、そして露骨な“原発推進人事”が横行しているからだ。そんな事態を証明するかのような本がある。『黒い巨塔 最高裁判所』だ。本書は政府や原発ムラと最高裁判所の関係、そのための人事や政治介入等が赤裸々に描かれた小説なのだが、しかしこれは単なるフィクションではない。
というのも著者は、1979年から31年間、裁判官を勤めた元判事の瀬木比呂志氏。『絶望の裁判所』『ニッポンの裁判』等で、これまで一貫して裁判所と裁判官の腐敗を告発し続けてきた人物なのだ。
つまり本書は裁判所を知りつくした人物による、ある種の“告発の書”であり、事実、随所にフィクションとは思えないエピソードが散りばめられている。その最たるものが“最高裁判所による原発訴訟の封じ込め作戦”だ。小説では、福島原発事故が起こる以前の80年代後半、ある原発が稼働停止に追い込まれる。この原発では、大津波により非常用電源が喪失されるというシミュレーション結果が出されていた。
にも関らず、電力会社がこの事実を握り潰していた事が発覚。
また制御棒6本が脱落し臨界状態が8時間も続くという重大事故の隠蔽等も明らかになった事で、稼働停止を余儀なくされていた。
一方、こうした事態に電力会社は再稼働へ向け躍起になるが、しかし住民による原発再稼働差し止め訴訟が起こされ、その結果、地裁は再稼働差し止めの仮処分を決定する。時代は違うが、福島原発事故後の原発停止、そして再稼働の動きや、数々の住民訴訟を彷彿とさせるものだ。 だが、これに危機感をもったのが最高裁判所だった。登場人物の一人、最高裁判所長官の須田謙造は、この判決に大きな不満と不安を感じ、強権を発動していく。差し止め決定を出した支部長を本来の異動時期ではないにも関らず、近くの高裁所在地の家裁に異動させたのだ。
しかも須田が行った報復人事はそれだけではなかった。〈須田は念のため、全国の原発訴訟係属裁判所について再度、人事局に担当裁判長についてのチェックをさせ、また民事局や行政局にも調査をさせ、原発訴訟で原告側に有利な心証を表に出した事がある者や、過去に行政訴訟や国家賠償請求訴訟で目立った原告側請求容認判決を出している者については、四月に目立たない形で、つまり、いわゆる左遷人事ではない形で、異動させていた(略)。早急に仮処分を取り消させるために、先の支部長、また、この四月が異動時期であった右陪審の後任には、事務総局経験者の中なら、取り消し決定を出す事に絶対、間違いのない者を選んで送り込んだ〉〈いかなる批判を浴びようとも、ともかく原発稼働差し止めの仮処分だけは早急確実に取り消しておく必要がある〉(同書より)つまり最高裁長官は、原発稼働のために、裁判官達の思想や過去の判決を調査し、権力に都合の悪い判決を出した裁判官を密かに左遷し、意のままになる裁判官を送り込もうとしたのだ。繰り返すが、これはフィクションではない。こうした報復人事は、現実世界の裁判所でも実際に起こっている。それが大飯、高浜両原発をめぐる一連の再稼働訴訟に関するものだ。 2014年5月、福井地裁において大飯再稼働を認めないよう命じる仮処分が出された。この判決を出したのは同地裁の樋口英明裁判長(当時)。樋口裁判長はその後、高浜原発差し止め仮処分も担当することになるが、一方、裁判所は15年4月1日付で樋口裁判長を名古屋家裁に異動させる決定を行う。裁判所は、住民側の訴えを聞き入れた樋口裁判長に、原発裁判に関わらせないような人事を発令したのだ。
しかし樋口裁判長は、高浜原発の差し止め仮処分申請について裁判所法28条に基づく「職務代行辞令」を利用して、名古屋地裁への異動後も引き続き審議を担当。結果、再稼働を差し止める仮処分を決定している。問題は、樋口裁判長に代わって最高裁が福井地裁に送り込んだ林潤裁判長の存在だ。林裁判長は1997年の最初の赴任地が東京地裁で、2年後に最高裁判所事務総局民事局に異動。その後も東京、大阪、福岡と都市圏の高裁と地裁の裁判官を歴任しているスーパーエリート裁判官。
司法関係者の間でも、将来を約束され最高裁長官まで狙えると言われている人物である。これはもちろん、最高裁の“意思”を忖度することを見込んでの人事だった。目論見通り、林裁判長は15年12月24日、高浜原発再稼働を容認する仮処分決定の取り消しを行った。
このとき林裁判長の左右陪席の2人の裁判官もまた最高裁判所事務局での勤務経験があるエリート裁判官だった。
つまり本書と同様に、政府や電力会社、そして最高裁判所にとって都合が悪い決定を下した裁判官を左遷し、代わりに最高裁がお墨付き与えたエリート裁判官たちを原発再稼働容認のために送り込んだのだ。『黒い巨塔』で描かれているのは、こうした裁判所の“報復人事”だけではない。同書では、裁判所への政治介入と最高裁長官が示した原発稼働への意志が、はっきりとえぐり出されている。
例えば、こんな場面。報復人事を完了した須田だったが、与党の大物政治家に呼び出され“総理の意志”として露骨な圧力をかけられる。
〈「御存知のとおり、黒塚首相は、ああいう方で、正直、目から鼻へ抜けるような人ではないし、学歴等は、いささか乏しいこともあって、行政官僚も、裁判官も、酷く嫌っているのですよ。事に須田長官のような東京帝大、高等文官試験トップ組の方々に対しては、何と申しましょうか、インフェリオリティー・コンプレックスや嫉妬の入り交じった、すさまじい憎しみをあわらにされる事もありましてな。いうまでもありませんが、表の顔や一見しての能力だけで彼を判断なさいませんよう。権謀術数やメディア、世論操作には非常に長けた、なかなか恐ろしい人物ですよ、あの人は。」〉〈「原子力の問題は、まさに国家のエネルギー政策と安全保証の根幹に関わります。世間というものを、よくは御存知ない秀才であられる裁判官の方々が立ち入るべき領域の問題ではありません」〉こうして大物政治家に恫喝された須田は、最も大規模で重要かつ、全国の裁判官達に与える影響が大きい「裁判官協議会」で原発訴訟を扱うことを単独で決定する。もちろん“最高裁としては、原発差し止めはまかりならん”という意志を隅々の裁判所や裁判官に伝え徹底させるためだ。そして出された結論は、原発訴訟に対する裁判所の“判断放棄”であった。「協議会」は以下の指針を原発訴訟に対する裁判所の“あるべき”姿勢として、全国の裁判官に下達したのである。〈原子炉施設の安全審査は、多方面にわたる高度かつ最新の科学的、専門的知見に基づくものですから、原子力委員会の知見を尊重して行う内閣総理大臣、つまり被告行政庁の合理的な判断に委ねるのが相当と思われます〉最高裁の政治との癒着、そして貫かれる露骨な“国家意志”─これが、裁判所を知り尽くし、裁判所を告発し続ける著者が描き出した、最高裁の実態だ。これら以外にも本書では、最高裁の派閥や権力維持として使われる人事権等、その暗部の実態も告発されているのだが、本書を読めば今後、原発差し止め訴訟において公正な裁判所の判断など期待できない事も解るだろう。もちろん、これは原発案件に限った事ではない。前述のとおり、行政訴訟で政府や企業に都合の悪い判決を出した判事や、刑事事件でも無罪判決を出した判事を閑職に飛ばす等の事実上の左遷人事は、これまでも横行してきた。
また福島原発の事故後は、それが更に露骨になってきているとも指摘されている。そう考えると今回、国策として安倍政権が進める辺野古基地移転を最高裁判所が“後押し”するのも当然の事なのだ。国民の生命や安全を無視し、辺野古新基地建設と米軍基地の固定化、そして原発再稼働政策を押し進める政権と、それを後押しする最高裁判所。政府と司法の構造的癒着というこの国の権力の実態は、まさに“絶望”なのかもしれない。なお辺野古訴訟敗訴:法的批判は「リベラル勢力の再構築で安倍ファシズム政権退陣へ(76)」《【暴虐の安倍政権】沖縄-基地関連問題シリーズ!2》
〔http://blog.zaq.ne.jp/yutan0619/daily/201609/24〕をご覧ください。(リテラ)
<「民意に応えよ」都内で辺野古・高江の基地反対集会>
沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設と、東村高江周辺の米軍ヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設に反対する市民集会が12月10日、東京都内であった。
主催者発表で約3900人が参加した。基地建設に反対する三つの団体が主催し、日比谷野外音楽堂で集会を開いた後、銀座の街をデモ行進した。普天間飛行場の移設計画を巡って国と県が争っている訴訟で、福岡高裁那覇支部が今年9月に国側の主張を認める判決を出したこと、最高裁での追認阻止(結果的に追認された)等を訴え、「沖縄の民意に応えよ」とシュプレヒコールを上げた。この日は、全国各地で同様の集会が開かれた。ただ管理者としてはスローガン「民意に応えよ」等、甘っちょろいスローガンでなく「安倍内閣打倒!」スローガン一本で「リベラル野党と市民の連帯」でまとまって「政治闘争化」まで闘いのレベルアップを図らないと「敗北の美学」で闘争失速するのではと危惧する。
◇
福岡・天神でも10日、ヘリパッド建設反対を訴えるパレードがあった。参加者は「基地も戦争もいらない」と書いたプラカードを手に、「高江を守ろう」「オスプレイいらない」「自然を守って平和をつくろう」とシュプレヒコールを上げ、約200人が街を歩いた。(基本文献-朝日新聞/管理者:部分編集)
<関大、軍事研究させません:防衛省補助金への応募認めず>
防衛省が大学等での研究に補助金を出す「安全保障技術研究推進制度」について、関西大(大阪府吹田市)は7日、教員の応募申請を認めないとの方針を決めた。国内外の公的機関や民間企業からの軍事目的を前提とした研究費も受け入れないという。関大によると、既にある大学の研究倫理規準で「人間の尊厳、基本的人権や人類の平和・福祉に反する研究活動に従事しない」と定めており、ルールを明確化したという。方針は①制度への応募申請に加え、他大学の申請に共同研究者として参加する事も認めない②軍事防衛を所管する公的機関からの研究費は受け入れない③企業からの軍事防衛目的の研究費を受け入れない、とした。防衛省は昨年度、民生用と軍事用のどちらにも利用できる研究について、大学や国の研究所に1件最大3千万円を3年間支給する制度を始めた。2015、16年度で計19件が採択された。制度をめぐっては、軍事研究を禁じてきた日本学術会議が、その方針を転換するかどうかの議論を続けている。
関大の学内議論でも、申請を認めないことについて「研究の自由を阻害してしまうのでは」といった意見もあったという。
だが、芝井敬司学長は7日の会見で「科学者が想定しない形で平和に反する事に研究が使われる可能性がある。自分の研究が、どこに結びつくか研究者は知っておく必要がある」と話した。
関大の方針について、ノーベル物理学賞を受賞した益川敏英さんは「研究と軍事の距離がじわじわと近づいていることに危機感を持っている。一つの先例になり、他大学にも広がれば良い」と話した。
なお関大は、人権の取組みも他大学に比して熱心で、特に「就職差別撤廃」では、大学独自に「就職差別に繋がる問題事象」にも直接、エントリーシート等で問題を起こした企業に指導・注意する等して、真の意味で学生を守っている実績がある。また新潟大も昨年10月、学内の科学者の行動規範を一部改訂し「軍事への寄与を目的とする研究は行わない」と明記。広島大も制度への申請を認めないことを決めている。(基本文献-朝日新聞:管理者:部分編集)
*******
《ブログ「リベラル広場」では次の事業も行っています。》
①職場(仕事)における労働・人権相談
(ハラスメント・メンタルヘルス等、含む)
*大阪府労働相談経験10年以上。*産業カウンセラー資格、有り。
*但しメンタルヘルスの場合、もし心療内科等に受診されている場合、または、その受診の方が望ましい場合は、当該医師の指導を優先し、カウンセリングを断る事もありますので予めご了承ください。
②採用コンサルタント。
*著作[「公正採用」と「能力発見!」採用選考のコツ]
【本ブログ:http://blog.zaq.ne.jp/yutan0619/article/27/】
*著作「採用面接」労働条件確認
【本ブログ: http://blog.zaq.ne.jp/sp/yutan0619/article/29/】
◎なお寄せていただく相談等は、とりあえず全てEメールで送信してください。
<送信先Eメールアドレス>yutan0571@yahoo.co.jp
●費用:交通費等、実費+α(若干-協議)
《大手メディア世論調査が全部ウソ!安倍政権プロパガンダが深刻化!大手TV・新聞が安倍政権と癒着!》
大手メディアの世論調査が全部ウソだった事が明らかになりました。
安倍政権によるプロパガンダ・印象操作が深刻化しており、大手メディアは、安倍政権と一緒に会食を繰り返す『寿司メディア』となっています。特に産経新聞・読売新聞・NHKが安倍政権と癒着しています。
【https://matome.naver.jp/odai/2145475250773933301】
《在日女性監督朴壽南(パク・スナム、81歳)の最新作ドキュメンタリー『沈黙』完成と全国上映に向けてご支援下さい!》
2016ソウル国際女性映画祭出品、監督朴壽南(パク・スナム、81歳)の最新作『沈黙』。
「慰安婦」被害者15名の密着記録と現在をつなぐドキュメンタリー全国上映に向け完成・配給宣伝費用にお力を貸して下さい!
◎2016年9月30日 映画『沈黙』は、韓国DMZ国際ドキュメンタリー映画祭にて<特別賞>を受賞しました!しかし資金不足のため、音楽やサウンド編集を完成させる事が出来ず、ソウル映画祭では<限定版>として上映、日本公開のためには日本語字幕・サウンド編集の製作費、配給宣伝費用が必要です。ぜひ皆様のお力をお貸し下さい!
*詳しくはHP「在日女性監督朴壽南(パク・スナム、81歳)の最新作ドキュメンタリー『沈黙』完成と全国上映に向けてご支援下さい!」
【https://motion-gallery.net/projects/silence】をご参照ください。
《【「反基地」「反軍拡」「反原発」「司法反動化阻止」闘争】シリーズ》
<辺野古訴訟の県敗訴は最高裁と政府の癒着!司法内幕を元裁判官が暴露>
沖縄の辺野古沖埋め立て承認取り消しを巡り、国が翁長雄志知事を訴えていた上告審で12日、最高裁判所は高裁判決の結論を変更する際に必要な弁論を開かず、判決期日を指定した。
つまり今月20日の最高裁判決を前に、沖縄県の敗訴が決定したという事だ。これまで辺野古移転反対、米軍基地反対を訴え続けてきた沖縄県の民意が、最高裁によって踏みにじられる─。これで普天間飛行場の移転先となる辺野古埋め立てはもちろん、更に米軍キャンプ・シュワブでの陸上工事や高江ヘリパット工事の動きも一層、加速する事は間違いない。だが今回の最高裁の態度は、ある意味、予想どおりと言うべきだろう。これまでも公害等の行政訴訟において、多くの場合、最高裁判所は政府、行政寄りの判決を下してきた。それは現在、全国各地で起こされている原発再稼働訴訟に関しても同様だ。高浜、大飯、美浜、玄海、浜岡、川内、大間、伊方、泊など全国各地で運転差し止めや、建築差し止め、廃炉、操業停止等を求める住民らによる訴訟が継続中だが、これらも決して楽観視できない状況だ。こうした訴訟の裏では原発ムラや政府と癒着した裁判所の巻き返し、そして露骨な“原発推進人事”が横行しているからだ。そんな事態を証明するかのような本がある。『黒い巨塔 最高裁判所』だ。本書は政府や原発ムラと最高裁判所の関係、そのための人事や政治介入等が赤裸々に描かれた小説なのだが、しかしこれは単なるフィクションではない。
というのも著者は、1979年から31年間、裁判官を勤めた元判事の瀬木比呂志氏。『絶望の裁判所』『ニッポンの裁判』等で、これまで一貫して裁判所と裁判官の腐敗を告発し続けてきた人物なのだ。
つまり本書は裁判所を知りつくした人物による、ある種の“告発の書”であり、事実、随所にフィクションとは思えないエピソードが散りばめられている。その最たるものが“最高裁判所による原発訴訟の封じ込め作戦”だ。小説では、福島原発事故が起こる以前の80年代後半、ある原発が稼働停止に追い込まれる。この原発では、大津波により非常用電源が喪失されるというシミュレーション結果が出されていた。
にも関らず、電力会社がこの事実を握り潰していた事が発覚。
また制御棒6本が脱落し臨界状態が8時間も続くという重大事故の隠蔽等も明らかになった事で、稼働停止を余儀なくされていた。
一方、こうした事態に電力会社は再稼働へ向け躍起になるが、しかし住民による原発再稼働差し止め訴訟が起こされ、その結果、地裁は再稼働差し止めの仮処分を決定する。時代は違うが、福島原発事故後の原発停止、そして再稼働の動きや、数々の住民訴訟を彷彿とさせるものだ。 だが、これに危機感をもったのが最高裁判所だった。登場人物の一人、最高裁判所長官の須田謙造は、この判決に大きな不満と不安を感じ、強権を発動していく。差し止め決定を出した支部長を本来の異動時期ではないにも関らず、近くの高裁所在地の家裁に異動させたのだ。
しかも須田が行った報復人事はそれだけではなかった。〈須田は念のため、全国の原発訴訟係属裁判所について再度、人事局に担当裁判長についてのチェックをさせ、また民事局や行政局にも調査をさせ、原発訴訟で原告側に有利な心証を表に出した事がある者や、過去に行政訴訟や国家賠償請求訴訟で目立った原告側請求容認判決を出している者については、四月に目立たない形で、つまり、いわゆる左遷人事ではない形で、異動させていた(略)。早急に仮処分を取り消させるために、先の支部長、また、この四月が異動時期であった右陪審の後任には、事務総局経験者の中なら、取り消し決定を出す事に絶対、間違いのない者を選んで送り込んだ〉〈いかなる批判を浴びようとも、ともかく原発稼働差し止めの仮処分だけは早急確実に取り消しておく必要がある〉(同書より)つまり最高裁長官は、原発稼働のために、裁判官達の思想や過去の判決を調査し、権力に都合の悪い判決を出した裁判官を密かに左遷し、意のままになる裁判官を送り込もうとしたのだ。繰り返すが、これはフィクションではない。こうした報復人事は、現実世界の裁判所でも実際に起こっている。それが大飯、高浜両原発をめぐる一連の再稼働訴訟に関するものだ。 2014年5月、福井地裁において大飯再稼働を認めないよう命じる仮処分が出された。この判決を出したのは同地裁の樋口英明裁判長(当時)。樋口裁判長はその後、高浜原発差し止め仮処分も担当することになるが、一方、裁判所は15年4月1日付で樋口裁判長を名古屋家裁に異動させる決定を行う。裁判所は、住民側の訴えを聞き入れた樋口裁判長に、原発裁判に関わらせないような人事を発令したのだ。
しかし樋口裁判長は、高浜原発の差し止め仮処分申請について裁判所法28条に基づく「職務代行辞令」を利用して、名古屋地裁への異動後も引き続き審議を担当。結果、再稼働を差し止める仮処分を決定している。問題は、樋口裁判長に代わって最高裁が福井地裁に送り込んだ林潤裁判長の存在だ。林裁判長は1997年の最初の赴任地が東京地裁で、2年後に最高裁判所事務総局民事局に異動。その後も東京、大阪、福岡と都市圏の高裁と地裁の裁判官を歴任しているスーパーエリート裁判官。
司法関係者の間でも、将来を約束され最高裁長官まで狙えると言われている人物である。これはもちろん、最高裁の“意思”を忖度することを見込んでの人事だった。目論見通り、林裁判長は15年12月24日、高浜原発再稼働を容認する仮処分決定の取り消しを行った。
このとき林裁判長の左右陪席の2人の裁判官もまた最高裁判所事務局での勤務経験があるエリート裁判官だった。
つまり本書と同様に、政府や電力会社、そして最高裁判所にとって都合が悪い決定を下した裁判官を左遷し、代わりに最高裁がお墨付き与えたエリート裁判官たちを原発再稼働容認のために送り込んだのだ。『黒い巨塔』で描かれているのは、こうした裁判所の“報復人事”だけではない。同書では、裁判所への政治介入と最高裁長官が示した原発稼働への意志が、はっきりとえぐり出されている。
例えば、こんな場面。報復人事を完了した須田だったが、与党の大物政治家に呼び出され“総理の意志”として露骨な圧力をかけられる。
〈「御存知のとおり、黒塚首相は、ああいう方で、正直、目から鼻へ抜けるような人ではないし、学歴等は、いささか乏しいこともあって、行政官僚も、裁判官も、酷く嫌っているのですよ。事に須田長官のような東京帝大、高等文官試験トップ組の方々に対しては、何と申しましょうか、インフェリオリティー・コンプレックスや嫉妬の入り交じった、すさまじい憎しみをあわらにされる事もありましてな。いうまでもありませんが、表の顔や一見しての能力だけで彼を判断なさいませんよう。権謀術数やメディア、世論操作には非常に長けた、なかなか恐ろしい人物ですよ、あの人は。」〉〈「原子力の問題は、まさに国家のエネルギー政策と安全保証の根幹に関わります。世間というものを、よくは御存知ない秀才であられる裁判官の方々が立ち入るべき領域の問題ではありません」〉こうして大物政治家に恫喝された須田は、最も大規模で重要かつ、全国の裁判官達に与える影響が大きい「裁判官協議会」で原発訴訟を扱うことを単独で決定する。もちろん“最高裁としては、原発差し止めはまかりならん”という意志を隅々の裁判所や裁判官に伝え徹底させるためだ。そして出された結論は、原発訴訟に対する裁判所の“判断放棄”であった。「協議会」は以下の指針を原発訴訟に対する裁判所の“あるべき”姿勢として、全国の裁判官に下達したのである。〈原子炉施設の安全審査は、多方面にわたる高度かつ最新の科学的、専門的知見に基づくものですから、原子力委員会の知見を尊重して行う内閣総理大臣、つまり被告行政庁の合理的な判断に委ねるのが相当と思われます〉最高裁の政治との癒着、そして貫かれる露骨な“国家意志”─これが、裁判所を知り尽くし、裁判所を告発し続ける著者が描き出した、最高裁の実態だ。これら以外にも本書では、最高裁の派閥や権力維持として使われる人事権等、その暗部の実態も告発されているのだが、本書を読めば今後、原発差し止め訴訟において公正な裁判所の判断など期待できない事も解るだろう。もちろん、これは原発案件に限った事ではない。前述のとおり、行政訴訟で政府や企業に都合の悪い判決を出した判事や、刑事事件でも無罪判決を出した判事を閑職に飛ばす等の事実上の左遷人事は、これまでも横行してきた。
また福島原発の事故後は、それが更に露骨になってきているとも指摘されている。そう考えると今回、国策として安倍政権が進める辺野古基地移転を最高裁判所が“後押し”するのも当然の事なのだ。国民の生命や安全を無視し、辺野古新基地建設と米軍基地の固定化、そして原発再稼働政策を押し進める政権と、それを後押しする最高裁判所。政府と司法の構造的癒着というこの国の権力の実態は、まさに“絶望”なのかもしれない。なお辺野古訴訟敗訴:法的批判は「リベラル勢力の再構築で安倍ファシズム政権退陣へ(76)」《【暴虐の安倍政権】沖縄-基地関連問題シリーズ!2》
〔http://blog.zaq.ne.jp/yutan0619/daily/201609/24〕をご覧ください。(リテラ)
<「民意に応えよ」都内で辺野古・高江の基地反対集会>
沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設と、東村高江周辺の米軍ヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設に反対する市民集会が12月10日、東京都内であった。
主催者発表で約3900人が参加した。基地建設に反対する三つの団体が主催し、日比谷野外音楽堂で集会を開いた後、銀座の街をデモ行進した。普天間飛行場の移設計画を巡って国と県が争っている訴訟で、福岡高裁那覇支部が今年9月に国側の主張を認める判決を出したこと、最高裁での追認阻止(結果的に追認された)等を訴え、「沖縄の民意に応えよ」とシュプレヒコールを上げた。この日は、全国各地で同様の集会が開かれた。ただ管理者としてはスローガン「民意に応えよ」等、甘っちょろいスローガンでなく「安倍内閣打倒!」スローガン一本で「リベラル野党と市民の連帯」でまとまって「政治闘争化」まで闘いのレベルアップを図らないと「敗北の美学」で闘争失速するのではと危惧する。
◇
福岡・天神でも10日、ヘリパッド建設反対を訴えるパレードがあった。参加者は「基地も戦争もいらない」と書いたプラカードを手に、「高江を守ろう」「オスプレイいらない」「自然を守って平和をつくろう」とシュプレヒコールを上げ、約200人が街を歩いた。(基本文献-朝日新聞/管理者:部分編集)
<関大、軍事研究させません:防衛省補助金への応募認めず>
防衛省が大学等での研究に補助金を出す「安全保障技術研究推進制度」について、関西大(大阪府吹田市)は7日、教員の応募申請を認めないとの方針を決めた。国内外の公的機関や民間企業からの軍事目的を前提とした研究費も受け入れないという。関大によると、既にある大学の研究倫理規準で「人間の尊厳、基本的人権や人類の平和・福祉に反する研究活動に従事しない」と定めており、ルールを明確化したという。方針は①制度への応募申請に加え、他大学の申請に共同研究者として参加する事も認めない②軍事防衛を所管する公的機関からの研究費は受け入れない③企業からの軍事防衛目的の研究費を受け入れない、とした。防衛省は昨年度、民生用と軍事用のどちらにも利用できる研究について、大学や国の研究所に1件最大3千万円を3年間支給する制度を始めた。2015、16年度で計19件が採択された。制度をめぐっては、軍事研究を禁じてきた日本学術会議が、その方針を転換するかどうかの議論を続けている。
関大の学内議論でも、申請を認めないことについて「研究の自由を阻害してしまうのでは」といった意見もあったという。
だが、芝井敬司学長は7日の会見で「科学者が想定しない形で平和に反する事に研究が使われる可能性がある。自分の研究が、どこに結びつくか研究者は知っておく必要がある」と話した。
関大の方針について、ノーベル物理学賞を受賞した益川敏英さんは「研究と軍事の距離がじわじわと近づいていることに危機感を持っている。一つの先例になり、他大学にも広がれば良い」と話した。
なお関大は、人権の取組みも他大学に比して熱心で、特に「就職差別撤廃」では、大学独自に「就職差別に繋がる問題事象」にも直接、エントリーシート等で問題を起こした企業に指導・注意する等して、真の意味で学生を守っている実績がある。また新潟大も昨年10月、学内の科学者の行動規範を一部改訂し「軍事への寄与を目的とする研究は行わない」と明記。広島大も制度への申請を認めないことを決めている。(基本文献-朝日新聞:管理者:部分編集)
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(ハラスメント・メンタルヘルス等、含む)
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*但しメンタルヘルスの場合、もし心療内科等に受診されている場合、または、その受診の方が望ましい場合は、当該医師の指導を優先し、カウンセリングを断る事もありますので予めご了承ください。
②採用コンサルタント。
*著作[「公正採用」と「能力発見!」採用選考のコツ]
【本ブログ:http://blog.zaq.ne.jp/yutan0619/article/27/】
*著作「採用面接」労働条件確認
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<送信先Eメールアドレス>yutan0571@yahoo.co.jp
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《大手メディア世論調査が全部ウソ!安倍政権プロパガンダが深刻化!大手TV・新聞が安倍政権と癒着!》
大手メディアの世論調査が全部ウソだった事が明らかになりました。
安倍政権によるプロパガンダ・印象操作が深刻化しており、大手メディアは、安倍政権と一緒に会食を繰り返す『寿司メディア』となっています。特に産経新聞・読売新聞・NHKが安倍政権と癒着しています。
【https://matome.naver.jp/odai/2145475250773933301】
《在日女性監督朴壽南(パク・スナム、81歳)の最新作ドキュメンタリー『沈黙』完成と全国上映に向けてご支援下さい!》
2016ソウル国際女性映画祭出品、監督朴壽南(パク・スナム、81歳)の最新作『沈黙』。
「慰安婦」被害者15名の密着記録と現在をつなぐドキュメンタリー全国上映に向け完成・配給宣伝費用にお力を貸して下さい!
◎2016年9月30日 映画『沈黙』は、韓国DMZ国際ドキュメンタリー映画祭にて<特別賞>を受賞しました!しかし資金不足のため、音楽やサウンド編集を完成させる事が出来ず、ソウル映画祭では<限定版>として上映、日本公開のためには日本語字幕・サウンド編集の製作費、配給宣伝費用が必要です。ぜひ皆様のお力をお貸し下さい!
*詳しくはHP「在日女性監督朴壽南(パク・スナム、81歳)の最新作ドキュメンタリー『沈黙』完成と全国上映に向けてご支援下さい!」
【https://motion-gallery.net/projects/silence】をご参照ください。
(民守 正義)
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