劣化する安倍ファシズム政権と「リベラル野党共闘」の行程(32)
劣化する安倍ファシズム政権と「リベラル野党共闘」の行程(32)
《【安倍政権-戦争(思想)戦略】シリーズ》
<安倍政権が「神武天皇は実在した」を本気で喧伝、神話で国民を支配するカルト国家化>
とうとう、ここまできたか─。
日に日にエスカレートしていく安倍政権の歴史修正主義だが、いよいよ連中は「神武天皇は実在した」なるトンデモまで喧伝しだした。
念のため最初に言っておくと、神武天皇は8世紀の「古事記」「日本書紀」(合わせて記紀という)を基にした“初代天皇”だが、もちろん実在したとは立証されておらず、ときの政治権力である朝廷がその支配の正当性を説くために編み出した“フィクション”というのが歴史学の通説だ。ところが最近、安倍政権周辺から「神武天皇は実在の人物でその建国の業績を讃えるべき」という主張が次々飛び出してきているのだ。自民党-三原じゅん子参院議員が、先の参院選投開票日のテレビ東京の選挙特番で、VTR取材中に「神武天皇の建国からの歴史を受け入れた憲法を作りたい」と発言していたことについて、MCの池上彰から神武天皇は実在の人物だったとの認識かを問われ、「そうですね。そういう風に思ってもいいのではないか」と“珍回答”。池上が呆れて「学校の教科書でも神武天皇は神話の世界の人物ということになっていますが?」とツッコんだのは記憶に新しい。このトンデモ発言には、さすがの有権者も「まあ、三原じゅん子だから」と一笑に付したが、しかし、どうもこの神武天皇実在論は、安倍政権の中枢に、しっかりと根付いているようだ。
例えば今月、11月3日の「文化の日」を「明治の日」に改称すべしとの運動を展開している「明治の日推進協議会」なる団体が都内で決起集会を行った。同団体の役員名簿には小田村四郎、小堀桂一郎、大原康男、伊藤哲夫、百地章など、御馴染みの日本会議系人物がちらつく。その集会に安倍(復古)総理の盟友である古屋圭司自民党選対委員長、稲田防衛相らが参加。稲田は壇上でこう息巻いたという。「神武天皇の偉業に立ち戻り、日本のよき伝統を守りながら改革を進めるのが明治維新の精神だった。その精神を取り戻すべく、心を一つに頑張りたい」(朝日新聞)…おいおいマジかよ?と突っ込まざるをえないが、この安倍政権の神武天皇ゴリ推しを“機関紙”の産経新聞もバックアップしている。今年8月には『神武天皇は確かに存在した』(産経新聞取材班)なる書籍を出版。記紀にある日向(現在の宮崎県)から大和(奈良県)までの「神武東征」を追いかけるルポだが、完全に神武実在が前提になっており、置いてけぼり感満載の一冊に仕上がっている。しかし繰り返すが、神武天皇について直接的に伝えるのは記紀だけであり、その記述は完全に“神話”の域を出ないものだ。例えば「日本書紀」の記述は天地開闢から始まる神武以前が神代、神武以降が人世の歴史とされているが、明治政府は神武天皇即位の年=皇紀元年を紀元前660年とした。実に縄文時代後期である。そんな人々は専ら狩猟採集生活で文化といえば土器みたいな時代に、神武天皇は「天下を治めるためには東に行けばいいんじゃないか」と思いついて、大和までの長い旅に出たというのだが、記紀が描く道中の出来事はあからさまに現実味がない。例えば亀の甲羅に乗った釣り人(地元の神)に明石海峡から浪速までの海路を案内して貰ったり、突如、助っ人が神のお告げで天の神が作った剣を持ってきてくれたり、かと思えば神の仰せで八咫烏が吉野まで先導してくれたり、はたまた天の神がやってきて証拠の宝物を見せて神武に仕えたりと、「史実」と見做すには神がかり過ぎている。更にいえば、神武を含む古代天皇の年齢も解釈に苦しむ。
例えば「日本書紀」によれば、神武天皇崩御時の年齢は127歳で、「古事記」では137歳とある。そんな超長寿なんて有り得ないだろう。年齢を2で割ると丁度良くなるとする説もあるが、すると逆に皇紀自体がおかしくなってくる。なお初代天皇となった神武の後を継いだ綏靖天皇から開化天皇までの8人については、何故か、その実績が殆ど記されていない。この「欠史八代」はあまりにも有名な記紀の謎として知られている。結局のところ、神武天皇及び欠史八代は創作で“虚構の天皇”だとするのが一般的な古代史研究者の見解である。
では何故、安倍政権は今、こんな神武天皇実在説というトンデモを言いふらしているのか。その目的を、前述した稲田朋美の「神武天皇の偉業に立ち戻り、日本のよき伝統を守りながら改革を進めるのが明治維新の精神」という言葉が、端的に表している。実は、神武天皇の陵墓は、例えば天武、天智、持統天皇等の陵墓と比べて軽視されており、中世まで始祖として崇め奉られていた形成は、ほぼない。それが一転、江戸中期の国学を経て尊皇思想の核となり、明治維新は王政復古の建前のもと幕府を転覆させた。要は“クーデター”のため「万世一系」たる天皇の権威を超越的なものとして再興し利用したのだ。また、このとき明治政府は、それまで民間信仰であった神道を天皇崇拝のイデオロギーとして伊勢神宮を頂点に序列化、“日本は世界無比の神の国”という「国体」思想を敷衍した。そうした流れの中で、日本書紀等について批判的研究を行った津田左右吉に対し、東京地検が尋問を行い『神代史の研究』等4冊を「皇室ノ尊厳ヲ冒涜シ、政体ヲ変壊シ又ハ国憲ヲ紊乱セムトスル文書」として発禁押収。後日、津田と版元が出版法違反で起訴されるという事件も起きている(佐藤卓己『物語 岩波書店百年史』)。
一方、1945年の敗戦後にGHQが神道指令を発布、国家と神社神道の完全な分離を命じると、津田の学説は学会の主流派となり実証主義的な記紀研究が活性化。その蓄積を踏まえ、今日では神武天皇は実在しないというのが定説となっている訳だが、これを面白く思わないのが日本会議ら極右界隈と、それに支えられる安倍政権だ。彼らにとって天皇は「万世一系」でなければならない。それは前述のとおり、日本を万邦無比の「神国」とし、天皇を超越的な存在として再び支配イデオロギーの頂点に置いて政治利用するために他ならない。だからこそ、記紀は史実であり、神武天皇は実在すると主張するのだ。すると必然的に神武天皇は記紀にあるように神話的でありながら同時に存在を認めるという、矛盾めいた事になる。三原じゅん子が「神話の世界の話であったとしても、そう(実在したと)いう考えであってもいいと思う」と池上彰に応答したのはまさに典型だ。要は政治的な目的ありき。
だからこういう発言になる。事実、安倍晋三は下野時の2012年、民主党(当時)による女性宮家創設議論及び皇室典範改正に反対し、こう述べていた。「私達の先祖が紡いできた歴史が、一つの壮大なタペストリーのような織物だとすれば、中心となる縦糸こそが、まさに皇室であろう」「二千年以上の歴史を持つ皇室と、たかだか六十年あまりの歴史しかもたない憲法や、移ろいやすい世論を、同断に論じる事はナンセンスでしかない」(「文藝春秋」)見ての通り、立憲主義もクソもない。
こんな人間が今、日本の総理であることに改めて戦慄するが、一方、安倍のブレーンである八木秀次が天皇・皇后の護憲発言に対して「宮内庁のマネジメントはどうなっているのか」と猛批判したように、実際には、安倍は天皇に対する敬愛等、殆どもっていない。そこにあるのは、天皇の政治利用、もっと言えば、皇国史観と「万世一系」イデオロギーの復活による大衆支配の欲望だけだ。
そう考えてみてもやはり、私達は表出する神武天皇実在論を笑って済ませておくわけにはいかない。戦前回帰を目論む安倍政権のプロパガンダが、「PKO『駆けつけ警護』の戦死者に対して、総司令官の責任を回避し、『靖国に祀われる』と、なお軍国思想の増殖に活用される恐れも十分にあるからだ。(リテラ)
<安倍外交・完全崩壊、運命が逆回転を始めた日>
〔「北方領土交渉のキーパーソン」と言われたウリュカエフ経済発展相・逮捕と北方諸島返還(提供)交渉とは無関係!〕
先日ロシアの連邦捜査委員会によって、ウリュカエフ経済発展相が国営石油会社を巡る収賄容疑で身柄を拘束された。
同人物は世耕・ロシア経済分野協力担当大臣(経済産業大臣)のカウンターパートとして、日本メディアが勝手に持ち上げた「日ロ関係のキーパーソン(?)」と言われた人物。日本メディアは、ウリュカエフ大臣が身柄を拘束されたことで「北方領土交渉は完全に暗礁に乗り上げた」と報道しているが、実際は元々、ロシアは本年9月2日のロシア国内でのプーチン・安倍会談で「1956年『日ソ共同宣言』-日ソ平和友好条約締結後に『歯舞・色丹を日本側に提供(=ロシア語原文:但し日本政府訳-返還)する』を交渉のスタートとする」という事が、「安倍」の言う「突っ込んだ話」として確認されており、更に本年5月の日露事務レベル協議でも、ロシア側から「北方諸島問題は、今後の議題としない」と釘を刺されている。従って現時点で、日本政府(安倍)の「北方領土問題」解決への淡い可能性は、先ずはないと断言する。という事は既に約束した対ロシア経済協力の果実のみをロシア側に提供するだけの状況になる公算が大。しかも[隠し話]として、ウクライナの対露負債30億ドル【日本肩代わり】も取沙汰されている。詳しくは再度、本ブログ「リベラル勢力の再構築で安倍ファシズム政権退陣へ(58)《【中国包囲の安倍戦争政権】シリーズ:日露接近の考察》[http://blog.zaq.ne.jp/yutan0619/daily/201609/06]を一読して欲しい。なお、これら上記記述は、当ブログ信頼上、一応、管理者が某ロシア経済研究学者からの直接情報である事は明言する。
なお補足だが「ロシア経済共同開発=チュメニ油田開発」は、何も最近の話ではなく、田中角栄元首相が当時のソ連と交渉を手掛けた話である。
当時は石油ショックで、日本の石油輸入ルートが国際的にも独占していた「国際石油資本-メジャー」だけであったため、独自石油輸入ルート確保のため、田中元首相が、ソ連と「チュメニ油田共同開発(海底石油パイプ)に乗り出したのだが、それが米国:国際石油資本メジャーの逆鱗に触れ、「ロッキード事件(デッチアゲと言われている)」に繋がるのである。当時の「国際石油資本-メジャー」は米ソ以外の石油卸売を完全支配していたが、1970年代以降、OPECの台頭により今は、その石油支配力は、殆どない。要は言いたいのは、その時に「日ソチュメニ油田共同開発」が凍結されていたのが、今また溶けだした事であって、「安倍」のアイデアでも何でもないと言う事だ。
【トランプ大統領で米ロ関係が改善、用済みになった日本は捨てられた形に】
では日露接近・交渉が経済支援的にも空振りかは別として、トランプ大統領(予定)も何故か、オバマ大統領なら「クリミア問題」も含め、厄介なロシアに対して協調路線を打ち出してきている。その理由は大統領就任前で、おそらく確たるロシア外交方針ができているとも思い難く、「安倍」以上に高等大ウソツキの側面もあるので、早計な推測もできないが、現実的に想定するに、ロシア側にとっては日ロ関係もさることながら、現在の「クリミア制裁-ロシア包囲網」を切り抜けるには米国自身の「トランプ大統領(予定)の方針転換」の方が重要かつ有効カードであり、プーチンにしてみれば米ロ関係と「口うるさい北方領土返還」を伴う経済援助を引き出す日露関係との兼ね合いで、ハッキリ言って米露とも実務派首脳においては米露二国間レベルで改善してしまう方が得策と考える方が常識的であろう。ということは、日・米・露の中で日本が相対的に低下、いや埋没する可能性もあることになる。
ただ一方、何故、トランプ大統領(予定)が、ロシアに急接近するかであるが、それは武器輸出も含め、経済支援・共同開発が美味しいのは米国も同様で、クリミア問題よりトランプらしく、純粋にビジネスライクに徹すれば、それぐらいの「方針転換」はプラグマティックにできるだろう。
ただ、この推測については当然、何の裏取りもできていない事を申し添えておく。
【日本エスタブリッシュメントの頭の中、致命的・遅れた外交分析と気づかぬ失敗】
そもそも安倍政権の軍事政策の基本方針は、日本会議と言う二流右翼集団が提唱する「20世紀型:対中包囲網」と、これに対抗する「日米軍事同盟」である。しかし先ず対中包囲網の発想は、日本のエスタブリッシュメント独特の極東の島国の外交センスでしかない。
何故なら今日の基本的な国際関係状況から見て、中国経済の影響力には一目置いても、軍事的脅威には、それほど重大性はないからだ。
「中国軍事的脅威論」を吹聴しているのは、海外メディアを見ても、本当に日本だけで、米国もロシアも韓国もフィリピンも「軍事的脅威」とは思っていない。現に米露は言わずもがな、韓国も朝鮮民主主共和国(北朝鮮)との外交ルートとして、中国とのパイプを活用しているし、フィリピンも南沙諸島で「飛行機離発着場」を建設されたかと思うと中国訪問して「海底油田共同開発」を持ちかける等、典型的な「バルカン政治」に徹している。特に安倍政権は、尖閣諸島での「中国脅威」を米国に泣きつくが、米国は「日米安保条約の適用範囲」とリップサービスして貰ったつもりだろうが、日米安保条約原文を自分で和訳して頂きたい。どこにも米国の「日本防衛義務」等、記載されていない。まさに「幻想の中の甘え」だ!おまけにマルティネス在日米軍司令官からは、そのリップサービスの直ぐ後に「日本の離島防衛は専守防衛の範囲」と釘を刺されている。
管理者が思うに「国債乱発-国家経済破綻-アホノミクス失策露呈-TPP破綻すれど『日米並行協議』で日本の属国的市場化」が一気に吹き出る「危機到来」が、年末から来年以降に来るのではないかと、予測するのは心配し過ぎであろうか!?(参考文献-切捨御免!ワタセユウヤの一刀両断!/文責:民守 正義)
―――――――――――
《ブログ「リベラル広場」では次の事業も行っています。》
①職場(仕事)における労働・人権相談
(ハラスメント・メンタルヘルス等、含む)
*大阪府労働相談経験10年以上。*産業カウンセラー資格、有り。
*但しメンタルヘルスの場合、もし心療内科等に受診されている場合、または、その受診の方が望ましい場合は、当該医師の指導を優先し、カウンセリングを断る事もありますので予めご了承ください。
②採用コンサルタント。
*著作[「公正採用」と「能力発見!」採用選考のコツ]
【本ブログ:http://blog.zaq.ne.jp/yutan0619/article/27/】
*著作「採用面接」労働条件確認
【本ブログ: http://blog.zaq.ne.jp/sp/yutan0619/article/29/】
◎なお寄せていただく相談等は、とりあえず全てEメールで送信してください。
<送信先Eメールアドレス>yutan0571@yahoo.co.jp
●費用:交通費等、実費+α(若干-協議)
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<安倍政権が「神武天皇は実在した」を本気で喧伝、神話で国民を支配するカルト国家化>
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日に日にエスカレートしていく安倍政権の歴史修正主義だが、いよいよ連中は「神武天皇は実在した」なるトンデモまで喧伝しだした。
念のため最初に言っておくと、神武天皇は8世紀の「古事記」「日本書紀」(合わせて記紀という)を基にした“初代天皇”だが、もちろん実在したとは立証されておらず、ときの政治権力である朝廷がその支配の正当性を説くために編み出した“フィクション”というのが歴史学の通説だ。ところが最近、安倍政権周辺から「神武天皇は実在の人物でその建国の業績を讃えるべき」という主張が次々飛び出してきているのだ。自民党-三原じゅん子参院議員が、先の参院選投開票日のテレビ東京の選挙特番で、VTR取材中に「神武天皇の建国からの歴史を受け入れた憲法を作りたい」と発言していたことについて、MCの池上彰から神武天皇は実在の人物だったとの認識かを問われ、「そうですね。そういう風に思ってもいいのではないか」と“珍回答”。池上が呆れて「学校の教科書でも神武天皇は神話の世界の人物ということになっていますが?」とツッコんだのは記憶に新しい。このトンデモ発言には、さすがの有権者も「まあ、三原じゅん子だから」と一笑に付したが、しかし、どうもこの神武天皇実在論は、安倍政権の中枢に、しっかりと根付いているようだ。
例えば今月、11月3日の「文化の日」を「明治の日」に改称すべしとの運動を展開している「明治の日推進協議会」なる団体が都内で決起集会を行った。同団体の役員名簿には小田村四郎、小堀桂一郎、大原康男、伊藤哲夫、百地章など、御馴染みの日本会議系人物がちらつく。その集会に安倍(復古)総理の盟友である古屋圭司自民党選対委員長、稲田防衛相らが参加。稲田は壇上でこう息巻いたという。「神武天皇の偉業に立ち戻り、日本のよき伝統を守りながら改革を進めるのが明治維新の精神だった。その精神を取り戻すべく、心を一つに頑張りたい」(朝日新聞)…おいおいマジかよ?と突っ込まざるをえないが、この安倍政権の神武天皇ゴリ推しを“機関紙”の産経新聞もバックアップしている。今年8月には『神武天皇は確かに存在した』(産経新聞取材班)なる書籍を出版。記紀にある日向(現在の宮崎県)から大和(奈良県)までの「神武東征」を追いかけるルポだが、完全に神武実在が前提になっており、置いてけぼり感満載の一冊に仕上がっている。しかし繰り返すが、神武天皇について直接的に伝えるのは記紀だけであり、その記述は完全に“神話”の域を出ないものだ。例えば「日本書紀」の記述は天地開闢から始まる神武以前が神代、神武以降が人世の歴史とされているが、明治政府は神武天皇即位の年=皇紀元年を紀元前660年とした。実に縄文時代後期である。そんな人々は専ら狩猟採集生活で文化といえば土器みたいな時代に、神武天皇は「天下を治めるためには東に行けばいいんじゃないか」と思いついて、大和までの長い旅に出たというのだが、記紀が描く道中の出来事はあからさまに現実味がない。例えば亀の甲羅に乗った釣り人(地元の神)に明石海峡から浪速までの海路を案内して貰ったり、突如、助っ人が神のお告げで天の神が作った剣を持ってきてくれたり、かと思えば神の仰せで八咫烏が吉野まで先導してくれたり、はたまた天の神がやってきて証拠の宝物を見せて神武に仕えたりと、「史実」と見做すには神がかり過ぎている。更にいえば、神武を含む古代天皇の年齢も解釈に苦しむ。
例えば「日本書紀」によれば、神武天皇崩御時の年齢は127歳で、「古事記」では137歳とある。そんな超長寿なんて有り得ないだろう。年齢を2で割ると丁度良くなるとする説もあるが、すると逆に皇紀自体がおかしくなってくる。なお初代天皇となった神武の後を継いだ綏靖天皇から開化天皇までの8人については、何故か、その実績が殆ど記されていない。この「欠史八代」はあまりにも有名な記紀の謎として知られている。結局のところ、神武天皇及び欠史八代は創作で“虚構の天皇”だとするのが一般的な古代史研究者の見解である。
では何故、安倍政権は今、こんな神武天皇実在説というトンデモを言いふらしているのか。その目的を、前述した稲田朋美の「神武天皇の偉業に立ち戻り、日本のよき伝統を守りながら改革を進めるのが明治維新の精神」という言葉が、端的に表している。実は、神武天皇の陵墓は、例えば天武、天智、持統天皇等の陵墓と比べて軽視されており、中世まで始祖として崇め奉られていた形成は、ほぼない。それが一転、江戸中期の国学を経て尊皇思想の核となり、明治維新は王政復古の建前のもと幕府を転覆させた。要は“クーデター”のため「万世一系」たる天皇の権威を超越的なものとして再興し利用したのだ。また、このとき明治政府は、それまで民間信仰であった神道を天皇崇拝のイデオロギーとして伊勢神宮を頂点に序列化、“日本は世界無比の神の国”という「国体」思想を敷衍した。そうした流れの中で、日本書紀等について批判的研究を行った津田左右吉に対し、東京地検が尋問を行い『神代史の研究』等4冊を「皇室ノ尊厳ヲ冒涜シ、政体ヲ変壊シ又ハ国憲ヲ紊乱セムトスル文書」として発禁押収。後日、津田と版元が出版法違反で起訴されるという事件も起きている(佐藤卓己『物語 岩波書店百年史』)。
一方、1945年の敗戦後にGHQが神道指令を発布、国家と神社神道の完全な分離を命じると、津田の学説は学会の主流派となり実証主義的な記紀研究が活性化。その蓄積を踏まえ、今日では神武天皇は実在しないというのが定説となっている訳だが、これを面白く思わないのが日本会議ら極右界隈と、それに支えられる安倍政権だ。彼らにとって天皇は「万世一系」でなければならない。それは前述のとおり、日本を万邦無比の「神国」とし、天皇を超越的な存在として再び支配イデオロギーの頂点に置いて政治利用するために他ならない。だからこそ、記紀は史実であり、神武天皇は実在すると主張するのだ。すると必然的に神武天皇は記紀にあるように神話的でありながら同時に存在を認めるという、矛盾めいた事になる。三原じゅん子が「神話の世界の話であったとしても、そう(実在したと)いう考えであってもいいと思う」と池上彰に応答したのはまさに典型だ。要は政治的な目的ありき。
だからこういう発言になる。事実、安倍晋三は下野時の2012年、民主党(当時)による女性宮家創設議論及び皇室典範改正に反対し、こう述べていた。「私達の先祖が紡いできた歴史が、一つの壮大なタペストリーのような織物だとすれば、中心となる縦糸こそが、まさに皇室であろう」「二千年以上の歴史を持つ皇室と、たかだか六十年あまりの歴史しかもたない憲法や、移ろいやすい世論を、同断に論じる事はナンセンスでしかない」(「文藝春秋」)見ての通り、立憲主義もクソもない。
こんな人間が今、日本の総理であることに改めて戦慄するが、一方、安倍のブレーンである八木秀次が天皇・皇后の護憲発言に対して「宮内庁のマネジメントはどうなっているのか」と猛批判したように、実際には、安倍は天皇に対する敬愛等、殆どもっていない。そこにあるのは、天皇の政治利用、もっと言えば、皇国史観と「万世一系」イデオロギーの復活による大衆支配の欲望だけだ。
そう考えてみてもやはり、私達は表出する神武天皇実在論を笑って済ませておくわけにはいかない。戦前回帰を目論む安倍政権のプロパガンダが、「PKO『駆けつけ警護』の戦死者に対して、総司令官の責任を回避し、『靖国に祀われる』と、なお軍国思想の増殖に活用される恐れも十分にあるからだ。(リテラ)
<安倍外交・完全崩壊、運命が逆回転を始めた日>
〔「北方領土交渉のキーパーソン」と言われたウリュカエフ経済発展相・逮捕と北方諸島返還(提供)交渉とは無関係!〕
先日ロシアの連邦捜査委員会によって、ウリュカエフ経済発展相が国営石油会社を巡る収賄容疑で身柄を拘束された。
同人物は世耕・ロシア経済分野協力担当大臣(経済産業大臣)のカウンターパートとして、日本メディアが勝手に持ち上げた「日ロ関係のキーパーソン(?)」と言われた人物。日本メディアは、ウリュカエフ大臣が身柄を拘束されたことで「北方領土交渉は完全に暗礁に乗り上げた」と報道しているが、実際は元々、ロシアは本年9月2日のロシア国内でのプーチン・安倍会談で「1956年『日ソ共同宣言』-日ソ平和友好条約締結後に『歯舞・色丹を日本側に提供(=ロシア語原文:但し日本政府訳-返還)する』を交渉のスタートとする」という事が、「安倍」の言う「突っ込んだ話」として確認されており、更に本年5月の日露事務レベル協議でも、ロシア側から「北方諸島問題は、今後の議題としない」と釘を刺されている。従って現時点で、日本政府(安倍)の「北方領土問題」解決への淡い可能性は、先ずはないと断言する。という事は既に約束した対ロシア経済協力の果実のみをロシア側に提供するだけの状況になる公算が大。しかも[隠し話]として、ウクライナの対露負債30億ドル【日本肩代わり】も取沙汰されている。詳しくは再度、本ブログ「リベラル勢力の再構築で安倍ファシズム政権退陣へ(58)《【中国包囲の安倍戦争政権】シリーズ:日露接近の考察》[http://blog.zaq.ne.jp/yutan0619/daily/201609/06]を一読して欲しい。なお、これら上記記述は、当ブログ信頼上、一応、管理者が某ロシア経済研究学者からの直接情報である事は明言する。
なお補足だが「ロシア経済共同開発=チュメニ油田開発」は、何も最近の話ではなく、田中角栄元首相が当時のソ連と交渉を手掛けた話である。
当時は石油ショックで、日本の石油輸入ルートが国際的にも独占していた「国際石油資本-メジャー」だけであったため、独自石油輸入ルート確保のため、田中元首相が、ソ連と「チュメニ油田共同開発(海底石油パイプ)に乗り出したのだが、それが米国:国際石油資本メジャーの逆鱗に触れ、「ロッキード事件(デッチアゲと言われている)」に繋がるのである。当時の「国際石油資本-メジャー」は米ソ以外の石油卸売を完全支配していたが、1970年代以降、OPECの台頭により今は、その石油支配力は、殆どない。要は言いたいのは、その時に「日ソチュメニ油田共同開発」が凍結されていたのが、今また溶けだした事であって、「安倍」のアイデアでも何でもないと言う事だ。
【トランプ大統領で米ロ関係が改善、用済みになった日本は捨てられた形に】
では日露接近・交渉が経済支援的にも空振りかは別として、トランプ大統領(予定)も何故か、オバマ大統領なら「クリミア問題」も含め、厄介なロシアに対して協調路線を打ち出してきている。その理由は大統領就任前で、おそらく確たるロシア外交方針ができているとも思い難く、「安倍」以上に高等大ウソツキの側面もあるので、早計な推測もできないが、現実的に想定するに、ロシア側にとっては日ロ関係もさることながら、現在の「クリミア制裁-ロシア包囲網」を切り抜けるには米国自身の「トランプ大統領(予定)の方針転換」の方が重要かつ有効カードであり、プーチンにしてみれば米ロ関係と「口うるさい北方領土返還」を伴う経済援助を引き出す日露関係との兼ね合いで、ハッキリ言って米露とも実務派首脳においては米露二国間レベルで改善してしまう方が得策と考える方が常識的であろう。ということは、日・米・露の中で日本が相対的に低下、いや埋没する可能性もあることになる。
ただ一方、何故、トランプ大統領(予定)が、ロシアに急接近するかであるが、それは武器輸出も含め、経済支援・共同開発が美味しいのは米国も同様で、クリミア問題よりトランプらしく、純粋にビジネスライクに徹すれば、それぐらいの「方針転換」はプラグマティックにできるだろう。
ただ、この推測については当然、何の裏取りもできていない事を申し添えておく。
【日本エスタブリッシュメントの頭の中、致命的・遅れた外交分析と気づかぬ失敗】
そもそも安倍政権の軍事政策の基本方針は、日本会議と言う二流右翼集団が提唱する「20世紀型:対中包囲網」と、これに対抗する「日米軍事同盟」である。しかし先ず対中包囲網の発想は、日本のエスタブリッシュメント独特の極東の島国の外交センスでしかない。
何故なら今日の基本的な国際関係状況から見て、中国経済の影響力には一目置いても、軍事的脅威には、それほど重大性はないからだ。
「中国軍事的脅威論」を吹聴しているのは、海外メディアを見ても、本当に日本だけで、米国もロシアも韓国もフィリピンも「軍事的脅威」とは思っていない。現に米露は言わずもがな、韓国も朝鮮民主主共和国(北朝鮮)との外交ルートとして、中国とのパイプを活用しているし、フィリピンも南沙諸島で「飛行機離発着場」を建設されたかと思うと中国訪問して「海底油田共同開発」を持ちかける等、典型的な「バルカン政治」に徹している。特に安倍政権は、尖閣諸島での「中国脅威」を米国に泣きつくが、米国は「日米安保条約の適用範囲」とリップサービスして貰ったつもりだろうが、日米安保条約原文を自分で和訳して頂きたい。どこにも米国の「日本防衛義務」等、記載されていない。まさに「幻想の中の甘え」だ!おまけにマルティネス在日米軍司令官からは、そのリップサービスの直ぐ後に「日本の離島防衛は専守防衛の範囲」と釘を刺されている。
管理者が思うに「国債乱発-国家経済破綻-アホノミクス失策露呈-TPP破綻すれど『日米並行協議』で日本の属国的市場化」が一気に吹き出る「危機到来」が、年末から来年以降に来るのではないかと、予測するのは心配し過ぎであろうか!?(参考文献-切捨御免!ワタセユウヤの一刀両断!/文責:民守 正義)
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①職場(仕事)における労働・人権相談
(ハラスメント・メンタルヘルス等、含む)
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【本ブログ:http://blog.zaq.ne.jp/yutan0619/article/27/】
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