劣化する安倍ファシズム政権と「リベラル野党共闘」の行程(31)
劣化する安倍ファシズム政権と「リベラル野党共闘」の行程(31)
《【今後の安倍政権「軍事関係」】シリーズ:論文紹介等》
下記論文2題は、大手メディアの「安倍のトランプ擦り寄り路線」と「PKO自衛隊『駆けつけ警護』実績づくりの目論見」を斜めシャープに批判。 管理者も共感するところが多く、読者にも紹介し、またご意見も頂きたい。
<トランプが米軍を撤退させても日本の防衛に穴は開かない:田岡俊次>
11月8日の米国大統領選挙でドナルド・トランプ氏(71)が意外な圧勝をしたことは米国民衆の現状への不満の根深さを示した。国際情勢への無知を露呈した暴言の連発と言動の品の無さには共和党の幹部達も呆れ果てて支持を取り消し、米国のメディアの殆どがクリントン支持を表明する中、失業や貧富の格差拡大に怒る大衆は現状打破の希望を彼に託した。これには十分な予兆があって、2011年9月から数千人がウォール街を占拠する「99%の乱」が起き全米各地に波及していた。
米国では1%の人々が資産の34.6%を握っているから、そうでない99%の人々の怒りがウォール街などでの座り込みに顕れたのだ。
米国では上位20%の人々が資産の85.1%を保有している。
過去30年間で物価高を差し引いた実質所得が向上したのは人口の5分の1の上位20%だけ、次の20%は概ね横ばい、残りの60%は減少したのだから、ただでは済まない情勢だ。こうなった一因はレーガン政権(1981〜89)の時代に、それまで11%〜50%だった所得税率を15%と28%の2段にしたことだ。低所得者の税率を上げ、高所得者は減税し「小さい政府」を唱えて福祉を削る一方、国防予算を増大した。
また米国では相続税が掛かるのは、1人が残す遺産が543万ドル(5.7億円)以上の場合で、夫婦間の相続税は無いから、父母が各々5.7億円を子に残せば11億円以上が無税になると言われる。これでは資産格差が広がるのも当然だ。更には生命保険金の受取りも無税だから富豪は巨額の保険を掛けたり、財団を作って資産を寄付し、子供が理事となって運用する、等の抜け道が設けられている。トランプ氏もまさにそうした手法で不動産業の父親から資産を受け継ぎ、今年9月の「フォーブス」誌の調査では、37億ドル(約3900億円)までに増やしたが、過去18年間国税の支払いを合法的な「節税」で免れていたとも報じられている。
彼は没落する下位中産階級や白人貧困層の憎悪の対象の1人となってもおかしくないように思われる。むしろ、そういう人々は「公立大学無償化」等、やや社会主義的政策を唱えた民主党のバーニー・サンダース上院議員を支持する方が筋だろうが、米国の大衆は「力強い成功者」に憧れるのだろう。
彼は大衆の怒りを移民や自由貿易等、国外に向けて人気を博し、自分もその一員である既成勢力(エスタブリッシュメント)に挑戦する姿勢を演じて選挙では成功した。 彼の選挙戦での発言は、国際問題に無知、無関心な米国の大衆が快哉を叫ぶようなことを、脈絡もなく実現性も考えずに羅列したにすぎず、雑多な果物の切り端にワインをかけたフルーツポンチに似ている。誇大広告だから就任すればあまり実行はできず、彼に投票した人々は今以上に絶望しそうだ。
4年後の大統領選挙では更に排外的、強権的な候補者が出現しかねない、との危惧を感じずにはおれない。
〔日本が100%負担をするなら米軍将兵は日本の傭兵に〕
日本に関してトランプ氏は「日本は牛肉に高い関税を掛けている。
こちらも日本製品に高い関税を掛けよう」とか「日本は不公正な貿易で米国人の職を奪っている。安倍は殺人者だ」「日本に駐留する米軍経費は100%日本に支払わせる。条件によっては米軍を撤退させる」等と叫んでいた。これらは1980年代“ジャパン・バッシング”の時期に言われた事を蒸し返しているだけだ。彼は日本が在日米軍関係の経費をどれ程負担しているか、全く知らないのだろう。
今年度予算で防衛省は基地労働者2万3000人余の給与1458億円、民有地の地代、周辺対策、漁業補償等に1852億円、電気・水道料金249億円、建設工事等に206億円、米海兵隊のグアム移転や厚木基地から岩国基地への空母艦機械の移転に1794億円等、5566億円を出す他、他省庁が、昨年度米軍基地がある地方自治体に出した基地交付金が388億円で合計すると5954億円になる。その外にも国有地を無償で米軍に貸している推定地代が、地方自治体等に貸す場合の安い地代で計算しても、昨年度1658億円で、これも含めると日本側の負担は7612億円に達する。在日米軍の人員は昨年9月末で5万2060人だから米軍1人当たり1145万円の出費だ。
米国の在日米軍関係の支出は約55億ドル(約5800億円)で、その大部分は人件・糧食費、一部が艦艇、航空機等の燃料やそれらの維持費だ。
もし日本が100%負担をするなら、米軍将兵は日本政府から給料を貰う事になり傭兵化する。 「自衛隊の指揮下に入るのかね」との冗談も聞かれる程だ。そもそも「日米地位協定」の24条では、日本は施設・区域(国有地)を無償で貸し、民有地なら地代を払うが、それ以外の全ての経費は「合衆国が負担する」と決まっている。だが米国はベトナム戦争後財政難に陥り、更にドルの価値が360円から約180円へと下落したため、基地労働者の賃金はドルでは突然2倍になり、永年勤続の日本人警備主任の給料が米軍の基地司令より高い、という珍事態も起きた。このため日本政府は基地労働者の諸手当を肩代わりする事にし、1978年度に62億円を分担した。
その根拠を聞かれた金丸防衛庁長官は「知り合いがお金に困っている時には思いやりを示すのが人情」と答えたため「思いやり予算」の名が付いた。
〔ガイドラインズに書かれた「一義的責任」の意味〕
これは堤防の一穴で、米軍は次々に基地労働者の給与の全額や、水道・電気料金の負担、基地内の施設の建て替え、新築などを要求、「海兵隊に沖縄から出て行って欲しいなら移転費を出せ」とも求められ、今日の負担に膨れ上がった。 日本では「米軍に守って貰っている」との誤解が擦り込まれているから、こうした要求を安易に呑むのだが、韓国やかつての西独と異なり、実は直接、日本の防衛に当たっている米軍は皆無だ。米第7艦隊の空母1隻、巡洋艦3隻、駆逐艦8隻等は横須賀を母港とし、揚陸艦4隻、掃海艦4隻が佐世保を母港としているが、第7艦隊は西大平洋とインド洋を担当海域とし、アラビア海など各地に出勤する。日本も裨益しているとしても、他の多くの諸国も同様だ。沖縄の海兵隊の戦闘部隊である第31海兵遠征隊約2000人は第7艦隊の陸戦隊(第79機動部隊)として揚陸艦に乗って巡航し、騒乱の際の在留米国人の救出や災害派遣に当たり、有事には上陸部隊の先鋒となる。沖縄を防衛しているわけではなく、そこを待機場としている。米空軍は嘉手納に40余機、三沢に約20機の戦闘機を配備しているが、日本の防空は1959年以来、全面的に航空自衛隊が担当しており、米空軍機は中東等に交代で派遣される事も多い。米議会では「米本土の基地に戻し、そこから出せばよい」との論も出るが、国防省当局者は「日本が基地の維持費を出しているから、戻せばかえって高くつく」と答弁している。
「日米防衛協力のための指針」(ガイドラインズ)は、その核心である「日本に対する武力攻撃が発生した場合」の「作戦構想」として英文では「日本は日本国民及び領域の防衛に引き続き一義的責任(プライマリー・リスポンシビリティ)を有す。……米軍は自衛隊の日本防衛を支援、補完する」としている。自衛隊は防空、弾道ミサイル防衛、周辺海域での船舶の保護、陸上攻撃の阻止、撃退などに「一義的責任」を有すると決め「必要が起れば陸上自衛隊が島の奪回作戦を行う」とする。
自衛隊が日本の防衛に「一義的責任」を負うのは当然とも言えるが、言わずもがなの語句を入れているのは、もし米軍が何もしなかった場合でも「一義的責任はそちらにあると書いてあるではないか」と言えるようになっている。これでは日本で「では何のために米軍に基地を貸し、莫大な補助金まで出すのか」との疑問が出るから、邦訳では「自衛隊は一義的責任を負う」の個所を「自衛隊は主体的に実施する」とごまかしている。
このガイドラインズは自衛隊が既に日本防衛の能力と責任を持っている実態を追認したものだ。
〔自暴自棄になった相手に抑止力は通用しない〕
もしトランプ氏が言うように米軍が撤退しても、純粋、あるいは狭義、の日本の防衛に大穴があくことはないが、攻撃能力を示して相手に攻撃をさせない「抑止効果」はどうなるか-との疑念の声も、よく聞く。
だが抑止戦略は相手が「反撃を受けるから攻撃は見合わせよう」と考える理性的判断力を持つ事を前提としている。冷戦時の米ソ間では「相手も自殺行為はすまい」との最少限度の信頼感はあったから、相互核抑止が成り立った。北朝鮮が崩壊の渕に立ち、指導者が「死なばもろとも、ある物は使ってしまえ」と自暴自棄の心境になれば抑止効果は意味ない。仮に第2次朝鮮戦争が起き、通常戦力が衰弱した北朝鮮が核ミサイルを発射するなら、先ず韓国軍と在韓米軍の指揮中枢や基地、補給拠点10数個所、次いで朝鮮半島に出動する在日米軍の基地やグアム島の基地、加えて日本の原発等を狙う公算も大きい。
もし米軍が日本から撤退していれば、限られた数の核弾頭(当面は10数発)を横須賀、横田、佐世保、三沢、岩国、嘉手納等に向ける意味はなくなる。もしトランプ氏が米軍を撤退させれば日本にとっては(1)沖縄の基地問題は解消する(2)政府は年間6000億円近い経費分担を免れる(3)北朝鮮の核の脅威は減少する、というメリットが生じるだろう。現実には米国は既に冷戦終了後、欧州、韓国の駐留部隊を大幅に削減しており、財政状況や「アメリカ・ファースト」の国民感情からも、海外関与は減る方向だろう。だが、その海軍は他の全ての国の海軍が束になっても勝負にならない程の絶対的優勢だ。米国は将来も世界的制海権を保持し、戦略的には島国である日本を、米本国の安全と国際的発言力のために確保しようとするだろう。西大平洋で制海権を保つには、横須賀、佐世保の2港及び空母の入港中に艦載機が使う岩国飛行場は不可欠だ。ハワイ、グアムは背後に工場地帯がなく、艦船の整備、修理能力に乏しい。米海軍にとり、中国海軍は地上基地戦闘機の行動半径(約1000km)から出れば処理容易な標的でしかなく、対潜水艦作戦能力も無きに等しい。世界最大の貿易国である中国はインド洋、太平洋の長大な通商航路を米海軍に対抗して守る事は先ず将来も不可能で、経済が拡大し、海外の資源と市場に依存すればするほど、世界的制海権を握る米国とは協調する他ない形勢だ。米国も3兆ドル以上の外貨準備の大半をウォール街等で運用する中国からの融資、投資に依存していて、急速に拡大する中国市場の確保を目指す。米国が将来、仮に日本の海軍基地の管理権を海上自衛隊に返還しても、米海軍がそれを利用できることは極めて重要な国益だ。
米海軍は英国、イタリア等では、その国の海軍の基地を使っている。
もしトランプ氏が「米軍を日本から撤退させるぞ」と脅すなら反対せず「結構なお話ですな」と応じればよい。やがて相手は「なんとか海軍だけでも置かせてほしい」と下手に出て、日本は「守ってもらっている」のではなく、タダで置いてやり、光熱費まで出している気前の良い家主の立場に立てるだろう。トランプ氏が「米軍撤退」を言えば、それこそ日本にとって「トランプ・カード」(切り札)になる。
但し追随が習性となっている外務官僚や安倍首相にその度胸があれば、の話だ。
*以上の論文読者に下記質問を行ったところ、「在日米軍は撤退または縮小すべき」が優に過半数を超えた。これが「安倍(戦争)総理の『米国属国主義』」とは真逆の国民意識である事に注視すべきだろう。
質問; 在日米軍は日本から撤退すべきだと思いますか
縮小すべき37.88%:全面撤退すべき31.82%:撤退すべきでない2.73%:増強すべき6.06%:わからない、等1.52%
(基本文献-ダイアモンドオンライン/文責:民守正義)
<「隊員が亡くなれば、安倍首相はこう言いますよ、『今の憲法では戦えないからだ』と!」志葉玲氏>
2016年11月15日、安倍政権は南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣する陸上自衛隊に、昨年9月に強行採決された戦争関連法に基づく新たな任務「駆けつけ警護」を付与する事を盛り込んだ実施計画を閣議決定した。この日、首相官邸前では「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」が主催する緊急集会「自衛隊は南スーダンから直ちに撤退を!戦争法の発動と『新任務付与』に反対!殺すな!殺されるな!官邸前緊急行動」が行われた。午前7時45分という早い時間帯にも関わらず、集会には総数350名以上の市民らが参加し、野党各党の国会議員も駆けつけた。南スーダンでは2013年12月に、キール大統領が、当時のマシャール副大統領にクーデターの疑いがあるとして対立し、現在まで激しい内戦状態が続いている。これまでの戦闘で数千人が犠牲になっており、今年7月にも首都ジュバで270人以上が死亡する戦闘が起こったばかりだ。そのとき国連平和維持軍は襲われた民間人らの救助要請に応じなかったという。これに関して日本体育大学-清水雅彦教授は「大統領派と副大統領派の、明らかな内戦状態になっている。
これはもうPKO参加5原則は満たしていない。
11月に新しい部隊を出して、新任務を付与することは許されない」と訴えた。またフリージャーナリストの志葉玲氏は、安倍政権が南スーダンでの「駆けつけ警護」を強行する理由として、次のような見方を示した。
「自衛隊員の方が亡くなればどうなりますか。安倍首相は絶対こう言いますよ。『今の憲法が戦えない憲法だから自衛隊は死んだんだ』と。
自分の責任を棚に上げて、絶対に政治利用してきますよ。右翼メディア、保守系メディアも必ずそれに乗ってくる」このように述べ、安倍政権は自衛隊員の命を「捨て石にするつもりだ」と訴えた。
今回「駆けつけ警護」の新任務を付与されたのは「青森陸上自衛隊第9師団普通科第5連隊」。10月15日に青森で行われた第9師団の市中パレードに対して「駆けつけ警護」新任務付与に対して現地では抗議集会が行われた。戦争法制が強行採決された直後、埼玉大学名誉教授の三輪隆氏と陸上自衛隊レンジャー部隊に所属した経験を持つ井筒高雄氏は「駆けつけ警護が『戦闘行為』に加担することに他ならない」という事実を暴いている。またNGO・国際連合職員として東ティモール、シエラレオネ、アフガニスタン等、世界各地の紛争地での紛争処理、武装解除等にあたり、紛争解決請負人とも呼ばれる伊勢崎賢治氏は、「集団的自衛権は、個別的自衛権の延長ではない。自衛隊員が集団的自衛権で、海外で住民を殺した場合、今のままでは個人の責任になって、日本の刑法で殺人罪に問われてしまう」と警鐘を鳴らしている。なお、もう一つの安倍政権「PKO『駆けつけ警護』に拘る理由」は、本年8月に殆どのPKO参加国であるアフリカ諸国に3兆円の経済援助で国税を投入したが、それは後の「武器輸出」の「財源渡し」で、『駆けつけ警護』は、その「武器売り付け」の火種づくりとの見方も根強くある。 (管理者:総合編集)
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《ブログ「リベラル広場」では次の事業も行っています。》
①職場(仕事)における労働・人権相談
(ハラスメント・メンタルヘルス等、含む)
*大阪府労働相談経験10年以上。*産業カウンセラー資格、有り。
*但しメンタルヘルスの場合、もし心療内科等に受診されている場合、または、その受診の方が望ましい場合は、当該医師の指導を優先し、カウンセリングを断る事もありますので予めご了承ください。
②採用コンサルタント。
*著作[「公正採用」と「能力発見!」採用選考のコツ]
【本ブログ:http://blog.zaq.ne.jp/yutan0619/article/27/】
*著作「採用面接」労働条件確認
【本ブログ: http://blog.zaq.ne.jp/sp/yutan0619/article/29/】
◎なお寄せていただく相談等は、とりあえず全てEメールで送信してください。
<送信先Eメールアドレス>yutan0571@yahoo.co.jp
●費用:交通費等、実費+α(若干-協議)
《とめよう改憲!おおさかネットワーク」主催「秋の憲法集会」開催》
「武力で平和はつくれない!憲法改悪をとめよう!」
■11月26日(土)午後1時半開場―2時開始
■場所:国労大阪会館(JR環状線・天満/地下鉄・扇町下車すぐ)
■資料代:1000円(学生以下半額・介護者無料)
※同額チケットも用意しています。
■主催:とめよう改憲!大阪ネットワーク
■内容①講演「安倍改憲と日本会議の正体」
講師:青木理(あおき・おさむ)
②[闘い報告]
◆【道徳の教科化が意味するもの
-戦争をする国の愛国兵士の育成を許すな!】
子どもたちに渡すな!あぶない教科書大阪の会
◆【安倍政権の『壊憲暴走』を支えるメディア】
新聞うずみ火 矢野宏さん
◆【「ピースおおさか」リニューアル裁判について】
「ピーおおさか」の危機を考える連絡会 井上淳さん、他3名
ぜひ多くの皆さんのご参加をお願いいたします。
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《【今後の安倍政権「軍事関係」】シリーズ:論文紹介等》
下記論文2題は、大手メディアの「安倍のトランプ擦り寄り路線」と「PKO自衛隊『駆けつけ警護』実績づくりの目論見」を斜めシャープに批判。 管理者も共感するところが多く、読者にも紹介し、またご意見も頂きたい。
<トランプが米軍を撤退させても日本の防衛に穴は開かない:田岡俊次>
11月8日の米国大統領選挙でドナルド・トランプ氏(71)が意外な圧勝をしたことは米国民衆の現状への不満の根深さを示した。国際情勢への無知を露呈した暴言の連発と言動の品の無さには共和党の幹部達も呆れ果てて支持を取り消し、米国のメディアの殆どがクリントン支持を表明する中、失業や貧富の格差拡大に怒る大衆は現状打破の希望を彼に託した。これには十分な予兆があって、2011年9月から数千人がウォール街を占拠する「99%の乱」が起き全米各地に波及していた。
米国では1%の人々が資産の34.6%を握っているから、そうでない99%の人々の怒りがウォール街などでの座り込みに顕れたのだ。
米国では上位20%の人々が資産の85.1%を保有している。
過去30年間で物価高を差し引いた実質所得が向上したのは人口の5分の1の上位20%だけ、次の20%は概ね横ばい、残りの60%は減少したのだから、ただでは済まない情勢だ。こうなった一因はレーガン政権(1981〜89)の時代に、それまで11%〜50%だった所得税率を15%と28%の2段にしたことだ。低所得者の税率を上げ、高所得者は減税し「小さい政府」を唱えて福祉を削る一方、国防予算を増大した。
また米国では相続税が掛かるのは、1人が残す遺産が543万ドル(5.7億円)以上の場合で、夫婦間の相続税は無いから、父母が各々5.7億円を子に残せば11億円以上が無税になると言われる。これでは資産格差が広がるのも当然だ。更には生命保険金の受取りも無税だから富豪は巨額の保険を掛けたり、財団を作って資産を寄付し、子供が理事となって運用する、等の抜け道が設けられている。トランプ氏もまさにそうした手法で不動産業の父親から資産を受け継ぎ、今年9月の「フォーブス」誌の調査では、37億ドル(約3900億円)までに増やしたが、過去18年間国税の支払いを合法的な「節税」で免れていたとも報じられている。
彼は没落する下位中産階級や白人貧困層の憎悪の対象の1人となってもおかしくないように思われる。むしろ、そういう人々は「公立大学無償化」等、やや社会主義的政策を唱えた民主党のバーニー・サンダース上院議員を支持する方が筋だろうが、米国の大衆は「力強い成功者」に憧れるのだろう。
彼は大衆の怒りを移民や自由貿易等、国外に向けて人気を博し、自分もその一員である既成勢力(エスタブリッシュメント)に挑戦する姿勢を演じて選挙では成功した。 彼の選挙戦での発言は、国際問題に無知、無関心な米国の大衆が快哉を叫ぶようなことを、脈絡もなく実現性も考えずに羅列したにすぎず、雑多な果物の切り端にワインをかけたフルーツポンチに似ている。誇大広告だから就任すればあまり実行はできず、彼に投票した人々は今以上に絶望しそうだ。
4年後の大統領選挙では更に排外的、強権的な候補者が出現しかねない、との危惧を感じずにはおれない。
〔日本が100%負担をするなら米軍将兵は日本の傭兵に〕
日本に関してトランプ氏は「日本は牛肉に高い関税を掛けている。
こちらも日本製品に高い関税を掛けよう」とか「日本は不公正な貿易で米国人の職を奪っている。安倍は殺人者だ」「日本に駐留する米軍経費は100%日本に支払わせる。条件によっては米軍を撤退させる」等と叫んでいた。これらは1980年代“ジャパン・バッシング”の時期に言われた事を蒸し返しているだけだ。彼は日本が在日米軍関係の経費をどれ程負担しているか、全く知らないのだろう。
今年度予算で防衛省は基地労働者2万3000人余の給与1458億円、民有地の地代、周辺対策、漁業補償等に1852億円、電気・水道料金249億円、建設工事等に206億円、米海兵隊のグアム移転や厚木基地から岩国基地への空母艦機械の移転に1794億円等、5566億円を出す他、他省庁が、昨年度米軍基地がある地方自治体に出した基地交付金が388億円で合計すると5954億円になる。その外にも国有地を無償で米軍に貸している推定地代が、地方自治体等に貸す場合の安い地代で計算しても、昨年度1658億円で、これも含めると日本側の負担は7612億円に達する。在日米軍の人員は昨年9月末で5万2060人だから米軍1人当たり1145万円の出費だ。
米国の在日米軍関係の支出は約55億ドル(約5800億円)で、その大部分は人件・糧食費、一部が艦艇、航空機等の燃料やそれらの維持費だ。
もし日本が100%負担をするなら、米軍将兵は日本政府から給料を貰う事になり傭兵化する。 「自衛隊の指揮下に入るのかね」との冗談も聞かれる程だ。そもそも「日米地位協定」の24条では、日本は施設・区域(国有地)を無償で貸し、民有地なら地代を払うが、それ以外の全ての経費は「合衆国が負担する」と決まっている。だが米国はベトナム戦争後財政難に陥り、更にドルの価値が360円から約180円へと下落したため、基地労働者の賃金はドルでは突然2倍になり、永年勤続の日本人警備主任の給料が米軍の基地司令より高い、という珍事態も起きた。このため日本政府は基地労働者の諸手当を肩代わりする事にし、1978年度に62億円を分担した。
その根拠を聞かれた金丸防衛庁長官は「知り合いがお金に困っている時には思いやりを示すのが人情」と答えたため「思いやり予算」の名が付いた。
〔ガイドラインズに書かれた「一義的責任」の意味〕
これは堤防の一穴で、米軍は次々に基地労働者の給与の全額や、水道・電気料金の負担、基地内の施設の建て替え、新築などを要求、「海兵隊に沖縄から出て行って欲しいなら移転費を出せ」とも求められ、今日の負担に膨れ上がった。 日本では「米軍に守って貰っている」との誤解が擦り込まれているから、こうした要求を安易に呑むのだが、韓国やかつての西独と異なり、実は直接、日本の防衛に当たっている米軍は皆無だ。米第7艦隊の空母1隻、巡洋艦3隻、駆逐艦8隻等は横須賀を母港とし、揚陸艦4隻、掃海艦4隻が佐世保を母港としているが、第7艦隊は西大平洋とインド洋を担当海域とし、アラビア海など各地に出勤する。日本も裨益しているとしても、他の多くの諸国も同様だ。沖縄の海兵隊の戦闘部隊である第31海兵遠征隊約2000人は第7艦隊の陸戦隊(第79機動部隊)として揚陸艦に乗って巡航し、騒乱の際の在留米国人の救出や災害派遣に当たり、有事には上陸部隊の先鋒となる。沖縄を防衛しているわけではなく、そこを待機場としている。米空軍は嘉手納に40余機、三沢に約20機の戦闘機を配備しているが、日本の防空は1959年以来、全面的に航空自衛隊が担当しており、米空軍機は中東等に交代で派遣される事も多い。米議会では「米本土の基地に戻し、そこから出せばよい」との論も出るが、国防省当局者は「日本が基地の維持費を出しているから、戻せばかえって高くつく」と答弁している。
「日米防衛協力のための指針」(ガイドラインズ)は、その核心である「日本に対する武力攻撃が発生した場合」の「作戦構想」として英文では「日本は日本国民及び領域の防衛に引き続き一義的責任(プライマリー・リスポンシビリティ)を有す。……米軍は自衛隊の日本防衛を支援、補完する」としている。自衛隊は防空、弾道ミサイル防衛、周辺海域での船舶の保護、陸上攻撃の阻止、撃退などに「一義的責任」を有すると決め「必要が起れば陸上自衛隊が島の奪回作戦を行う」とする。
自衛隊が日本の防衛に「一義的責任」を負うのは当然とも言えるが、言わずもがなの語句を入れているのは、もし米軍が何もしなかった場合でも「一義的責任はそちらにあると書いてあるではないか」と言えるようになっている。これでは日本で「では何のために米軍に基地を貸し、莫大な補助金まで出すのか」との疑問が出るから、邦訳では「自衛隊は一義的責任を負う」の個所を「自衛隊は主体的に実施する」とごまかしている。
このガイドラインズは自衛隊が既に日本防衛の能力と責任を持っている実態を追認したものだ。
〔自暴自棄になった相手に抑止力は通用しない〕
もしトランプ氏が言うように米軍が撤退しても、純粋、あるいは狭義、の日本の防衛に大穴があくことはないが、攻撃能力を示して相手に攻撃をさせない「抑止効果」はどうなるか-との疑念の声も、よく聞く。
だが抑止戦略は相手が「反撃を受けるから攻撃は見合わせよう」と考える理性的判断力を持つ事を前提としている。冷戦時の米ソ間では「相手も自殺行為はすまい」との最少限度の信頼感はあったから、相互核抑止が成り立った。北朝鮮が崩壊の渕に立ち、指導者が「死なばもろとも、ある物は使ってしまえ」と自暴自棄の心境になれば抑止効果は意味ない。仮に第2次朝鮮戦争が起き、通常戦力が衰弱した北朝鮮が核ミサイルを発射するなら、先ず韓国軍と在韓米軍の指揮中枢や基地、補給拠点10数個所、次いで朝鮮半島に出動する在日米軍の基地やグアム島の基地、加えて日本の原発等を狙う公算も大きい。
もし米軍が日本から撤退していれば、限られた数の核弾頭(当面は10数発)を横須賀、横田、佐世保、三沢、岩国、嘉手納等に向ける意味はなくなる。もしトランプ氏が米軍を撤退させれば日本にとっては(1)沖縄の基地問題は解消する(2)政府は年間6000億円近い経費分担を免れる(3)北朝鮮の核の脅威は減少する、というメリットが生じるだろう。現実には米国は既に冷戦終了後、欧州、韓国の駐留部隊を大幅に削減しており、財政状況や「アメリカ・ファースト」の国民感情からも、海外関与は減る方向だろう。だが、その海軍は他の全ての国の海軍が束になっても勝負にならない程の絶対的優勢だ。米国は将来も世界的制海権を保持し、戦略的には島国である日本を、米本国の安全と国際的発言力のために確保しようとするだろう。西大平洋で制海権を保つには、横須賀、佐世保の2港及び空母の入港中に艦載機が使う岩国飛行場は不可欠だ。ハワイ、グアムは背後に工場地帯がなく、艦船の整備、修理能力に乏しい。米海軍にとり、中国海軍は地上基地戦闘機の行動半径(約1000km)から出れば処理容易な標的でしかなく、対潜水艦作戦能力も無きに等しい。世界最大の貿易国である中国はインド洋、太平洋の長大な通商航路を米海軍に対抗して守る事は先ず将来も不可能で、経済が拡大し、海外の資源と市場に依存すればするほど、世界的制海権を握る米国とは協調する他ない形勢だ。米国も3兆ドル以上の外貨準備の大半をウォール街等で運用する中国からの融資、投資に依存していて、急速に拡大する中国市場の確保を目指す。米国が将来、仮に日本の海軍基地の管理権を海上自衛隊に返還しても、米海軍がそれを利用できることは極めて重要な国益だ。
米海軍は英国、イタリア等では、その国の海軍の基地を使っている。
もしトランプ氏が「米軍を日本から撤退させるぞ」と脅すなら反対せず「結構なお話ですな」と応じればよい。やがて相手は「なんとか海軍だけでも置かせてほしい」と下手に出て、日本は「守ってもらっている」のではなく、タダで置いてやり、光熱費まで出している気前の良い家主の立場に立てるだろう。トランプ氏が「米軍撤退」を言えば、それこそ日本にとって「トランプ・カード」(切り札)になる。
但し追随が習性となっている外務官僚や安倍首相にその度胸があれば、の話だ。
*以上の論文読者に下記質問を行ったところ、「在日米軍は撤退または縮小すべき」が優に過半数を超えた。これが「安倍(戦争)総理の『米国属国主義』」とは真逆の国民意識である事に注視すべきだろう。
質問; 在日米軍は日本から撤退すべきだと思いますか
縮小すべき37.88%:全面撤退すべき31.82%:撤退すべきでない2.73%:増強すべき6.06%:わからない、等1.52%
(基本文献-ダイアモンドオンライン/文責:民守正義)
<「隊員が亡くなれば、安倍首相はこう言いますよ、『今の憲法では戦えないからだ』と!」志葉玲氏>
2016年11月15日、安倍政権は南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣する陸上自衛隊に、昨年9月に強行採決された戦争関連法に基づく新たな任務「駆けつけ警護」を付与する事を盛り込んだ実施計画を閣議決定した。この日、首相官邸前では「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」が主催する緊急集会「自衛隊は南スーダンから直ちに撤退を!戦争法の発動と『新任務付与』に反対!殺すな!殺されるな!官邸前緊急行動」が行われた。午前7時45分という早い時間帯にも関わらず、集会には総数350名以上の市民らが参加し、野党各党の国会議員も駆けつけた。南スーダンでは2013年12月に、キール大統領が、当時のマシャール副大統領にクーデターの疑いがあるとして対立し、現在まで激しい内戦状態が続いている。これまでの戦闘で数千人が犠牲になっており、今年7月にも首都ジュバで270人以上が死亡する戦闘が起こったばかりだ。そのとき国連平和維持軍は襲われた民間人らの救助要請に応じなかったという。これに関して日本体育大学-清水雅彦教授は「大統領派と副大統領派の、明らかな内戦状態になっている。
これはもうPKO参加5原則は満たしていない。
11月に新しい部隊を出して、新任務を付与することは許されない」と訴えた。またフリージャーナリストの志葉玲氏は、安倍政権が南スーダンでの「駆けつけ警護」を強行する理由として、次のような見方を示した。
「自衛隊員の方が亡くなればどうなりますか。安倍首相は絶対こう言いますよ。『今の憲法が戦えない憲法だから自衛隊は死んだんだ』と。
自分の責任を棚に上げて、絶対に政治利用してきますよ。右翼メディア、保守系メディアも必ずそれに乗ってくる」このように述べ、安倍政権は自衛隊員の命を「捨て石にするつもりだ」と訴えた。
今回「駆けつけ警護」の新任務を付与されたのは「青森陸上自衛隊第9師団普通科第5連隊」。10月15日に青森で行われた第9師団の市中パレードに対して「駆けつけ警護」新任務付与に対して現地では抗議集会が行われた。戦争法制が強行採決された直後、埼玉大学名誉教授の三輪隆氏と陸上自衛隊レンジャー部隊に所属した経験を持つ井筒高雄氏は「駆けつけ警護が『戦闘行為』に加担することに他ならない」という事実を暴いている。またNGO・国際連合職員として東ティモール、シエラレオネ、アフガニスタン等、世界各地の紛争地での紛争処理、武装解除等にあたり、紛争解決請負人とも呼ばれる伊勢崎賢治氏は、「集団的自衛権は、個別的自衛権の延長ではない。自衛隊員が集団的自衛権で、海外で住民を殺した場合、今のままでは個人の責任になって、日本の刑法で殺人罪に問われてしまう」と警鐘を鳴らしている。なお、もう一つの安倍政権「PKO『駆けつけ警護』に拘る理由」は、本年8月に殆どのPKO参加国であるアフリカ諸国に3兆円の経済援助で国税を投入したが、それは後の「武器輸出」の「財源渡し」で、『駆けつけ警護』は、その「武器売り付け」の火種づくりとの見方も根強くある。 (管理者:総合編集)
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■11月26日(土)午後1時半開場―2時開始
■場所:国労大阪会館(JR環状線・天満/地下鉄・扇町下車すぐ)
■資料代:1000円(学生以下半額・介護者無料)
※同額チケットも用意しています。
■主催:とめよう改憲!大阪ネットワーク
■内容①講演「安倍改憲と日本会議の正体」
講師:青木理(あおき・おさむ)
②[闘い報告]
◆【道徳の教科化が意味するもの
-戦争をする国の愛国兵士の育成を許すな!】
子どもたちに渡すな!あぶない教科書大阪の会
◆【安倍政権の『壊憲暴走』を支えるメディア】
新聞うずみ火 矢野宏さん
◆【「ピースおおさか」リニューアル裁判について】
「ピーおおさか」の危機を考える連絡会 井上淳さん、他3名
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