リベラル勢力の再構築で安倍ファシズム政権退陣へ(81)

リベラル勢力の再構築で安倍ファシズム政権退陣へ(81)





《【権力犯罪】シリーズ》


<別府署「隠しカメラ」県民「処分甘い」不満、怒りの声相次ぐ>

 「処分が甘い」「人権問題を考慮していない」―。別府署の隠しカメラ事件を巡り、大分地検が略式起訴等をした9月21日、県民や政党関係者からは不満や怒りの声が相次いだ。県警は開会中の県議会で、過去の選挙違反捜査でもカメラを使っていた事を明らかにしたばかり。プライバシー侵害に繋がる隠し撮りの背景を公開の法廷で解明する機会が失われる事への疑問も出ている。「警察権力がいろんな目的でカメラを使うのは怖いことだ。もう少し厳しい処分を下さないと、今回のような問題が繰り返されかねない」。大分市明野の無職Iさんは、署員4人の略式起訴に不満を示す。問題を知らされていなかった―とされる署長ら2人は不起訴になった。これに対し別府市の会社員女性は「一般企業なら上司の監督責任が問われる。部下だけが刑事罰を受ける事になり、処分が甘い」とバッサリ。

批判の矛先は処分内容に留まらない。同市の男子大学生は「警察が他人の敷地内に隠しカメラを仕掛けることがあるのかと驚いた。捜査だから何をしてもいいという訳ではなく、県警は原因や真相を説明するべきだ」。

隠しカメラを向けられた選挙陣営をはじめ、政党関係者らの間では怒りの声も。社民党県連合の内田淳一代表は「今回は建造物侵入に関する処分だろうが、肝心の人権やプライバシーへの侵害等が考慮されていない」。

共産党県委員会の林田澄孝委員長は「県警は過去のカメラ捜査も認めているだけに、軽い処分での幕引きは許されない」。被害届を提出した別速杵国東地区労働者福祉協議会の矢須田士事務局長は「望んでいるのは当事者の処分よりも、隠しカメラを設置した本来の目的など真相の解明だ。

公開の裁判ではなく、略式起訴となったことは残念だ」と話した。

民進党県連の足立信也代表は「別府署の現場の人間を処分しただけで留まる話ではない。カメラ捜査の常態化に歯止めをかけるため、法整備を進めるべきだ」と話す。今月下旬開催予定の臨時国会でも追及していく構えだ。参院選の選挙違反捜査を巡る別府署の隠しカメラ事件で、ビデオカメラの設置を指示した当時の同署刑事官が、業者との契約を結ばないままカメラを借り上げていた事が21日、県警への取材で分かった。本来は契約手続きを経なければならず「契約前に使用するのはあり得ない」(会計課)という。県警は署員が無断で他人の管理する土地に侵入する等「不適正な捜査」だったと認めているが、会計手続き上も不適正な行為をしていた事が明らかになった。刑事官が借りたカメラは計3台だった事も取材で判明した。同署は契約手続きが一切ないまま、野党候補を支援していた労働組合が入る別府地区労働福祉会館の敷地内に2台を設置。その後、事件が発覚したという。会計課は「契約手続きを踏んでおらず、刑事官の個人的な貸借になる」と説明。「今後、県警が契約を結ぶ事もない。不適正なものに公費の支出はできない」としている。会計課によると随意契約で業者から物品を借り上げる場合、先ず担当者が「伺い」を作成し、署長等の了承を得る。それから業者に見積書を出してもらい、予定価格内であれば契約を結ぶ。その後、納入を受け、借り上げ期間が終わった後に請求書に基づいて支払いをする。契約書に関しては県契約事務規則に基づき、1件100万円以下の場合は作成を省略してもよいという。刑事企画課によると、刑事官が借りた3台の内、今回設置した2台は証拠品として大分地検に送致し、使わなかった残りの1台は既に業者に返した。

<契約公文書は「不存在」>


 県警は21日、おおいた市民オンブズマンの情報公開請求について、事件を巡る公文書を公開するかどうかの決定書を交付した。別府署がカメラを設置した目的を記した「選挙情報報告書」は「訴訟関係書類に該当する」、カメラの借り上げ契約の内容等も「公文書不存在」を理由に非公開と判断。同時期の同種・類似のカメラ設置に関しては「公文書の存否も含めて非公開」と通知した。他の請求については既に一部を公開している。オンブズマンの永井敬三理事長は「来週以降に担当者から説明を受け、問い質したい」と話した。【管理者:先ず「隠しカメラ捜査」は警察の認識としては「通常捜査の範囲内」でバレたら「ウヤムヤ」または「過小処分」で誤魔化す。管理者自身、学生運動で何度も大っぴらに写真は撮られ、持っていた赤旗で撮影妨害すると投げ飛ばす暴行を受けた。それでも、それを問題視する警察はない事は当然、市民も見て見ぬふりだった。だから「別府署-隠しカメラ事件」のように問題になるだけで希少だ!次に情報公開請求で「『公文書不存在』を理由にした非公開」も重大問題で、先ず「物品購入契約書」自体が無いという事は、県-財務規則違反!仮に紛失したという事なら「『情報公開条例』『公文書管理規定』違反!」オンブズマンや弁護士は「そうですか」で終わらせてはならない。だって自ら前記関係条例等違反を自白しているのだから。正直言ってオンブズマンも弁護士も「もっと、しっかりしろ!」と言いたい。】(参考文献-大分合同新聞/文責:民守正義)



<法相「共謀罪」国会早期提出へ>


金田法務大臣はアメリカのケネディ駐日大使と会談し「共謀罪」の構成要件を厳しくして罪名も変更する組織犯罪処罰法の改悪案について、国会に早期に提出できるよう環境整備に取り組む考えを示した。

「テロ」等の謀議に加わった場合に処罰の対象となる「共謀罪」を巡って法務省は、適用範囲を限定し、構成要件を厳しくした上で、罪名を「テロ等組織犯罪準備罪」に変更する組織犯罪処罰法の改悪案を、早期に国会に提出する考えだ。こうした中、金田法務大臣は、就任後初めてアメリカのケネディ駐日大使と会談し「2020年には東京オリンピック・パラリンピックがあり、テロ等への対策に力を入れなければならない。国連の国際組織犯罪防止条約の批准は喫緊の課題だ」と述べた。その上で金田大臣は「批准に必要な組織犯罪処罰法の改正案を、秋の臨時国会に提出するかどうかは決まっていないが、提出できる環境ができるだけ早期に整備されるよう努めていく」と述べ、組織犯罪処罰法の改悪案を国会に早期に提出できるよう環境整備に取り組む考えを示した。これに対してケネディ駐日大使は「日本政府の姿勢に勇気づけられる。アメリカとしても協力できることがあれば協力したい」と応じた。

〔日弁連は共謀罪に反対します!〕


「共謀罪」が、国連越境組織犯罪防止条約を理由に制定されようとしており、法案は、2003年の第156回通常国会で最初に審議された。

その後二度の廃案を経て2005年の第163回特別国会に再度上程され、継続審議の扱いとなり、第165回臨時国会においても、幾度とない審議入り即日強行採決の危機を乗り越えて継続審議となり、第170回臨時国会においても継続審議となった。そして2009年7月21日の衆議院解散で第171回通常国会閉幕により審議未了廃案となった。今後も予断を許さない状況が続くことが予想される。日弁連は、共謀罪の立法に強く反対し、引き続き運動を展開していく。

【参考:パンフレット「合意したら犯罪?合意だけで処罰?―日弁連は共謀罪に反対します!!―」から】

「共謀罪」とは2人以上の者が、犯罪を行う事を話し合って合意する事を処罰対象とする犯罪のこと。具体的な「行為」がないのに話し合っただけで処罰するのが共謀罪の特徴だ!しかし単なる「合意」というのは「心の中で思ったこと」と紙一重の段階。近代刑法は、犯罪意思(心の中で思ったこと)だけでは処罰せず、それが具体的な結果・被害として現れて初めて処罰対象になる。「既遂」処罰が原則で「未遂」は例外、それ以前の「予備」は極めて例外、しかも、いずれも「行為」があって初めて犯罪が成立するというのが刑法の大原則だ!共謀罪は、この「予備」よりもはるか以前の「合意」だけで「行為」がなくても処罰するというもの。

 このように処罰時期を早めることは、犯罪とされる行為(構成要件)の明確性を失わせ、単に疑わしいとか悪い考えを抱いているというだけで人が処罰されるような事態を招く事になる。

 よって日本弁護士連合会はこの法案の成立に反対してきた。

*****

 安倍(独裁)政権・自民党は「共謀罪なしで国連越境組織犯罪防止条約は批准できない」と言っているが、これは大嘘!実際は「国際人権規約-批准」と一緒で国内法整備とは関らず十分、批准は可能で、これは国際法の常識!日弁連は、2006年9月14日の理事会にて「共謀罪新設に関する意見書」を採択し、2012年4月13日の理事会にて、新たに「共謀罪の創設に反対する意見書」を採択した。

    【共謀罪の創設に反対する意見書(2012年)趣旨】

 政府が導入を主張している「共謀罪」の規定は、我が国の刑事法体系の基本原則に矛盾し、基本的人権の保障と深刻な対立を引き起こすおそれが高く、その導入の根拠とされている国連越境組織犯罪防止条約の批准にも、この導入は不可欠ではないから、政府は、「共謀罪」の創設を含む組織犯罪処罰法改悪案を提出すべきではない。

【共謀罪の基本問題】


◎政府は、共謀罪新設の提案は「専ら国連越境組織犯罪防止条約を批准するためと説明し、この立法をしないと条約の批准は不可能で、国際的にも批判を浴びる」と虚弁してきた。法務省は、条約審議の場で「共謀罪の制定が我が国の国内法の原則と両立しない」と大言大嘘を明言していた。

◎刑法では、法益侵害に対する危険性がある行為を処罰するのが原則で、未遂や予備の処罰でさえ例外とされている。ところが予備よりも遥かに以前の段階の行為を共謀罪として処罰しようとしている。どのような修正を加えても、刑法犯を含めて600を超える犯罪について共謀罪を新設することは、刑事法体系を根本から変えてしまう。

◎現在の共謀共同正犯においては「黙示の共謀」が認められている。共謀罪ができれば「黙示の共謀」で共謀罪成立とされてしまい、処罰範囲が著しく拡大する恐れがある。

◎共謀罪を実効的に取り締まるためには、刑事免責、おとり捜査(潜入捜査)、通信傍受法の改悪等、対象犯罪等の拡大や手続の緩和等、関連法の改悪が芋弦的に必然となる。

◎この間の国会における審議とマスコミの報道等を通じて、共謀罪新設の是非が多くの国民の関心と議論の対象となり、共謀罪の新設を提案する法案を取り巻く環境は、根本的に変わっている。国連越境組織犯罪防止条約は締約国に何を求めているのだろうか。

◎国連越境組織犯罪防止条約第34条第1項は、国内法の基本原則に基づく国内法化を行えばよいと定めている。国連の立法ガイドによれば、国連越境組織犯罪防止条約の文言通りの共謀罪立法をすることは求められておらず、国連越境組織犯罪防止条約第5条は締約国に組織犯罪対策のために未遂以前の段階での対応を可能とする立法措置を求められているものと理解されている。

[条約の批准について]


◎国連が条約の批准の適否を審査する訳ではない。条約の批准とは、条約締結国となる旨の主権国家の一方的な意思の表明であって、条約の批准にあたって国連による審査という手続は存在しない。

 国連越境組織犯罪防止条約の実施のために、同条約第32条に基づいて設置された締約国会議の目的は、国際協力、情報交換、地域機関・非政府組織との協力、実施状況の定期的検討、条約実施の改善のための勧告に限定されていて(同条第3項)、批准の適否の審査等の権能は当然にない。

[では実際に国連越境組織犯罪防止条約を批准した各国は、どのように対応しているのか]

◎第164回通常国会で世界各国の国内法の整備状況について、国会質問がなされたが、政府は「わからない」として殆ど説明がなされなかった。

 この点について日弁連の国際室の調査によって次のような事実が明らかになった。

●新たな共謀罪立法を行ったことが確認された国は、ノルウェー等、ごく僅かだ。

●アメリカ合衆国は、州法では極めて限定された共謀罪しか定めていない場合があるとして国連越境組織犯罪防止条約について州での立法の必要がないようにするため、留保を行っている。既に判明しているだけで、組織犯罪の関与する重大犯罪の全てについて共謀罪の対象としていないことを認めている国が5ヶ国(ブラジル、モロッコ、エルサルバドル、アンゴラ、メキシコ)も存在することが明らかになっている。セントクリストファー・ネーヴィスは、越境性を要件とした共謀罪を制定して、留保なしで国連越境組織犯罪防止条約を批准している。「繰り返すが新たな共謀罪立法なしで国連越境組織犯罪防止条約を批准することはできるのだ。」

  [我が国における組織犯罪集団の関与する犯罪行為の対応]

1.未遂前の段階で取り締まることができる各種予備・共謀罪が合計で58あり、凶器準備集合罪など独立罪として重大犯罪の予備的段階を処罰しているものを含めれば重大犯罪についての、未遂以前の処罰がかなり行われている。

2.刑法の共犯規定が存在し、また、その当否はともかくとして、共謀共同正犯を認める判例もあるので、犯罪行為に参加する行為については、実際には既に相当な範囲の共犯処罰が可能となっている。

3.テロ防止のための国連条約の殆どが批准され、国内法化もされている。

4.銃砲刀剣の厳重な所持制限等、アメリカよりも規制が強化されている領域もある。

 以上のことから、新たな立法を要することなく、国連の立法ガイドが求めている組織犯罪を有効に抑止できる法制度は既に確立されていると言える。政府が提案している法案や与党の修正試案で提案されている共謀罪の新設をすることなく、国連越境組織犯罪防止条約の批准をすることが可能であり、共謀罪の新設はすべきではない。(基本文献-日弁連/文責:民守 正義)



<元警察官らの集団強姦、何故か「不起訴」被害女性が検審申し立て>

 昨年8~10月にかけ「集団強姦等の疑いで逮捕や書類送検された大阪府警の元警察官を含む5人全員を不起訴」とした大阪地検の処分は不当だとして、被害を訴えた府内在住の20代女性が6月20日、大阪第2検察審査会に審査を申し立てた。

「不起訴」の理由は「女性の抵抗が弱かったから同意はあった」だって!なんと社会常識・良識から遊離した判断だ!許せない!!

 現に社長が新入社員にモーテルに誘い、然したる抵抗等ができず性交渉に至った「千葉不動産業事件:H10.3.26千葉地裁」でも「原告の年齢や代表者との関係、両者の立場や性別、体格等の相違等を考慮したとき、原告が徹底して抵抗するのが当然とはいえず、原告の意に反して性交渉をもつに至ったもの」とセクハラ認定を受けた判例は幾らでもある。昨年8~10月にかけ、集団強姦等の疑いで逮捕や書類送検された大阪府警の元警察官を含む5人全員を不起訴とした大阪地検の処分は不当だとして、被害を訴えた女性は「検察審査会に審査」を申し立てた。

 申立書によると、女性は2014年12月17日から18日にかけ、大阪市天王寺区のホテル客室で、元警察官の知人男性(33)や当時箕面署の巡査部長だった男性(36)ら5人に監禁され、乱暴されたとしている。

 実行犯の一人-知人男性はインターネット掲示板で、悪質にもレイプ参加者を募っていた。ところが地検は昨年10月、いずれも嫌疑不十分で不起訴とした。 申立書によると、5人は女性の抵抗が弱まった事等から「同意があった」と弁解したという。

「抵抗感が弱まったから同意があった」との主張が認められる等とは、心理的にも法的にも全く「同意の証明」にはならず、他のセクハラ裁判にも極めて逆行するもので、検察官の基本的法思考から「無能」の誹りは免れない。加えて代理人の雪田樹理弁護士は会見し「女性は目隠しをされ、手を縛られた状態で突然乱暴された。同意はあり得ない。これがまかり通ったら性犯罪が横行する」と訴えた。

[記者会見に臨んだ代理人弁護士らの主張]


 集団強姦と監禁の疑いで大阪府警の警察官ら4人が逮捕、1人が書類送検された事件で、5人を不起訴(嫌疑不十分)とした大阪地検の処分を不服として、被害を訴えた20代の女性が2016年6月20日 「抵抗できない状態でる性的暴行を受けた。大阪府警は昨年9~10月、インターネットサイトを通じ、参加を募った四条畷署元巡査長(33)や応じた箕面署巡査部長(36)=懲戒免職=ら4人を逮捕、大阪府内の小学校教諭(32)=懲戒免職=を書類送検したが、5人は女性の抵抗が弱まったので「女性の同意があった」等と主張し、大阪地検はこれを覆すだけの証拠はないと判断した。女性の抵抗が弱まったので 「女性の同意があった」との判決は、世間の良識が認められない申立書で女性は、元巡査長からホテルに呼ばれて目隠しされ、両手を縛られ、暴行を受けたと主張し、ネット募集のことは知らず「元巡査部長らは突然、目隠し等をして体を押さえつけた。当時は『騒ぐと何をされるか分からない』という恐怖で激しく抵抗できなかった」として、同意など存在しないと訴えている。代理人弁護士は「女性は目隠しをされ、手を縛られた状態で突然乱暴された。同意はあり得ない。これがまかり通ったら性犯罪が横行する」と言っているが、事実関係がその通りだとしたら全く同感。目隠し、手を縛られた密室内でずっと激しく抵抗し続けろという方が無理な話で、抵抗が弱まったから同意した等という事実認定が通用する訳がない。【管理者:そもそも、この実行犯らが「警察官」らだったから、常識的法理論を覆しても「不起訴」としたもので、管理者が再三、指摘している「警察⇒検察庁⇒裁判所」の癒着構造の典型例と指弾しても過言では無い】なお、この「検察審査会-審査申し立て」が、今日時点で、そもそも受理されたかも含めて、管理者が大阪第二検察審査会に取材したが「検察審査会法」を理由に「一切、答えられない」と何らの回答も拒否した。(基本文献-シェアチューブ/文責:民守 正義)



<東京地検が認めた「でっち上げ捜査」の真相〜暴いたのは一人の弁護士>

 発生から2年が経った暴行事件で突然、逮捕者が出た。不可解な起訴に憤る担当弁護士。無実の罪を晴らす「新証拠」を探す中で警察、検察の杜撰な捜査が明らかになっていく——。

<ある寒い日、深夜の出来事>


「目撃者の証言を過度に信用し、客観的証拠が不十分だった。身柄を拘束したことについて、心よりお詫び申し上げます」7月21日、記者会見の会場に現れた東京地方検察庁の落合義和次席検事がこう述べると、その異例の発言に会場の記者たちはざわめいた。この日、東京地検は、ある事件について起訴を取り消したことを発表。そして、被告人とされた中国人二人を誤って勾留し続けていたことについて謝罪したのである。東京地検といえば、ロッキード事件やリクルート事件の時代ほどの威光はないとはいえ、我こそは正義というプライドに満ちたエリート集団(ところが甘利問題は不起訴で安倍(独裁)総理との癒着が明らかになった)。その分、彼らは自分たちの過ちを認めたくない生き物でもある。そんな組織が、いったいどのようにして誤認起訴という屈辱的な事実を認めるに至ったのか。問題を炙り出すのに重要な役割を果たしたのは、一人の弁護士、牛田喬允氏だった。事件が発生したのは、'14年1月22日の未明である。居酒屋が軒を連ねる東京・八王子の繁華街の道路を、一台の車が徐行していた。午前0時過ぎ、車の運転手は、助手席の窓ガラスやボディが何者かに蹴られていることに気づく。運転手は複数いるらしきその不審者たちに強く声をかけたが、彼らは即座に立ち去った。不審に思った運転手は車を降り、110番通報する。運転手が道端で周囲の人々と話していると、突如そこに、先ほどの不審者たちが戻ってきた。運転手に因縁をつけたかと思うと、彼を殴りつけ、蹴り上げた。彼らは、止めに入った通行人1人にも暴行を浴びせる。暫く暴行を続けた後、不審者らは現場から離れ、タクシーに乗り込んで逃亡。姿を消した。最低気温が2℃まで下がる寒い日の、突然の出来事だった。「被害にあった二人は、頭部打撲などでそれぞれ全治2週間、1ヵ月の怪我となりました。管轄は八王子署。事件発生直後から、警察は犯人が2~3人組であるとして、捜査線上に浮上した人物の写真数十枚を被害者や目撃者に見せる『写真面割り』などで、捜査をしていたようです」(全国紙社会部記者)だが、捜査に目覚ましい進展はなかった。周囲からは、事件は解決を見ないまま闇に消えるかに思われていた。

<「あなたが犯人だ」>


 事件が動いたのは今年の3月のこと。八王子署は、同17日に中国人のAさん、その後、Aさんの友人である中国人のBさんをこの事件の犯人として逮捕したのである。前出の記者が言う。「AさんとBさんは、事件当日に現場から少し離れた場所でケンカをしており、それで関係者として浮上したと見られます。Bさんが逮捕されたのは3月30日。Bさんのもとに警察官が乗り込んできて、『2年間捜査してきて、貴方が犯人だという事は解っている』といった事を述べ、逮捕状を突きつけてきたそうです」なぜ突然の逮捕だったのか。日本と中国を行き来していた二人が日本に戻ってきたタイミングで、警察は再び面割りを行い逮捕に踏み切ったと見られている。

 八王子署に勾留されたBさんの弁護人として選任されたのが、先述の牛田氏だった。4月、牛田氏は署の接見室に赴き、Bさんと向き合い、時間をかけて話した。その中でBさんは犯人ではないという印象を持ったという。牛田氏が述懐する。「当初は『私は犯人ではありません』と言われても信じられませんでしたが、少しずつ話を聞く中で、弁解が合理的で、曇りがないことがわかりました。この人は嘘をついていない、疑わしいところがないと思いました。それにBさんは勾留に憔悴していて、取り調べの勢いに押されて虚偽の自白をしかねないように見えました。信じて戦うと決めました」

    <検察は4月7日にAさん、20日にBさんを起訴。>

 事態が転回したのは5月中旬である。検察から弁護人や被告人に証拠が提示される「証拠開示」が行われた。証拠について記載された書面が、司法協会から牛田氏の手元にも届く。牛田氏はそれに目を通し、驚愕した。

「客観的証拠がなかったのです。防犯カメラの映像があるらしいということは事前に聞いていましたが、犯行現場のものかと思っていたら、現場近くの街角のカメラの映像が挙げられているだけ。検察は、起訴したからにはもっと確実な証拠を持っているのだろうと思っていたのに、全くそれがない。驚きました」そして皮肉なことに、検察が提出した証拠の一部が、むしろ彼ら自身の首を絞める材料となっていく。牛田氏がそれらの証拠を検討する中で、小さな引っ掛かりを覚えたのである。

<ドライブレコーダーを探せ>


「検察の証拠の中にあった、タクシー会社とタクシー運転手についての記述です。検察は犯人がタクシーで逃げた事を証明するため、その存在を示していました。にも関らずタクシーのドライブレコーダーの映像は提出されていない。そこでふと思ったのは、もしレコーダーが存在すれば大きな証拠になるのではないかということ。確証はありませんでしたが調べる価値はあると思いました」(牛田氏)牛田氏は、証拠資料に記載されていたタクシーの運転手に電話をかけた。最初は繋がらない。何度目かでやっと繋がった。運転手は「(レコーダーは)あります」と言った。牛田氏が振り返る。「びっくりしました。あるのかって。ただ『2年も経っているのでデータが残っているか解らない。会社に聞いてください』と言われました」今度はすぐにタクシー会社の支所に電話をかける。「(データは)ありますよ。見に来て頂ければ見せますよ」と驚くような返答があった。

「翌日、支所に出向くと、担当の所長さんから『すみません、本社に確認したら、やはりコンプライアンスの問題でお見せできません』と言われてしまった。2時間粘りましたがダメでした。結局、その方に、映像の人物とAさんBさんの写真を見比べてもらい『違うように見えます』という意見は聞けました。でも、とにかく自分の目で映像を確認したかった」(牛田氏)牛田氏は、弁護士会を通じて必要事項の調査、照会を依頼する「弁護士会照会制度」を用いて、ドライブレコーダーを提出してもらう。

「データをもらったのは6月7日。タクシー会社からデータを受け取り、すぐに車のなかでノートパソコンを広げて見ました。粗い画像でしたが、後部座席に2人、助手席に1人乗っていて、助手席の人物の顔は明確にAさんともBさんとも違う。後部座席の人物も別人に見えました。また後に解った事ですが、犯人達のやり取りには、中国語の他に韓国語も交じっていました。AさんもBさんも韓国語は喋れません」(牛田氏)6月22日、初公判を迎える。この日、Aさん、Bさんの二人は容疑を明確に否認。牛田氏は検察の出方を窺うためにドライブレコーダーの存在は温存する。6月30日、第2回公判。牛田氏はドライブレコーダーの存在を裁判所と検察に指摘する。だが「満を持して」という思いではなかった。「このときにレコーダーを提出したのは、早く二人の身柄を解放したかったから。本当なら、レコーダーに映っていた人物を特定するなり、そこに映っている人物がAさんBさんと違うという鑑定結果を待ってから提出したかったのです。でも当初からBさんは早く解放されたいと言っていましたから、その利益を優先しました。Bさんには、第2回公判の前にレコーダーの存在について伝えていました。『あった、あった!』と喜んでいましたね」

<警察の捜査も酷かった>


 レコーダーの提示が効力を示したのだろう。7月5日、7日にAさん、Bさんは、共に90日以上の拘束から解かれ、ようやく保釈された。そして7月12日。「東京地裁立川支部で、裁判官、検察、弁護人が揃って三者協議が行われました。その場で、事件を担当する起訴検事から『地検として起訴を取り下げます。今後、訴訟活動もしません』と伝えられたのです」(牛田氏)東京地検には、裁判を続け無罪に終わらせるという選択肢もあった。しかし彼らがそれを選ぶ事はなかった。自分達のでっち上げたストーリーが無理筋だったという事を、まざまざと突きつけられたのだろう。

 その後、冒頭のように謝罪会見が行われ、地検は正式に誤認起訴だったことを認めたのである。起訴取り消し以降、警察、検察の捜査の仕方に問題があったことが明らかになりつつある。そもそも警察はドライブレコーダーの存在を認識していた。「タクシー運転手の方が、事件直後、警察署に持って行っていたのです。しかし、その日はソフトがなかったため、見られなかったようです」(牛田氏)更に検察は、警察から上がってきた調書の目撃者証言を捻じ曲げていたという疑いも持たれている。前出の記者が言う。「警察の調書には、犯人は日本語が片言という旨が書かれていましたが、検察の調書では『片言とはイントネーションが違うという意味』と書かれていました。AさんBさんが日本語に堪能であったことから、検察が都合よくつくり変えたと見られても仕方ありません。犯人の身長についての目撃証言に関しても、警察の調書と検察のものでは矛盾が見られます」

 また検察は写真面割りと目撃証言に頼って起訴に至ったといえるが、そもそも面割りは決定的な証拠になりにくい。元検察官で郷原総合コンプライアンス法律事務所代表の郷原信郎氏が言う。「写真面割りと目撃証言だけで逮捕、起訴するというのはありえないことです。目撃者は、すでに抽出された選択肢から選ぶから、『このなかに犯人がいる』という先入観を持ってしまい、記憶が曖昧でも誰かを選んでしまう。危険なことです」現在、Bさんは国家賠償請求を行うか否かを検討しているというが、例え賠償金を得ても勾留された時間と、そのときに失った信頼は二度と取り戻せない。「正義の組織」であるはずの検察が奪ったものはあまりに大きい。(「週刊現代」)



《いいね!野党共闘@ミナセン大阪~6野党トークセッションのご案内》

日頃の活動へのご理解・ご協力に敬意を表します。

参議院大阪選挙区においては、改憲勢力に全議席を許してしまい大変残念な結果となりました。本年2月の5党首会談を踏まえた野党共闘(以下、維新を除く)では、野党間の連携や一定の協力をはじめ、市民による応援態勢の確立など従来にはなかった関係や動きが構築されつつあります。これらの動きをふまえ、次の衆議院選挙において、改憲推進派政党の3分の2以上の議席獲得阻止、戦争法制の廃止をめざす野党の過半数の議席獲得を実現するために引き続き野党共闘を深め合う事が大変重要だと思っています。そしてそのきっかけの一つとして、市民と各政党との意見交換を目的に今回のイベントを開催いたします。

多くの皆さまのご参加をお願いします。

★添付チラシをご活用おねがいします。

日時;2016年10月2日(日)14時~16時

場所:国労大阪会館

(環状線「天満駅」出口から徒歩2分。

大阪市北区錦町2-2 TEL:06-6354-0661)

内容:6野党の皆さんによるパネルディスカッション

主催:みんなで選挙☆ミナセン大阪

(大阪市北区西天満4-6-18アクセスビル7階;

のぞみ共同法律事務所気付)



《中国の行動派フェミニストの運動【日本女性学研究会10月例会】》

<テーマ:中国の行動派フェミニストの運動――2012年~2016年――>

・日時:2016年10月29日(土)14:00~16:30

・場所:ドーンセンター(大阪)5階 セミナー室2

・報告: 遠山日出也(立命館大学客員研究員)

・参加費:800円 (日本女性学研究会会員は無料)

 申込みご不要です。直接会場においでください。



《10・28自衛隊は南スーダンに行くな!

~「戦争法」違憲訴訟二次提訴緊急集会》

■10月28日(金)PM6時開場―6時半開始

:エルおおさか・南館1023号室:資料代:800円

<お話し:泥憲和さん(元自衛官)>:

主催:「戦争法」違憲訴訟の会

(民守 正義)