安倍政権の破滅的リスクと参議院選挙の展望(57)
《【闇のTPP】TPP交渉差し止め・違憲訴訟:ISD条項は「国会は、国権の最高機関」「すべて司法権は、最高裁判所等に属す」憲法違反》
私は読者に謝罪しなければならないことがある。先のTPP交渉で「大筋合意は、実態は全面敗北であること」具体的には「遺伝子組替え食品が表示なく日本消費者には選別し難い事」「今後の日米並行協議で日本の国民皆保険制度が形骸化し、米国の民間高額医療制度が参入する恐れがある事」「国内産業を守るため関税以外の保護制度等を創ると『ISD条項』提訴されて多額の損害賠償請求される恐れがある事(ISD条項は双務条約であるが実態は、米国は無敗で圧倒的有利)」「農産物は『関税を守る』と言いながら全体の8割が関税撤廃されたこと」「日本優位と言われた自動車で『乗用車で25年後、トラックは30年後、バスは10年後に関税撤廃』と相当に先送りされ実質的に関税撤廃されなかった事」等々、早々に甘利大臣は全面譲歩しコーヒーを飲んで時間を潰し(日刊ゲンダイ随行記者証言)「苦心した」というのは安倍(ウソツキ)総理のフライング会見での虚言であったこと等をシリーズで報告したが、その一方、こうした売国的TPP交渉に対して2015年5月15日の早い段階で「TPP交渉差し止め・違憲訴訟の会」(原告1063人)が、国を相手に交渉差し止めと違憲確認を求める訴訟を東京地裁に起こしていた事を情報収得できずに報じなかった事だ。そこで「同違憲訴訟」の概要と現況を簡単に報告する。
<「TPP交渉差し止め・違憲訴訟」の概要と現況>
「TPP交渉差し止め・違憲訴訟の会」(以下「訴訟の会」)は、会長は原中 勝征(日本医師会前会長)で幹事長は山田正彦(元農林水産大臣)である。原告団員数2120人超、弁護団員数157人、会員数5250人超で一応、巨大「訴訟団」である。主な呼びかけ人には安部芳裕(作家) 岩脇宜広(MIDDLEs代表) 植草一秀(経済学者) 魚ずみちえこ(ママデモ代表) 落合恵子(作家) 堤 未果 (ジャーナリスト) 孫崎 享(評論家)等々、曹操たるメンバーが名を連ねる。主な訴訟事項は「1被告は、環太平洋戦略的経済連携協定に関する交渉をしてはならない。2被告が環太平洋戦略的経済連携協定に関する交渉をすることは違憲であることを確認する。3被告は、原告ら各自に対して、金1万円を支払え。」で被告は国(安倍内閣総理大臣、以下)、憲法違反指摘事項は「1. 生存権(憲法25条):市民の暮らしと命への影響は計り知れず、国民が人としてあたり前に生き、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利が侵害される。2. 幸福追求権(憲法13条):国政の上で最大の尊重が必要とされる生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利が侵害される。3. 司法主権(憲法76条1項):ISD条項によって国が提訴されれば、規制や法制度が覆されかねず、国の司法主権が侵害される。4. 知る権利(憲法21条):発効後4年間秘匿とする義務を負う秘密保持契約によって、国民の知る権利が侵害される。」である。
公判は既に原告-第3回弁論が2月22日、行われた。その主な趣旨は以下のとおり。
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◎TPP協定の内容は、アメリカを拠点とするグローバル資本の利益が最優先、日本の社会の仕組みや国民の権利が、これに従属する形で変容させられる。
◎投資家体国家間の紛争解決条項(ISD条項)が日本の司法権を否定し、日本の憲法原理を破壊する極めて危険なものである。
◎TPPは、関税の自主権の放棄だけになく、明治以前の治外法権の各条約の締結以上に日本外交に汚点。具体的には①分野が関税のみに留まらず、経済のほぼ全分野に及ぶこと、②裁定が国際仲裁裁判所に委ねられること、③裁判の主たる基準は企業の利益が侵害されたか否かであり、生命・健康、労働者保護、地域発展という国家の政策を形成するに当って尊重されるべき主要な価値観は殆ど考慮されないこと、等。第二次世界大戦敗北時の降伏文書への署名以来、最大規模で国家の主権を譲り渡す取り決めである。
◎ISD条項-憲法第41条「国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である」憲法第76条1項「すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する」同条2項「特別裁判所は、これを 設置することができない」に反し、これらの統治機構の基本原理と仕組みを根本から破壊する。
*ISD条項は、日本に投資している外国の企業が、日本の法律・裁判・行政によって被害を受けたと判断した時には、日本の司法に救済を求めるのでなく、国際仲裁裁判所に訴えることが出来るという制度。国際仲裁裁判所の判断においては、日本の法律や裁判や行政判断が、健康・生命への配慮、地域の発展、労働者の保護という広い社会的正義と必要性判断に基づくものであることへの配慮が全くなされず、専ら投資家企業に害を与えたか否かの論点のみで判断する。(国際仲裁裁判所は平気で日本の法律を否定し、日本の裁判所の頭越しに日本政府等に対して損害賠償義務を命じることが出来る。)
*更に重要問題点は、国際仲裁裁判所は独立した裁判官を持たず、高級の企業弁護士がある時は企業の弁護士になり、ある時は裁判官になり、裁判の公正性は保てない。
(米国に圧倒的に有利のISD条項と言われる所以である)
なお次回公判は4月で具体日程は定まっていない。
《【亡霊のアホノミクス10】ついにギブアップ‐黒田総裁がアベノミクスの失敗“認めた》
バズーカはやっぱり空砲だった―。日銀‐黒田東彦総裁がついに“ギブアップ宣言”だ。
23日の衆院財務金融委員会に出席した黒田総裁は、マネタリーベース(資金供給量)の増加と物価上昇率の相関関係について改めて問われた際「マネタリーベースそのもので直ちに物価、あるいは予想物価上昇率が上がっていくということではない」と言い放ったのだ。「(総裁に)就任して間もなく3年。そろそろ客観的な検証をした方がいい。マネタリーベースを増やすと期待インフレ率が上がるというのが異次元緩和の一つの大きな前提、根拠になる考え方だったと思うが、今もなお、そう信じているのか」仰天答弁が飛び出したのは、民主党‐玉木雄一郎議員が黒田総裁に問い質した時だ。2013年4月から始まった「異次元金融緩和」(黒田バズーカ)は、マネタリーベースを2年間で倍増させ、前年比2%の物価上昇率を実現させる―というものだ。黒田総裁は当時の会見で、マネタリーベースを倍増させる理由を問われると〈2年で2%の物価上昇目標を達成するのは容易ではない。これまでのように小出しにする、やり方では達成できない。ここまでやれば達成が可能になるという額〉と断言。〈マネタリーベースは端的にいうと日銀の通貨。最も分かりやすく適切だ〉と威張っていた。同じ時期に都内で開いた講演会でも2%の物価上昇目標に触れて〈この約束を裏打ちする手段として量・質両面の金融緩和を行う。具体的には金融市場調節の操作目標を『金利』からマネタリーベースという『量』に変更した〉と強調していた。
<異次元緩和の理論の支柱が折れた>
14年11月に日銀が資金供給量を年間60兆~70兆円から約80兆円に増やす追加緩和を決めた際も、黒田総裁は〈2%の物価上昇目標の早期実現を確かなものにする〉と強弁。それが一転して「マネタリーベースと物価上昇に相関関係はない」と認めたのだから、のけ反ってしまう。玉木議員があらためてこう言う。
「黒田総裁の発言には本当に驚きました。異次元緩和の理論の根幹、支柱がポキンと折れたのですから。つまり、それだけ行き詰まっているという表れなのでしょう」黒田総裁が白旗を揚げるのも当然だ。マネタリーベースは12年末の138兆円から昨年末は365兆円と2.6倍に膨らんだものの、15年平均の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)は2%目標には程遠い前年比0.5%増。誰が見ても「黒田バズーカ」は失敗だ。さすがに「相関関係がある」とは言えないだろうが、シレッと手のひら返しの発言が許されるのか。「トリクルダウンは起きない」(竹中平蔵・パソナグループ代表)と同様、アベノミクスの旗振り役は“泥舟”からの逃げ足だけは速い。【管理者:さあ「アホノミクスの生みの親」という連中が「安倍」から逃げ出した。「安倍」はまだ日本会議発-アホノミクス教に拝んでいるが「参議院選挙でのしっぺ返し」は内閣支持率‐世論逆転も含めて相当に厳しい。野党質問で詰められると「私が内閣総理大臣で最高責任者。言っている事に間違いない」と大言壮語していた「安倍」。いっそのこと参議院選挙前に総責任を取って引責辞任したらどうだ】(日刊ゲンダイ/管理者一部編集)
《パソナが「リストラ指南書」 裏に竹中平蔵会長と650億円利権》
安倍政権が国のカネを使って「クビ切り」奨励だ。人材会社が国の助成金による利益欲しさで、企業に「クビ切り指南書」を伝授している実態が浮き彫りとなった。クビ切り利権と言える助成規模は第2次安倍政権の誕生以降150倍もアップ。拡充に動いたのは産業競争力会議の一員で、前章で述べた「アホノミクスの生みの親」人材派遣大手パソナの竹中平蔵会長だ。本来、労働者を守るカネのロコツな「我田引水」は絶対に許されない。
<人材会社が利益欲しさに「クビ切り指南書」>
「退職勧奨制度対象者のための面談の進め方」と題されたA4判10枚綴りの文書がある。パソナグループ傘下で法人契約の再就職支援シェアトップを誇る「パソナキャリア」が作成したとみられる“指南書″だ。〈誰が退職勧奨に応じたか、誰にどのようなことを言ったか等の面談の内容に関しては一切、伝言しないこと〉〈面談は1対1が望ましい〉〈会社に残ることが本人のキャリアのためにならないことを強調する〉-等のノウハウを次々と披露。〈再就職支援サービスを受ける事によって、かなり高い確率で再就職が可能であることを強調する〉〈パソナキャリアで直接、詳しい話を聞いてみるよう勧める〉と、サービスの宣伝も忘れない。さらに「面談テクニック」として〈「今回の再就職支援の中では、その道のプロが君の適正をしっかり把握して、最も相応しい場を紹介してもらえると思うよ」〉と、自画自賛の模範回答例まで紹介している。「かつての『追い出し部屋』に代わって、リストラ策の主流は対象社員を個別に呼び出して自主退職を促す手法です。社内外に非公表で進め、対象が誰かも知らせず、社員同士の団結も分断する。対象者は誰にも相談できずに孤立し、精神的にさいなまれるケースも増えています」(雇用問題に詳しい弁護士)問題の指南書は最新のトレンドに乗った内容だが、人材会社がクビ切り指南書の作成に躍起なのは利権目当て。クビ切り指南とワンセットで、雇用保険を財源とする「労働移動支援助成金」の対象である再就職支援ビジネスで儲けるためだ。「離職する労働者の再就職支援を人材会社等に委託すると企業に支給される助成金です。委託しただけで1人当り10万円、6カ月以内の再就職実現で、更に委託費用の一部が支給されます。上限は1人につき60万円。人材会社にすれば助成金が企業の委託費を肩代わりし、離職者の数が多いほど利益も増える仕組みです」(厚労省関係者)
<竹中会長の強弁で上積みされた助成金>
怪しいのは、安倍政権によって助成金が桁違いに増えたこと。2014年度の予算301.3億円は、前年の支給実績の約2億円から実に150倍増。15年度には349.4億円まで増額された。2年間で650億円だ。「13年6月に政府は『産業競争力会議』の議論を踏まえ『日本再興戦略』を閣議決定。その中で『行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型への政策転換』を掲げたため、一気に予算が拡充されました」(所管の厚労省職業安定局の担当者)政策転換の言い出しっぺは竹中氏その人だ。13年3月の産業競争力会議ではこう訴えていた。「今は雇用調整助成金と労働移動への助成金の予算額が1000対5くらいだが、これを一気に逆転するようなイメージでやっていただけると信じている」竹中氏が訴えたとおり、今や雇用調整と労働移動の助成金の予算規模は本当に逆転。助成対象の再就職支援は人材企業に利益をもたらしている。竹中氏の「我田引水」について、パソナグループはニンマリ「黙して語らず」。これで安倍政権の本質-大企業の利益代表が、クビ切り支援を国是に掲げた事で露骨に解る。(日刊ゲンダイ/管理者一部編集)
【ご案内1】
T-nsSOWL west × SEALDs KANSAI × SADL
〔安保法制の廃止を求める大阪デモ〕
日時:3月6日(日)14:00~集会スタート(14:30~デモ出発)/集合場所:靭公園
【ご案内2】
働くあなたを応援する 2016LA-LA公開講座1
「障害者雇用の法制度とその対応」/講師:池田 直樹 弁護士
◎日時:3月2日(水)午後6時30分~8時30分
◎会場:大阪労働者弁護団 事務所
◎参加費:1000円(当日いただきます)
大阪労働者弁護団HP http://www.lalaosaka.com/
公開講座の頁 http://www.lalaosaka.com/#!open-lecture/c1ciw
(民守 正義)
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