リベラル勢力総結集で政権交代!(143)
《Ken Sway Kenと管理者の【緊急事態条項等、憲法改悪阻止】》
《【インタビュー:コミュニケーション】空気が読める「幻想」にしがみつかない/桜美林大学教授 荒木晶子氏》
◆管理者(私)は産業カウンセラーでもある。その立場から、本稿を紹介する事にした。
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企業が新入社員に望む能力で、常に高い位置を占めるコミュニケーション能力。
学生のコミュニケーション能力向上の最前線にいる大学教授に、コミュニケーションが成立しない日本社会の危機的状況をお聞きした。
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Q:職場でも若い社員とのコミュニケーションのギャップに悩んでいるという相談が増えているようなのです。
A:そうでしょう。今の学生がアルバイトでも電話を取らないのを知っていますか?
「アルバイトで電話なんて絶対に出ません。僕、知らない人と電話で話した事はありませんから」と言われた事があるのです。携帯の普及にともない、学生は知っている人としか連絡を取り合わなくなっているのです。知らない人からかかってきた電話を取らないので。
つまり経験がないから、アルバイト先の電話に出られないのです。
そもそも殆どメールやLINEで意思疎通を図っているので、電話で話す機会も以前より減っています。そうなるとアルバイト先の電話は、とても高いハードルなのです。
教授室に学生がいるとき、ゼミ生には電話を取るように伝えてあります。
それでも「晶子先生、電話来ました」と言われ、「誰から?」と聞くと、「知りません」という答えが返ってきたりするのです。だから「どちらさまですか?」「先生は○時に戻りますから折り返しでよろしいですか?」「お電話番号をお伺いしてよろしいでしょうか?」と、会話内容も含めて全て教えないと電話対応もできないのです。
Q:講義を拝見したら「座ったら隣の学生と話すように」「携帯なんか見てはだめよ」「この前のテストのこととか、授業で触れた性格分析について話してください」と、荒木先生が学生に話す内容まで指示していたのに驚きました。
A:私の講義は理論だけではなく、コミュニケーション能力を高めるトレーニングも取り入れているので、毎回30分は隣に座る異性と話させるようにしているのです。
だから私が席表を作って、男女がペアになるように強制的に座らせています。
最初は何を話すのかまで教えないと、知らない人と話すことができないのです。
それでも30分の練習を3~4回繰り返せば、かなり話せるようにはなりました。
Q:話したいとか、友だちになりたいといった気持ちは学生にあるのでしょうか。
A:今日、参加して頂いた「現代コミュニケーション」の講義は、抽選で170人ほどの学生が受講しています。でも参加希望者は2倍にもなります。どうしてこんなにコミュニケーションの授業に来るのかといえば、コミュニケーションが苦手だから話せるようになりたいし、願わくば友達も作りたいと思っているからなのです。皆、そんな困難を抱えているのです。
実際、入学して2年間、友達ができなかったけれど、私の講義に出席するようになって友達ができたという学生がいっぱいいます。友達の作り方が解らないのでしょうね。
40代以上の方は、気がついたら友達ができていたという印象でしょう。
それは対面で話す機会が多かったからできるものなのです。実際20年ほど前は、今ほど深刻な状況ではありませんでした。それは携帯電話もなかったので、面と向かって話さなくてはならない機会も多かったからだと思います。時代と共にコミュニケーションの取り方が随分と変わってきたと感じるのです。
<聴かないツールによる影響>
Q:席順を先生が指定するようになったのはいつからですか?
A:それはここ2年ぐらいですね。昔から30分のエクササイズは課していて、好きな席に座ってもらってから、知らない学生と話す時間を設けていたのです。「席を立って移動してね」と。ところが、そうすると知らない人のところに行けない学生が出るようになったのです。
友達を作りたいと言っている割には友達が増えていないようにも感じたので、指定席制にしました。
Q:昔と今では随分と違うのですね。
A:以前は気になった人に話しかけにいく積極的な学生が結構いたのです。
授業中に話せなかったから、教室を出るときに声をかけたとか。自分に自信がない学生も増えたように感じます。そして自信のないことはやりたくないと。
Q:連絡の多くをメールやLINEだけでするようになった影響は、ほかにもありますか?
A:相手の話を聴けない傾向も強まっています。LINEやメールが凄く短文でしょう。
私が学生の携帯にメールを送ると、「先生、メールはこんなに長々と書いてはいけません」と言われますから(笑)。「今どこ?」「学校」「行ける?」「わかんない」そんな一言のメールが続くのです。会話ではなく、タイミングを合わせているだけのような。
長いメールは、読むのが面倒くさいのだそうです。こうしたコミュニケーションに慣れていると、対面で自分の意見を言うときも「言い切り」になってしまいがちです。
「行ける?」「行けない」と返して十分だと思っているのです。そもそもLINEやツイッター等の携帯を中心としたコミュニケーションツールは、自分の言いたい事しか言わないツールです。だから相手の話を聴いていない。言いたい事だけ呟いて、それを誰かが批判してという感じ。コミュニケーションの単純化ですね。だから相手の話を傾聴するなんて事は、かなり遠い話なのです。「恋人を作るのが面倒臭い」という話も学生からよく聞きますが、恋愛に必要な複雑なコミュニケーションに慣れていないからという側面もあるかもしれません。
せっかく二人でデートしているのに、ずっと携帯を見ているカップルも多いですからね。
アルバイトの時間の変更等も、全部LINEやメールでするのだそうです。
対人で言いにくい事も、メールやLINEなら言えるから。おそらく携帯がない時代は、嫌でも練習してきたからできるようになったのでしょう。面倒だと思っても会いに行き、会って初めて解る事もあったり。それを初めから避けているから、だんだん怖くなってしまう。
これでは好きな異性ができても、面倒臭いと思うようになるのじゃないでしょうか。
<友達の作り方も指導しないと>
Q:先生の授業は学生が感想をびっしり書いていますが、知らない人と話す30分のエクササイズについては、どんな感想が寄せられていますか。
A:「最初、知らない人と話すなんて嫌だと思っていたけれど、勇気を持って話してよかった」とか「こんなに話せてよかった」といった感想が寄せられます。同年代の友達と話すのに「勇気」という表現に、大人世代は驚くかもしれませんね。「授業内で盛り上がって、話が終らないならランチに誘いなさい」「キャンパスで、このクラスの学生を見かけたときは、必ず挨拶をするように。何も言わずに通り過ぎるような失礼なことは絶対にしないこと」「相手の名前が思い出せなくても『現代コミュ論とっているよね。ごめん、名前忘れちゃった』と声をかけること」。そんな指導を続ける中で、学生のコミュニケーション能力が育ってくるのです。こうした学生の現実を、今の大人は知らないと思いますね。
Q:先生のゼミの学生は就職に強いとも聞きますが。
A:確かにゼミ生の就職率はいいですね。「他大学の学生は、頭のいい人も多いけど皆、全然話せないのだよ」って就職活動中の学生が報告に来ますので。皆、人前で話すのが怖くないですから。入学当初は嫌だった人も多いでしょう。でも自分で乗り越えてきているので、自信になっていると思います。これは桜美林大学がコミュニケーションに力を入れている事とも関係があります。1年次には口語表現法という必修科目で、全員が話すことを勉強している。それで目覚めた人が、私の講義等に出席しているのです。
桜美林には、現代コミュニケーション理論、対人コミュニケーション、集団、組織、異文化、国際コミュニケーション等、コミュニケーション関連の授業が15科目以上ある。
週2回、合計3時間の講義がこれだけあると、卒業までにコミュニケーションを数百時間学ぶ事になります。2000年に言語コミュニケーション学科が新設されたときに、私の母校であるサンフランシスコ州立大学のコミュニケーション学部にあった殆どの基礎科目を桜美林大学にも開設して頂いたのです。日本の大学で、これだけコミュニケーション科目を開講している大学は珍しいと思いますので、学生さんは本当に恵まれていると思います。
ですから卒業時に学生のコミュニケーション能力には、大きな差が出ると思います。
<話もできないし空気も読めない>
Q:若い社員に指示待ちの人が多いという話もあるのですが、先生は、どのような原因があるとお考えですか?
A:指示されなくても、率先して動くということは、空気を読めるということですよね。
日本は、人と人との結びつきが強く、個人よりも人間関係が重視される傾向が強い「高文脈文化」でした。だからこそ言葉で細かく説明をするのではなく、見て仕事を覚えるような伝統があったのです。ところが空気を読む能力は、対人コミュニケーションの場があって初めて身に付く力なのです。盆暮れ正月、お爺ちゃんの家に親戚が集まって、ケンカして、怒られて。何が悪いのかと周りを見ながら体験で覚えていく。あるいは学校でも集団登校・下校があり、上級生と一緒に登下校した経験とか。ちょっと面倒な状況だけれど、人に揉まれながら身に付けていくのが、空気を読む力なのです。ところが先に説明したように、今の学生は対面の経験が少ないから身に付かないのです。指示待ちの若手が多いのは、そんな環境の問題が大きいと思います。空気を読む訓練の場がないのですね。
いわば欧米と同じように低文脈化してきているのです。では欧米で、どうしているのかといえば、空気を読む代わりに、言葉のスキルをたくさん教育しているのです。
話す訓練はもちろん、議論して相手と違う意見をぶつけ合う中で、相手の意図を探っていく訓練をしています。だから言葉を大切にしているし、言葉に責任を持つ。欧米では自分で自分の意見が言えない人が評価されないのは、そうした背景があるからです。
Q:日本が低文脈化した理由は、他にもあるのでしょうか。
A:社会も多様化しましたね。同じ教室にも、留学を経験した人もいれば、海外からの留学生もいる。昔のように同じような歌を聴き、同じような生活を送ってきた人が集っている訳ではありません。色々な経験を持っている人が集まれば「空気を読む」ような高文脈文化は成立しにくくなります。
Q:日本が、このまま低文脈化したらどうなるのでしょう。
A:悲しいかな日本でも空気を読めなくなってきているなど低文脈化が進んでいるのに、欧米のように言葉を離す訓練をしていません。新入生全員に必修科目で話す訓練をするようになったのは、桜美林大学が初めてでしょう。ところが欧米では幼稚園の頃から、ずっとやっているのです。教育の基本が話すことだし、議論をすることだからです。
日本のように「うるさい」「黙れ」「静かに」「人の話を聞いていなさい」では、話せるようになるわけもないですね。物言わぬ我々の社会で、空気が読めなくなったら、殆どコミュニケーション不能な状況ですよね。英語教育の前にコミュニケーションの教育を充実させる必要があります。ところが見本を示すべき先生が「見ればわかるでしょう」と、きちんと説明をしません。米国では見て解らないのが前提なので、1から10まで全て説明する。
それが教育者です。「見て解るなら、貴方はいらない」と言われますね。
こうした状況はかなりマズイと思っています。日本はどうなってしまうだろうと。
Q:低文脈化した若手と仕事をするときの注意事項を教えて頂けますか。
A:先ず上司の人は、自分のやり方が唯一の方法だと思わないことです。日本の社会でも上司と部下は、文化背景が同じだと思わないことが重要です。言わなくても解るなんて思ってはいけません。だから上司も、長年一緒に働いている訳ではない若手と話すときには、空気を読む事はやめることです。互いに解らないのだから、言葉にして説明する必要があるのです。新しい人間関係が始まるときは、特に言葉数を多くして、情報収集し、言わなくても解っていると思われるものも全て言葉にするぐらい、明確に指示を出すようにしましょう。
結婚している方は頷く方も多いと思いますが、夫婦ですら空気が読めるまでに5年、10年、20年とかかるのです。「空気を読む力」は、人間関係が構築されて初めて、できる高度なコミュニケーション能力なのです。
<「空気を読む」のが失礼にあたる場合も>
Q:なるほど。空気を読むのは、本当に難しいですね。
A:空気を読めるというのは、殆ど幻想だと感じています。職場で新人ができるようになるなんて、ほぼ不可能ですね。だから本来であれば、話す教育が必要なのですが、これができない。欧米では、対立や拒否から議論を重ねトレーニングをたくさんします。
意見の違いを話し合いで解決するためには必要ですから。日本人は対立が起きたら終わりなのです。だから先に対立の芽を摘む。そして対立の中身を考えないのですね。「口ごたえするな」「その言い方はなんだ」等々。問題なのは、怒っている内容を指摘するのではなく、言い方、食べ方、着方、座り方等、「仕方」や「形」の注意であって、話の中身についての指摘ではないのです。別に日本人のアイデンティティーを変える必要はありませんが、国際的には空気を読むのが失礼にあたることは知っておいてください。
以前、ドイツからの留学生が、卒業論文の相談に真夏の自宅に来たことがあったのです。
それで冷たい麦茶を用意したら「先生、またやっている」と言われたのです。
「今、うちには麦茶とお水しかないけれど、どちらがいいですかと何故、聞かないのですか。僕は麦茶が苦手なのです」と。相手の要望を聞かないで勝手に推測して(空気を読んで)自分の意見を押しつけているのですから、欧米では失礼にあたるわけです。
Q:「空気を読む」という幻想を完全に捨てる時期が来たのでしょうか。
A:本当は「幻想を捨てろ」と言いたいのです。でも幻想を止めようと言い出したら、日本社会が、うまく回らないかもしれないとも思うのです。相手の気分を害さないアサーティブなコミュニケーションも、訓練をしていないので当然、取れない。理論的に話しているのに、感情論でとらえて「私のことが嫌いなの」と怒ってしまう。更に恐ろしい事に、日本人の道徳観念は「他人のふり見て我がふり直せ」なので、「空気を読まない」ことが倫理観にも影響してしまいます。話す教育をしてこなかったツケが今、回ってきているのです。
正直、どこから手を付けていいか解りません。とにかく自分が勤める大学では、コミュニケーションを取れるように訓練して卒業させるようにはしていますが。
とりあえず幻想にしがみつくのを止めて、言葉数を多くするところから始めるしかないのかもしれません。(JAICO産業カウンセリング)
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《きれいな海・大地・空をまもろう
-辺野古に行きたいあなた!応援サポートします-》
「辺野古派遣サポートおおさか基金」設立パーティのご案内
◎呼びかけ人(順不同:2019.1.15現在/引き続き追加依頼中)
●青柳 林さん(真宗大谷派住職)●石田 法子さん(元大阪弁護士会会長)
●上地 武さん(日本基督教団牧師)●下地 真樹さん(阪南大学准教授)
●笑福亭 竹林さん(落語家)●水戸 喜世子さん(子ども脱被ばく裁判の会共同代表)
記
◎日時:2019年2月16日(土)午後3時開場
●第1部:午後3時半~発足総会
午後4時~山城 博治さんの記念講演(辺野古現地の報告)
●第2部:午後5時~懇親会
●PLP会館(地下鉄「扇町」・環状線「天満」から徒歩330m
◎参加費:5000円
◎付記:準備の都合上、ご出席予定の方は、下記にご連絡ください。
◎連絡先:大阪市中央区内淡路町1-3-11シティコープ402
市民共同オフィスSORA気付:辺野古派遣サポートおおさか基金
FAX06-6475-8892/E-mail【zenmzhr02@yahoo.co.jp】水原まで
《ブログ「リベラル広場」では次の事業も行っています。》
①職場(仕事)における労働・人権相談(ハラスメント・メンタルヘルス等、含む)
*大阪府労働相談経験10年以上。*産業カウンセラー資格、有り。
*但しメンタルヘルスの場合、もし心療内科等に受診されている場合、または、その受診の方が望ましい場合は、当該医師の指導を優先し、カウンセリングを断る事もありますので予めご了承ください。【費用:交通費等、実費+α(委細相談)】
②「企業内人権研修」等の講師派遣も行います。【但し有料(2万円程度-委細相談)】
③採用コンサルタント。
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(民守 正義)
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