「憲法審査会-違憲」後の動向(10)

「憲法審査会-違憲」後の動向(10)

《6月16日「国会審議」状況等》

 国会は正常化し「戦争関連法案」等の質疑も再開した。

<またチグハグ:防衛相「砂川判決が根拠とせず」>
 衆議院「戦争法制」特別委員会は15日、一般質疑を行った。中谷防衛相は1959年-最高裁「砂川事件判決」が集団的自衛権の行使容認を合憲だと判断する根拠になるかについて「直接の根拠としているわけではない」と明言した。自民党の高村副総裁は11日の衆議院憲法審査会で「最高裁が下した判決こそ、よって立つべき法理」と述べており、野党は政府・与党内の発言の食い違いを追及する構えだ。
 砂川判決は憲法9条が許容する自衛権について「我が国の存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうることは、国家固有の権能の行使として当然」との見解を示した。
 民主党;寺田委員は「高村」の発言を挙げ「集団的自衛権の行使容認の根拠を砂川判決に求めているのか」と質問。中谷防衛相は「(根拠は)あくまでも72年の政府見解の基本的論理だ。砂川判決を直接の根拠としている訳ではないが砂川判決はこの基本的な論理と軌を一にするものだ」と答え、政府が個別的自衛権の行使を認めた72年見解が根拠との考えを示した。
 一方、横畠内閣法制局長官は、砂川判決について「国際法上は集団的自衛権とされるものでも、我が国を防衛するためにやむを得ない措置は含んでいると解釈できる」と述べ「高村」の発言を支持した。
 ただ民主党;長島委員が「砂川判決は集団的自衛権について判断していないというのが常識だ」と質すと、横畠内閣法制局長官は「厳密な意味での判例としての法的効力まではないが、それなりの重みがあり、権威ある判断として尊重すべきものだ」と述べた。

<「安倍-橋下会談」そんなに気になるか>

 安倍首相と維新の党;橋下最高顧問が14日夜、東京都内で約3時間会談した。
安倍首相は「橋下」に対し「戦争関連法案」への協力を要請したとみられる。
 その狙いは『戦争関連法案』に与党のみの単独採決を避けて、せめて賛否はともかく『維新』に採決に加わって欲しい」という思惑があるようだ。
「維新」は「戦争関連法案」への対案を提出する方針を決めており、与党との修正協議に発展する可能性があるようだ。でも安倍総理の「思惑」は適切だろうか。そんな「維新」ごときが採決に加わったとして国民は「やむを得ない」と思うだろうか。近年にない院外に広がる「戦争関連法案-反対」の声は「憲法違反」と「戦争への危惧」だ。「維新」が国民に分かりにくい対案を今更、出したところで、既に国民世論の対立のベクトルは「違憲法案をゴリ押しするのか!」にあり、場合によっては丸ごと「『維新』+与党=「違憲『戦争法案』好戦推進派」という図式が出来上がり「戦争関連法案-反対」の声⇒明確な「反『安倍政権』」に転化する可能性も大いにある。それと第一「橋下」も含めて「維新」は大阪でも「特効薬的人気」は下落している。だから「都構想‐住民投票」は反発も招き敗北したのだ。
 次に「枝野」等に言いたいのは「本シリーズ⑤」にも述べたように「維新(腐ったリンゴ)」を「院内共闘」の対象としてテクニカルに苦労する事は一切、しない方がよい。何度も言うが「枝野」は「共闘哲学」が甘い。野党なら何でも良いものではない。少なくとも「橋下‐維新」はリベラル性は全く無く「新右翼」だ。そんな事に労を尽くすぐらいなら院外に出て一緒に横断幕を持って「弁護士会」「学者の会」「演劇者の会」等々が行っている国会包囲行動・集会・デモ等の先頭に立って「違憲‐戦争法案『反対!』の院内・院外行動の結合を図ってもらいたい。院内では圧倒的に多い与党の数に対抗するには院外の大衆行動だ。
 そういう大衆行動も合わせて取り組むのが「枝野」さんが、よく言う『民主党らしさ』ではないのか。とにかく「的外れ」の姑息な「安倍‐橋下」巧みは、ほっときましょ♪

《「憲法審査会-違憲(6月5日)」以降のあれこれ④》
<安保法案は「戦争法案」署名にご協力を!>

Avaaz安保法案は「戦争法案」インターネット署名にご協力を願います。
【https://secure.avaaz.org/jp/ldp_save_peace_constitution_loc/?cdTAPhb】

<戦争法案-各界反対【学問の名・平和の舞台】>
 学者が、演劇人が「戦争立法」に反対の声を上げた。異分野の学者有志でつくる会と、演劇人の団体が15日、東京都内で各々、記者会見し他国を武力で守る集団的自衛権の行使容認を柱とする「戦争関連法案」の廃案を求める声明を出した。学者の会の名は「安全保障関連法案に反対する学者の会」。呼び掛け人にノーベル物理学賞の益川;京大名誉教授ら61人が名を連ねた。文系から理系まで専門領域を超えて賛同人も集め、一週間で計2739人の学者・研究者が賛同した。
 会見には法学や経済学を専門とする学者10人が出席。呼び掛け人の佐藤;学習院大教授(教育学)が、かつての大学の戦争協力を反省する立場から「二度と若者を戦地に送らない。学問と良識の名において、違憲な法案に抗議する」と声明を読み上げた。
 山口;法政大教授(政治学)は「権力の暴走に対し今、批判を加えなくては学問の存在理由はない」と学者の役割を指摘。教育史を専門とする堀尾;東大名誉教授は「今の日本は、昭和のファシズムに向かう時期と重なる」と危機感を示した。海部;国立天文台名誉教授(天文学)は「科学は、その力の大きさ故、平和と民主主義の実現に役立たなくてはならない。憲法の尊い精神を科学者として支持したい」と訴えた。市民の賛同者もこの日までに約1800人に達し、学者と合わせ約4500人の署名と共に廃案を求めて声明文を各政党に送るという。

◆32劇団・4団体…「新劇人会議」 半世紀ぶり会見
 32劇団4団体が賛同する「安保体制打破 新劇人会議」の会見には俳優座等の7人が参加。
 劇団民芸の田口精一さんは「今、法案を自身の生活に引きつけて(反対の)行動に出る若い人は少ないように思う。二度と戦争をする日本にしないよう現実から目をそらさないでと伝えたい」と訴えた。
 青年劇場の福山啓子さん(59)は「父親が自衛官である高校生が『お父さんが死ぬかもしれない』と言っていた。どんな思いで国会審議を見ているのか、胸が痛い」と強調した。
 劇団風の子の羽生田正明さん(68)は「日々、子供達の前で公演しているが、この法案が通ると、それも無駄になる気持ちだ。安倍政権の即時退陣を求めたい」とアピールし、日本舞台芸術家組合の鈴木龍男さん(62)は「第二次大戦中は演劇人も強い抵抗ができず、結果的に戦争協力した。戦後はその反省の下に始まった。民主主義を破壊するものに強く抵抗したい」と言葉に力を込めた。
 会議は1960年、日米安保闘争の最中「独立、平和、民主主義の基礎の上に築かれる芸術」を実現しようと演劇人で発足。現在会員は約300人。憲法9条の保持などを訴え、特定秘密保護法案にも反対の声明を出したが、記者会見をするのは発足時以来ほぼ50年ぶり。「非常に危機感が強い」と事務局は話す。声明は、法案を「『戦争参加』を可能にする立法だ」と位置付け、即時廃案を求めている。

<「戦争させない」人の輪 国会包囲の動き次々>
 安倍政権が成立を目指す「戦争関連法案」に反対する市民の動きは、14日も各地であった。
国会前では、市民団体「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」主催で25000人(主催者発表)が「戦争させない」「9条壊すな!」と書かれたプラカードを掲げながら廃案を訴えた。 
 国会正門前に設けられたステージでは、法案に反対する作家や学者、野党国会議員らが次々に発言した。評論家の佐高信さんは「今まで私達が外国へ行く時のパスポートは平和のパスポートだった。それが戦争のパスポートに変わろうとしている」。野党幹部も登壇し「廃案を求めていく」 と口を揃えた。
 広い国会の敷地を人の輪が包囲し、正門前の歩道は人が擦れ違うのもやっとの状態だった。大勢の人が声を揃え「戦争法案絶対反対!」等と議事堂に向けて声を上げた。
 市民からも「ここで黙っていた ら安倍政権の思うつぼ。反対の声を上げ続ける」等の声が上がった。
 実行委員会は24日も午後6時半から8時まで国会を四方から取り囲む集会を企画し「戦争法案」の廃案を訴えるという。

*なお今後とも、本稿「『憲法審査会-違憲』後の動向」は随時、継続的に掲載します。
(民守 正義)