「憲法審査会-違憲」後の動向(9)
「憲法審査会-違憲」後の動向(9)
労働者派遣法改悪案の取扱いを巡って民主党等が審議拒否する等、混乱した国会は15日、与野党が協議して審議正常化した。国会は12日、労働者派遣法改悪案の委員会採決が見送られたものの、与党の国会運営に反発した民主党と共産党が全ての委員会審議を拒否していた。 こうした中、与野党は15日、国対委員長会談を開き、年金機構問題や「派遣法「について民主党等が委員会で改めて質問を行う他、衆議院予算委員会で安倍総理出席の集中審議を行うことで合意した。これを受けて国会は正常化し「戦争関連法案「等の質疑も再開することになった。
《「憲法審査会-違憲(6月5日)」以降のあれこれ③》
<安倍政権は「独裁の始まり」小林・長谷部教授>
憲法学者の長谷部早大教授と小林慶大名誉教授は15日、日本記者クラブで記者会見し、集団的自衛権の行使を可能とする「戦争関連法案」について「憲法違反」との見解を重ねて示した。この中で、小林教授は「憲法を無視した政治を行おうとする以上、独裁の始まりだ」と安倍政権を痛烈に批判した。
長谷部教授は「戦争関連法案」を「合憲」とする9日の政府見解について「何ら批判への応答になっていない。反論できないことを、むしろ如実に示したもの」と酷評。
小林教授は、政府見解が合憲と判断する根拠として最高裁による1959年の砂川判決を挙げたことに触れ「引用は珍妙だ。(裁判で)日本の集団的自衛権はどこにも問われていない」と指摘した。(政府は「問われていない」から「OK」だって~♪「法学音痴」もエエ加減に)
長谷部教授は、自身を含む「戦争法案」反対派の憲法学者に与党内から批判が出ていることにも言及し「今の与党の政治家の方々は、都合の悪い事を言ったときには侮蔑の言葉を投げ付ける」と不快感を示した。(だから安倍政権は知的水準の低い「独裁者」なのだ!)
<衆議院憲法審査会‐地方公聴会「戦争法案」6人中5人反対>
衆院憲法審査会は15日、高知市で地方公聴会を開き、一般公募された6人が憲法を巡り意見を述べた。集団的自衛権の行使容認を盛り込んだ「戦争関連法案」には5人が反対し〔賛成を表明したのは尾崎知事だけ〕だった。先の憲法審査会で参考人の憲法学者3人が「違憲」と明言したのに続き「戦争法案」への反対論が示されたことで、今後の審議に影響しそうだ。
安倍首相は15日の自民党役員会で、審議中の「戦争関連法案」について「国連平和維持活動(PKO)法案(審議)のときも『自衛隊の海外派遣はなし崩しに解釈改憲に踏み切る自殺行為だ』という社説もあったが、今は評価されているので、自信を持ってやっていきたい」と述べ、今国会での成立を目指す考えを改めて示した。
「戦争関連法案」に反対する市民五百人以上が十五日、衆議院第二議員会館前で廃案を求める連続座り込み行動を始めた。向かい側にある国会では、同法案を審議する特別委員会が行われ、参加者らは「9条壊すな!」等と書いたプラカードを掲げた。二十四日まで(土日を除く)午前十時~午後五時に実施する。同法案に反対する市民団体でつくる「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」が主催。同委員会は十四日には、国会を人の輪で取り巻く抗議活動を行い、主催者発表で二万五千人が参加した。市民らは歩道に腰を下ろし、国会に向けて「戦争させない」等と書いたプラカードを掲げた。集会では「戦争法案絶対反対」「みんなの力で暴走止めよう」などとシュプ レヒコールも行った。
受信料の支払い率を80%まで上げることを目標にしている公共放送・NHK。
近年はホテル業界などを相手取っての受信料訴訟も、しばしば行っているが、トップの籾井会長が紅白終了後のカラオケや私用のゴルフに行くためのハイヤー代を経費処理していたりと、国民の不信感は募るばかりだ。
そんなNHK受信料を巡って、また新たな疑惑が浮上している。「NHKの思いやり予算? 推計30億円超-在日米軍基地受信料不払い38年!」との見出しで「サンデー毎日」(毎日新聞社)6月14日号が報じたのだ。「サン毎」が入手したNHK作成の米軍との交渉経緯を示した文書には、在日米軍による“未払い”の実態が書かれていた。それによればNHKが米軍と直接交渉したのは1978年からの2年間、4回のみ。その後83年から95年までの13年間では、計11回基地内での立入り調査を申し込んだが「要求に応じられない」と米軍から門前払いをされていたというのだ。
NHKホームページ上の「よくある質問集」によれば、受信料制度は「視聴者の皆様に公平に負担していただくことが大原則です。また公平負担の徹底に努めることは、NHKの責務です」と説明されているが「サン毎」の取材に対しNHKはこう答えている。「現在、基地内に受信契約はありません、基地内への立入りが認められていないこともあり、契約の対象となる世帯及び、その受信料額について把握していません」
なんと2015年現在でも、米軍基地内では受信契約がないというのである。記事によれば米軍による「不払い金額」は95年に判明した推計額から今年までの38年間で30億円を超える試算。仮に米軍基地内でNHK電波の受信が行われているとすれば、その「30億円」が“特別に免除されてきた” となる。
「サン毎」は「その実態は在日米軍へのNHKの“思いやり予算”だ」と弾劾しているが、確かに国会で予算承認される公共放送のNHKが、基地内への立入りが日米地位協定によって制限されていることを理由に在日米軍から受信料を徴収していないのであれば、これは「ヤミの思いやり予算」である。
そもそも「思いやり予算」とは、防衛省の予算に計上されている「在日米軍駐留経費負担」の通称。1978年度予算で日本人基地労働者への費用の一部として62億円が計上されたのが最初だが、現在でも在日米軍の日本駐留の経費を部分的に日本側が負担していることで知られている。防衛省が公開している「在日米軍駐留経費負担の推移」を見てみると、1978年には「基地従業員対策等」の62億円だけだったのが、翌年から「提供施設への整備」の金額が、87年からは「労務費」が、そして91年以降は「光熱水料等」や「訓練移転費」が、数百億円単位で上乗せされていった。
つまり軍用施設に対して血税が投じられているだけでなく、一般の日本国民が支払っている水道代や電気代等に関しても、在日米軍には事実上の免除措置が取られているわけだ。
因みに今年度の「思いやり予算額」は1899億円だが、これとはまた別に“裏の思いやり予算”とも言うべき多額の米軍関係費用が支出されている。これら“表”と“裏”の「思いやり予算」の合計はなんと5197億円。今年度の沖縄振興費予算(3340億円)をはるかに上回る数字である。そして実際「思いやり予算」の内の大半は日米地位協定の根拠は全くない。
日米地位協定では、基地地主の地代等を除けば「米軍駐留経費はアメリカ側は負担する」と、ハッキリ決められている。つまり「思いやり予算」は 「全ての経費」がアメリカ側の負担であるという規定に“反して”日本側が支出しているのだ。更に日本側は日米地位協定を補足する特別協定を結び、改良を重ねて継続させている。なお現在の「在日米軍駐留経費負担特別協定」(2011年発行)は対象期間5年と定められていて来年3月に期限が切れるが、これも既に延長に向けた協議が日米政府間で合意されている。では何故、日本領土内に置かれたアメリカの施設に対し、国民の血税が投じられ続けるのか。
一般にその起源は1978年、円高ドル安の影響で対米貿易で黒字状態にあった日本が、ベトナム戦争中で財政難と経済不況にあえぐアメリカに対し、前述のとおり日本人基地労働者にかかる費用の一部を負担するとしたこととされている。当時の金丸防衛庁長官は国会で「思いやりの精神で米軍駐留費の負担増に応じる」と答弁。その発言から「思いやり予算」という名が通称化した。
しかし実は、その雛型は金丸元長官の「思いやり」発言の以前、71年の沖縄返還交渉時には既に形成されていたことが判明している。というのは沖縄返還裏交渉の中で結局は福田元大蔵大臣が事実上の米側要求=“思いやり予算”の密約が結ばれたのだ。
政府は現在でも、この“沖縄返還密約”の存在を公式には否認しているが、元外務省アメリカ局長で沖縄返還交渉を担当した吉野文六は、日米間の密約を認め、法廷でも証言している。吉野は法廷での証言を終えた後、しみじみと語ったという。「嘘をつく国家はいつか、滅びるものです」
国民に嘘をつき続ける国家「戦争法制」を巡る国会を例示するまでもなく、その性質は明らかに安倍政権にも受け継がれている。アメリカに媚を売りまくる安倍首相を見ていると、「サン毎」が報じた在日米軍のNHK受信料未払いだけでなく、まだまだ隠された「思いやり予算」が存在すると十分、推察できる。
NHKも自民党も、いったいどこまで“みなさま”を馬鹿にすれば気がすむのか。
*なお今後とも、本稿「『憲法審査会-違憲』後の動向」は随時、継続的に掲載します。
《6月15日「国会審議」再開》
労働者派遣法改悪案の取扱いを巡って民主党等が審議拒否する等、混乱した国会は15日、与野党が協議して審議正常化した。国会は12日、労働者派遣法改悪案の委員会採決が見送られたものの、与党の国会運営に反発した民主党と共産党が全ての委員会審議を拒否していた。 こうした中、与野党は15日、国対委員長会談を開き、年金機構問題や「派遣法「について民主党等が委員会で改めて質問を行う他、衆議院予算委員会で安倍総理出席の集中審議を行うことで合意した。これを受けて国会は正常化し「戦争関連法案「等の質疑も再開することになった。
《「憲法審査会-違憲(6月5日)」以降のあれこれ③》
<安倍政権は「独裁の始まり」小林・長谷部教授>
憲法学者の長谷部早大教授と小林慶大名誉教授は15日、日本記者クラブで記者会見し、集団的自衛権の行使を可能とする「戦争関連法案」について「憲法違反」との見解を重ねて示した。この中で、小林教授は「憲法を無視した政治を行おうとする以上、独裁の始まりだ」と安倍政権を痛烈に批判した。
長谷部教授は「戦争関連法案」を「合憲」とする9日の政府見解について「何ら批判への応答になっていない。反論できないことを、むしろ如実に示したもの」と酷評。
小林教授は、政府見解が合憲と判断する根拠として最高裁による1959年の砂川判決を挙げたことに触れ「引用は珍妙だ。(裁判で)日本の集団的自衛権はどこにも問われていない」と指摘した。(政府は「問われていない」から「OK」だって~♪「法学音痴」もエエ加減に)
長谷部教授は、自身を含む「戦争法案」反対派の憲法学者に与党内から批判が出ていることにも言及し「今の与党の政治家の方々は、都合の悪い事を言ったときには侮蔑の言葉を投げ付ける」と不快感を示した。(だから安倍政権は知的水準の低い「独裁者」なのだ!)
<衆議院憲法審査会‐地方公聴会「戦争法案」6人中5人反対>
衆院憲法審査会は15日、高知市で地方公聴会を開き、一般公募された6人が憲法を巡り意見を述べた。集団的自衛権の行使容認を盛り込んだ「戦争関連法案」には5人が反対し〔賛成を表明したのは尾崎知事だけ〕だった。先の憲法審査会で参考人の憲法学者3人が「違憲」と明言したのに続き「戦争法案」への反対論が示されたことで、今後の審議に影響しそうだ。
<安倍首相は「国民世論」を背に自信>
安倍首相は15日の自民党役員会で、審議中の「戦争関連法案」について「国連平和維持活動(PKO)法案(審議)のときも『自衛隊の海外派遣はなし崩しに解釈改憲に踏み切る自殺行為だ』という社説もあったが、今は評価されているので、自信を持ってやっていきたい」と述べ、今国会での成立を目指す考えを改めて示した。
<「9条守れ」国会包囲-24日まで座り込み>
「戦争関連法案」に反対する市民五百人以上が十五日、衆議院第二議員会館前で廃案を求める連続座り込み行動を始めた。向かい側にある国会では、同法案を審議する特別委員会が行われ、参加者らは「9条壊すな!」等と書いたプラカードを掲げた。二十四日まで(土日を除く)午前十時~午後五時に実施する。同法案に反対する市民団体でつくる「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」が主催。同委員会は十四日には、国会を人の輪で取り巻く抗議活動を行い、主催者発表で二万五千人が参加した。市民らは歩道に腰を下ろし、国会に向けて「戦争させない」等と書いたプラカードを掲げた。集会では「戦争法案絶対反対」「みんなの力で暴走止めよう」などとシュプ レヒコールも行った。
<在日米軍がNHK受信料30億円不払い!>
受信料の支払い率を80%まで上げることを目標にしている公共放送・NHK。
近年はホテル業界などを相手取っての受信料訴訟も、しばしば行っているが、トップの籾井会長が紅白終了後のカラオケや私用のゴルフに行くためのハイヤー代を経費処理していたりと、国民の不信感は募るばかりだ。
そんなNHK受信料を巡って、また新たな疑惑が浮上している。「NHKの思いやり予算? 推計30億円超-在日米軍基地受信料不払い38年!」との見出しで「サンデー毎日」(毎日新聞社)6月14日号が報じたのだ。「サン毎」が入手したNHK作成の米軍との交渉経緯を示した文書には、在日米軍による“未払い”の実態が書かれていた。それによればNHKが米軍と直接交渉したのは1978年からの2年間、4回のみ。その後83年から95年までの13年間では、計11回基地内での立入り調査を申し込んだが「要求に応じられない」と米軍から門前払いをされていたというのだ。
NHKホームページ上の「よくある質問集」によれば、受信料制度は「視聴者の皆様に公平に負担していただくことが大原則です。また公平負担の徹底に努めることは、NHKの責務です」と説明されているが「サン毎」の取材に対しNHKはこう答えている。「現在、基地内に受信契約はありません、基地内への立入りが認められていないこともあり、契約の対象となる世帯及び、その受信料額について把握していません」
なんと2015年現在でも、米軍基地内では受信契約がないというのである。記事によれば米軍による「不払い金額」は95年に判明した推計額から今年までの38年間で30億円を超える試算。仮に米軍基地内でNHK電波の受信が行われているとすれば、その「30億円」が“特別に免除されてきた” となる。
「サン毎」は「その実態は在日米軍へのNHKの“思いやり予算”だ」と弾劾しているが、確かに国会で予算承認される公共放送のNHKが、基地内への立入りが日米地位協定によって制限されていることを理由に在日米軍から受信料を徴収していないのであれば、これは「ヤミの思いやり予算」である。
そもそも「思いやり予算」とは、防衛省の予算に計上されている「在日米軍駐留経費負担」の通称。1978年度予算で日本人基地労働者への費用の一部として62億円が計上されたのが最初だが、現在でも在日米軍の日本駐留の経費を部分的に日本側が負担していることで知られている。防衛省が公開している「在日米軍駐留経費負担の推移」を見てみると、1978年には「基地従業員対策等」の62億円だけだったのが、翌年から「提供施設への整備」の金額が、87年からは「労務費」が、そして91年以降は「光熱水料等」や「訓練移転費」が、数百億円単位で上乗せされていった。
つまり軍用施設に対して血税が投じられているだけでなく、一般の日本国民が支払っている水道代や電気代等に関しても、在日米軍には事実上の免除措置が取られているわけだ。
因みに今年度の「思いやり予算額」は1899億円だが、これとはまた別に“裏の思いやり予算”とも言うべき多額の米軍関係費用が支出されている。これら“表”と“裏”の「思いやり予算」の合計はなんと5197億円。今年度の沖縄振興費予算(3340億円)をはるかに上回る数字である。そして実際「思いやり予算」の内の大半は日米地位協定の根拠は全くない。
日米地位協定では、基地地主の地代等を除けば「米軍駐留経費はアメリカ側は負担する」と、ハッキリ決められている。つまり「思いやり予算」は 「全ての経費」がアメリカ側の負担であるという規定に“反して”日本側が支出しているのだ。更に日本側は日米地位協定を補足する特別協定を結び、改良を重ねて継続させている。なお現在の「在日米軍駐留経費負担特別協定」(2011年発行)は対象期間5年と定められていて来年3月に期限が切れるが、これも既に延長に向けた協議が日米政府間で合意されている。では何故、日本領土内に置かれたアメリカの施設に対し、国民の血税が投じられ続けるのか。
一般にその起源は1978年、円高ドル安の影響で対米貿易で黒字状態にあった日本が、ベトナム戦争中で財政難と経済不況にあえぐアメリカに対し、前述のとおり日本人基地労働者にかかる費用の一部を負担するとしたこととされている。当時の金丸防衛庁長官は国会で「思いやりの精神で米軍駐留費の負担増に応じる」と答弁。その発言から「思いやり予算」という名が通称化した。
しかし実は、その雛型は金丸元長官の「思いやり」発言の以前、71年の沖縄返還交渉時には既に形成されていたことが判明している。というのは沖縄返還裏交渉の中で結局は福田元大蔵大臣が事実上の米側要求=“思いやり予算”の密約が結ばれたのだ。
政府は現在でも、この“沖縄返還密約”の存在を公式には否認しているが、元外務省アメリカ局長で沖縄返還交渉を担当した吉野文六は、日米間の密約を認め、法廷でも証言している。吉野は法廷での証言を終えた後、しみじみと語ったという。「嘘をつく国家はいつか、滅びるものです」
国民に嘘をつき続ける国家「戦争法制」を巡る国会を例示するまでもなく、その性質は明らかに安倍政権にも受け継がれている。アメリカに媚を売りまくる安倍首相を見ていると、「サン毎」が報じた在日米軍のNHK受信料未払いだけでなく、まだまだ隠された「思いやり予算」が存在すると十分、推察できる。
NHKも自民党も、いったいどこまで“みなさま”を馬鹿にすれば気がすむのか。
*なお今後とも、本稿「『憲法審査会-違憲』後の動向」は随時、継続的に掲載します。
(民守 正義)
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